軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

266.無料配布

おにぎり無料配布の1日目。

朝早くから、料理人、使用人さん総出で準備をする。配布する場所や時間などは、領都の広場の掲示板に貼られたり各ギルドの掲示板にも貼られ、領民のほとんどの人間が知っているようだった。なぜなら、配布場所の領主邸の門の前に配布スタートとなる1時間前辺りから人が集まり出しているから。

門の所にあんなに人が集まって、こちらを見ているのは怖いわ。

まるで有名ゾンビゲームのようね……。腐ってたり唸ってないだけマシだと思うようにしよう。

「皆んな、作業中かも知れないがそのまま聞いてくれ。さすがに人が集まり出しているから、予定時間より早いがあと20分程で配布を始めようと思う。アトス、いけるか?」

「はい、何とか間に合うかと思います。」

「では、料理人以外は昨日説明したように行動してくれ。」

「「「「「「「「かしこまりました。」」」」」」」」

ベルパパの指示で、昨日の打ち合わせ通りに皆んな動き始める。

「じゃあ、ジョアン、私行くね。」

「うん、頑張って。」

ベルファミリーは、総出で配布に回る。私やジーン兄様のチームランペイルは、おにぎりを握り続ける。

ようやく、炊いたご飯全て握り終わるとチーム料理人とチームランペイルは、どちらからともなく笑い出す。

「「「「「あっははははは。」」」」」

「やっと、終わったーーー。」

「疲れたーー。」

「もう手がふやけちゃってる。」

「手だけじゃなく、身体全体が怠い……。」

「これ、明日もだろ?」

「あーー忘れてたーーー。」

「何で今言うかな〜。」

チーム料理人とチームランペイルは、大量のおにぎり作りでいつのまにか軽口を叩けるぐらいの仲になっていた。そして口々に言っているが、皆んなやり切ったことに安堵と達成感で笑顔だった。

「皆んなお疲れ様。今日のランチは私が作るわ。」

「えっ?ジョアン様、それは申し訳ないです。」

「だって皆んな、ごはん炊くのに早朝から頑張ってくれたでしょ?それに、私がこんなこと提案したからだし。」

「そうそう、アトスさん。ジョーに任せておけば良いって。少し休んでたら良いさ。」

「お客様にそんな事お願いしても良いんですかね?」

「大丈夫!私が無理言った事にするから。じゃあ、何が良いかな?えーっと……これとこれとあるから、チャーハンにしようかな?」

「「「「「「「「チャーハン?」」」」」」」」

「えっと……焼き飯?ご飯を具材と一緒に炒めたものかな。」

「でも、ご飯は全部塩にぎりにしちゃっただろ?」

「あー、ストレージにあるよ。東の国のご飯だけど。」

「あー、なるほどな。で?ご飯はそのチャーハンとして、おかずは?」

「えっ?具材入っているから、チャーハンとスープだけにしようかと思ってたんだけど……。じゃあ………唐揚げ付けるかな?」

「「「「「唐揚げ?」」」」」

「あー……。ともかく作るところ見てて。」

「ジョー、説明面倒になったな?」

「う、うるさいよ、ジーン兄様!ほら、手伝って。」

「あっ、危ね。押すなって、わかったから。」

そんなこんなで無料配布が終わる頃には、唐揚げ付きチャーハンが出来上がった。ベルファミリーや使用人たちには、恐縮され何度もお礼を言われ、逆にこっちが恐縮してしまった。

2日目になると、塩にぎりがよほど美味しいと思ってくれたのか昨日よりも早めに人が集まり出した。コーモロコシのおにぎりも前日と同じように、皆んなで握りまくった。

そして、2日目のランチは他のご飯メニューを食べたいと言う事で、牛丼ジェットブルver. とネーギのメソ汁とナッスーの揚げ浸し。もちろん、皆んなきれいに完食してくれた。

そして、3日目。領民たちが気になっていた塩にぎりとコーモロコシのおにぎりの正体を教える日。

「皆、集まってくれてありがとう。この2日間、皆んなに試食してもらったモノは、今後バースト領で生産を広げていきたい穀物だ。6年前、我がバースト領では小麦が不作で他領から小麦を購入するしかなかった。しかし、この穀物があれば例え小麦が不作だとしても、飢える心配はないと考えている。

これは隣国の東の国では主食とされているもので、バースト領での生産が軌道にのったら他領での販売も視野に入れている。」

「「「「「「「「「「おぉ〜。」」」」」」」」」」

ベルパパの話に、領民たちが歓喜の声を上げる。

「あの美味い物を食べれるようになるなら、俺は手伝うぞー。」

「俺もだ。」

「領主様〜。それで一体あの食べ物は何なんですか〜?」

「早く教えて下さいよ〜。」

「今日は、貰えないんですか〜?」

「お腹減ったぞー。」

「他の味はあるのかー?」

領民は口々に言う。中には今日も無料配布があると思っている人もいた。

「では、この2日間皆が食べていた物は……これだ。」

そう言うと、ベルパパは稲穂を持ち高く掲げた。

「これは、皆もよく知っている米だ。」

「「「「「「「「「「えーーー!」」」」」」」」」」

「「「「「「「「「「米ーーー!?」」」」」」」」」」

「「「「「俺達を、騙したのかーー!!」」」」」

「「「「「酷いぞ、領主様ーー!!」」」」」

「「「「「「「横暴だーー!!」」」」」」」

「皆の気持ちもわかる。騙したような形になって申し訳ない。しかしバースト領では家畜の餌でしかなかった米だが、本当に東の国では主食なのだ。皆は…いや私も含めて米の正しい食べ方を知らなかったのだ。それを、こちらにいるランペイル辺境伯令嬢が教えてくれた。これで、我がバースト領は飢えることもなくなる。更に、国内で米が受け入れられる事になったら我が領は裕福になるだろう。」

「「「「「「「「「「うぉーー!」」」」」」」」」」

「「「「「バースト領ばんざーい!」」」」」

「「「「ありがとう、ランペイル辺境伯令嬢!」」」」

どうやら家畜の餌だった米は、無料配布とベルパパの説明により領民達に受け入れて貰えた。ハンスさんから聞いたところ、既に領都の商店では精米した米を準備しており、販売の際にはアトスさん達が書いた米の炊き方を一緒に渡すようだ。しかし、それでも慣れていない人の為に明日から何日間か炊き方の講習会を行うと言う。

私としては、まだ残っている去年の米を貰ったので満足。これから、米の生産をどうするかはベルパパの手腕次第だ。でも来年以降、ランペイル家が定期的に購入することは話しておいた。正式な契約は、お父様に丸投げする予定だけど。

明日は、ベルとエリック様も一緒にファンタズモに向かう。

久々のファンタズモ、楽しみだなぁ〜。