作品タイトル不明
260.ド直球
「お前ら、すげぇーな。本当にDランカーか?」
「俺ら一応Cランカーなんだけど……。しかも騎士科で。」
特殊なルールとは言え、格下に負けるとは思っていなかった2人の凹み具合が凄い。
「「ぶっ。」」
そんな2人を見て、ジョアンとベルは吹き出してしまった。
「っんだよ!笑うなよ!!」
「まあ、これで安心したよ。大丈夫そうだな。」
「あー、腕に関しては問題ないな。」
「じゃあ、参加していいんですか?」
「ああ、こちらからも頼む。危険なことには変わらないが……。」
ジョアンは、サラ達の方を向いて
「皆さん、聞きました?」
「「「はい、間違いなく。」」」
「え?何で?サラ達に聞くんだ?」
ジーンは不思議そう。
「いい加減、気づいてよ。ジーン兄様。」
「エリック兄様もね。」
そう言いながらウィッグを外す。
「「はーーー!?」」
「「マジか……。」」
「マジです、ジーン兄様。何で気づかないんですか、自分の可愛い妹なのに。」
「いや、だって……。ってか、肌の色は?」
「あー、イザベラ様が濃い色のファンデーション塗ってくれた。」
「母上もグルか……。」
「エリック兄様、でも言質は取りましたからね。」
「いや、しかし伯父上が何て言うか……。それに2人だけでは、さすがに危険すぎる。」
「じゃあ、ザックも一緒なら良いですか?」
「……エリック、諦めろ。この2人の実力は間違いないし、ザックもランペイルのDだから。それに、ここのギルドには行ってないからバレてはいない。」
「はあ〜。どうやって伯父上に説明したら……。」
「「言わなきゃ良いんです!」」
「ジョー!?」「ベル!?」
「だって、まだお父様やお兄様にはバレてないですもの。」
「エリック様とジーン兄様は、私たちの実力があったことだけ報告したら良いんです。」
「「確かに。」」
応接室に戻ると、床に正座しているギルマスがベルパパとイザベラ様に怒られていた。
「あ、あの伯父上……。」
「ああ、戻ったか。どうだった?その2人は。」
「あっ、はい。実力は間違いないです。な?」
「ええ、ただ不安もありますので我が家のザックを一緒につけたいと思います。彼はランペイルのDランカーですので、ご安心下さい。」
「ジーン殿、我が領の問題に巻き込んでしまって本当に申し訳ない。コイツからも改めてジョアン嬢に謝罪させたいのだが、ベルと出掛けてしまったと聞いたので、また後ほど謝罪させて頂きたい。」
「ああ、いや、ジョーは気にしてないと思いますけど。」
「いや、しかしそれでは……。」
「では、ジョーが提示した報酬をここにいる3人とゾーイさん、サラに分けるようにして下さい。」
「わかりました。……異論はないな?ドン。」
「……。」
「ドン!ハッキリ口に出せ!」
イザベラ様がキレた……。
「は、はい。わかりました。」
*****
善は急げということで、早速ギルドにやって来た。
エリック様とジーン兄様は、念のため離れたところからパールと一緒に見ている。私がパールと一緒にいる所を見られていないとも言えないから。
そして、今私たちは依頼ボードを確認しているフリをしている。
「あ、あの……ジョアン様?この格好おかしくないですか?凄い見られている気がするんですけど……。」
サラの目線はボードだが、ボソボソ話しかけて来る。
サラの服装は、ニッキーさんが考えた女性冒険者用の服。トップスはピッタリとしたロンTに革の胸当て、ボトムスはスリットの入ったミニスカートにレギンス。ゾーイさんは、トップスは同じで、ボトムスはレギンスの上からパレオのような布を巻いている。
「おかしくないよ?充分エロいよ。ねぇ?」
「うん。妖艶なお姉さんになってるよ。ね?ザック君。」
「えっ?俺?……あー、まあ。(俺、ベンに怒られない?)」
ちなみに今回は秘密裏の依頼のため、その場では他の依頼を受けたフリをしてカウンターに行く。ギルマスから説明を受けているギルド職員と、軽く話をしてギルドの外に出る。
「どっちに来るかな?」
「今日の飲み代欲しければ、コッチかな?」
「たぶん、さっきギルドの酒場にいた奴らだと思う。ずっとこっちを見てたから。7人ぐらいいたけど。」
「まあ、ともかくここから離れよう。一応、薬草採取になっているし。」
「じゃあ、案内するね。」
薬草が多く生えている林を歩いていると、後ろから人の気配を感じる。
「……4人か。」
「二手に分かれたみたいだね。」
「その後ろから、ジーン兄様とパールが来てるけど相手はそれに気づいてないみたい。」
「王都のDぐらいかな?」
「でも、実力的には気配察知出来ないからFじゃない?」
そんなことをボソボソ話していると
「おい、お前ら。」
「俺達ですか?」
振り向くとニヤニヤと笑っている男達が4人いる。
「ああ、そーだよ。」
「えっと、なんですか?」
「持ってる金寄越せ!」
「「「は?」」」
なんてストレートな。
そんなド直球にくると思わなかったわ。
「だーかーら、痛い目に遭いたくなかったら、俺らに有金寄越せって言ってるんだ。」
「な、何で?」
「お前ら新人だろ?新人は先輩に敬意を込めて渡すもんなんだよ。」
「そうなんですか?でも、あなた達はバーストギルドの人じゃないですよね?」
「俺らは、王都ギルドだよ。ランクCだぞ。お前らよりも強くて偉いんだ。」
「「「……。(((金か。)))」」」
「あっははは、怖くて何も言えねーだろ。」
「「「あっははは、違いねー。」」」
いやいや、呆れて何も言えないんですけど?
「ほら、さっさと出せよ!」
「それとも痛い目に遭いたいか?」
「じゃあ、ご希望通りにしてやるよ!……ん?」
拳を大きく振りかぶり殴りつけてきたのを避ける。
「ぶっははは。何、空振りしてんだよ。見てろ、こうやるんだよ!……は?」
次の男が殴りつけてくるのも避ける。
「あの……冒険者が私的な戦闘は禁止されてますよね?」
「戦闘じゃねーよ。躾だよ!躾!」
「じゃあ、正当防衛は許される?」
「うん。大丈夫じゃない?」
「何ぶつぶつ言ってんだよ!こうなったら、コイツらの身包み剥がしてやれ!」
そう言うと男4人がジョアン達に向かってきた。