軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1070 邪神復活

よよよ、余は~♪

ゼウス~、世界の頂点にして神の王~♪

逆らうことは誰もできない~、世界は余の思いのまま~♪

(セリフ)だったらなんで封印されてるんだよ!?

(セリフ)全然思い通りになってないじゃん!?

……ふう。

自作のテーマソング作りにも飽きてきたな。

封印されてからこれで一〇七〇作目の曲だからな。いい加減インスピレーションも枯れ尽くしたか。

退屈だなー。

この封印空間、余以外に何もないというのが割と最悪。

やることがなさ過ぎて気がおかしくなりそう。

余が神じゃなきゃとっくにおかしくなっておるね。

大体ハデスとポセイドスが悪いんよ。

ちょっと世界を滅ぼそうとしたぐらいでガチギレしやがってよ。

ちょっとしたジョークじゃん、ジョーク。

本当に、冗談を受け止める心のゆとりが欲しいものよ。

そんな狭量な兄弟神の手によって、封印されてしまったこのゼウス。

神の王たる余を閉じ込めるだけあってなかなか厳重な封印空間であった。

それでも、不当なる拘束には断固として抵抗しようと、この封印空間からのプリズンブレイクを試みた。

最初の一~二年ぐらいはな。

しかしどうしても脱出できなくて諦めた。

何なのこの封印空間!?

堅牢すぎるんだけど!?

この天神王ゼウスが突破不可能な防壁なんて、あっていいのかありえるのか!?

でもまあ、それで三年目辺りからダルくなって脱出の模索もやめて、テキトーに過ごすようになった。

自作の歌やダンスをいくつも制作し、一人オペラを開演できるほどになった。

想像の中でハデスとポセイドスを数え切れないほどボコボコにし、世界中の美女をはべらせるハーレム妄想も毎日した。

それも飽きてきて、本当にすることがなく、そろそろ考えるのをやめてみようかなと思ったところ……。

『パパ! パパ!』

ん?

誰かな?

この封印空間には余の他に誰もいないはずなのだが。

ついに絶対神、幻聴まで聞こえるようになったかな?

『パパ! やったわ! 封印の抜け道を空けることに成功したわ!!』

幻聴じゃなかったーッ!!

その声は、我が子たちの中でもっとも優れた娘の一人アテナ!

まさかお前が助けに来てくれたのか!?

余はてっきり、子どもらからも妻たちからも愛人からも見捨てられたとばかり思っていたぞ!

『そんなことありませんわ! 愛する父親のためですもの! 何においても救出に上がりますわ!!』

アテナ……!!

こんな父親思いの子どもだったなんて……!!

でも、助けにくるならもっと早く来てほしかったなーなんて?

もしかして最近まで何もしないでいた?

『まさかまさか……!? それは、アレですわ! パパの封印を解くのに手間取って、最近になってやっと方法がわかったので実行した次第ですわ!』

方法?

そうだな、この大神ゼウスですら内側から突破不可能な封印だ。

相当強固であったろう封印を、いかなる手段で破ったんだ。

『簡単なことですわパパ。パパの封印を構築したのはあのヘパイストスです。封印は、作った者に解ける。基本中の基本ですわ』

なんと、あのヘパイストスが。

我が子どもたちの中でもっとも醜く、もっとも愚かで、父親たる余を不快にさせる息子の一人ヘパイストス?

アイツが余を封印しうたのか!?

まったく見た目の醜さに相応しい親不孝者よ!

なるほどわかった!

アテナお前がヘパイストスを説得して封印を解かせたんだな?

『残念ながら違いますわ。ヘパイストスならばパパを解放できるというのは一目瞭然ゆえにハデスやポセイドスのガードも高く、ヘパイストスの脅迫……もとい説得は叶いませんでした』

今怖いワードが出なかった?

しかし……なるほどわが兄弟神たちもアホではなかったか。

それではアテナよ、そなたどうやって余の封印を解いたのだ?

『ふっふっふ、私には切り札があったのですよ。私は永遠の処女神ですが、ヘパイストスとの間に子どもを設けたことがあったのです』

なんだと!?

お前もヘパイストスも、このゼウスの子どもではないか!

近親相姦はいかんぞ!!

『姉であるヘラ様を正妻に迎えておいて何を? まあとにかく私の下で養育していたヘパイストスの子、エリクトニオスは、父の血統を受け継いでいますのでそこから何とか封印のほころびを作り出すことができたのです』

なるほど。

さすがもっとも優れた我が子。

もし男に生まれていたら余を滅ぼして王の座を奪っていたという予言は伊達じゃないな。

『さあパパ、この封印のほころびから脱出くださいませ。再び世界へと躍り出ましょう』

うむうむ。

では愛娘の勧めに応えて、この封印空間から退去することにしようか。

出るとなったら案外短い別荘生活だったの。

それではさらばだ。アデュー!

封印の隙間から外に出るまでに、余の封印中に起こったことをアテナより知らされた。

なんとアポロンめ。

余の不在中に天界の主を気取り、ハデスやポセイドスと誼を結んだというのか?

なんと惰弱な。

他の神すらそれを止めることなく、下等な地の神どもと和解するとは。

余はあんなに浮気してたくさんの子を生ませたというのに、余の意に適うのはたった一神、アテナしかいなかったというのか!?

『パパ、この世界の支配階層は、私とパパさえいれば充分ですわ。その他すべては我らの奴隷にしてしまえばよろしいでしょう。さあパパ、世界の帝王の帰還を宣言ください』

うむ。

よし、懐かしき世界よ、余は帰ってきたぞ!

今こそ宣言しよう!

我は天神ゼウス! この世界の真実にして唯一の支配者である!!

これより世界は我が物!

天も地も大海も、すべて我が支配下で思うがまま!!

ひれ伏せ! おののけ!

この世界のすべての女に我が子を生ませてやろうぞ(ブス除く)!!

『テリブルプロビデンス!!』

『デッドエンドシンフォニー!!』

ぐわぁああああああッ!?

なんだなんだ!?

いきなり我が身に超高威力の神撃がぶち当たって吹っ飛ばされたじゃないか!?

はッ!? そこにいるのは!

我が弟神ハデスとポセイドス!?

『誰が弟神だドアホめ』

『クロノスパパが吐き出した順番で兄弟の順番を逆さにするんじゃねえよ。お前が一番末っ子だろうが』

ぐおぉおおお。

細かいことを、いつまで経ってもネチネチ蒸し返してくるヤツらめ。

いいじゃん余が長兄で!

余は天界の王なるぞ! 偉いんだぞ!

そんな余が一番のお兄ちゃんである方がしっくりくるだろうがよ!!

『うるせえ、末っ子気質でゴネるな気持ち悪い』

『ヘパイストスくんの封印を破って脱走して来るとはな。今回は協力者がいたようだが、ソイツもきっちりお縄にさせてもらったぞ』

うわー。

いつの間にかアテナも、死の神タナトスによってふん縛られている!?

『ぎゃあーッ!? 何なのよ! 私は天上の戦女神なのよ! 離しなさーい!!』

『いくら天界の女神だろうと、死の呪縛から逃れることはできない。これ以上余計なこともできないように壺にでも詰め込んでおこうか』

あれではアテナは完全に拘束されて身動きできない!?

くッ、しかしアテナよ! その程度で行動不能になってしまうとは我が娘としてあまりにも不甲斐ない!

自分の身は自分で助けるのだな!

余は、なんだか旗色が悪そうだし、ここは勇気ある転身だ!

せっかくプリズンブレイクできたんだから、今は娑婆の空気を満喫することを優先するぜ!

こうなったら不干渉の約束も棚に上げて、地上で好き放題してやる!

やっぱ手を出すなら人妻に限るぜー!!

『久しぶりに会っても、バカ息子はバカ息子なようだな』

え?

なんと、余を追撃してきたのはハデス、ポセイドスの兄弟神だけではなかった。

さらにもう一人……。

バカな、余の記憶が確かならば、あの顔は紛れもない……!

我らが父、ティターン神族の王、クロノス!?