軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

262.米欲

バースト領に来て3日目。

昨日は、米の炊き方を教えたり梅酒を作ったり、王都の冒険者捕獲したりして疲れたのか、起きたのは……というより、パールに起こされたのは朝食の始まる30分前だった。

「ありがとう、パール。」

『寝かしておこうかと思ったんだけど、ランペイル家じゃないからねー。』

朝食後のモーニングティーで、ベルパパから地産地消について相談したいと言うことで、ベルパパの執務室に向かう。

「まずは、こちらがバースト領の作物のリストになるのだが……。何か出来ることはあるだろうか?」

「えーっと、今の時期だと…トメット、ナッスー、オウメですか。オウメに関しては、梅酒。トメットはトメットソースやケチャップへの加工はどうでしょうか?」

「「「トメットソースにケチャップ?」」」

「はい。トメットソースはこの前食べたようなチキンステーキにかけたり出来ますし、ケチャップは……はい。コレです。ランペイルドッグにつけて食べてみて下さい。」

「……ん?これはソーセージに衣をつけているのか?」

「はい。甘めにしてある衣にケチャップという、トメットソースを更に煮詰めたものをつけて食べると、程よい酸味が加わって美味しいのです。どうですか?」

「美味い!しかし、ケチャップというのは他に食べ方はあるのだろうか?」

「はい、もちろんです。例えば……この、オムライスとか。……ハチミツ豚肉チャップ。……ナゲットにタマオンフライ。」

「こ、こんなにか……。」

「というか、ジョアン嬢のストレージは凄いな……。」

「お父様、お兄様、ジョアンですから!」

「……ベル?」

さすがに自分だけでは料理について判断がつかなくなったベルパパは、ベルママと料理長のアトスさんを呼んだ。

ストレージから出したケチャップ料理を、私とベル以外が少しずつ食べる。

「「「美味い!!」」」「美味しいわ〜。」

「ジョアン嬢、このケチャップの作り方を教えて頂けるだろうか?」

「はい!もちろんです。その代わり、軌道に乗ったらランペイル領でも、購入させて下さい。」

「それはもちろん。レシピを教えて貰える対価はどうしたら?」

「えっ?いらないですよ。」

「いや、しかしそれではジョアン嬢に申し訳ない。」

「では、米を!米を安く売って下さい!!」

「そ、そんなことで良いのかい?」

「ハンス様、そんな事ではありません。米ですよ、米!!今まで、東の国産しか食べてませんでしたが断然バースト産の方が美味しかったんですもの!!」

「お、おう……。」

「しかも、私だけじゃなく確実に購入する人を知ってます。だから、来年から本格的に米を作って下さい!!お願いします!!」

「しかし、ランペイル家とそのジョアン嬢の知人の方だけが購入の為に、領民が米を作るかどうか……。」

「では、領民の方に向けて米の素晴らしさをプレゼンしても良いですか?」

「「「「プレゼンとは?」」」」

「米の美味しさを知ってもらうのです。」

「ジョアン、どうやって?」

「おにぎりを作って、無料で配るの。」

「「「「「無料で?」」」」」

「はい!食べた事ないなら食べて貰うのが1番。でも、知らない食べ物を買おうとは思わないですよね?なら、無料で配って宣伝するんです。」

「なるほど……。それは、いい考えだ。それなら誰でも食べてくれるだろう。」

「確かに。だが、領民が美味しいと言っても米農家が作るかどうか……。」

ハンスさんの言うことも一理ある。

「では、まず米農家に美味しさを知って貰いましょう。もし、それでも、生産量を増やすことを納得しない場合は……。」

「「「「「場合は?」」」」」

「あまり使いたくない手なのですが、知人を使います。」

「そんな力のある知人なの?」

「うん。たぶんだけど、あの人なら米の為に米農家には出来高で報奨金出すぐらいのこと言いそう。」

「「「「「はっ?報奨金!?」」」」」

「はい。ただ報奨金が出るとなれば、各地で米を生産し始める気がするので、なるべく頼りたくないです。でも、知人にバースト産の米を渡したら、間違いなく毎年購入するでしょうし、その人が他の人に食べさせたら間違いなく広まります。半端ない米欲がありますから。」

「「「「米欲……。」」」」

「ジョアン……その知人って……。」

「えーっと、お父様の幼馴染の奥さん?」

「もしかして……。」

「うん。たぶん想像している人で間違いないと思うよ。」

「あー。じゃあ、間違いなく広まるわね……。」

「ベル、その知人の方を知っているのか?誰なんだ?」

「あー、お兄様は知らない方が……。」

「何でだよ!」

「ベル、どうして教えられないんだ?」

「お父様とお母様になら……。」

「俺は!?」

「ちょっと、お兄様うるさい。しつこい男は嫌われますよ。お父様、お耳を……。コショコショ。」

「なっ!?」

「お母様も……。コショコショ。」

「えっ!?」

「ジョ、ジョアン嬢……こ、こ、こ、これは本当に?」

「はい。本当に。」

「で、では、何としてでも米農家を説得した方が?」

「はい。知人が食べて美味しいと思ったら、一気に売れます!!間違いなく!!」

「ジェス、今すぐ米農家たちに集まるように連絡を。」

「かしこまりました。」

家令さんが執務室を出て行く。

「アトス、昨日の米を炊いた物はまだ残っているか?」

「いえ、昨日全部食べてしまいました。」

「じゃあ、急いで炊いてくれ!」

「か、かしこまりました!」

アトスさんもバタバタと執務室を出て行く。

「父上、一体誰なんですか!父上がそこまで動揺するなんて。ランペイル辺境伯の幼馴染の奥さんって誰なんですか?」

「あー、そう言われれば確かに辺境伯と彼の方は同級生でしたなぁ〜。」

「はい。それに契約獣のことですとか、私のスキルのことでよく彼の方のお家に行くことがあったんで……というか、今もたまに?」

「お家って……ジョアン。うふふふ。」

「いや、だってお家でしょう?」

「だーかーらー、誰なんだ!!皆んなで無視をするな!」

「お兄様……絶対聞いたら騒ぎ出すもの。」

「俺は子供か!それを聞いても騒がないに決まってるだろ。」

「本当?じゃあ、騒いだら今度王都のカフェでケーキ奢ってくれます?」

「ああ、いいぞ。じゃあ、ジョアン嬢の分もな。」

「うふふ。ジョアンの知人は……王妃様です。」

「へぇ〜王妃様?ん?……お、お、王妃様ーーーー!?」

「はい、ケーキ決定!」

「いやいやいやいや、マジか……。」

「ハンス様……大マジです。あの人、私と同じぐらいの米好きですよ。だから、バースト産の米を食べたら間違いなくお墨付きを貰えます!だから、最終手段にしたいんですよ。わかってくれました?」

そう聞くと、首が取れるんじゃないかと言うぐらい縦に振っている。