作品タイトル不明
423.大盤振る舞い
「そもそも、私は【無】属性なんです。だから、家格が良くても上に立つには反感や不信感を持たれます。そんな無駄な争いをするよりも、私は自分の出来ることをしたいのです。」
「だから、“食の女神” として行動をしているのかい?」
と、公爵。
まあ、予想通り私の情報はある程度知っているのか……。
一応、お父様には許可貰ったから話せるけど、様子見かな?
「その二つ名の為に行動しているわけではありません。元々は、我がランペイル領の甘露芋農家の為に、食べ方を考えたまでで。その後は、友人であるバースト伯爵令嬢からの相談ですね。」
「では、その相談をのっていたら、いつの間にか二つ名がついたと?」
と、疑うそぶりの長兄さん。
「いえ、相談にのっていたというより……私の食に対する欲望のままに動いているだけです!」
「食に対する欲望?」
「はい。甘露芋にしても、バースト領の米にしても私が食べたかったんです。」
「いや、米って家畜の餌だろう?」
と、次兄さん。
「それは、この世界でですよね?」
「「「「「「えっ?」」」」」」
もおー、面倒くさい。
妹さんはケーキを食べた後自室に戻ったし、ご家族の他は家令のみ。よし!言っちゃおう。
しかも、大盤振る舞いじゃー!!
「私、前世の記憶持ちなのです。」
私の一言で、またまた固まってしまった公爵家ファミリー。家令さんは、何とか堪えているけど目が見開いている。
「前世の享年は82才ですし、契約獣もペガサス、ペガサス、フェンリル、カーバンクル、ホワイトデーモンオウル、マンドラゴラ、緑の精霊がいますし、【無】属性が霞むぐらいスキルが人より多いですしーー」
「うわー、ジョアン待った、待った!!」
モズに止められた。
「もー、何?」
「いや、見ろよ。皆んなキャパオーバーでフリーズしているから。」
「えっ?ありゃりゃ……。」
「いや俺と俺の家族を信用して話してくれるのはありがたいけど、もう少し段階を踏んでだな。」
「ごめん。」
ーーーしばらくして。
「申し訳ありませんでした。」
と、私は頭を下げる。
「いやいやいや。こちらの方こそ、取り乱して申し訳なかった。」
と、公爵。
「どうりでお付きの人間もいない状態で、他国に来れるわけだ。それにしても、フェンリルって可愛いな。こんなに小さいとはな。」
と、長兄さん。
「あ、今は屋敷サイズになっているので……。成獣サイズは、格好いいですよ。それに、モフモフでモフモフですし。」
「確かにモフモフしてて、可愛いわね。」
と、パールを膝の上に乗せて撫でている長兄夫人。
「ロッソ殿、こちらのクッキーはいかがかな?」
『ありがとう。モズパパ。こっちの国のクッキーも美味しいね。』
ロッソは公爵に餌付けされている。強面の公爵もニコニコしているから、不敬ではないようだ。
「メテオの羽は、すげぇ格好いいな。それに、この爪なら確かに獲物を獲るのに優れているな。……だと、あの部分をあの魔獣の爪に変えたら……。」
『だったら、明日必要な魔獣獲ってくるっすよ?』
メテオを見て、魔道具のアイデアを思いついた次兄さん。褒められて気をよくしたメテオが素材を提供しようとしている。
『どうぞ、奥様。奥様の綺麗な瞳に合わせました。』
「まあ、ありがとう。綺麗なカクテルね。」
『家令殿も、どうぞ。』
「これはこれは、ありがとうございます。……ん、中々いけますな。」
ベルデは、人型になり公爵夫人と家令さんにカクテルを振舞っている。
「人たらしの契約獣も、人たらしか。」
「ちょっと、失礼だから。……でも、モズの家族に感謝だよ。」
「まあ、ここまで色々とあると王族にも強く言えるよな。」
「あー、それは違うかな。ここだけの話……王妃様は、前世で私の友人の娘だったの。だから、無理を言えるって言うか……。」
「マジか……。それ、他知ってる奴は?」
「あー、キャシーちゃんにベル、ソウヤ、リキ、カリム、エド、ランスも。」
「良かった……。俺だけじゃ、抱えきれねーって。」
と、項垂れるモズを見て笑うと、モズに睨まれる。
*****
「おおー、立派な図書館だね〜。」
翌日、私はモズの案内で国立図書館に来た。入口を入ると、吹き抜けのホールがあり、正面にカウンターがあった。カウンターの横には上に行ける階段が。
「ジョアン、こっちだ。」
カウンターで手続きをしていたモズが、吹き抜けの天窓にあるステンドグラスを見ていた私を呼ぶ。
モズは、入館受付の時に司書から必要な書籍のある場所を聞いてくれたようで、その場所に案内してくれた。
「モズ……。確かにわかり易いけど、これ絵本。」
「そうだぞ。ツヴェルク国では、子供の頃にこの本を読んで国の成り立ちなどを学ぶんだ。だから、まずコレを読んだ方がわかり易い。」
「なるほど……。」
絵本を読み終わる頃にモズが持ってきてくれたのは児童書。
「貴族の令息令嬢が子供の時に習う礼儀作法の本だ。基本的には、ほぼ変わらないがな。」
「へぇ〜なになに?出された酒は必ず飲み干す。目下の者は、目上の人のグラスの中の残りが半分以下になったら飲み物を勧める。目上の人の話を聞く時は「さすがですね」「知らなかったです」「すごいですね」「説得力があります」「そうなんですね」とタイミング良く合いの手を入れる。翌日はお礼を言い、社交辞令でもまた飲みに行きたい旨を伝える……。」
って、どこの会社の飲み会だよ!!
これは新入社員が気をつける事だよね!?
「酒の席での礼儀作法は重要だぞ。それを失敗して、閑職に追いやられた者もいるからな。」
「それって、ここに書いてある『無礼講』を素直に受け取ってはならないってやつ?」
「正解だ。」
あー。前世でも、『無礼講』だからって上司に、言いたい事言って干された先輩いたなぁ〜。
その後、一般的な礼儀作法の本を借りて公爵家へ戻った後に本を読み、アフタヌーンティータイムの時に公爵夫人からアドバイスを頂いた。そのアドバイスがあれば、図書館に行く必要があったのかわからないけど、通常であれば行くことのない王立図書館に行けたので良しと考えるようにした。