軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

276.酒は飲んでも、飲まれるな

転移で街から戻り、報告の為にお祖父様を探すとセバスチャンさんからリビングにいると教えて貰った。

「お祖父様、戻りました。」

「おお、お帰り。待っておったぞ。」

そう言うウィルとリンジーの向かいにはイジョクとサチコが座ってお茶を飲んでいた。

「お嬢、遠慮なく食べに来たぞ。」

「嬢ちゃん、久しぶりやな。元気そうで何よりや。にしても驚いたで、嬢ちゃんからの文には。」

「「「文!?」」」

魔術の文について、ジーン達にはまだ話していなかった為に驚かれた。

「ジョー、文を飛ばせたのか?だって【無】属性には飛ばせないって習った……よな?」

ジーンの言葉にベルもエリックも頷く。

「えーっと、アシストが言うに【無】属性でも飛ばせる人はいるみたいですよ。」

「へぇ〜、なるほどな。ジュリエッタ叔母上が喜びそうな話だな。」

「……ですよね〜。後で、その旨を文で飛ばしておきます。あっ、そう言えばジーン兄様達の文ってどんな?」

気になった事を聞いてみると……

【風】属性のジーンは、紫のドラゴン

【火】属性のエリックは、赤のサソリ

【火】属性のベルは、赤の蝶

だそうだ。

「で、ジョーのは?」

「私のは……。」

実際に見せてみようと、掌にペガサスを出す。

「「おお、ホントに出た。」」「可愛い〜。」

そのペガサスは、スーッと飛びベルの元へ。文には “これからも宜しくね” と書いた。

「ありがとう、ジョアン。こちらこそ宜しくね。」

その後、ネルママの事を説明した。2人は良い事をしたと、商品を貰ったことに関しては気にするなと言う。それでもジョアンが納得出来ずにいると

「ジョアンは見返りを求めない親切をしただけかも知れないけれど、相手は『お礼』という行動で『親切』という商品に対して対価を支払ったのよ。もし、ジョアンがその『お礼』を受け取らなかったら、相手はずっと気に病むのよ。しかも周囲から見たら、貴族令嬢に対して礼儀がなってないとも取られるの。だから、今回は受け取らなければいけないのよ。あなたの感情は抜きにしてね。」

と、リンジーが言う。ただし相手が貴族だとその後が面倒になるから、その場合は前もって相談してちょうだい!と釘をさされた。

「わかりました。じゃあ、頂いた物で美味しい料理作りますね。」

*****

「では、孫とその友達を歓迎して……乾杯ー!!」

「「「「「「「「「かんぱ〜い!!」」」」」」」」」

演習場で、以前のBBQのようにクラーケンやエビ、ハマグリを焼いた。クラーケンは、前回の残りだ。4年経っても食べられるとは、なんて便利なストレージなんだろう。

「「「「「うっま!!」」」」」

「カルキノスって、こんなに美味かったのか?」

「カニミソって見た目は悪いが、この濃厚なのが堪んねーな。酒が進むぞ。」

「カニ汁だって、良い出汁出てるぞ。」

「カニ飯は、何杯でもいけるな。」

カルキノスを使った料理は、みんなに好評なようだった。

「どうですか?」

無我夢中でカニ飯を頬張っているイジョクに聞けば、口いっぱいで話せないらしく満面の笑みでサムズアップをしてきた。

「うふふ、良かったです。……さっちゃんはどう?」

「相変わらず嬢ちゃんの料理は、美味しいわ。ホンマ、呼んでもろうておおきに。」

「いっぱい食べてな。ほんで、またジェネラルに戻る前に店寄らせて貰うから……な?」

「あっははは、そこも相変わらずやな。任せとき、色々用意して待っとるわ。」

「さっちゃん、おおきに。」

最後に、ウィルたちの元へ向かう。

「お祖父様、どうですか?」

「おお、ジョアン。カルキノスは、料理次第で色んな食べ方があるんじゃな。だが、ワシが好きなのはコレだな。」

ウィルが指差す小鉢には、ネルパパから貰ったアジで作ったなめろうが入っている。

アジを捌いて細かく刻み、メソとガーニック、ションガー、ネーギを入れて包丁で叩いた簡単で美味しいなめろう。前世から新鮮なアジが手に入るとよく作ったものだった。

「お祖父様、シメに出汁茶漬けも美味しいんですよ?」

「なんと!酒のアテだけではなくシメにも良いとは……。ジョアン、絶対マックに作り方を教えて行ってくれ!」

「うふふふ、わかりました。」

カルキノス料理に満足したイジョクさんは、私とベルに最高のモノを作ってやると言ってご機嫌な千鳥足で帰って行った。ちなみに素材とするカルキノスのハサミ部分は、イジョクさんの手によって綺麗に解体された。解体する際に使用したナイフがとても切れ味が良かったので、ダメ元で料理用のナイフか片刃包丁もついでにお願いしたら、明日差し入れ持って来てくれるなら作ってやると了承してくれた。

ーーー翌朝。

早朝の厨房へ行くと、作業台に突っ伏してぐったりしているドリーさんがいた。

「おはよー。どうしたの?具合悪いの?」

「あっ、ジョアン様……ただの二日酔いです。うっぷ…。」

「ちょっと大丈夫?あー、もう何でそこまで飲んじゃうかな?お酒は飲んでも、飲まれるなだよ。」

「すいません……。ちょっと顔洗ってきます。」

厨房を出て行ったドリーの後ろ姿を見て、アレは使い物にならないなと思い1人で朝食の準備を始める。きっと、昨日の今日で同じような人は多いだろう。

ストレージから、昨日貰ったシジミを出す。昨日のうちに砂出しをしているから、すぐ調理が出来る。作るのは飲んだ翌日にうってつけのシジミ汁。あとは、おにぎりとだし巻き卵、魚の塩焼きだ。

ドリーさんが戻って来たのでご飯を炊くのをお願いする。その間に、鍋に水と昆布とシジミを入れて強火にする。沸騰したら弱火にしてアクを取る。その後、シジミが全て開いたらメソをいれて完成。次は、だし巻き卵を作り出来たものからストレージにしまう。魚の塩焼きは、冷蔵庫の中にサバの様な青魚があったので、塩を振り焼く。

ご飯が炊けたところで、2人で握っていく。今回はおかずがある為、塩にぎりのみ。コレも作った物からストレージへ。

イジョクとの約束の差し入れも、同じメニューにする。

だって、面倒だし……。