軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

311.ダッシャー商会

スイーツ食べ放題をした日に、先輩達もベルも、領地に帰ってしまい暇になったので、ずっと行きたいと思いながらも行けなかったお店に行ってみようと思う。

「お嬢様、こちらがダッシャー商会でございますよ。」

「ここだったんだ。何度か前は通った事あったのに、気づかなかったわ。」

場所がわからなかったから、リアムに聞いたら、マーサがよく行くと言う事で案内をしてもらった。

ダッシャー商会は、ジェネラルでゴブリンに捕まっていた所を助け、スノーに乗りたいというアリーシャちゃんのお父さんがやっているお茶問屋さん。なんでも王都では老舗のお店らしい。

店内に入ると、老舗店ならではのクラシカルな雰囲気で、お茶のいい匂いが漂っている。カウンターの後ろは、天井までお茶の入った引き出しがあり、色々な種類のお茶が揃っていることがわかる。2階では、スイーツと共にお茶を飲めるカフェが併設されており、アフタヌーンティータイム時は、並んでいる人も多いそうだ。

「家で飲むお茶は、ここで買っているの?」

「はい。王都のお屋敷だけでなくジェネラルやファンタズモのお屋敷でも、こちらのお茶でございますよ。」

「へぇ〜、そうだったんだ。」

ディスプレイされているお茶を見ながら、マーサと話していると、店のスタッフがやって来た。

「これはこれは、マーサ様。いつも、ご贔屓頂きましてありがとうございます。本日は、どのようなものをお探しですか?」

「あら、店長さん。こちらこそ、いつもありがとうございます。こちらは、我が家のお嬢様でございます。」

挨拶に来たのは、店長さんらしい。

「初めまして、ランペイル家長女、ジョアン・ランペイルと申します。」

「これは、ご丁寧にありがとうございます。私は、この店を任されております。クマールと申します。」

「あの、先触れもなく来てしまったのですが、ダッシャーさんはいらっしゃいますか?」

「えっ?オーナーのダッシャーですか?」

「はい。もし、お手隙ならご挨拶したいのですが……。」

「は、はい。今なら大丈夫だとは思いますが、少々、お待ち下さい。」

店長さんは、そう言うと近くにいたスタッフにササッと書いたメモを渡した。

「よろしければ、2階でお茶はいかがでしょうか?」

「はい。ぜひ。」

案内されたのは、個室だった。ここは、予約すれば貴族でも平民でも個室を利用できるそうだ。

店長さんのオススメのお茶を飲みながら、軽食とスイーツのメニューを見る。

「あれ?茶葉を使ったケーキやクッキーってないんだね。」

「それは、お嬢様のオリジナルだからですよ。……もし、オーナー様にレシピを教えるつもりなら、奥様に許可を取って下さいましね。」

「は、はい……。」

さすが、マーサ。私の行動が読まれている……。

私も、お母様に怒られたくないから、文を飛ばしておこう。

ちょうどお母様からの返事が来て読み終わった時に、扉をノックされ、店長さんとダッシャーさんがやって来た。

「大変お待たせ致しました。オーナーを連れて参りました。」

「大変お待たせ致しました、オーナーのダッシャーでございます。何か私共の不手際がありましたでしょうか?」

どうやら、先触れもなく来てオーナーを呼んだことで、いらぬ誤解を生んでしまったようだった。

「先触れもなく申し訳ありません。ダッシャーさんにご挨拶をしたくて……。覚えていますか?ジェネラルでお会いしているんですが……。」

「ジェネラル?」

「えっと……神のペガサスと言えば思い出して頂けますか?」

「神のペガサス……ん?あなたは、もしかしてあの時の冒険者の……。」

「はい、そうです。あの時は名乗らず申し訳ありません。ランペイル家が長女、ジョアン・ランペイルと申します。冒険者の時は、ただのジョアンとして活動をしております。」

ダッシャーさんは、店長さんにジェネラルでの一件を話すと、以前アリーシャちゃんから聞いていたらしく、なるほどと納得してもらえた。

「今日は、ダッシャー商会に前から来たかったからなんです。探しているお茶があったのと、こちらのスイーツが美味しいと我が家の料理人から聞いてましたので。」

「そうでしたか。して、探しているお茶とは?」

「はい。 東(あずま) の国で飲まれている、緑茶です。」

「ああ、緑茶ですか。もちろん、ございますよ。クマール。」

ダッシャーさんが店長さんに指示を出して、緑茶を持ってきて貰った。

「……。」

久々に飲んだ緑茶は、美味しかった。でも、私としてはもう少し渋い方が好き。たぶん一煎目のお茶だからだろうけど……。それと、お湯の温度が高すぎる気がする。紅茶は100度、緑茶は80〜90度が適温とされている。

「あの……緑茶の淹れ方は、どのようにしていますか?紅茶と一緒ですか?温度とかも同じですか?」

ダッシャーさんは、クマールさんに目で合図する。

「はい、紅茶と同じです。」

「なに!?それは本当か?」

「は、はい。」

「何と言うことだ……。申し訳ありません、ジョアン様。」

ダッシャーさんが謝ると言うことは、ちゃんと緑茶の淹れ方を知っているんだよね?

「クマール、ティーポットとティーカップを2セット、緑茶とお湯を持って来なさい!」

「は、はい!」

「大変失礼致しました。淹れ方を間違っておりまして……。もしかして、ジョアン様は緑茶の淹れ方を知っていたのではありませんか?」

「はい。知ってました。あの……よろしければ、私が淹れても構いませんか?」

「ええ、もちろんです。」