作品タイトル不明
130.報・連・相
昨日、予定があるから帰ったはずのハリーお祖父様達が再び転移扉でやって来た。
しかも、すごい勢いで……。
「ど、どういう事なの?説明して頂戴!!」
「そうよ!なんなの?あえて黙っていたの?」
そう開口一番に、パティお祖母様とローズ叔母様が叫ぶ。通常おっとりとした話し方のパティお祖母様が、とても早口で話す。ハリーお祖父様もそんな2人を見てオロオロするばかり……。
「えっと……。おはようございます、お義父上、お義母上。まずは、リビングへ。グレイ、お茶を。」
再びリビングにバリスト家とランペイル家が集う。
「で、あの、一体何のことです?」
恐る恐るお父様が聞く。
「昨日、ジョアンちゃんから頂いたお弁当やドライフルーツなどを食べたんだが……もちろん、とても美味しかったよ。ジョアン、ありがとうね。特に、私は卵ーー痛っ……ごめん。そ、それでね、今日起きてみたらおかしかったんだ。」
話を脱線仕掛けたハリーお祖父様が、パティお祖母様の肘鉄を食らっていたわ……。
「あの、おかしいとは?」
ハリーお祖父様に任せておけないと思ったのかパティお祖母様が答える。
「まずね、肌艶が違うのよ。化粧のりがとっても良いの。そして……ウエストが緩いのよ!!ジョアンちゃんのお弁当が美味しくて食べ過ぎたのよ?ドライフルーツも。なのに朝、着替えようとしたら緩いのよ!」
「私は、その……あの……極度にお通じが悪いのに……。出たの………。」
確かにパティお祖母様は、昨日より少しだけスッキリとして見える。
その原因はもちろん、私のドライフルーツ。昨日忘れていたのは、ドライフルーツの効果のことの説明を忘れていた事だったのを思い出す。
「「「「「「あっ……。」」」」」」
「申し訳ありません。説明するのを忘れていました。」
お父様は平謝りで、私がスキルで作ったドライフルーツの効果を説明した。
「まあまあ〜何て素敵な食べ物なのぉ〜。ジョアンちゃん、ありがとうねぇ〜。ここ何年か痩せられなくて困っていたのよぉ〜。」
「私も、本当にありがとう。朝からこんなにスッキリなんて久しぶりなのよ。」
「そ、それは良かったです。も、もし良かったら追加でーー」
「「是非!!」」
「……はい。」
そしてバリスト家の3人は、嵐のように帰って行った……。
やっぱり《報・連・相》は大事なことだと、私とお父様は思った。
*****
ーーーアフタヌーンティータイム。
「旦那様、あの方からのお返事が届きました。」
「……早かったな。アイツ、暇なのか?」
そう言いながら、お父様はグレイから手紙を受け取る。手紙を確認した後、その手紙をお祖父様に渡す。
「はぁー、やっぱり連れて来いと。いつでも調整するから、こちらの良い日でと。やっぱり、アイツ暇なんだな。」
「わっははは。ここまでなったからには仕方あるまい。まあ、あちらも奥方様のことがあるから、会ってみたいのじゃろう。マーガレットと赤子はワシらが見ておるから、安心して行って来い。」
「はぁー、わかりましたよ。」
「父上、どこかに行かれるのですか?」
ため息ばかりついているお父様に、ノエル兄様が聞く。
「ああ、ちょっと王都にな。あっ、お前達も一緒だぞ。」
「「「えっ!?」」」
「どうしてです?お父様。お仕事の事で行くのではないのですか?」
「いや、ジョアンのことを相談しようと思ってだな。先日話していた、学院の同級生にだ。あちらにもノエルとジーンの年に近い子供が2人いるんだ。2人に会わせたいとも言っている。」
「そっか〜俺と友達になってくれるかな?」
ジーン兄様は前向きねぇ〜。
私は身内以外に相談することが、不安でしょうがないわ……。でも、お父様の幼馴染とも言っていたし、まっ、なんとかなるでしょう。
それよりも初めての王都だわ。どんなところなのかしら?首都ってことよね?やっぱり、こちらより発展しているのかしら?楽しみねぇ〜。
「で、父上、いつ行くのですか?」
「ああ、こちらの予定で良いと言うし。今回はスノーを連れて行かなければならないから、扉で……ん?スノーは入らないか?」
「さすがに、無理じゃろ。」
「じゃあ、馬車で行くか。久々だな、馬車で行くのは。」
「まあ、扉を作ってからは馬車では行かんだろ。」
「確かにそうですね。じゃあ、明日にでも出発するか。グレイ、ナンシー準備を頼む。…とは言っても、王都の屋敷に滞在するから、必要な物はあちらに移動させておいてくれ。」
「「かしこまりました。」」
そっか、スノーちゃんは転移扉を通れないから、馬車で行くのね。ん?でも、飛べるからスノーちゃんだけ飛んで行けば良いんじゃないかしら?
「あの、お父様?スノーちゃんだけ王都まで飛んだらダメなんですか?」
「「「「「あっ!!」」」」」
ああ、皆んな忘れてただけなのね?
「いや、でもスノーは王都の屋敷どころか、王都自体行ったことないじゃん。」
「そっか、ジーン兄様の言う通りでした。」
「いや、でも誰かが騎乗して飛んだら良いんじゃない?」
「でも、ノエル兄様?私が提案してなんですけど、伝説の生き物が飛んで来たら、王都の人ビックリしますよね?」
「あー確かに。……あっ、でも雲隠れの魔道具を使えば良いんじゃないかな?どうです?父上。」
「まあ、出来なくはないだろうが……。誰がスノーに乗るんだ?」
「そりゃあ、飼い主のジョーだろ?」
「ジーン、それは無理だよ。ジョーは王都に行ったことがないもの。」
「あー、そうか。じゃあ、俺がやる!」
「あっ、あの、スノーちゃんは騎乗して飛んだことがないから、まずは練習しなければならないのではないですか?」
「わっははは、ジョアンの言う通りじゃ。まずは、スノーに会いに行くか。」
その後、厩舎に行きスノーに王都に行くことを話した。スノーは飛行練習を快諾し、その結果ノエル兄様が王都に乗って行くことになった。飛びたがったジーン兄様は、スノーちゃんに乗り方が雑!と言われて、ショックを受けていた。
念のため、夜に王都に向かうことになりノエル兄様とスノーちゃんは明日の夜出発、私とお父様、ジーン兄様は明後日の朝に転移扉で王都に行くことになった。