軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

333 農場発展ぶりを振り返る

俺です。

突然ですが、我が農場の発展ぶりを改めて見直してみようと思う。

最初は俺一人から始まった農場。

何もない更地を開拓して畑を広げ家を建て、様々に色んなものができてきた。

基本的に計画性などなく思いついたらすぐ実行するので、農場には色んな施設や建物が散在している。

無秩序だ。

まあ無秩序無計画については反省したり改めるつもりはない。

規則計画で息詰まるような思いは前の世界で『もーたくさん』という気持ちがあるので、こっちの世界では思いつくまま気の向くままで通したい俺である。

農場で一緒に生きる仲間にも気楽にやってほしいので、何か新しいことを始めるにも俺に許可する義務などない。

そっちの方が楽しいと思うから。

ただそうした無秩序発展で、我が農場もけっこうカオスなことになっているから一度振り返り、整理し直してもよいだろう。

我が農場、建造施設再確認。

とはいえ大半は畑や田んぼであるのだが、建造されているのは主に農場に暮らす人々の住居だ。

中心には農場主である俺自身が住む屋敷。

かなり初期に建てた屋敷だが、のちを見越して大きめに建てたので、まだまだ間取りに余裕がある。

寝起きしているのは俺とプラティ、ジュニア一家。

その他バティベレナの魔族娘コンビ。パッファ、ランプアイ、ガラ・ルファの人魚娘トリオなど初期メンバーもここで寝起きしている。

レタスレートとホルコスフォンもそうだ。

バティが新しい衣服を作り続ける被服室や、ガラ・ルファが詰めている医務室も、この屋敷の中にある。

またヴィールは自分の支配するダンジョンと農場とを気分次第で行き来しているが、農場にいるときは大体、この屋敷で寝起きしている。

というか最近は屋敷にいることが圧倒的に多い。

そろそろ本当にアイツのダンジョン、樹霊たちに占拠されるんじゃないだろうか?

屋敷に極めて近い裏手に、オークボゴブ吉を始めとするモンスターチームが寝起きする集合住宅がある。

住居の形態から俺は『モンスター長屋』と呼んでいるが、本当に長屋のような様式で、横に長い建物を細かく仕切っていて、各部屋にオークやゴブリンたちが暮らしている。

それはリーダー格のオークボやゴブ吉も変わらず、世界最高級のパワーを持つとは思えない質素さだった。

他、屋敷周辺にはエルフたちの働く工房も並んでいる。

陶工工房、ガラス細工工房、革工房など。

またエルフたち自身が寝起きするための宿舎も別にある。最初は森の民のプライドとして屋根の下で寝ることを拒んでいた彼女たちだったが、何だか暮らしていくうちにフカフカベッドや可愛いパジャマが羨ましくなったらしい。

そこそこの葛藤の末に文明的就寝を受け入れた。

宿舎は彼女たち自身で建てたもので、伐り出した木をそのまま組み上げたプレハブ造り。

家屋なのにアウトドア感があって、時々ここで寝起きしている彼女らが羨ましくなってしまう。

と言っても『ここに泊まらせて』とお願いしたら別の意味が発生してしまうため、絶対言わないが。

さらにパヌが代表を務めるサテュロスのミルク製造場、バッカスが巫女たちを率いて運営している酒蔵はちょっと離れたところにある

けっこう農場が発展してきた時期に建てた施設だから。

サテュロスたちの職場ではミルクだけでなくバターやクリーム、そしてチーズなども生産しているので案外大きめの施設だ。

酒蔵もビール、ワイン、日本酒または蒸留酒など多種多様に生産しているので施設は大きく複数ある。

各自、職場施設の中に生活スペースがあるためそこで寝起きしている。

さらに次、現状我が農場でもっとも新顔と言える人族魔族人魚族の住むスペース。

そこはオークたちが急ピッチで建造してくれた。

元々大工仕事のし過ぎで建築マニアの感が出てきた彼らだからむしろ喜んで。

新しい試みに挑戦して、三階建てとかサラッと建造していきやがった。

留学生は、三種族が分け隔てなく一緒に生活するよう取り決めてあるが、寄宿舎自体は二棟建てた。

性別で分けるためだ。

種族の垣根は取り払っても、男女の垣根まで取り払ったら想定を越えて仲良くなりかねない。

エリンギアとリテセウスの件で学んだ。

農場の風紀を乱したくなかったのでそこは線引きした。

現状、マーメイドウィッチアカデミアからきたカープ先生を寮監として厳しく取り締まってもらっているため、間違いは起こらないと思うが……。

必要以上に起こらないと思うが……。

……そうだ。

いい機会なので、留学生たちが日頃どんな風に学び生活しているかも一緒に紹介しておこう。

農場で、種族間の交流をしながら各種族の次世代を支える人材に育つべしと教育を施すのが留学企画の目的。

なので若き学生たちは基本的に授業を受ける。

さすがに校舎まで建造するのは面倒だったので机といすと黒板だけ用意し、青空教室。

講師は、ノーライフキングの先生を中心に据え、ベレナやパッファがメイン。

時おり特別講師として魔王さんやアスタレスさん、アロワナ王子と言った各国の王族も教壇に立ってくださる。

他にも旧人間国領主ダルキッシュさんが領地経営学。パンデモニウム商会長シャクスさんが経済学。ドワーフの王様エドワードさんが工学と……。

なんか凄いエリートカリキュラムじゃね? と思ったりする。

もちろん農場に住んでいるからには学ぶだけではなく、働かざる者食うべからずということで農作業を手伝ってもらったり、戦闘実習と称してダンジョンに入って狩りをさせたりしている。

そうでもしないと、さすがに育ち盛り食べ盛りを五十人近く養っていくことはできないからな。

ただ何にしろ……。

我が農場もだいぶ人が増えた。

ここまでの回想で出てきた人数をざっと合計しても二~三百人はいるのではないか。

これに加えて大地の精霊たち、ポチを始めとするヒュペリカオン軍団など人外組を含めたらどれだけの数になるのか。

もはや、けっこう大きめの村と言っても過言ではないよなあ。

ここまで思い返した施設も『人が住んでるもの』に限っていて、その他にも醸造蔵や冷蔵庫、温泉、ホルコスフォンの納豆研究室、生活水を流し込むための水路、魔法蒸気船ヘルキルケ号を係船するためのドックなど……。

他にも施設は大小無数にある。

そうして大きくなり、適当の規模を持った我が農場だからこそ……。

新しい問題も出てきて……。

* * *

「……人が足りない……!」

ということだった。

『またか!?』と誰かから言われそうだが、これは結局のところ定期的に必ず起こる問題だろう。

特に今回、人手不足を痛感したきっかけは、留学生たちの大量流入。

彼らが必要とする住居や生活用品一式を揃えるのにも相当な手間暇だ。もちろん食料もいる。

それらを生産し、賄うにしてもオークボやゴブ吉たちの手だけでは不安になってきた……。

「それらを再確認するための、農場施設の振り返りだったのだ……」

さてどうする?

人を増やすのは簡単ではあるものの、その繰り返しでここまで大きくなってきた我が農場だ。

1.手が足りないので人を増やす。

2.増加した人口を賄うために農地と住居を増やす。

3.拡大した農地で手が足りなくなったので人を増やす。

4.そしてまた増加した人口を賄うために農地と住居を増やす。

この繰り返しで巻き起こる人口インフレスパイラルを無策で見過ごすのはちょっと……、という気もする。

無秩序無計画でいいとは言ったが、さすがに農場運営の根幹に関わることはな……!

「あー、人手を増やさず作業を効率化させる方法ってないかなー?」

オートメーション化する?

いやいや、異世界で機械化なんてそれこそ一大事業だし大変すぎる。

やっぱり魔王さんかアロワナ王子に頼んで人足を募集してもらうか、はたまた先生のダンジョンでまた擬人モンスターを見繕ってくるか……!?

「なんだい、また人手のことで悩んでるのかい?」

「お?」

そんな俺に声をかけたのは、『凍寒の魔女』パッファだった。

農場に住む人魚族の一人で、人魚国の王子アロワナさんの婚約者。

「うん、畑も広くなったしやることも多いしで、今より多くの人手はやっぱ欲しいと思うんだけど。無闇に人口を増やすのもなんか気が咎めてね……!」

「それならいい手があるけど?」

なんですと!?

「あれをあのまま放置しとくのももったいないと思ってたんだよねー。農場で再利用するならいいんじゃない!?」

パッファ!

キミから妙案を出してもらえるとは思ってもみなかった!

人口問題や作業問題に一家言があるなんて、さすが未来の人魚王妃。

して、キミ秘蔵の人手不足問題解決案とは、何なんだい!?