軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

410.出発!!

侍女さんに案内してもらい、部屋に通されると早速私は着替えた。男装用のインナーを着け冒険者服を着る。靴は編み上げブーツ、変声チョーカーの上からはスカーフを巻き、ウィッグを着ける。最後に、フウゴの香水No.4の男装用をつける。No.4は、爽やかな柑橘系をベースとした香り。

部屋の前で待っていてくれた侍女さんは、私を見ると驚き、顔を赤らめた。応接室に入ると、私を見た王妃様と王太后様が目を見開いていた。

「ジョアンちゃん……?」

「ええ。お待たせ致しました、ショウです。」

片手を胸に添えてお辞儀をする。

「「っ!?」」

声まで変わっているとは思っていなかったようで、2人とも持っていたティーカップを落としそうになった。

「あははは。ここまでの男装なんて思わなかったわ。」

と、楽しそうに笑う王妃様。

「これに、肌の色を変えるともっとわからなくなりますよ。」

「ねぇ?ジョアンちゃん。もう、このまま旅に出たらどうかしら?いくら契約獣がいるからと言っても、あなたは女性なのだし、こちらの格好の方が安心だわ。ねぇ?リンジー?」

「まあ、そうね。確かに女性で旅をするよりは安心だわ。」

と、お祖母様。

「いやでも、他国に行く手続きもまだ……。」

「ふふふ、そんな時にはコレよ。」

と、王太后様から2つ、何かを渡される。手に取り確認すると1つは、魔法紙で書かれた書状で内容は……

『この者の身元についてはエグザリア王国、王太后レティシア・エグザリアが保証する。』

と、書いてあり名前の横には王太后様だけが持つ印が押されてあった。つまり、私の身元保証書。そして、もう1つは旅券だった。

《旅券》

前世で言うところのパスポート。外務省が発行しているが、審査や手続きがある。ちなみに、入国には旅券と一緒に身元証明する物が必要。例えば、各ギルドカードなど。

あれ?旅券って審査とかあるって聞いてたけど?

それに、いつ準備したんだろ?気になるけど、聞くのが怖い……。とりあえず……

「あ、ありがとうございます。」

と、立ち上がり頭を下げる。

「それから、こちらはツヴェルク国の女王に渡して貰えるかしら?あとは、こちらがエルファ国の王に、こちらがーー」

と、手紙を4つ渡される。ツヴェルク国、エルファ国、アニア国、そして東の国宛の手紙。

「半年後に開催する武闘会の招待状よ。これを届けるのが、ジョアンちゃんへの依頼よ。後で、ウォルターと一緒に冒険者ギルドへ行って依頼を受けて頂戴ね。」

「は、はい。」

*****

王太后様、王妃様にお礼を言い、お祖母様にはお父様宛の手紙を渡して、私はウォルターさんと共に近くの冒険者ギルドへ向かった。もちろん王太后様の執事さんと一緒のために、あっさりと依頼を受ける事が出来た。しかも、その依頼は、1カ国ごとに報酬が得られる様になっていた。

王太后様、本当にありがとうございます。

ちゃんと依頼は達成します!!

ウォルターさんに別れを告げて、私達は旅に出た。門から出てしばらく歩き、周囲に人がいないのを確認すると

「皆んな、出て来て良いよ。」

ディメンションルームから、ベルデ以外のメンバーを出す。ベルデは従僕として私の側にいたが、今は従僕の服装ではなくニッキーさんに見繕って貰った冒険者服に着替えている。そして、私が冒険者ギルドに行っている間に、ベルデがスノーを連れて来てくれたので、契約獣オールスターだ。ちなみに、ブランは嫁子供がいるのでお留守番。

「さぁ、まずはツヴェルク国。招待状を渡すとしても1ヶ月前なら大丈夫って言ってたから、のんびりと行きますか。」

と、私はスノーに騎乗する。

『他国は初めてだものね。私も楽しみよ。』

『ジョアン、ジョアン、いっぱい美味しい物食べようね。』

『もぉ、ロッソは食べ物の事だけね。』

『しょうがないっすよ。ロッソの兄貴は、食いしん坊っすからね。』

と、上からスノー、ロッソ、パール、メテオだ。

「ところで、ベルデはどう移動するの?一緒にスノーに乗る?」

と、私が騎乗した後も、スノーの横で立って皆んなの話を聞いて微笑んでいるベルデに聞く。

『我は……これでどうでしょう?』

ベルデは、パッと変化すると、絵本で見たような掌サイズで羽根がついている妖精の姿になり、私の目の前でふわふわ飛んでいた。

「うわっ!?妖精だ!……って、ベルデが妖精なの忘れてたわ。」

と言うと、パール達も頷く。

『皆、酷い……。』

「ごめん、ベルデ。……よし!じゃあ、皆んな行こうか。いざ、ツヴェルク国へ!」

冬晴れの真っ青な空をメテオが優雅に飛んでいる。普段は夜行性なので、またディメンションルームに戻ると思っていたら、旅に行くということでテンションが上がって眠気はないらしい。

「メテオ、元気だね〜。寒くないのかな?」

『魔獣だもの。人間とは違うわよ。』

と、パール。

「あっ、そうか。じゃあ皆んなも寒くないの?」

と、聞くと皆んなが頷く。

「うぅ〜、羨ましいー。寒いのは私だけね。」

『じゃあ、これでどう?』

ロッソが【火】属性と【風】属性の合わせ技で、私の周りを温風で包んでくれた。

「ふあ〜、暖か〜い。ありがとう、ロッソ。」

『いいよ〜。でも、後でお菓子ちょうだいね〜。』

「ふふふ、了解。」

ツヴェルク国までは、通常の馬車で5日程。

道中、本当にたまーに魔獣が出ることもあるけど、私が出るまでもなくパールに瞬殺されていく。私は、もっぱら解体担当。途中に小さな村が3つあるようだけど、食事以外は立ち寄るつもりはない。だって、ディメンションルームがあるから。

ちなみに、初日の夜ディメンションルームに入ると、アシストちゃんから『祝!初めての国外旅行!!』と言われ、プレゼントを貰った。そのプレゼントは、なんとトイレとシャワールーム!!以前は配管設備がないからという理由で、なかったはずなのに。排水のことを聞くと『内緒よ。』と教えてくれなかった。食事は基本自炊、だけど村の状況を見て食べたりテイクアウトしたりするつもり。だって、その土地でしか食べれないものとか気になるし。前世から、ご当地物産展を行きまくった私にとっては、村だといっても気になるもの。だから、行ける村や街は取り敢えず立ち寄る。その時に門衛さんにお薦めを聞いたりする。

こんな感じで、私達一行は和気藹々と順調にツヴェルク国へ向かっていた。

まさか、王都であんな事になっているとは、全然知らなかった……。