作品タイトル不明
157.ジョアンとの王妃様
ダイヤウルフの討伐からしばらくして、私は再び王城へ来ていた。今回は、お兄様達が学院に行っているからお父様と2人で。理由は、パールとの契約のことの報告。
今回は、最初からテラスに案内された。
「待っていたぞ、ジョアン嬢。息災だったか?」
「はい、アレックスおじ様。お久しぶりです。ん?前よりも顔色良いですね。」
「ああ、それもジョアン嬢のドライフルーツのお陰だよ。アレは、本当に良いな。今までの疲れが一気に取れる。」
「それは、良かったです。また、持ってきましたので後ほどお渡ししますね。」
「ああ、ありがとう。で、スタン、そっちの可愛らしい仔犬が例の……。」
「ああ。……ジョアン。」
「はい。パール、皆様にご挨拶を。」
『あい。あたち、パールでしゅ。よろちくです。』
「「「「「「「っ!!!」」」」」」」
「か、可愛いぃーーー!マジで、ヤバい!!」
「王妃様……気持ちはわかりますが、素が出ております。」
ふふふっ、相変わらず王妃様がスージーさんに怒られてるわ。
「にしても、本当にフェンリルなのか?」
宰相様が疑う。
まぁ、こんな可愛いければ疑う気持ちもわかるわ。
「ジョアン、サーチを。」
「はい。お父様。【サーチ オープン】」
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[パール]
フェンリル。
生後1ヵ月(人間だと3才ぐらい)
契約者:ジョアン。
状態:健康。
補足:親元からはぐれたフェンリルの子供。
クリムゾンウッズでダイヤウルフに襲われて
絶命の危機をジョアンのスキルで逃れる。
契約した為、人間との会話可能。
成体になれば、大きさを自由に変化可能。
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「「「「「「「っ!!!」」」」」」」
「すげー!!ジョアン。お前やっぱり兄上が言ってたように、規格外なんだな。」
おい! ガキ大将(フレッド殿下) さんや。
何気に失礼なこと、言ってんじゃないわよ。いつの間にか、呼び捨てになってるし……。ん?ってか、この場合、失礼なのは 腹黒(アルバート) 殿下の方かしら?呼び捨てになったのも、あの人の影響ね。
「ほ、本当にフェンリル……だな。」
「だから、言っただろ?お前たちには嘘は言わん。……でも、パールのお陰でダイヤウルフを討伐出来たのも事実だ。」
「ああ、それはルークとジェイコブから聞いている。あっ、それで思い出した。ナンシーのことを、未だに健在でしたって言ってたぞ。…… アイツら何かやったのか?」
「あー……まっ、それは後で詳しく話す。」
チラッと私の方を見ながら言うお父様。
ん?何だろ?と首を傾げると、お父様は微笑みながら優しく頭を撫でる。
「なぁ、ジョアン。俺、コイツと遊びたい!」
「フレッド?そろそろ、先生がいらっしゃるわよ?」
パールと遊びたいと言うフレッド殿下に、王妃様が勉強の時間だと告げる。そんなフレッド殿下は、渋々頷き近衛騎士と共にテラスから出る。
*****
フレッド殿下が勉強時間になって、お父様たちは討伐の事とか話があるということで、私は前回と同じように王妃様の部屋にお邪魔している。
「ジョアンちゃんってば、ホントに規格外ね。ペガサスの次はフェンリルって、どれだけチートなの?」
「私に聞かれても……。あっ、そう言えば、フレッド殿下の近衛騎士様って前の人じゃなかったですけど?」
「あー、アレね。フレッドの近衛は一掃したのよ。前の近衛騎士の後ろ盾が、ちょっとね〜。」
「あー、やっぱり。」
「あら?気づいてたの?」
「うん。何となくだったけど……やっぱり、叩いたらホコリ出た感じです?」
「ホコリどころか、ダニやら虫やらね。まあ、そんな事はいいわ。ちょっとジョアンちゃんに聞きたい事があったのよ。皆んな、お願い。」
「「「かしこまりました。」」」
そう言って、侍女トリオが部屋から出る。
「ごめんなさいね。2人で話したい事があって……。あのね、この前お忍びの時に会った時にもらった料理なんだけど……。ヌルイモのスープ。」
「あー、芋煮?どうかしました?」
「アレって、前世では東北の郷土料理よね?確か、醤油味と味噌味のある……。」
「そうそう、私の実家が醤油味だったの。」
「……芋煮食べて、思い出したことがあるの。」
「思い出したこと?」
「……私の実家も醤油味だった。ジョアンちゃんの芋煮食べて、なんとなく懐かしいなぁ〜って思ってたら、思い出せなかった故郷のことが一気に思い出して……。本当にありがとう。お陰で前世の家族のこと思い出せた。」
王妃様の目から一筋の涙が零れ落ちる。
「そう……良かった。私の料理で、思い出せたなんてビックリだし、同じ味付けってことは同じ県民だったのかもね。芋煮は小学校の時から作ってたから、作り方覚えてたの。」
「えっ!?小学校?」
「うん。子供たちだけで班になって作るの。だから、私の世代の人はみんな作れたわよ。」
「もしかして……T小とか?」
「えっ!?なんで知ってるの?」
「嘘!?……私の前世のお母さんも同じこと言ってたから……。」
「えっ……ってことは……同じ地域に住んでたってこと?王妃様のお母さんって……?」
「私の前世のお母さんの名前は……美恵子。」
「っ!!……美恵子。……もしかして、王妃様……美梨ちゃん?」
「えっ、何で?どうして……。ジョアンちゃんは、一体誰?」
「美梨ちゃんのお母さんの友達で、関東に住んでた人いなかった?」
「いた……子供の夏休みになると帰省してた……えっ?…… 柊子(しゅうこ) おばちゃん?」
私は、うんうんと涙目で頷く。
「 柊子(しゅうこ) おばちゃん……。おばちゃーーん。」
王妃様が、私に抱きついて泣き出す。私は、王妃様の背中をさすった。