軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

304.乳製品三昧

ノルデン冒険者ギルドは、乗合馬車からも近くすぐにわかった。お馴染みのスウィングドアを開けて、中に入ると昼時ということもあり、ギルド内も併設されている酒場も賑わっていた。

「こんにちは〜。達成報告しに来ました。」

「……はーい、確認しました。あと、この依頼とは別に報酬が入ってますよ。引き出します?」

「「報酬?」」

「はい。えーっと、手配犯の捕獲のですね。」

「あー、昨日の。わかりました。引き出しは結構です。そのままで。」

「じゃあ、プレートお返ししまーす。はい、以上になりまーす。」

「あっ、近くで美味しい料理屋さんとかあります?出来たら、ノルデン名物とか食べたいです。」

「んー、じゃあ “ディック&ブルーノ” はどうかしら?店主兄弟2人が作った乳製品の料理を出す所なんだけど。」

「じゃあ、そこにします。場所教えて下さい。」

受付のお姉さんに地図を書いてもらい、早速そのお店に向かう。

ここは、ノルデン領の領都ソレイユ。エグザリア国の北部にあり、農業と酪農が盛んな地域。農業は、主にジャガトやカボキン、コーモロコシを作っているらしい。

しばらく歩くと、ミルク缶を象った看板に “ディック&ブルーノ” と書かれたログハウス調の店が見えて来た。

昼時もあって、何人か並んでいたがすぐに入れた。きっと、肩に乗っているロッソの運気MAXのおかげ。ロッソは、チーズ料理が食べたくて外に出たいと念話で伝えてきた。逆に、ゆっくりしたいとパールがディメンションルームに入って行った。ちなみにメテオは、昼間は寝ている。

メニューを見ると、クリームシチューからステーキにとろけたチーズをかけた物、ヨーグルトを使ったスイーツやドリンクも色々あった。

「うわ〜、どうしよう。いっぱい食べたくて迷う。」

「ホントだね。」

『僕、全部食べたい。』

3人で悩んでいると、店員さんから声が掛かる。

「お決まりですか?」

「色々食べたくて悩んでるんですよ。何か、おススメあります?」

「じゃあ、色々な物が少しずつ食べれる、シェフのお任せコースはどうですか?」

「「じゃあそれで!」」

「かしこまりました。お待ち下さい。」

料理に使用している乳製品は、どれも濃厚で本当に美味しかった。デザートも通常のより小さいサイズで一通り食べる事ができ、気に入った物は追加でおかわりもした。

『ふぅ〜。お腹いっぱい。僕、もう部屋に戻って良い?』

ロッソは食べるだけ食べて、部屋ーーディメンションルームーーで昼寝をしたいらしい。それにはベルと苦笑するしかなかった。私の掌の上に乗り、ディメンションルームに戻ったタイミングで、店員さんがやって来た。

「いかがでしたか?」

「凄く美味しかったです!ありがとうございました。」

「それは、良かったです。ソレイユには観光で?」

「はい。学院の先輩の所に遊びに来たんです。」

「ジョアン、連絡しておかないと先輩の家わからないよ。」

「あっ、そっか。迎えに来てもらわないとね。」

「あの〜、ちなみにその先輩の名前って?」

「「クロエ先輩です。」」

「じゃあ、ジョアンちゃんとベルちゃん?」

「「えっ?」」

店員さんに名前を呼ばれて、私とベルは驚く。

「あー、ごめんごめん。俺、クロエの次兄、ブルーノ。妹から後輩が遊びに来るって聞いてたから。」

「えっ?先輩のお兄さん?凄い偶然……。じゃあ、さっきの料理の乳製品はお兄さん達が作った?」

「うん。まあ、兄貴が作って俺が販売担当って感じだけどね。」

「そうなんですね。あっ、この前はお土産にチーズとか頂いてありがとうございました。美味しく頂きました。」

「いやいや、こちらもシュークリーム?ありがとう。あれから、兄貴が生クリームを研究し始めちゃってさ。ほら、あの黄色い方のクリーム。」

「あっ、カスタードクリームですか?あれ、実は卵から作る物なんです。」

「なんだ、だから上手く出来ないのか。」

「すみません……。」

「あー、いいのいいの。でも、後で兄貴から質問攻めになることだけ覚悟してて。」

「あははは……。はい。」

ブルーノさんが、家まで送ってくれるということで、支度が出来るまで店内で待たせて貰う。

「いや〜、偶然ってあるんだね。」

「ジョアン、これもロッソのお陰なんじゃない?」

「あっ、そっちか。そうかも……。」

「お待たせしたね。じゃあ、行こうか。」

スタッフルームの方から出てきたブルーノさんは、先程までのコック服ではなく私服に着替えていた。

「あの、代金まだ払ってないです。」

「いいよ。今日は、奢り。でも、次からはお願いね。」

「すみません、すごい食べたのに……。」

「それだけ美味かったってことでしょ?嬉しい限りだよ。その代わり、学院とか家族に宣伝しておいて。」

「「はい!もちろんです。」」

ブルーノさんに連れられ、店の裏手にある馬止めに行く。

「えっと、どうしようかな。家までは歩いても30分ぐらいなんだけど。」

「あっ、じゃあベルだけ乗せて貰っても良いですか?私は、パールに、えっと、契約獣に乗りますから。」

「契約獣って、どこにいるの?」

「あっ……ちょっと待ってて下さいね。」

そう言って、馬場から離れてブルーノさんが見えない位置まで来るとディメンションルームからパールを呼ぶ。

「パール、クロエ先輩の所まで乗せてくれる?先輩のお兄さんの後ろついて行く感じなんだけど。」

『りょうかーい。後で、私も何か美味しい物食べさせてね。』

「もちろん。」

『あっ、ステーキのチーズ掛けがいいわ。美味しかったって、ロッソが言ってたから。』

「うん、じゃあお願いしてみる。」

私がパールを連れて戻るとブルーノさんが

「可愛い……犬?いや狼?凄い毛並みも綺麗だし、美人さんだね。」

パールを絶賛する。それを聞いてパールの尻尾は、千切れんばかりに振られている。

ブルーノさんに先導してもらって15分。クロエ先輩のご自宅に到着した。

先程のお店と同じようなログハウス調の家で、大きさが異なる建物が5棟並んで建っている。ブルーノさんの説明では、小さいサイズは1棟、おじいさんおばあさんの家だそうだ。中ぐらいのサイズは3棟、長兄家族が住んでいる家、ゲストルーム、そして工房だそうだ。最後に大きいのが、ご両親や長兄以外の兄弟が暮らしている家らしい。