軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

349.魔獣ごっこ

入団試験が終わり、一旦ランチ休憩を挟んで、待ちに待ったお祖母様の鍛練。

「宜しくお願いします。」

「「「「「「「「「「お願いします。」」」」」」」」」」

お祖母様の鍛練には、私達の他にサラ、ザック、ガンさん、マーティンさん、リュージスさん、オミさん、エリーさんが参加した。今回も、お祖母様の補佐にはナンシーが付いている。見学者に、パール、ロッソ、お祖父様がベンチでこちらを見ている。

いつものようにウォーミングアップが終わると、ナンシーとトム爺が何かを運んで来た。よく見ると大小様々な袋で、口を革紐できつく縛られている。

「この袋の中には、土が入っている。コレを持ち、しゃがんだ姿勢から立ち上がると同時に、真上へ投げるのよ。まずは、軽いものから、始め!」

私達は、順番に土入りの袋を投げていく。軽いものは、遠くまで飛ばせるが、どんどん重くなるにつれて脚も腕も疲れが出てきて、上手いこと飛ばすことができない。ようやく全員が全ての重さを投げ終わる。

「飛距離は関係ないわ。次は、カラダを捻りながらサイドに投げなさい。それが終わったら、座った状態で上半身のみを使って投げるのよ。では、始め!」

「「「「「「「「「「……はい。」」」」」」」」」」

「てめぇらぁぁぁーーー、声が小さい!!」

「「「「「「「「「「はいっ!!!」」」」」」」」」」

言われたことが終わった時には、手の握力がなくなり、二の腕には痛みがあった。

「よし!次、行くぞ!今から『魔獣ごっこ』をする。」

「「「「「「「「「「え?魔獣ごっこ?」」」」」」」」」」

『魔獣ごっこ』とは、前世で言うところの『鬼ごっこ』。鬼の代わりに魔獣と呼び、捕まると魔獣役が変わる。子供の時、誰しもが遊んだことのあるゲームだ。

「ただ、今回は子供の頃にやって来たような遊びではない。これは、トレーニングだ。まずは、ルールを説明する。」

お祖母様の説明をまとめると、こうだ。

・演習場の半分を使用。

・魔獣役はパール成犬ver.

・お祖母様とナンシー、お祖父様、ロッソが妨害者としている。

・捕まったら、スクワットを20回こなして復活。

・1セット20分、インターバル5分の3セット。

「理解したか?では、始める……前に、オーキ!ナット!」

「「はいっ!!」」

正式入団をしたルー達に契約と説明の補佐をしていたオーキさんとナットさんが、ルー達を連れてちょうど演習場にやって来た。

「説明や案内は終わりましたか?」

「はい、リンジー様。」

「では、あなた達も参加しなさい。」

「「えっ!?」」

「それから、寮には誰が残っているんです?」

「はい!団長が執務室にキラ先輩、ダイ先輩が非番でおります!」

「ナンシー、3人をここへ。」

「かしこまりました。」

ナンシーが、私兵団寮に走って行く。

あー、エルさん……。

執務室に入って来たナンシーに驚くだろうなぁ。

しかも、非番なのに寮にいたキラ達……不憫。

しばらくして、ナンシーに連れて来られた3人は、何故かエルさんは髪の毛が一部凍っているし、キラとダイは髪の毛が濡れていた。3人の状況に驚いたものの、何も言えずベル達と新人組以外は、スッと目を逸らした。

今まで鍛練していたメンバーと、連れて来られた3人、オーキさん、ナットさんを含め演習場の中に入る。今回は、新人3人は見学者。そして、演習場の四辺に、お祖母様、お祖父様、ナンシー、ロッソが立つ。ちなみに、ロッソはいつの間にか持って来られていた椅子の上だ。審判は、これまた招集がかかったお父様が務める。

「では、始め!」

スタートの合図と共に、パールが駆け出す。散り散りになって逃げる私達、その逃げる先に、お祖母様は《火球》で攻撃、お祖父様は《閃光》で目眩し、ナンシーは《水弾》で攻撃《氷陣》で路面を凍結させ、ロッソは《風壁》で行く手を阻む。

妨害行為がえげつな過ぎる……。

子供が遊ぶような可愛らしいものじゃないわ。『魔獣ごっこ』って言ってるのに、本物の魔獣がオニって……。

しかも、お祖母様の《火球》が当たったら、すぐにナンシーが冷やすって、アフターケアはしっかりしてるけど……。

私達は、叫び声を上げながら逃げ惑う。だけど1人、1人とパールに捕まり、演習場の外でグレイの監視の元スクワットをしていく。どうにか3セット終わった時には、全員が疲労困憊でその場に座り込んだり、四つん這いで動けなかったりしている。それを見ている新人3人の顔は、いくらか引き攣っているように見える。

「よし、今日はこれで鍛練は終了ですが……。全員、私兵団寮の裏へ来なさい。」

私兵団寮の裏は何もなかったはずだけど……。

寮の裏手に回ると、いつの間にか、大きなプールの様なものが出来ていた。その大きさは、長さが20m四方で並々と水が入っている。その横には、トム爺とコアがいた。どうやら、トム爺とコアが作ったようだった。

「ここは、今後、対水中戦の鍛練をするところです。ジェネラルが海に接していない為に、今まで鍛練はしませんでしたが、これで鍛練ができます。今後、ファンタズモの私兵団と入れ替えをしつつ鍛練を行います。そして、今日のようにハードな鍛練をした後は……ロッソ。」

『はーい。』

ロッソは返事と共に、私達の背後から《風塊》で受けた人からプールに落ちて行く。もちろん、私とベル、サラも例外ではなく。

いきなりの水落ちに驚きはしたが、深さは、だいたい1mぐらいだった。『魔獣ごっこ』をしていた全員が落とされると、ナンシーとパールが【水】属性で氷をどんどん入れていく。プールの水温がどんどん下がり、歯がガチガチと音を立てる。

「はい!全員、肩まで浸かる!アイスバスは、筋肉の回復に良いのよ。今までは、水シャワーだったけど、あまり効果は出ないと報告があったから、トムに造らせたのよ。」

と、お祖母様が笑顔で言っている後ろでは、お父様とグレイがこちらを可哀想なものを見るような目で見ている。

アイスバスに10分浸かり、外に出る。

「寒いからといって熱いシャワーは、ダメよ。ぬるま湯ならいいわ。アイスバスについての報告は、エルが纏めなさい。良いわね?」

「ひゃ……ひゃい。」

返事をするが、エルさんは寒すぎてちゃんと返事が出来ない。それは、誰もが同じで、皆んなガタガタと震えていた。

翌日、アイスバスの効果なのか、あれだけ筋肉を酷使したにも関わらず、まったく筋肉痛にならなかった。

その報告を受けたお祖母様の一声で、アイスバスは継続されることになった。