軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

9 ユニークスキル1

二日間のライブが終わり、そしてなぜかあの時はそう叫ばないといけないような気がしてその勢いで歌って走りきった。

また歌ってくれという精霊たちの要望に少しだけ嬉しく思った日の翌日。

『見事なライブであったぞ!!妻も満足していた!!』

「それでは」

『うむ、かなりギリギリの使い方をしていたようだが、今後はそのようなことをせずとも次のライブまで存分に泡沫のダンジョンを使うが良い!』

「感謝します」

『リベルタの感謝はライブで聞いている。あれだけ大勢の精霊たちの前で感謝し、自身も歌を披露するとは、我も心に響いたぞ』

「恐縮です」

俺は精霊王に謁見し、正式に泡沫のダンジョンの使用の許可を得ることができた。

『して、今後の予定はどうなのだ?もし我に協力できるようなことであれば遠慮なく言うがよい』

「ユニークスキルを獲得しようと思います」

『ユニークスキルだと?』

「はい、今度の成長のことを考えるとユニークスキルの有無がレベリング効率の差を生み出すと思っていますので」

ライブは大盛況に終わり、特に新衣装と楽器のリニューアルが功を奏した。

次回のライブ用にまたサンライトシルクを作る必要はないが、闇さんと雷三姉妹が衣装を作る意欲を見せているので暇を見て星屑の糸を取りに行くのもいいかもしれない。

そんな感じでイベントもライブもひと段落できたので、俺たちのレベリングも本格的に進めていこうと思った。

そのために必要なのが、俺たち全員がそれぞれ得られるユニークスキルだ。

ネルの招福招来、アミナのラストソング、エスメラルダ嬢のオリジンコメット。

これらはもちろん獲得するが、俺の無名の暗殺者、イングリットのパーフェクトメイド、クローディアの天割の武闘家にもそれぞれのユニークスキルが設定されている。

『リベルタのことだ。取る方法はすでにわかっているのであろう?』

ユニークスキルは強力ゆえに取得条件が設定されている。

それもそう簡単に取れないような条件ばかりだが、ここでならそれを達成できる。

「ええ、もちろん」

それがわかっているからこそ、余裕をもって俺は頷くことができる。

『一応言っておくが、精霊界の平和を乱すようなことはするな。ライブを成功させたとはいえそれとこれとでは話は別だぞ』

「承知しています」

そして精霊王の言葉も理解できる。

ユニークの名は伊達ではなく、そのスキルはどれも強力。

ゆえに、そのスキルによって精霊界の安寧が乱されるという心配も理解している。

『ならよい。次回のイベントとライブも期待しておるぞ』

信頼してもらっている。

それがわかる言葉を貰って、俺は精霊王の城を後にするのであった。

そしてまっすぐ貸し出されている家に戻ると、そこにはパーティーメンバーが全員リビングで待っていた。

「どうだった?」

「無事に泡沫のダンジョンの正式使用が許可された。ついでにユニークスキルの獲得の許可ももらった」

「それならよかったわ」

「代わりに、ここに滞在するためには定期的にイベントとライブを企画しないといけないけどな。ネル、アミナ、暇なとき考えておいてくれ」

「わかったわ」

「はーい」

「最初は無理して一人でやろうとしなくていいからな。いつでも相談に乗るから遠慮するなよ」

「お願いね。頼りにしている」

「あははは、僕は真っ先に頼りそう」

「それでいいよ」

俺が泡沫のダンジョンの正式使用の許可を貰えて一安心。今後は本格的にスキル獲得やレベリングを行っていくことができる。

「さて、イベントの方はひとまず置いておく。当面の目標はユニークスキルの獲得、そのあとにクラス5へレベルアップだ」

「いよいよですわね」

「今のステータスでも以前の私が鍛え上げた能力と遜色がないほど。これ以上のステータスが手に入るとなるとどうなるでしょうか」

それを明確に伝えると、皆の顔には喜びと、それに加えて緊張感が走る。

NPCの大半はこのクラス5を超えられるか超えられないかで英雄に至れるか否かを判断する。

エスメラルダ嬢とクローディアはワクワクしていると言わんばかりに笑顔だ。

イングリットは何も言わず佇んでいるが、怖気づいている様子はない。

クラス5は沼竜やワイバーン、這竜といったフィールドボスがいるクラス。

今後はそのクラスを通常モンスター扱いで相手にするということになる。

「ここから先はレベルも上がりにくくなるし、モンスターも強くなる。当然だが危険度も桁違いに跳ね上がる」

「だから、抜けるのも今のうちって?リベルタ、あなたと一緒にいて今さら引くなんて考え持ってたらここまで一緒にいないわ。あのレイニーデビルに襲われたとき、ううん、もっと前王都でスタンピードに襲われたときに私は外に出られなかったわ」

一応危険だと伝えようとしたが、ネルが待ってと手で制して、女性陣を代表しているかのように俺の目を見て甘く見るなと言ってきた。

「でも、私は諦めなかったわ。ここにいるみんなはそういう覚悟を決めてあなたと一緒にいるの」

他の面々もネルに同調するように頷いている。

ならばここからは遠慮はいらないか。

「・・・・・そうか。では、改めて今後の予定を宣言する。まず俺たちは二カ月以内にここにいる全員のユニークスキルを獲得する。そのために全力で行動していく」

ユニークスキルの有無。

これによってそのキャラの最高到達点に差がでると言っても過言ではない。

「まず最初に取るユニークスキルはネルの招福招来だ」

「私の?」

「リベルタ、理由を説明してもらってもいいですか?」

そして栄えある最初に取るユニークスキルはネルの招福招来。

24時間というリキャストタイムの縛りの重さがあるが、効果はドロップ率の確変という今後の全員のスキル獲得に大いに貢献するスキルだ。

「一番の理由は、このスキルを取っておけばその後の全員のユニークスキル獲得と並行してレアアイテム収集に役立つからですね。効率よくスキルスクロールを集められる可能性が十分にあるんで」

「なるほど。それなら納得ですね」

クローディアが質問してきたのでそこは素直に答えると彼女も納得してくれた。

「その次に取るのはイングリットのユニークスキルだ」

「私のユニークスキルですか?」

そして二番目に取るユニークスキルはイングリットのパーフェクトメイドのユニークスキル。

「ああ。今後のダンジョン攻略に於いては絶対といってもいいほど必要になるスキルだ」

「そんなに強力なスキルなんですの?」

「強力でありこれがあるとないとではダンジョンの攻略難易度が桁違いに変わる便利ユニークスキルですね」

そのユニークスキルはエスメラルダ嬢に言ったように、強力でもありダンジョン攻略の効率を跳ね上げてくれる利便性も備えたスキルだと言っていい。

「それは一体?」

イングリットにもこのユニークスキルについては話していないので、彼女も首をかしげてそのスキルの内容を聞いてくる。

「スキル名はパーフェクトクリーン。すべてを掃除によって一掃するスキルだ」

「「「「……?」」」」

「あ、はい。説明するから」

しっかりとためて発表したのに首を傾げられたらさすがに恥ずかしい。

苦笑を挟みつつ、イングリットを含め全員がイマイチ理解できていないスキルを説明する。

「このスキルのリキャスト時間、一度使ってもう一度使えるまでの間隔は一時間。そして効果範囲はスキルレベルによるけど、最低レベル状態ではイングリットが箒などの掃除用具で払った空間の前方三メートルが効果範囲になる」

ひとまず分かりやすいスキルの使用間隔と効果範囲を説明してみんながうなずいた後に俺は説明を続ける。

「それで肝心な効果だけど、さっき言った効果範囲内の存在全てが一掃されるんだ」

「さっきも言ってたけど、一掃されるってどういうこと?」

「ダンジョンなどの破壊不能オブジェクトを除き、基本的に全部消え去る」

「え?」

「モンスターだろうが、相手の毒の霧だろうが、魔法だろうが、自然災害だろうが、イングリットが振るった箒の効果範囲内にある存在がイングリットの合計ステータスよりも下であれば文字通り消え去る」

効果としてわかりやすいと言えば、対象をほぼ選ばないニ〇ラムのような効果だ。

経験値もドロップアイテムも何もかも手に入らないけど、代わりにすべての存在を一掃するスキル。

俺たちFBOプレイヤーの中での別名は定期的に補充される緊急回避ボムなんて呼ばれ方もしていた。

「それはボスもですか?」

「効果範囲内に収まるサイズのボスであれば消えますね」

「・・・・・それは恐ろしいスキルですね」

戦いに詳しいクローディアが真っ先にその恐ろしさに気づいた。

「欠点として、このスキルで消し去った場合モンスターからはアイテムがドロップしませんし、経験値も得られないことですね」

「ですがそれを差し引いても恐ろしいスキルだと言えますね。イングリットさんよりも弱い存在であれば問答無用で消えるということですよね?」

「回避することもできますし、効果範囲を超えるような巨体だと効果ありませんけどね」

「ちなみに最大効果範囲は?」

「クラス10レベル100で三十メートルの扇状ですね」

「十分すぎます」

集団の雑魚敵に出会った際に、毎度時間をかけていてはいくら時間があっても足りない。

あるいは取り巻きを持つボスモンスター戦でボスに集中したいときなどに便利なのがこのスキル。

クローディアが額に手を当て天井を仰いでいるが、この後もなかなかやばいスキルが勢ぞろいなんだけど。

「三番目に取るクローディアさんのスキルも中々ヤバいですけどね」

ネルのドロップ率の確変、イングリットの無差別ニフ〇ム、そして三番目に獲得したいのがクローディアのユニークスキル。

天井を仰いだ状態で固まってしまったクローディアに容赦なく俺は告げる。

「二つ名の由来である天を割くスキル。天拳。名前の由来は空を覆う雲をたった一発の拳で割って見せたことです」

一見すれば一撃必殺のアクティブ攻撃スキルのように見えるが、このスキルはバフスキルだ。

「リキャスト時間は八時間、効果時間は最大レベルでもわずか三十分。ただしその効果時間内はステータスを十倍にしてくれてハイパーアーマーになって、さらに状態異常耐性が百パーセントになるって言うヤバいスキルです」

実質三十分間は無敵状態になるという激ヤバスキル。

この状態の格闘家を倒す方法といえば、一撃死を狙うか、徹底的に遅滞戦術を行うことで効果切れを狙うかの二択。

ほぼほぼこの状態になったら勝ち目はないと言っていい。

「デメリットは?」

「ステータスダウンですね。効果が切れた後一時間の間ステータスが九割減してすべての耐性がマイナスになるという感じです」

「一日三回使えるという割にはデメリットが少ないと思うべきか、仕留め切れなかった場合の致命傷になると考えた方がいいのか」

「あ、ステータスダウンの一時間は固定です。取得した段階だと効果時間は三分しかありませんのであしからず」

「レベルを上げ切ってこそ活躍するスキルというわけですか。これを取得させたいわけは?」

「ダンジョン攻略の締めに、格上ダンジョンに入ってイングリットのパーフェクトクリーンで敵を一掃しつつ進み、ネルの招福招来を使ってボスのドロップ確率を確変固定、クローディアさんの天拳でボス討伐を狙おうかなと」

前半の三人だけでも揃えば今後の育成環境はかなり改善すると宣言すると、クローディアは大きくため息を吐くのであった。