軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

問題いろいろ①〜レフィトside〜

何だ、あいつ……。

オレがカミレと一生一緒にいるのは確定事項なのに、何言ってるんだか。

相手にするのも嫌だけど、もう二度とカミレに近づけないようにしないとだよねぇ。

「……言い過ぎちゃったかな」

「そんなことないよ。かっこよかったよぉ」

すっごく邪魔だし、カミレのことを名前で呼ぶとか許せないけど、それでもかっこいいカミレが見られたという点だけで言えば、フィラフも良い仕事したよなぁ……。

「うーん。ずっと腹が立ってたとはいえ、子ども相手に大人げなかったから、次会った時に謝るよ。相手はレフィトの弟だしね」

「子どもって、一つしか年齢は変わらないし、話したことが片手にも満たないような弟だよぉ?」

「それでも、レフィトの家族だしね」

「……オレにとっては、必要のないものだけどねぇ」

それでも、気にする必要あるのかな?

捨てられるものなら、捨ててしまいたいくらいなのに。

どうして? とカミレを見れば、少し困ったように微笑まれた。

「レフィトにとってはいらなくても、フィラフくんにとってはいるものかもしれないでしょ? それに……」

「それに?」

言い淀んだカミレの言葉を促すけれど、なかなかカミレは口を開かない。

「続き、何を言おうとしたのぉ?」

「いや、私が口を挟むのもどうかと思って……」

「口を挟まれたいって言ったら?」

わざとキョトンとした顔で、首を傾げて見せる。

そうすれば、カミレは視線を逸らした。

「レフィトが家族とその、あまり上手くいってないのは知ってるんだけどね……」

「遠慮なく仲が悪いって言っていいよぉ」

「いや、言えないからね! とにかく、そういう状況なのは知ってるけど、それでも恩恵を受けてる部分はあって、ルドネス侯爵家が雇っているアンみたいにレフィトを心配している人もいて、必要ないって言うのもなぁ……と、ちょっと思ったからさ」

「……たしかに、カミレの言う通りルドネス家という名前とか、親父が騎士団長だとか、そういうものの恩恵は受けてるかぁ。アンに心配かけてる自覚もあるし。けど、やっぱり不要なんだよぉ。なかったらなかったで、困らないからねぇ」

そう言って笑えば、カミレは眉を下げてしまう。

だけど、オレの何がいけなかったのか分からない。

「オレに必要なのは、カミレだけだからさ。他はいつでも捨てられるし、いらないんだよ」

やっと手に入れたたった一つ。それを守れなければ意味なんてないし、その他を守ろうとして大切なものが守れなくなったら、何の意味もない。ただ──。

「それでも、地位はあると便利なのはたしかだよねぇ。しがらみは多いけど、その力で守れることもあるわけだし。あるならあるで利用しない手はないからねぇ」

「それは言えてる……」

「でしょぉ?」

「うん。私もその恩恵にあずかってるところがあるからさ、やっぱりレフィトの家族を 無碍(むげ) にはできないんだよね」

あー、そうきたかぁ。

カミレらしいとしか言いようがないよなぁ。

「無碍にしてくれるとオレとしては気が楽なんだけど」

「個人的に思うところはあるけど、それはそれ、これはこれだからね」

「えー、 一纏(ひとまと) めにしちゃおうよ。次からフィラフが来ても相手しなくていいってぇ。それより、個人的に思うことって、何?」

そう聞くと、カミレは意味深ににっこりと笑う。

「ないしょ」

「えっ! 何で? 教えてよ」

「だって、レフィト分かってるでしょ? だから、わざわざ教えてあげません」

「カミレの口から聞きたいんだってぇ」

くすくすと楽しそうにカミレは笑いながらも、首を横に振る。

さっきフィラフと会った時、カミレは珍しく攻撃的だった。個人的に思うところはそこなのだろう。

「お願いっ! 教えてください!」

「駄目でーす」

手をパンっと合わせてみせれば、 カミレは手でバツを作る。

そんな姿が可愛くてギュッと抱きしめれば、カミレはオレの腕の中でもぞもぞと動いて背中に手を回してくれる。

オレの幸せも大切も、腕の中におさまるくらいでちょうどいいんだ。

誰にも取られないように、抱きしめられないと安心できないから。

だけど、カミレの幸せはオレの腕には収まりきらない。

「ね、レフィト。アザレアちゃん探しに行きたいんだけど」

「それ、今じゃなきゃ駄目?」

「……できたら、早く仲直りしたいなって」

「だよねぇ」

仕方ない、カミレの独占タイムはおしまいかぁ。

あーぁ、カミレが足らない。カミレ不足だよぉ。

でも、あと少しだけ──。

「カミレちゃん、レフィト様」

オレの大事な時間を邪魔する声に、舌打ちをしたくなる。

「ネイエ様っ! とリカルド王子に、カガチさんとカナ様?」

いったいどういう組み合わせ? と言わんばかりの顔でカミレがオレを見る。

だけど、オレだって分からない。

さっきマリアンと会った時、ネイエ嬢とカナ嬢がいないとは思ったけど──。

「変わった組み合わせだねぇ」

「あぁ、今日ついにデフューム様がエスコートに来なかったのよ。アグリオ様もね」

「えっ⁉」

カミレがぎょっとした顔をする。そんなカミレにネイエ嬢はくすくすと笑い、カナ嬢は面白そうにしげしげと見ている。

「当日にいきなりそんなことされて困っていたら、リカルド様とカガチ様が助けてくれたのよ」

「僕たち婚約者いないから、エスコートしても問題ないしね」

「いや、人様の婚約者を親類でもないのにエスコートするのは問題が……」

「じゃあ、カガチは困っているネイエ嬢とカナ嬢を放っておけっていうのかな?」

「そうじゃなくてですね……」

あー、なるほどぉ。カガチは巻き込まれたのかぁ。

馬鹿だなぁ。リカルドを見かけたら逃げないと。リカルドは面倒なことばかり持ってくるんだからさ。

「ま、今回のことは両親に報告するし、しばらくはマリアン様の腰巾着をしている場合じゃなくなるんじゃないかしら」

「そうだな。あたしは、先の尖ったピンヒールを新調するとしよう。あの馬鹿を調教しないといけないからね」

カナ嬢の言葉に、そう言えばログロス、すごい勢いでヒールで蹴られてたな……と、サーカスデートの日のことをふっと思い出す。

昔は素手だったけど、ログロスが無駄にでかくなったから、 凶器(ヒール) に変えたんだろうなぁ。