軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

441.再会

お母様は、公爵家の皆様にも挨拶をし、ラビィーパパとマーシィさんと商談をすると再びベルデの転移で早々に帰って行った。

「……なんというか、凄いお母様ですのね」

「ああ。営業部長とはいえあそこまで仕事が出来るとは想像してなかった」

「嵐のような方ですわ……」

「ええ、自慢の母です」

商談風景を側から見たシアさんとゴールダー、アムちゃんの感想は、第三者だから言えること。でも、あのお母様と商談をしたバックス商会メンバーは、魂が抜けたようにボーッとしている。

「あの……大丈夫ですか?すみません、急に母が」

「ハッ……。いえいえ、こちらも有意義な商談をさせて頂きました」

「ええ。ただ、あれほど決断力があり、この短時間で契約に至ることは初めてでしたもんで、ちょっと驚いてしまって……」

「ああ。そうですよね。母は効率の悪いことと無駄が嫌いで、やると決めたら即実行の人なので」

「それは素晴らしい考え方ですよ、我々も見習わなければなりませんな」

「ええ、俺も精進します」

と、ラビィーパパとマーシィさん。一方、ラビィーちゃんはジッとお母様が出て行った扉を見つめている。不思議に思い、どうしたのかと聞くと

「ランペイル辺境伯夫人が格好良くて。わ、私、あの方のように優雅で美しいだけでなく、仕事も出来る女性になりたい!」

おぉ〜お母様ファンが出来たわ。

今まで、副魔術師団長としてのファンはいると聞いたけど、まさかの営業部長としてのファン。

*****

バックス商会での契約も決まり、あの後すぐにベルデが戻り販売商品を持ってきたことに、再度驚いていたマーシィさん達だったけど、早速、店頭に出してくれた。

また出国する前に立ち寄る事を約束して、店を出た。

「で、次は2人のお勧めのカフェでいいの?」

「「任せて」」

ラビィーちゃんとアムちゃんが声を揃えて言う。なんと2人は学院の同級生だった。この2人と年末に留学期間を終えて帰国したエドの従姉妹、ミラちゃんも加えてよく3人で行っていたカフェに連れて行ってくれるらしい。

しばらく歩くとお客さんが何人も並んでいる店があった。並んでいる人は若い女性ばかりで、男性は女性の連れがいる人しかいないようだった。

「あー、今日も並んでいるね。やっぱり予約して正解だったわ」

アムちゃんはそう言うと、店頭に立って並んだお客様に対応している店員さんに話をかけに行った。

「ここ、ケーキが美味しくていつも並んでいるんですよ。だから、今日は予約をしておいたんです」

「まあ、嬉しいわ。お土産で食べたことはあったけど、店内で食べる機会がなかったから」

シアさんは本格的な王子妃勉強がある為に、なかなか時間がないらしい。ちなみに今日の王都散策は、私を歓待する為という名目で一緒にいる。

キャシーちゃんもそうだけど、やっぱ王族に嫁ぐのは面倒だよね〜。あー、自分じゃなくて良かった。

アムちゃんが手招きをしているので、私達は軽く頷き店頭で待っているアムちゃんの所へ向かった。

すると、どこからか大声で叫ぶ声がする。

「あーーー見つけましたわ。ショウ様、ショーー様ーー」

「ん?俺?」

声がする方を見ると、並んでいるお客さんの中に見たことのあるような子が手を振っていた。

ーージョアン、この前助けた子じゃない?

ーーあー、あの時の。

パールに念話で言われ、ツヴェルク国から出る前にゴブ軍団から助けた子だと思い出した。

「あら、ジョアンじゃあなくてショウ、コッカー伯爵令嬢と知り合いでした?」

「いや、知り合いというか旅の途中で助けただけ」

「でも、あの様子を見るとそれだけじゃないような……」

シアさんに聞かれて答えていると、ゴールダーが視線でコッカー伯爵令嬢を指す。視線の先では、コッカー伯爵令嬢が胸の前で手を組みこちらをジッと見ている。

「……俺達は助けただけだし。ほ、ほら、アムちゃんが待ってるから行こうぜ」

「まあ、ショウが言うなら」

私は一応礼儀としてコッカー伯爵令嬢に会釈をしてその場を離れ、店内に入った。

案内されたのは予約制の個室で、ここは一定の部屋代を払えば平民でも利用できるそうだ。でも、利用者の大半は貴族らしい。

私達はアフタヌーンティーセットを注文した。小さめのケーキや焼き菓子だけではなく、サンドウィッチなどの軽食も付いていた。

「ってことで、本当に助けただけでその後は知らないよ」

「あっははは。【転移】してまで船の時間をずらすなんて流石だな」

「いや〜なんとなく、面倒くさそうな気がしてさ」

私は皆んなにコッカー伯爵令嬢と会った経緯を説明した。それを聞いて、ゴールダーは笑っている。

「でも、ジョアン様の行動は正解かも。ね、ラビィー?」

「うん。本当に心からそう思う」

アムちゃんとラビィーちゃんの2人は、コッカー伯爵令嬢の話になってから浮かない顔をしていた。

「そういえば、コッカー伯爵令嬢はあなた達と同学年だったわね?」

「そうなの。でも、クラスも違うし……私としてはあまり親しくなりたくないわ」

「あら、どうして?」

シアさんも名前と年齢だけは知っているようで、不思議そうにしている。

「コッカー伯爵家も商いをしているでしょう?」

「ええ、貴族街にあるリコリス商会でしょう?」

『リコリス』って、たしか彼岸花よね?

私としては前世の墓地に咲いていたり、毒のある花であまり良い印象はないけど。