軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

427.本来の美味しさを知ってもらおう

「まあ、後のことは大臣達がやるとして、妾はそろそろランペイル嬢の料理を食べたいのよね〜」

と、女王。

「陛下……。しかし、そうですな。まずは、腹ごしらえをせねば、この後の仕事もやる気が削がれるというもの」

と、宰相。

応接室にダイニングテーブルセットが運ばれて、女王陛下と大臣’s が着席したのを確認した私は、ストレージから次々と料理を出していく。

「本来であれば、一緒にお酒を出すところですが、今後の仕事も考え……こちらをご用意させて頂きました」

最後に出したのは、ジェネラルの木工工房長のダニエルさんにお願いして作って貰った、おひつ。その蓋を取ると、ほわっと湯気が出てキラキラの炊き立てのご飯が入っている。

「それは?」

と、宰相。

「米です。」

「ほお。私が知っている、米とは違うな。しかし、それが噂に聞く "食の女神” の手腕ですかな?」

「そこまでのモノではありませんが……お酒に合う料理は米を炊いた、ご飯に合うことは自信を持って断言できます!初めてで抵抗感はあるかと思いますが、一口だけでもお召し上がり下さい」

そう言いながら、皿にご飯をよそい配っていく。

「これが、米……」

「匂いは……悪いモノではないな」

「確かに、なんとなく匂いで腹が減るような……」

ここで、最後のダメ押しとばかりにプチ情報を。

「東の国の清酒というお酒は、米を原料としております」

「「「「「「っ!!」」」」」」

「ランペイル嬢、それは真か?」

「清酒とは、水の如く透明で飲むと深みがあるがキレもある、あの酒か!?」

「であれば、尚更家畜の餌なんぞには勿体ないわ!」

「そうだ!家畜には、そこら辺の草でも食わせておけ!!」

おお、酒の力、すげぇ〜。

日本酒の原材料と聞くと、俄然食べる気になってくれた。

「えーっと、まずは米だけをお食べ下さい。最初は、味がしないと感じるかと思いますが、噛めば噛むほど甘みが出て来ますから」

と、説明する。先に、料理を食べられるときっと米本来の味がわからなくなるから。

その結果……。

「これが……本来の米の旨さ!?」

「なるほど、これなら飢饉に苦しむ民を救ったのも納得!!」

「いや、それどころか、こんな美味いモノを家畜に食べさせていたとは……なんたる不覚」

「これは、あの清酒なる神秘の酒の美味い理由がわかるな」

と、米の美味しさを皆んな大絶賛!!

その後、料理にも手をつけるとこれまた大絶賛してくれて、ドワーフ族にも自分の料理が受け入れてもらえた事実に嬉しくなり、皆んなが食べているのをニコニコと見ていた。そんな私の様子を見ていた女王陛下。

「ランペイル嬢、いや敬意を込めてジョアン嬢と呼ばせて貰うわ。貴女が ”食の女神” と呼ばれ讃えられる真意がわかったわ。話に聞くだけでは、ただ単に珍しい料理を生み出しているだけだと思っていたけれど……料理することだけではなく、それを食べた者を笑顔にさせるのね。そして、それを微笑みながら見ている貴女は、女神そのものね」

「ありがとうございます、女王陛下。私の料理で、皆様の笑顔が引き出されるのであれば、それ程嬉しいものはありません」

その後、皆さんと歓談しながらランチは終わった。食後のティータイムで、私は聞きたい事を思い出した。

「あの、少々お伺いしたいのですが……」

「ん?どうした、ジョアン嬢」

と、女王陛下と同じように家名ではなく名前で呼ぶようになった宰相。

「実は、ツヴェルクまで来る間に採取した素材がいくつかありまして、エットゥのグレンさんから鍛治師ギルドに持って行くようにアドバイスいただいたんですけど……」

「ん?グレンだと?それは、グレン・リベッツ辺境伯のことか?」

と、グリーグ公爵。

「たぶん……あっ、コレを受け取りました」

と、以前グレンさんから渡された短剣をストレージから出す。

それを、グリーグ公爵が受け取り家紋を確認する。

「確かに、アイツのだ。ジョアン嬢は、どういった経緯でコレを貰ったんだ?」

と、聞くのでエットゥの冒険者ギルドでのことを話した。もちろん密入国したイジョクさん達のことは伏せて。

「なんと!!あの、イジョクの剣を持っているのか!?やはりジョアン嬢は、我が騎士団との演習を!!」

と、グリーグ公爵の大きな声が応接室に響く。

「は、はい……」

と、返事するしかない。

「妾はイジョクの剣よりも、短剣のお礼にあげたという酒の方が気になるんだが?」

と、女王。

「……後程、献上いたします」

「うむ。待っておるぞ」

と、満面の笑みの女王。周りの大臣's もうんうんと何故か微笑んでいる。

ツヴェルクに来て、どぶろくが確実にどんどん減ってるわ。

あの笑みってことは大臣's も欲しいだろうから、後で、増産しておこう。ストレージで時間短縮出来るから、ホント助かる。

「あー、先程の件だが良ければ王宮魔道具部門で買い取ろうと思うが、いかがだろうか?」

と、モズパパ。

「えっ?良いのですか?」

「もちろん、その素材を見てからになるがね」

「はい、それはもちろんです!宜しくお願いします」

とういうことで、旅の途中で討伐や採取したモノを買って貰うために、モズパパの案内で王宮魔道具部門へ行くことになった。