軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

107 畑の小人

こうして捕まった小さな女の子は、三十人近くに上った。

……。

字面が犯罪っぽくていかんな。

女の子は女の子でも、土中から這い出してきた女の子だからな。

きっと何やらファンタジーっぽい設定があるに違いない。そうであってほしい。でないと俺の脳で処理しきれないから。

「……で、キミたちは何者なのか?」

俺の面前に座る女の子たちに聞いてみる。

その背後でゴブ吉はうつらうつらと舟を漕いでいた。

もう寝てていいよ。昼間の仕事で疲れたんでしょう?

「あたしたちは、大地の精霊です」

「ほう」

大地の精霊とな。

よかった! それらしいファンタジー設定があって本当によかった!!

「大地の精霊? 精霊がこんなにハッキリした形を持って現れるなんて?」

「ちょっとありえない事態ですね」

うわ、ビックリした!?

気づけばプラティやバティなど、多くの人たちが集まってきておるじゃないか!?

どうしたの皆寝ていたんじゃないの!?

「騒がしいから何事かと思って出てきたのよ。……うわ、本当に精霊じゃない。実物は初めて見たけど」

「私も。精霊が実体化するという話は聞いたことがありますが。今日まで半信半疑でした……!」

え? 何々?

皆この子らのこと知ってるの?

知っていたら是非とも教えてほしい。

あとゴブ吉が完全におねむになったんで、誰か運んでお布団に入れてあげて。

「精霊は、自然に直接関わりのある霊的存在の総称です。自然の健全な姿を維持することが仕事。冥神ハデス様の眷族です」

ああ、あの髭神様の……。

「大地の精霊はハデス神の眷族であり、海の精霊はポセイドス神の眷族と言われているわ。どちらも自然の運行のためになくてはならない存在。普段はマナに溶け込んで、見ることも触ることもできないはずなんだけど……」

「見れるし触れるよ?」

と俺は、精霊であることが判明した女の子たちの頭をポンポン撫でた。

何故かプラティから殴られた。

「ボディタッチ! 触り方が自然すぎる!!」

すみません。

自制すべき? 気をつけよう。

「とにかく、精霊ってのは普段霊体になっていて実体がないってこと? だとしたら今こうして実体があるに何らかの理由があるってことだよね?」

さらにその精霊たちが何故実体化してまでウチの畑仕事を手伝っていたかが、さらなる謎だ。

この辺りを解明するには、やっぱり当人の供述がなければ。

「あたしたち……」

根気よく促して、やっと精霊の一人が喋ってくれた。

「冥神様の加護で、実体化できるように……」

冥神の加護?

「ああ、アレよ!」

プラティが何か気づいたようだ。

「前に冥神ハデスを召喚したとき何やかんや言って、この土地に加護を与えてたじゃない! 豊作になるようにとかなんとか!」

「そういえばそんなことを言っていたな……!?」

じゃあ、大地の精霊が実体化して現れたのは、それが原因。

「あたしたち、冥神様と地母神様の力を受けて、ぱわーあっぷしたですー」

小さい女の子の形をした精霊たちが言う。

「少しずつ力を使いこなせるようになって、一冬越してやっと実体化できるようになったです。皆様、誰もいないこの土地を拓いて、たくさんの生命が生き死にして賑やかです。とっても嬉しいですー」

「だからお礼したいです。おしごとを手伝ったら喜ばれるかな? と思いましたですー」

そんな理由で……!

健気さに涙がこぼれそうだ。

「そうならそうと最初から言ってくれたらいいのに……! 気持ちだけでも俺たちは嬉しいぜ……!」

「怖かったので」

「ちょくせつ会うのは怖かったので」

なんでさ。

「そういうことなら気にしなくていいんだよ。キミたちは精霊として植物を育てたり土を肥やしたりしてくれてるんだろう? それで充分だよ」

と俺は、精霊たちの一人をひょいと抱き上げた。

「また自然すぎるボディタッチ!!」とプラティに殴られた。

「そうはいかんざき!!」

「神様の加護は、アナタたちに役立つために与えられたんですから、あたしたちがお役に立たなきゃいかんざき!」

「神様の力で実体化したあたしたち自身が、祝福なのだからんざき!」

その語尾何?

しかし困ったなあ。

このまま彼女らに畑仕事をお任せしたいところだが、それだとゴブリンチームの業務とバッティングして、細やかな打ち合わせが必要だ。

精霊たちにそれを理解する賢さがあるか正直不安だし、却ってゴブ吉の負担がかかりそうな……。

しかし精霊たちは、俺の期待に応えたいとキラキラした瞳で直視してくる。

これは効く。

こんな純真な眼差しに対して「けっこうです」などと言って失望に曇らせるなど俺にはできない!!

よし!

ここはゴブ吉に苦労してもらおう!!

「ちょっと待って」

そこへプラティが割って入った。

「アタシにいい考えがあるわ」