軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

348.入団試験

「で、初めて受けた私兵団の鍛練はどうだった?」

夕食の後、中庭のテラスで皆んなと軽く飲みながら今日の事を話す。ちなみに祖父母と両親は、夜会があるとかで夕食は私達と双子ちゃんだけ。中庭にも一緒に行きたいと言ったが、機転を効かしたパールとロッソが、寝るまで双子ちゃんと一緒にいると約束した事で、2人は早々に自室に戻った。フーゴはロッソと、ライラはパールと共に。メテオは、夜の空を散歩中。

「凄く為になった。利き腕を拘束された状態での打ち合いなんか、普通やらないからな。」

と、エド。

「まあ、確かにね。でも、どんな状況でも戦えないといけないからね。」

「明日は、リンジー様との鍛練だろ?楽しみすぎて寝れるかわかんねーな。」

「あははは。そこまで?」

「「「「「「「そうだよ!」」」」」」」

まさか、何度かお祖母様に指導を受けているベルまで楽しみだったなんて驚きだった。初めて受けた時は、さすがのベルでも吐き気を堪えてたのに。

「あー、ところでナットさんと話してた『恒例の』って何なんだ?」

と、ブラッド。

「あー、アレ?明日は、私兵団 jr.の試験なんだ。今は、私兵団 jr.(仮)だからね。」

「ちなみに、合格出来ない場合は?」

と、ダガー。

「速やかにお帰り願うよ。」

「ん?脱退ってことか?」

「そう。その後、3年は試験に挑戦出来ないの。」

「なかなか厳しいな。」

と、カリム。

「でも、ここだけの話、試験の出来不出来は関係ないんだ。だって、不出来でも今後の鍛練次第では戦力は上がるからね。重要なのは仮入団してから、4ヶ月の鍛練に挑む姿勢と日頃の行いかな。」

「何?日頃の行いって。」

と、ベル。

「ん〜、例えば先輩と同期に対しての接し方とか?街での行動とか?」

「街での行動って、誰か見てるのか?」

「うん。何人かお願いしているから。街に出て、知った顔がいないからって油断はできないよ。だって、私兵団は領民を守ってこそだからね。領民の信頼を得ない人間はいらない。」

実際に、我が家の《影》である花屋のザーラさんをはじめ、ニッキーさん、ガンさんやマーティンさんの家族などが観察してくれている。

「なるほどなぁ〜。ランペイル私兵団は、武力だけじゃなく人間性も見られるってことか。」

「まあ、元々は私が【無】属性だから、虐げられないようにって事だったみたいなんだけど、今はお陰様で色々な人達がジェネラルを訪れてくれたり、移住してくれたりしたからね。せっかく来てくれたのに、それを守る私兵団が差別をしていたらおかしいでしょう?」

「「「「「「「確かに。」」」」」」」

それから、しばらく談笑した後、皆んな自室に戻った。

*****

「では、これより新人私兵団の入団試験を行う。」

演習場に集まったのは、試験を受ける5人、私兵団からは持ち場勤務以外の団員が全員、お祖母様、お父様、グレイ、ナンシー、そして私達。

「ええ、まず正団員との打ち合いをしてもらう。オーキ、ナット、マーティン、前へ。」

「「「はい。」」」

団長であるエルさんの声がけで、3人が前に出る。

「では、呼ばれた者から、この3人のうち誰かを指名し打ち合いを始める。勝敗は、相手が円の外に出た場合、降参した場合もしくは戦闘不能とこちらが判定した場合だ。判定人は、リンジー様、領主様、そして私だ。何か質問はあるか?……なければ、始めるぞ。」

円は、だいたい直径10m。その中に、1人ずつ入り対戦相手を選ぶ。

ちなみに、なぜ正団員からあの3人なのか……。

オーキさんは、身長が2m近くある大柄で、扱うのはポールアックス。高い位置から振り下ろされるアックスを受け止めるのは、至難の業。

ナットさんは、逆に私兵団の中で1番小柄。その分身軽な事と【風】属性を巧く使い飛び回る、双剣使い。

マーティンさんは、私兵団の中で誰よりも体術が得意で、剣で戦うよりも素手の方が強い。だから、トム爺にお願いしてメリケンサックをプレゼントしたら、いたく喜ばれた。

打ち合いの結果は……。

ルーは、jr.(仮)の中で1番体格が良く、使うのはバトルアックス。対戦相手に選んだのはオーキさん。オーキさんに圧倒的な力の差に押されながらも、なんとか隙をつきオーキさんを円の外に出すことが出来た。

デニス君は、両手剣使いで、周囲の状況を良く見ている。対戦相手は、ナットさん。デニス君が果敢に攻めるも、ナットさんは飛び跳ねながらあえてギリギリで避けていく。最後は、デニス君のスタミナ切れとなった。

男爵家令息は、ナットさんと同じ双剣使いで、対戦相手はオーキさん。良いところまでいったが、そこで気が緩んだところをオーキさんが見逃すはずもなく、円の外に出されてしまった。

そして、子爵家令息2人は、どちらも対戦相手をマーティンさんに選んだ。マーティンさんと対戦する場合は、武器なしでお互いに総合格闘技の選手がつけるような、拳サポーターを付けている。1人は、開始と同時にマーティンさんに飛び込むように攻めたが、半歩横にズレたマーティンさんにボディブローをモロに喰らい、ノックダウン。もう1人は、先の戦いを見ていたからなのか、慎重に距離を詰めて拳を繰り出すが、パンチを打つときに反対側の手が顔から離れる状態。要するにガードが弱く、そこをマーティンさんのハイキックが入り、ノックダウン。

ちなみに意識が戻った後に、怪我したのなんだのと文句を言いそうだったので、チャチャッと【ファーストエイド】でアザや顔の腫れは治しておいた。

「今から入団試験の発表をする。仮入団の際に説明を行ったように、今回の打ち合いだけではなく、この4ヶ月の行動および言動なども審査に含まれる。では、名前を呼ばれた者だけ各自の荷物を持ち、オーキの所へ。」

呼ばれたのは、ルー、デニス君、男爵家令息だった。呼ばれなかった、子爵家令息は納得がいかなかったようだが、エルさんが耳元で何かを囁くと、真っ青になり荷物を持って走って屋敷を出て行った。

エルさん、何を言ったんだろ?

まあ、きっと領都でロクでもないことしてたのかもな。