軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1391 幕間: 反抗期は独立心の萌芽

聖者の俺です。

今日も今日とて息子ジュニアが留守にしている農場と農場国を行ったり来たり。

双方を富み殖やすことに尽力しております。

その最中、ちょっと気になって普段とは違う場所へ立ち寄ってみた。

もう一人の息子ノリトが管理しているという、農場国の一角だ。

アイツが領土を借りて何かやっているという話は聞いていたが、特に関知はしていなかった。

次男ノリトは研究気質がプラティに似た。

俺には共有されない部分なのでついつい疎遠にしがちで、ノリトが我が国の片隅で何をしているか進んで知ろうとしなかった。

プラティの方が詳しく知ってるだろうと思って。

それにノリト自身が反抗期真っ盛りで俺のことシャットアウトしているからな。

長男ジュニアには反抗期なんてまったくなかったのに。

可愛い我が子から拒否食らうと想像以上に心に来る。

そんな風に知らず知らずのうちに次男と距離を取っていたら、そんな知らないうちに次男が何かとてもデカいことをなしとげていたとか何とかで。

それで気になって様子を見て務ることにした。

反抗期の子どもから拒否られていると恐れおののいている場合じゃない。

こうやって開いている距離が本格的になるより前に、こちらから歩み寄りをしなければ。

そうしてサカモトを駆って、農場国のノリトエリアを訪ねた俺。

ひとしきり風景を眺めると、いい感じの雰囲気が一目でわかった。

農地もキッチリ整えられてあるし、何より人が多くて賑やかだ。

「ウェーイ!」

「「「「「ウェーイ!!」」」」」

「ウェウェウェウェウェーイッ!」

「「「「「ウェウェウェウェウェーイッ!」」」」」

あれは……。

こないだも見たノリトの友だちか……!

独特のノリをしてるんだよなあ。

ああやって音頭を取りながら農作業をしている……田植え歌みたいなものか?

そうやって呆然と見守っていると、向こうもこっちに気が付いた。

「あッ、エヌ様のお父様だ!」

「エヌ様の父!」

「略してエヌち!!」

略すな。

というかノリト、友だちに自分のことそんな風に呼ばせているのか。

十年後ぐらいに恥ずかしくなるヤツだぞ。

そしてそのノリトの姿が見えないが?

「エヌ様なら、今日はスポンサー様の応援に馳せ参じています!」

「我々は留守を預かりました!」

スポンサー!?

ノリトのスポンサーは俺のはずだが!?

成人前の子どもに親以外のスポンサーがいていいのか? いや、……もしやレタスレートかッ!?

「それとは別の方です」

それとは別!?

どういうこと!? レタスレートもしっかりスポッてるってことか!?

「いやー、オベローヌ様おしかったですねー」

って本人が帰ってきた!?

しかもまた見知らぬ友だちを連れて帰ってきて!?

「気遣いありがとうございますノリトくん。ですがあの結果は自分の力量不足と痛感しています。全世界を股にかけるレタスレートCEOの前では私もまだまだ若輩者と思い知りました……!」

「ホント大人げねえっすねあのオバサン! 最大勢力のくせして市場荒らしやがって商売人の風上にも置けねえ!」

「彼女もアナタのスポンサーなんですよね?」

なんだ?

一緒にやって来た友だちへの態度が、他の友だちとは圧倒的に違うぞ?

ダメだぞノリト、相手によって接し方を変えちゃ。

皆が大切な友だちだろう。

「ゲッ、オヤジ!? なんでここに!?」

そんな嫌そうな顔をするな、傷つくだろうが。

「オベローヌ様は友だちじゃねえよ! 大事なスポンサー様だよ、へりくだるに決まってるだろうが!」

だからなんで成人前の子どもにスポンサーがつくんだよ!?

思春期に入ったかもしらんが、親の俺から見ればまだまだ子どもだ。そんな半人前のうちにスポンサーがつくなんて、お前もしや天才少年か!?

「そうだけど」

ぐわばぁああああああああッ!?

俺の遺伝子から天才少年が、トンビがタカを生んだ。

「やあやあ、ノリトくんの御父上ですか? ノリトくんにはいつも世話になっております」

連れてきた友だちもといスポンサーの方が言った。

実に爽やかな口調で。

「たしかにノリトくんとは、出資者とその相手という間柄ですが、私はノリトくんの人柄にも惚れ込んでいます。是非とも彼の友人になりたいと思っていますよ」

何という人格者……!?

ノリトお前いい友だちを持ったじゃないか、この縁を大事にしなさい、な?

「うっせーなオヤジが首突っ込んでくるんじゃねえよ! オレらはこれからオベローヌ様が優勝できなかった残念会をするんだからよ!」

では俺も出し物でも……!

「いいから! 中央に戻って農場国の仕切りでもしてろよ!」

そんな親をウザがるようなリアクションしないでくれよぉ。

「……ん? 農場国? 仕切り?」

とスポンサーの友だちが気づきをえていた。

「…………あの、ノリトくん? キミのお父上は何をされている人なんですか?」

あ、ハイ。

農場国の王様と聖者を少々……。

「はぇえええええええええええええええええッッ!?」

思ったよりリアクションの活きがよい。

「どういうことですかノリトくん! キミが農場国の関係者……というか息子さん!?」

「アレ、言ってませんでしたっけ?」

「聞いていませんが!?」

ウチの息子が『オレなんかやっちゃいましたっけ?』系主人公のようなことを言っている?

「オレの出自は関係ありません! オベローヌ様にはオレの技術能力を買ってほしい、だからあえて言う必要はなかったんです!」

「それでも、今商人武闘会は農場国の契約権を巡ってたんですが! アナタと農場国に繋がりがあるなら、既にウチも間接的な繋がりがあったということ!」

何やらウチの息子が変なこだわりをもって先方を振り回したらしい。

しかしウチの次男は自信満々に、何をそんなに売り込んだんですかねえ?

「はッ!? 農場王様、本日はお日柄もよく……!」

「そんな畏まる必要ねえっすよ! ここではただのオヤジっすから!」

そうですよ、公私はちゃんと分けますからね。

「ノリトくんからは非常に有益な提案をしてもらっています。土壌改良や優良な作物、それに斬新的な新農法も……」

……うん?

「ちょっと待ちなさい。それってウチの農場国でも大いに役立つものじゃないの?」

「げッ、母ちゃん!?」

プラティ!?

どこから唐突に現れた。

「主要産業が農作物だってことは農場国って名前からして当然でしょう! そんなお国柄からして有益な技術を国外に流出させてどうするのよバカ息子!?」

「母ちゃんが費用出してくんないのが悪いんだろ! 研究するにも金が必要なんだよ! 自国が出してくれないなら他国に売る! 常識だろうが!」

「常識じゃないわよ、あんたも王族なら飢えて死すとも独力で研究を続けなさい!」

「無茶言うな!!」

親子喧嘩が始まった。

……そもそも、ノリトがそんな旺盛な研究をしているなんて俺もあずかり知らなかったが?

「エヌ様は、打倒ジュニアの研究をメインに様々行っていまして、それがもう多岐にわたります!」

「農業関連もエヌ様の重大なテーマの一つです!」

冒頭に物騒なワードが聞こえたが、友だちからの解説はこの通り。

アイツが進めていた研究って、こちらの……。

「オベローヌです」

オベローヌさんですか、お若いのにしっかりして。

この方が資金提供してるんですよね。

ならば研究成果はいずれ彼のもの?

どの程度の利益が見込まれるのだろうか?

俺はオベローヌさんに聞いてみた。

「……おおよそ、こんな感じになります」

とグラフを見せてもらった。

ごちゃごちゃとした詳細を省いて一言で表すなら……。

倍増。

……という感じだった。

ノリトが、ここまで大した研究を行っていたとは。

我が子の成長に気づけないなんて、恥ずかしい……!

「いいのよ! このバカ息子、反抗期真っ盛りでアタシたちから隠れるように研究してたんだから!」

プラティが殴り合いしながら言う。

「しかも資金提供断ったの恨みがましく言ってたけど! それだって『お小遣いちょーだい』みたいなノリだったじゃないの! アレで見分けがつくかあ!」

「思春期の素直になれなさを舐めるな! 親ならそれくらい察しろってんだよ!」

「察せられるかエスパーじゃないのよこっちはぁあああ!!」

どっちもどっちのような愚にもつかないケンカが続いている。

あのケンカが終息して建設的な話ができるようになるまでまだ時間はかかるだろう。

反抗期の息子は御しづらい……ということか。