軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1496 ジュニアの冒険:完全なる人

なんかとんでもないものを生み出してしまった……!?

と打ち震える僕!

目の前には、人の形をとりながら全身が発光し、光り輝く人として堂々と立っている。

そんな発光人を呆然と見つめる僕とプロメテウス神。

『これは……一体どういうことだ?』

人を創造する神プロメテウスが、これまた呆然と呟いた。

アナタ専門家なのでこの目の前で起こる現象をなんとか説明してくださいませ。

『人は、土を捏ね上げただけでは完成と言えず、神が魂を吹き込んで初めて生命体となりえるのに、コイツは捏ね上げた段階でもう既に知性を持ち、生命の息吹を伴っている……!?』

気になるところそこですか?

あんなに眩く光り輝いている点に関してはノータッチ?

……いや、光る理由には興味がないくらいに、その道のプロとしては、行程すっ飛ばしの件がきになるんだろうな。

うーん、恐らくあれでしょうかね。

心を込めて捏ねまくったからでしょうかね僕が。

そうして当方が混乱しているうちに、問題の輝く人の方はまったく冷静沈着、沈着冷静だ。

光り輝いているがゆえに表情は読みづらいが。

「私は、土を捏ね上げて創り上げられた人間。ゆえに、ツチ・コネリと名乗ろう」

勝手に命名した!?

ますます知性が溢れかえっている!?

「ふぅーん……はッ!!」

不意に突き出された拳から、衝撃波が発生し、遠く地平の彼方まで飛んで行った。

まさに必殺技の威力。

「とうッ!」

次に垂直跳びで跳び上がった!?

その跳躍高度はザッと見で五十メートル程度!?

さらに空中で後方捻り宙返り、さらに一瞬止まったりしてから、しかる後にフワリと着地。

「うむ、身体能力もまずまず」

生まれたばかりの発光人ツチ・コネリはみずからのスペックを確認するような素振りで手足を動かす。

その言動には慎重さすら感じるのだった。

『ええ……そんなに賢い……!?』

さらに呆然と成り行きを見守るプロメテウス神。

『本来なら人って生まれたばかりの時はもう少し幼くて、ある程度代を経てから文明を築いて知性を伴ってくるものなんだが……』

目の前の“最初の人”はもう充分に文明的ですね。

恐らくは……僕の『究極の担い手』が捏ねてる土のポテンシャルを最大級以上にまで上げた結果、いきなり究極進化を遂げた最高の人が生まれたのだろうと推測されます。

究極進化したら光り輝くのは謎だけれど。

これで夜でも活動できますってか。

むしろ夜眠れなくなりそうだが。

『なんだなんだ何事だぁーッ!?』

コネリの放つ光がよっぽど遠くまで届いたのか、クロノス神が何処からか駆けつけてきた。

どこに行ってたの?

『ジュニアがプロメテウスと和気藹々にやり始めたので、ここはいいかなと他の作業にかかっていたのだが、ちょっと目を離している隙に何があった!?』

そりゃあ驚きますよね。

ちょっと目を離していた隙に光り輝く人が発生していたら。

『んん?……おお、早速人が出来上がっているじゃないか! やっとスランプから脱出したんだなプロメテウス!』

いや、これ創ったのプロメテウスさんじゃなくて僕なんですけれど?

それよりもいいんですかこれで?

光り輝くという明らかに余計な機能を持った人間を本採用して?

『ん? 何か不都合があるかな光り輝いて?』

そう真っ向から疑問に思われても……、ちょっと。

神という大いなる存在からすれば、光ることぐらい些末事なのか。

『だって人間って最終的には光り輝く生き物だろう? だったら最初から光り輝いていてもいいじゃないか?』

最終的に光り輝くってどういうこと?

人格が?

『いや頭のてっぺんが』

貴様!!

髪のことで揶揄ってくるな神!

人間の……いや男にとってもっともデリケートな話題なんだぞ!!

「神よ、我が創造主よ」

ん?

光り輝く人からなんか言われた?

「私は、創造主の力によって究極の力を持ちながら生まれてきました。本当なら長い長い進化の果てに握る結果を、最初からもって生まれてきたのです」

うん。

ところで待って。キミの言う“創造主”って、もしや僕のこと?

「始まりから最後の力……レベル99の力を持って生まれた私はいわばチート。これから始まるティターン神族の世界にはふさわしくない存在です。まだ土台も組み上がってない段階の世界に、チート人間が関わっては容易にバランスが崩れましょう」

『うむ? そうなの……?』

初っ端からズイズイ理知的に詰めていく人間にタジタジのクロノス神。

「私はこの世界にいるべき人間ではありません。そこでです」

なんだ?

まさか自爆とか言い出さないか!?

「いいえ、私もせっかく生まれてきたので。何のために生まれたのかわからないまま終わる、そんなことは嫌ですので」

『アン○ンマンみたいなこと言いだした……』

『ある意味アンパ○マンみたいな存在だし……』

小声で囁き合うクロノス神とプロメテウス神。

捏ねたのが土か小麦粉か、それだけの違いだ。

「そこでお願いがあります神よ。私を別の世界へと送り込んでいただけませんか?」

『ええ……、なして?』

「この生まれたての世界では、私の完成された能力はむしろ害にしかなりません。ですが、どこか他に必ずあると思うのです。私のこの強烈な力を求める世界が……」

どんな世界だ?

「そこへ駆けつけ、救いを求める弱き人々のために大いに力を振るいたいのです。神よ、私の願いを聞き入れたまえ」

『う~ん、ジュニアよどう思う?』

なんで僕に聞くんですか!?

神が人に意見を求めんでください!?

「……まあ、いいんじゃないでしょうか?」

『究極の担い手』のお陰で究極完成体となったこの人は、たしかに生まれたてのこの世界じゃもて余すでしょうし。

彼の才覚が求められる職場は、きっと他にあることでしょう。

『ううぬ、わかった』

本当はよくわかってないクロノス神。

『お前がそこまで望むなら、なんかテキトーに別世界にお前を送り込むことにしよう。お前の健闘を祈る』

「ありがとうございます」

クロノス神がおもむろに手を上げると、時空が歪み異世界へと繋がる穴が開いた。

『アナザーディメンション!』

「我が創造主よ! 短い間でしたがお世話になりました! アナタにいただいたこの命けっして無駄には致しません!」

そう言い残して光り輝く人は次元の向こうへと消え去っていった。

なんだったんだ……!?

まさしく嵐のように輝いて去っていった人だった。

その能力的に一悶着あるかなと思いきや、自分の特異さまでしっかりと理解してその上で身の処し方を上手くした。あらゆる意味でパーフェクトだった。

これが真なる完成された人ということか。

しかし終わってみると何ら進展しなかったなという虚しさまで残った。

『……う、うおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!』

ひぃッ!?

急に叫び出すからビックリした!?

一体誰が叫んだんですかプロメテウス神!?

『なんだか急に創作意欲が迸った! そうだな、細かいことを考えずにひたすら作り続ければいいんだな! ジュニアくんがぶっ飛んだ作品を見せてくれたおかげで踏ん切りがついた!』

そうなんですか?

いや、プロメテウス神の創造性の助けになったなら甲斐があったのですが。

『よぉおおおおおし、ここから遅れを取り戻すぞ! ここから一日18ロットで!!』

うおおおおおおおおッ! と縄をブン回して土を捏ね繰り回すプロメテウス神。

これで問題解決か? と思いつつも何だか腑に落ちなかった。

『プロメテウスのやる気を取り戻すとはさすが聖者の息子! ジュニアよキミを会わせてみて本当によかった! 問題解決の家系よな!』

お褒めに預かって光栄ですが……。

僕自身はなんとも釈然としないな。

だがこうしてスランプで停滞していたプロメテウス神の手が動き出し、この新生会に新しい命が誕生する。

世界が次なる段階へと進みつつあった。