軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

323.子宝祈願

「そう、辛かったね。でも、頑張って生きていてくれて良かった。……2人は、これからどうしたい?」

「……どうしたら良いか、わからない。」

と、バース。テトは俯いている。

2人から、ちょうど話を聞き終わった時に隔離部屋の扉がノックされる。

トントントン「ジョアン様、グレイです。」

ノックに怯える2人に「大丈夫、私の家族よ。」と声を掛け、扉を開けるとグレイとサラ、ザックが立っていた。

「入って。……紹介するわ、猫人族のバースとテト。こちらは、私の家族のグレイ、サラ、ザックよ。」

「初めまして、私はここの領主邸で家令をしております、グレイと申します。」

「初めまして、私はジョアン様付きのメイド、サラです。」

「初めまして、私は、領主邸で従僕をしております、ザックです。」

「バース……です。」

「……テトです。」

「ジョアン様、旦那様からです。」

グレイに手紙を渡される。2人を我が家で保護するという旨が書かれていた。

「一緒に私の家に行こう。」

「では、お2人はお着替え致しましょうね。」

私とサラの提案に2人は驚いている。が、あれよあれよとベッドの間に衝立が立てられ、バースはザックに、テトはサラに着替えをさせられた。

2人の着替えが終わると、先程から見えていた手首足首の傷があらわになる。

「テト、ちょっと良いかな?」

そう言って、私はテトの両手を取り

「【ファーストエイド】。」

すると、テトの手首足首の痛々しい傷が綺麗に消えた。

「「っ!!」」

「はい、次はバースね。【ファーストエイド】。」

「き、傷が消えた……。」

バースは、手首足首を交互に見て驚いている。テトも治して貰ってから、ずっと手を見ているので驚いたようだった。

その後、院長にお礼とストレージに入っていた、食材を渡して、孤児院から家へと帰った。

家へ帰って最初にした事は、湯浴み。

バースはザックに、テトはサラに任せて、私はその間に転移扉で王都に行く。

*****

やって来たのは、学院の一般寮。

今日は、土の日ーー土曜日ーーで学院は休みだが、自領に帰らない生徒は寮にいる。私の友達ミューちゃんも、今週は帰らないと、さっき文を飛ばして確認済み。

一般寮に来てミューちゃんを呼んで貰う。

「ジョアン、どうしたの?あっ、デビュタントおめでとう。」

「ありがとう。ミューちゃんにお願いがあって。」

「お願い?」

「うん。美容師として、力を貸して欲しいの。今から、ジェネラルに来て!」

「はー!?今から!?」

「うん。実は……。」

ジェネラルまでは、王都の屋敷からすぐ行けること、髪を切って貰いたい人がいることなど説明をする。

「もちろん、謝礼はするから。」

「えっ、で、でも、私、マナーとかよくわからないし……。」

「大丈夫。お父様にもお母様にも許可貰っているから。お願い!」

「んー、わかったよ。ジョアンがそこまで言うなら。じゃあ、ハサミとか持ってくるから、ちょっと待ってて。」

「うん。その間に寮母さん達に話しておくね。」

ミューちゃんの準備が出来るまで、寮母の執務室に向かう。本当は門限を過ぎる場合や外泊する場合は、前日までに申請書を提出しなければならないのだが、誰にでもイレギュラーはあるので、その場合は直接寮母さんに説明をしなければならない。

トントントン「お入りなさい。」

ガチャ「ご無沙汰しております。デネブ夫人。」

デネブ夫人は、旦那様のデネブ子爵が亡くなり息子さんが跡目を継いだ後、学院の寮母になった方。なんでも、息子夫婦に気を遣わせないようにだとか。

「あらあら、ランペイル嬢。どうなさったの?」

「実は……。」

ミューちゃんが、寮のテラスでヘアカットをしていることは、もちろん知っているので、説明は楽だった。

「……という事で、急なんですが外出する事になりました。夕食は我が家で取りますので、門限が過ぎることの報告と、お詫びと言っては何ですが、こちらを……。」

ストレージから、ミランジと紅茶のパウンドケーキを出す。

「まあ、これが噂の……。」

「噂?」

「ええ、ランペイル嬢の作るケーキは絶品だと聞いていたのよ。それから、幻のドライフルーツでしたか?それを食べると、色々となかった事に出来ると、ご婦人方に重宝されていると聞きましたわ。でも、なかなか購入が難しいとも。」

「あー。確かに……。」

私の特製ドライフルーツは、限られた方にしか販売していないしねぇ〜。しかも、それを決めるのは、全てお母様だし……。だから渡して良いものかどうか……。でも、デネブ子爵領は確か、農作物が豊富……。

「あの〜話は変りますが、デネブ夫人。ちょっとお聞きしたいのですが、デネブ領は農作物が豊富ですよね?豆類もですか?

「豆類?それは、ダーズ(大豆)とかかしら?」

「はい。」

「ええ、もちろん。ありますわ。我が領は小さく名ばかりの貴族ですから、領主である愚息も一緒に朝から農作業をしているのよ。」

「では、今度、領主様とお話しさせて頂けませんか?その代わりに……こちらを。」

ストレージから、ジョアン特製ドライフルーツを取り出す。

「えっ?も、もしかして、そ、それは……。い、頂けるの?

「はい。ですから、領主様にご連絡ーー」

「ええ!もちろんですわ。あの愚息に連絡を取るぐらいなら、すぐにでも!いえ、私が直接行くわ。半分は義娘達にも食べさせてあげたいし。」

デネブ夫人の圧が凄い……。

そんな太っているとは思わないけど、気にしているんだ……。でも、お嫁さんにもあげるなんて、優しい姑さんなんだなぁ〜。

「では、こちらも。」

そう言って、もう一つドライフルーツを出す。

「まあ、よろしいのですか?これで、子宝に恵まれますわ。」

「子宝ですか?」

「ええ、ランペイル夫人は、これでお痩せになり辺境伯様が惚れ直して、子供を授かったと聞きましたから。」

お母様……。売る為に、なんつー売り文句を……。

自虐までして売るとは、半端ない商売魂……。あっぱれです。