軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

20 効率重視時々息抜き

さて、突然だがキャラ育成において重要なことは何だろうか?

育成計画。

重要だ。

これがなければ行き当たりばったりで、キャラを育成しなくてはいけなくなり最終形態で不細工なキャラが出来上がってしまう。

アイテム。

これも重要だ。

アイテムがあれば様々な方面でキャラを育成できるようになり、特別な力だって得られるようになる。

だが、今の俺はこの二つよりも重要なことがあると断言しよう。

それは効率だ。

効率よく経験値を得られるかどうか、それによって育成にかかる時間にかなりの差が出る。

非効率な狩場でモンスターを倒しても、レベル上げもスキル育成も余計な時間がかかってしまう。

なので、現在できる最高効率でレベリングすることこそ正義といえる。

だから。

「リベルタ」

「リベルタ君」

少女二人がすっごく不満そうな顔で。

「「飽きた」」

不満をぶちまけることをバッサリと切り捨てるぞ。

「却下、今日は後三周は周回するぞ」

「「ええー」」

「わがまま言わない。今日だってしっかりと成長はしてるだろうに」

ボーナスタイムに関して大演説をして早一週間の時間が経っている。

その間何をしていたか、もちろんモチダンジョン周回だ。

始めはダンジョンの世界に一喜一憂して楽しみながらダンジョンを攻略して、ボス戦でも大はしゃぎだった。

最初はパーティーでカガミモチを倒してハイタッチ。

慣れてきたらソロでカガミモチを倒してハイタッチ。

そんな感じで着々と成長していった。

だけど、新鮮なのは一周目だけ。

二周、三周、四周と周回を重ねるたびに、飽きも重なっていく。

最初の三日は良かった。

スキルを得て、どんどん成長してそれに対して喜びを感じることができた。

さらに戦い方も試行錯誤みたいな感じで挑戦していると実感できた。

けれどもそれも四日目に入ってからが問題だった。

カガミモチを二人ともソロで安定して倒せるようになって、パーティーで討伐すると余計に作業感が増した。

おまけにどんどん成長が鈍化していくとさすがにつまらない他のことがしたいとねだり始める。

それをどうにか説き伏せて、続けてきたがそろそろ本当に限界が近いもしれない。

キャラ育成は単調作業の繰り返しだ。

FBOはそれがかなり顕著で、プレイヤーたちはいろいろなクエストを受注して、その飽きに対抗している。

だけど残念なことに俺たちができることはモチダンジョン周回という最早苦行と化した作業ゲーをこなす毎日。

俺と同じ竹槍を持つネルと木の杖を持っているアミナはもうすでにモチを見るのも嫌だと言わんばかりに淡々とモンスターを蹴散らし、そしてボス部屋でカガミモチと相対してもすぐに終わらせたいという意志をありありと見せて、最短最速で撃破。

「また木の箱」

「なかなか銀の箱以上って出ないね」

「二つ出ただけマシね」

唯一の楽しみはこの宝箱の時だけ。

俺とは違い、二人の運、というよりもネルの運がすさまじく、この一週間で金の箱一回、銀の箱八回という成績を叩きだしている。

一日十周を目標としていて、今のところそれが破られたことはない。

だから最低十回はボス戦をして、ここまでで累計七十個の宝箱を開けている。

七十分の一と聞けば少ないと思われるかもしれないけど最弱のボス、カガミモチで金の箱が出る可能性は一パーセントだ。

銀が八パーセント。

強いボスになればなるほど、このパーセントも変動するけど、ネルが合流した途端に上振ればかり引いているすごさがわかるだろう。

「あ、また米水と魔石よ」

「こっちは魔石だけだよ」

そしてネルが開けるとだいたい二つ以上のアイテムが出てくるんだ。

木の箱から出てくるアイテムは、魔石、米水、薬草の三つだけ。

銀になるとその三つに加えて、さらに大きな魔石と弱者の証が加わる。

そして一回だけでた金の箱から出たのは。

「はぁ、疲れが取れるわ」

「ネルちょっと、横にずれて」

人をダメにするクッションだ。

これって結構当たりアイテムなんだよな。

白い巨大なクッション。

カガミモチを倒すことでしか手に入らないアイテムだ。

効果は御覧の通り、人をダメにする、というわけではなく横になると微量の時間回復効果で体を癒してくれる。

マッサージチェアみたいな感じだな。

サイズ的に子供二人が寝転がったらスペースがなくなるから今は俺は使えないけど、俺も夜に使わせてもらっているからその癒し効果がかなり高いことは実感している。

「ネル、アミナ、寝転がりながらでいいからステータス見せて」

「はーい」

「いいよー」

ダンジョンの鍵のリキャスト時間に加えて一周終わったら休憩をはさむというのを徹底しているからその間にステータスチェックしている。

だらけながら二人はステータスオープンと言い、俺に見えるように角度を調整してくれる。

『ネル クラス0/レベル0

基礎ステータス

体力0 魔力0

BP0

スキル1/スキルスロット1

槍術 クラス1/レベル88 』

『アミナ クラス0/レベル0

基礎ステータス

体力0 魔力0

BP0

スキル1/スキルスロット1

杖術 クラス1/レベル88 』

うん、二人ともかなり成長したな。

一週間でこれならかなり順調と言える。

『リベルタ クラス0/レベル0

基礎ステータス

体力0 魔力0

BP0

スキル1/スキルスロット1

槍術 クラス1/レベル91 』

俺が彼女たちよりもスキルが成長しているのは彼女たちが帰った後に一人で周回しているからだ。

何事もこつこつと一周でも多く回ればこうやって差がつく。

それでもネルとアミナは同年代からすれば破格のスキルを持っていると思う。

今はクッションの上でだらけているけど、すごい勢いで成長している実感はあるみたいだ。

同じことの繰り返しで、さすがに気が滅入り始めているからテンションが低いだけで目的意識はぶれていない。

「うーん、せめてあいつが出てくれればなぁ」

だけどモチベーションを維持するためには何か気分転換も必要なんだ。

「リベルタ、あいつって?」

さすがに少しケアが必要かなと考えている最中に、つい言葉が漏れてしまった。

ステータスをじっくり見ながら言った言葉だから当然二人にも聞こえている。

ネルはあおむけで寝転がっていたから少し体を起こして、アミナはうつ伏せだから顔を横に向けて俺を見上げている。

「レアモンスター」

特段隠すことではないのであっさりと答える。

FBOのダンジョン内では低確率で通常モンスター、あるいはボスモンスターがレアモンスターに変化する。

条件とかない。

完全にランダムの低確率だ。

「なにそれ!」

「え、そんなのいるの?」

「あ、ああ、いるぞ。モチは 黄金(こがね) モチになるし、カガミモチは 黄金(コガネ) カガミモチになるんだ」

そんなモンスターがいるとは知らなかった二人は、さっきまで疲れていた目を回復させてキラキラとした目で見てくる。

「どんなモンスター!?」

「ただただ金色になったモチとカガミモチだ。少しだけ強くなるけど、倒せないってことはないし行動パターンも変わらない。ただ」

「ただ?」

「この二体のドロップアイテムと経験値がえぐい」

いい気分転換になるかもと思い、俺は黄金モチと黄金カガミモチの情報を思い出す。

「そんなにすごいの?」

「ああ、黄金モチの経験値はカガミモチの五倍、黄金カガミモチの経験値はカガミモチの三十倍だ」

ネルが身を乗り出し、耳をピコピコと動かしている。

どれだけ楽しみにしているんだ。

まぁ、黄金モチの経験値が基礎で2500だから修練の腕輪装備のボーナスと格上ボーナスを加算すると簡単にカガミモチの獲得経験値を上回る。

黄金カガミモチなんて今のレベル帯だと完全に経験値が過剰すぎる。

「え、それってすごくない?」

情報を伝えると、アミナも目を見開いて反応してくる。

「すっごいぞ。それとすごいのは経験値だけじゃない。ドロップなんだけど、黄金モチからでるドロップ品は二つしかなくて、片方は黄金餅」

「え、モンスターがドロップするの?」

「ああ、発音が一緒だから間違いやすいけど、そっちじゃない。これは餅の形をした黄金なんだ」

「黄金!?って純金だよね?」

「ああ、換金アイテムとしても優秀な純金だ。だけど、本領は別でな。こいつをボス部屋に入る前にボス部屋の扉に使うと」

「使うと?どうなるの?」

「金の宝箱以上が確実に一個でる」

「「!?」」

「しかもほかのクラスでのボスでも有効だし、最大五個まで使用が可能でな。最大で五個の金の宝箱が並ぶ光景と言ったら脳汁がやばい」

「「ごくっ」」

そして、ともに黄金の宝箱を見て興奮した二人だ。

それがずらりと五つも並べることができるかもと夢を広げると生唾を飲んでしまうのもわかる。

「それでそれで!もう一つのアイテムは!?」

「教えてよリベルタ君!!」

「黄金モチダンジョンの鍵」

「「!!??」」

この話だけでもだいぶモチベーションが回復したのがわかる。

やっぱり人間楽しみや目標があった方が、生きていくにあたって張りが出るってものだ。

「リポップ無しの出てくるモンスターの数制限がかかるが、出てくるモンスターすべてが黄金モチ。さらにはボスも黄金カガミモチと絶対保証の上、ボスドロップの宝箱は金の宝箱が三個以上確定だ」

「「おおおおおお!!!!」」

話している内容は、嘘偽りのない事実。

ただし、かなりの低確率な上に出すのにそうとうの回数を試さないといけない。

「それじゃ、黄金カガミモチの方は!?」

「黄金モチのほうでもすごいってことは、ボスの方はもっとすごいってことになるよね!?」

「そうだな、黄金カガミモチのドロップ品というか宝箱から出てくるアイテムは金の宝箱で四つ、一つは黄金モチと一緒で黄金餅だけどこれは魔石の代わりに確定で入っている。一箱で一つだ。しかも黄金カガミモチは倒せば金の宝箱以上が三つ確定で出る」

「純金がいっぱい」

「ネル!?気をしっかり持ってよ!ここからが本番だよ!」

「はっ!?そうね、危うく気を失いそうになったわ」

そこら辺を教えてもモチベーションを維持してくれるかね?

黄金モチが出る可能性は0.03パーセント。

黄金餅のドロップ確率は五パーセント。

黄金モチの鍵のドロップ確率は、0.01パーセント。

出れば夢とロマンがあるが、現実は厳しい。

だけど、それを伝えるの心苦しい。

ちょっとこの話題を出したのを後悔し始めた。

特にネルは商人にとって黄金とは財産だ。

夢が広がると言わんばかりに、夢の彼方に旅立とうとしてアミナにゆすられて帰ってきた。

そんな姿を見て、ここでやめるわけにもいかず。

一つ目と立てた指の隣に二本目の中指を立てる。

「二つ目、これは黄金モチと一緒でダンジョンの鍵だ。だけど普通の黄金モチと違って出現率が格段に上がってる。めちゃくちゃ運のいい人は、黄金カガミモチからこのループを引き当ててる」

「ネル、よだれよだれ」

「垂らしてないわ!本当よ!!」

黄金カガミモチから出るダンジョンの鍵の確率は五パーセント。

昔、ゲーマーの友達が五回ループして確変来たと叫んでいたな。

ネルならワンチャンそれを超えられるかもな。

じゅるりと音がしたが気の所為ということにしておいて、三つ目と薬指を立てる。

「俺としてはこれが本命、スキル昇段オーブ」

「なにそれ?ネル?」

「うそ、それって伝説のアイテムじゃない」

アミナはこのアイテムを知らなかったみたいだけど、商人の娘であるネルは知っていたようだ。

興奮が一気に冷めたというよりも現実について行けない感じ。

「ウソじゃない。金の箱に三パーセントの確率で入ってる。ちなみにカガミモチの虹の宝箱には五パーセントの確率で入ってるぞ。黄金カガミモチの虹なら確定で一個入ってる」

スキル昇段のオーブは、パッシブスキル、剣術や俺とネルが使っている槍術、アミナの杖術を次の段階に昇華してくれる。

剣術なら剣豪術、槍術なら槍豪術といった感じで。

「剣聖様が、剣の神に至ったっていう伝説のアイテムよ?そんなものがモチのダンジョンに?」

「あるんだよなぁ」

これが出てくるからモチのダンジョンはチート級のアイテムなんだよ。

超低確率だけど、とんでもない物が序盤で手に入ってしまう上にレベリングもできてしまう。

「リベルタ!」

「お、おう?」

「これ、誰にも言ってないでしょうね?」

「二人以外には、言ってないぞ」

「じゃぁ、言っちゃダメ。お父さんにもお母さんにも言っちゃダメ。アミナもだよ!もし誰かに知られたら二人とも大変なことになっちゃう」

それを俺は気軽に教えていたけど、ネル的にはかなりやばい話なようで、俺に念を入れて絶対に話しちゃダメと言い続けた。

それは商人としてではなく一人の少女として。

それを見て、俺はだいぶやばい会話を気軽にしているのを自覚した。

ネルはいまいちわかっていないアミナに必死に、それこそ涙目で訴えかけて約束させていた。

どうしよう、これで三つ目のなのに四つ目の話をしたら余計にやばいことになる?

さらに上の虹の箱にはもっとやばいのが眠ってるのに。