作品タイトル不明
273.【火】属性の人
「で、何を作るんだ?」
早速、着替えの後厨房に行くと、料理長のマックとテリーがいた。ドリーはお休みらしい。
私は、カルキノスの事やイジョクさんの事を話した。
カルキノスは、調理したことのあるマックだったが、きっとジョアンは自分の知らない料理を作るだろうと期待をしていた。
「えっとね〜、まずは甲羅焼きかな?それからカニ飯にカニ汁かな。」
「焼くにもデカいから、外でだな。竈作ってもらわねーと。おいテリー、ちょっと行ってこい。」
「はーい。」
「じゃあ、その間に下拵えしちゃおう。……まずは解凍しなきゃ。」ゴドッ。
「っ!!思ったよりデカいな。でも、何で氷漬けしたんだ?」
「だって、鮮度が落ちるでしょ?」
「は?お嬢さんのストレージ、時間停止なんだから鮮度は落ちないだろ?」
「あっ……。忘れてた。」
「あっはははは、じゃあ、しょうがねーな。にしても、これは解凍に時間かかるぞ?どうする?」
「ん〜、あっ、そうだ。ちょっと待ってて。」
一旦厨房から離れて、ロッソを探す。
ロッソはリビングのソファーで、お祖父様と一緒に昼寝をしていた。ロッソはいつも寝てる気がするわ。
「じゃあ、お願いね。」
『はいはーい。』
「うおっ、アツッ!!火力が強いんじゃねーか?」
作業台に置かれたカルキノスの胴体は、ロッソの火魔法でどんどん溶けて来る。
『でも、強くないと時間かかるよ?』
「んー、それは困るな。他にもハサミと脚があるし。」
『僕の魔力だけじゃ無理かも。』
「あー、じゃあ他の人にもお願いしよう。食べる為ならきっとやってくれるはず。ちょっと待ってて、呼んでくるから。」
そう言って、ジョアンはまた厨房を飛び出した。
「他の【火】属性って誰だ?俺の知ってる2人ではない事祈りたいが……。」
『んー?僕が知ってるのはベルぐらい。』
残された2人は揃って首を傾げる。
えーっと、【火】属性は……ベル、エリック様、あとお祖母様かな?皆んなどこにいるかな?
こんな時は……。
「サーーーラーーー。」
シュタ。「お呼びですか?」
「っ!!」
おふっ……安定の忍者スキル。
毎回、どこから来たのか全然わからないわ。
「ベルやエリック様はどこか知ってる?」
「お二人とも、ジーン様とザックと共に私兵団の演習場にいらっしゃいますよ。呼びますか?」
「そっか、鍛練中なら邪魔出来ないな〜。他に手の空いてる【火】属性って誰がいるかな?」
「そうですね〜。今でしたら、セバスチャンさんなら空いているのではないですか?」
「えっ?セバスチャンさんって【火】なんだ。」
「はい。呼んで参りますか?」
「んー、どこにいるか教えて?お願いするなら、自分から行かなきゃ。」
「今ですと、ご自身の執務室かと。」
「ありがとう。」
トントントン。「ジョアンです。」
ガチャ。「おや、お嬢様どうなさいました?」
「セバスチャンさんにお願いがあって。実は、カルキノスの解凍をお願いしたいの。」
「カルキノスの解凍ですか?」
セバスチャンにも、カルキノスの事を説明する。もちろん無駄に氷漬けしてしまった事も含めて。
「ふふふ、なるほど。わかりました。私で良ければお手伝い致しましょう。」
「ありがとう。じゃあ、厨房へお願い。」
「あっ、お嬢様。私からもお願いをよろしいでしょうか?」
「何?」
「一度、転移というものを試してみたいのですが……。旦那様から、お嬢様の転移は凄いと何度もドヤ顔で聞かされまして、是非一度お願いしたいと思っていたのです。」
「ドヤ顔でって……。転移ぐらいなら、いつでも良いよ。じゃあ、私の手を握って。」
「こうでございますか?」
「うん。(厨房……厨房……)【テレポート】」シュン。
「っ!!」
「ほほほ。これはこれは、旦那様が自慢したくなるわけです。……何ですか?マック。そんなに驚く事ないでしょう?」
「いや、あの、何でセバスチャンさんが?」
「えっ?【火】だから。」
「……ですよね〜。(セバスチャンさんとリンジー様だけは、勘弁して欲しかったんだけどな……。早く帰って来ねーかな?テリー。)」
「じゃあ、セバスチャンさんにはコレを……ゴドッ……お願い。」
セバスチャンの前に、両方のハサミを置く。
「これはこれは、また立派なカルキノスですな。ちなみに、この外殻は武器にするんですよね?」
「うん。そうだよ。」
「では、半生ぐらいの解凍の方が良いでしょう。外殻からの身の外し方は、実際にイジョク殿にお願いした方がいいでしょうな。」
「あー、そっか。勝手にこちらで外したら使い物にならなくなるもんね。」
「ええ、では半解凍に致しますね。」
セバスチャンとロッソのお陰で半解凍されたカルキノス。ちなみに他の脚の部分は、ハサミや胴体の近くに置いていただけで、解凍された。今回わかったことは、今後はストレージがあるんだから氷漬けは必要ないということ。
「ようやく調理に入れるな。」
「あはは、本当に氷漬けはもうやらないよ。じゃあ、ハサミの方はイジョクさん待ちってことで、ストレージに入れて……と。じゃあ、甲羅焼きだけど、カルキノスのふんどしを切り取って甲羅を下にした状態でお腹部分を外すんだけど……。できるかな?」
今回のは、カルキノスの中でも大きい方だという。ふんどし部分だけでもジョアンの顔より大きい。切り取るのは出来たとしても、取り外すのは出来るのかわからない。
「よし!じゃあ、身体強化でやってみるか。」
ふんどしを何とか切り取り、マックさんが身体強化を掛けてバキバキと言う音を出しながらお腹部分を外した。
「「おおー。」」パチパチパチパチ。
私とテリーさんは、それを見て拍手する。
「いや〜、料理するのに魔術やスキル使うなんて、俺初めてですよ。」
「確かにな。まず、野営以外でカルキノスを食べようと思わないからな。さすがお嬢と言うか……。」
「いやいや、サーチで美味いと出たら食べるしかないでしょ?それとも食べない?」
「「食べる!!」」