作品タイトル不明
237.あざとい公爵子息
「なるほどね〜。私にもアルの気持ちはわからないわ。でも、言えるのは、お互いに歩み寄れば幸せになれるわ。」
「歩み寄る……。」
「ええ。妃になったからと言って何もせず、下の者をアゴで使ったり虐げたりばかりだとね。自分の出来ることして、アルや王家にとって最善なことを考えて行動出来れば、アルの方からも歩み寄るでしょう。」
「あっ、ちなみに殿下って乳デカい方が良いの?」
「ジョアン!!」「ジョアン様!?」
私の質問にキャシーちゃんとスージーさんから、ストップがかかるが
「えーどうだろ?でも、乳デカくても頭の中お花畑だとね〜。」
「だよね〜。」
「アミー様まで……。」
スージーさんが片手を額に当ててしまった。キャシーちゃんは、顔が真っ赤だ。
その後、他の候補者についてある程度わかった所で、お開きとなる。
「あっ、例の物はスージーさんに?」
「うん、よろしく〜。」
「蒲焼と白焼きあるから。白焼きはワサビ付きだよ。」
「マジか!?じゃあ、あとでアレックスと一杯やっちゃお。」
「良いなー。呑めて。」
「へへへ、さーせん。んんっ……では、また来週のお茶会でね。ジョアン嬢、キャサリーヌ嬢。」シュン…。
「アミー様も《転移》……。」
「あー、そこも内緒で。」
「ジョ、ジョアン……。内緒が多すぎだわ。」
「あはは、ごめんごめん。じゃあ、そろそろ私達も戻ろうか。」
「ええ、そうですわね。」
「じゃあ、リアム、マーサ帰るね〜。あっ……コレ、後で食べて。」
「ありがとうございます。お気をつけて。」
「はーい。おやすみ〜。」シュン…。
シュン…。「おかえりなさいませ。」
「ただいまー。話せて良かったね。」
「ええ、ありがとう。……本当に王族の方も、気を緩めることあるのね。」
「あー、アミーさんの場合緩めすぎだけどね。でも、キャシーちゃんの前でも緩めてるってことは、認めてくれているんだと思うよ?」
「そうだと良いのですけど……。私、もう少しアミー様の言った『歩み寄る』ことについて考えてみますわ。もし……行き詰ったら相談しても良いかしら?」
「もちろん!私で答えが出るかわからないけど。」
「ありがとう。では、また明日ね。」
「うん。また、明日〜。」
*****
あれからあっという間に、王妃様主催のお茶会の日が。
ということで、昨日の夜から私は王都の屋敷でマーサ達に磨かれ、朝はご飯も早々にドレスアップされる。
「マーサ……私が私じゃないみたい。特殊メイクってスゴいね。」
「いいえ、お嬢様。化粧に関しては今回さほどしておりませんよ。」
「そう?でも、ナチュラルメイクでこんなに変わるかな?」
「いつも、化粧をしていないお嬢様だからそう思われるのですよ。」
「そうかな?まっ、でも、ありがとう。」
今回の装いは、淡いオレンジのふんわりとしたドレスにハーフアップのヘアスタイル。首元にはアラン兄様とヴィーに貰ったペンダント。
婚約者がいたりすると、相手の髪の色や瞳の色のドレスや装飾品らしいが、そんな相手はいないから目立たない感じのものをお願いした。
「お嬢様、キャサリーヌ様がいらっしゃいました。」
「はーい。」
玄関ポーチに行くと、ブルーのAラインドレスにドリルヘアーを止めたキャシーちゃんがいた。
「キャシーちゃん、綺麗〜。」
「ありがとう。ジョアンも可愛いわ。」
「えへへ、頑張ってもらった。」
「ジョアンが言うように、髪の毛を巻くのを止めたけど変じゃない?」
「全然、変じゃない!それに、こっちの方が断然良い!!」
「そ、そう?なら、良いけど。じゃあ、行きましょうか。」
お茶会は、王城のテラスで立食形式で行われた。
そこには、多くの伯爵家以上の子息令嬢が集まっており、思い思いにお茶を飲んだり、話をしたりしている。
「うわ〜、あのケーキ美味しそう。」
「ちょっ、ちょっとジョアン。まずは王妃様に挨拶しないと。」
「あっ、そっか。お茶会、初めてだからよろしくね。」
「そう言えば、そうでしたわね。」
王妃様がいる所へ向かう途中
「あら見て、相変わらず貧相な身体で。」
「本当ね。髪の毛も巻いてないなんて、メイドの質も悪いんじゃなくて?」
「一緒にいるのも、田舎くさい子で恥ずかしくないのかしら?」
という、小声にもなっていない会話が聞こえて来る。
「ジョ、ジョアン……。ごめんなさい。私のせいでジョアンまで悪く言われてしまうわ。」
「あー、アレね。ホルスタインの言ってることなんて気にしない気にしない。」
「ホルスタイン?」
「えーっと、ミルク専用の牛。乳牛よ。」
「ぶっ……ちょっと、止めてよこんなところで。」
「あっ、ごめん。一緒にしたら、乳牛に悪いよね。」
「ふふふ。本当ね。」
「ふふ、良かったキャシーちゃんが笑ってくれて。」
「え?」
「だって、ここに来てからずっと顰めっ面だったよ。キャシーちゃんは、笑顔が可愛いんだから笑ってないとダメ。」
「ジョアン……。」
「ほら、順番きたよ。」
「本日はお招き頂きまして誠にありがとうございます。カッター家長女、キャサリーヌ・カッターでございます。こちらは……。」
「お招き頂きましてありがとうございます。ランペイル家長女、ジョアン・ランペイルでございます。」
2人でカーテシーで挨拶をする。
「お二人ともよく来てくれたわ。さあ、色々と用意していますから、遠慮なく過ごして頂戴ね。」
「「ありがとうございます。」」
「後程、アルバートも来ますから、またその時にでも。」
王妃様の元から離れて、キャシーちゃんとジュースを飲みながら話していると
「あれ?キャサリーヌ嬢?」
話を掛けて来たのは、蜂蜜色の髪の毛に、青色の瞳。どこから見ても王子様カラーの美少年。
あっ、16人ダンス&ボーカルのボーカルの1人に似てる……。
「えっ?あっ、ご無沙汰しております、ノア様。」
「学院はどう?慣れた?」
「はい。なんとか。」
「で、こちらのご令嬢は?」
「こちらは、私の友人でランペイル家のジョアン様です。」
「へぇ〜、 あ(・) の(・) ご令嬢かあ。俺は、ヨシーク公爵家のノア・ヨシークだ。」
「初めまして、ランペイル家長女、ジョアン・ランペイルと申します。……失礼ですが、 あ(・) の(・) とは、どういう意味でしょう?」
「あー、ごめん。父から少し聞いていたからね。」
「え?私のことをですか?」
「うん。ホルガーおじ様って言えば?」
「あっ……。宰相様。」
「正解。だから、これからは俺のことも宜しくね。」
そう言って、宰相Jr.はパチリとウィンクをする。
……ヤバい。これは、あざといわ。
間違いなく自分の容姿が整っていることわかっての行動ね。
でも、それより気になるのは宰相Jr.の後ろにいるシルバーの髪の人。
チラッと見た横顔が、推しメンのカズに似てる。