軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第二章 エピローグ 下

第二章 エピローグ 下

喫茶店から場所を移し、途中でコンビニへ寄りつつ小鳥遊さんの家へ。

リビングに集まり、ジュースやお菓子を机に並べる。

「えー。この度は、吾輩の家族を助ける為、皆が共に戦ってくれた事に対し、心から礼をのべたい」

「いえーい!堅苦しいぜロッソん!もっとはっちゃけようぜロッソん!」

「やかましい!貴殿が『どうせだから音頭よろぴく』とか言ったのだろうが!」

なるほど。突然ロッソさんが立ち上がってジュースの入ったコップを構えたから、何事だと思っていたが。璃子先輩の差し金だった様だ。

「おっほん!まあ、兎に角……あれだ。ありがとう、皆」

頬をほんのりと染めて、彼女は呟く様に感謝の言葉を告げた。

恥ずかしそうに視線を彷徨わせる姿は、不思議な事に自分達よりも年下に見える。

「可愛い。ロッソん可愛い」

「はい。今のロッソさんは非常に愛くるしいです」

「だー!もう!乾杯!ほら、乾杯!」

「うぇーい!かんぱーい!」

「乾杯」

「あ、乾杯」

微妙に出遅れてしまったが、自分もコップを軽く掲げる。

向かい側の席で、璃子先輩がぐいっと麦茶を一気飲みした。

「カーッ!やっぱ最初の一杯はこいつに限るぜぇ!」

「ビールちゃうビールちゃう」

「なんでぇい!あーしの酒が飲めねぇってのかい!?」

「飲めませんよ?というか貴女も飲んでいませんよ?貴女が持っているのは麦茶のペットボトルですからね?」

「麦茶カッコ隠語カッコ閉じ」

「やめなさい、マジで」

「はーい」

無駄に意味深な感じにするんじゃありません。

というか、そのネタの為だけに麦茶買ったのかこの人。空になったコップにコーラを注ぎながら、璃子先輩が隣に座るロッソさんへ肩を寄せた。

「んねぇん、ロッソ~ん」

「うわっ、きも」

「あーし、この前の戦いで頑張ったから、ご褒美がほしいの~ん」

「璃子先輩。まずいです。割と真面目に事故レベルで大惨事です。全てが」

「やかましいぞ外野ぁ!あーしの媚び媚びボイスが気色悪いって言ったかこの野郎!」

「はい!」

「元気なお返事100点満点!後で覚えてろよてめぇ!」

すみません。事実だったので。

「ぬぅ。井上璃子の態度に鳥肌が立ったのはさておき」

「え、マジでそういう扱いなの?あーしの媚び声って」

「大きな借りを作ってしまったのも事実だ」

「そのまま話を進めないで?噓でしょ?冗談だよね?美由っちも何か言って?」

スティック状のチョコ菓子を高速でポリポリと食べていた小鳥遊さんが、キリっとした顔で璃子先輩へ向き直る。

「はい。私は璃子先輩の言動を、気持ち悪いとは思いませんでした」

「だよね!だよね!信じていたよ美由っち!」

「ただ原因不明の寒気と吐き気。そして嫌悪感を抱きました」

「もうストレートにきしょいって言われた方が傷浅い気がしてきた」

ドンマイ、璃子先輩。でも二度とあの変な口調するなよ、似非ギャル。

「それで、吾輩は何をすれば良い。あの小芝居を挟んだのだから、何か願いがあるのだろう?」

「おう。慰めてという願いが出そうになったが、初心にかえって元々のお願いをするぜロッソん。あーしの強靭な精神力に感謝するんだな」

「まあ、大抵の事はするが……法に触れる事や、吾輩には不可能な願いはやめてほしい」

「安心してくれ。マジで簡単なお願いだから」

椅子に座り直した璃子先輩が、ニヒルに笑う。

「名前で呼んで。折角だし、この場にいるメンバーは普通に名前で呼び合おうぜ」

「ぬ、ぬぅぅ……」

「え、まさか僕もですか?」

「もちのろんだぜオタク君。美由っちといつまでもお互い名字呼びとか、チームとしての結束感に罅が入るじゃん」

「まあ……いや……うーん」

彼女の言う事には一理ある。の、だが。

チラリと、隣に座る小鳥遊さんへ視線を向ける。

美人は3日で飽きる、なんて言葉があるが、理解出来ない。友人兼仲間の立場として彼女と1カ月以上いるが、未だに顔を直視するとドキドキする。

自分の人生で、これ程の美少女と関わりを持つ日が訪れるとは。思ってもみなかった。

「分かりました。それでしたら、私も名前で呼びます」

あっさりと頷いて、小鳥遊さんがこちらへ向き直る。

「耕太さん。今後は、この様に呼ばせて頂きます」

「……はい」

ただ名前を呼ばれただけなのに、何とも恥ずかしい。そっと目線を逸らしながら、小さく頷く。

なお、正面を向いたらニヤニヤと笑う璃子先輩がいた。殴りたい、この笑顔。

「ほれほれ。オタクく~ん。君は美由っちを何て呼ぶのかにゃ~?教えてほしいにゃ~?」

「くっ、この似非ギャル……!」

「はーはっはっは!効かんなぁ!そんな負け犬の遠吠え、箪笥の角に小指をぶつけた程度の痛みしかないわぁ!」

激痛じゃねーか。人によっては世界を呪うレベルじゃん。

ジッとこちらを見つめてくる小鳥遊さんに、小さく深呼吸をしてから向き直る。

アレだ。こういうのは、変に意識するから緊張してしまうのである。実践してしまえば、案外何ともない……はずだ。たぶん、恐らく、メイビー。

「その……み、美由……さん」

「はい。耕太さん」

「っ……!」

やばい、耳が熱い。

こちらを真っすぐ見つめてくる小鳥遊さ……美由さんと視線を合わせ続ける事が出来ず、すぐに顔を正面に向けた。

そして、無心でスナック菓子を口に放り込む。

「いやー、初々しいねぇ、若者達は」

「貴殿もあの2人と同い年だったと記憶しているが……」

「何を他人事みたいに言っているんだい、ロッソん。今度はお前の番だぁ……!」

何でどこぞの戦闘民族みたいに言ったんだ、この人。

「くっ……!し、仕方あるまい。そういう事であれば、わ、吾輩も覚悟を決めるとしよう……!」

「いや、そこまで思いつめるのは予想外なんだけどね?ただ名前で呼ぶだけだよ?あーし、別にそんな難しいお願いしたつもりはないというか、半分冗談というか」

璃子先輩。言いたい事は分かりますが、いざこういう場で改まって相手の名前を呼ぶとか、普通に恥ずかしいっす。

ロッソさんは大きき深呼吸をした後、璃子先輩の方を見た。

「……璃子」

「おう!」

そして、次に美由さんの方を見る。

「美由」

「はい」

最後に、こちらへと顔を向けた。

くるか、と身構えるが、何故か彼女は唇をもにょもにょとさせるだけで、何も言わない。

どうしたのかと首を傾げていると、ロッソさんの目が『くわっ』と見開かれた。

「若き鬼太!」

「どこのどなたさん?」

キラキラネームにしても何かもっとあったと思うの。

「ロッソん。どうしたよマジで」

「う、うるさい!吾輩にも色々あるのだ!そう、あれだ。異性はな!ちょっと恥ずかしいのだ!」

「え、でもロッソさん。この前は普通に名前で」

「あれは口が滑ったというかだな!咄嗟に出て来たのがソレというだけだ!事故だ事故!」

「ロッソさん。これは部隊の結束を強める為に必要な事かと」

「いやだ!吾輩、サークルブレイクの原因になりたくない!」

なぜここでサークルが崩壊する話に?そもそもサークルじゃなくて冒険者パーティーですが?

言った本人以外意味が分からず、ただただ困惑する。その視線に気づいたのか、ロッソさんはぎゅっと拳を握った。

「ほら、その……恥じらいで、若き鬼を斬ってしまうやも……」

「ブレイクって物理!?」

「あと、こやつは存在が破廉恥であるし」

「理不尽!?破廉恥の意味辞書で調べてきやがれください」

「分かります」

「理解しないで小鳥遊さん!」

「美由です」

「……み、美由しゃん……!」

「あ、噛んだ」

「やかましいぞ似非ギャル!」

「また言ったなてめぇ!」

璃子先輩が机の下で脛を蹴ってくる。地味に痛い。

そんな感じでわーわー騒いでいると、美由さんが手を叩いた。

「ロッソさんが耕太さんの名前を呼ぶかどうかは、また後日として」

「え、吾輩再チャレンジさせられるの?」

「そろそろ、用意していた余興に移ろうと思います」

「あー、アレか」

「ようし!何やる?何して遊ぶ?『松尾レース』?『大乱闘・大江山鬼退治』?『松尾のスカイ牛車』?それともオタク君の1人ツイスターゲーム?」

「最後のはシンプルに虐めでは?」

「最後のは非常に興味がありますが、それらではありません」

「もたないで、そんなものに興味を。やらんからな?絶対にやらんからな?」

「以前松尾レースにて決めた、罰ゲームです」

「うぐぉ」

ロッソさんが、トマトジュースを手にちょっとむせる。

「そういやそれがあったか。よし、やるべやるべ」

「り、璃子。貴様やけに乗り気だな。ああも乙女の尊厳と騒いでいたのに」

「いや。だって交渉の結果、ドジョウ掬いしなくて済んだし」

「はぁ!?ずるいぞ貴様!吾輩だってこの歳で学生の格好とか『死』ぞ!?」

「ふはははは!甘いなロッソん!戦いとは、事前の準備で決まるのだ!」

「お、おのれ卑劣な!ギャルを信用した吾輩が愚かだった……!」

「ごみーんねっ!あーしは美由っちプロデュースのきゃわいい格好でお茶を濁すぜ☆」

「ちくしょぉおおおおおお!……ん?美由、プロデュース?」

「こちらに、金庫を用意しました」

「えっ」

いつの間にか席を立っていたのか、小鳥遊さんが台車にごつい金庫を載せてリビングに戻ってくる。

え、なにそのおよそ『余興』という単語から縁遠い存在。なんなの?暗黒お金持ちがやるデスゲームなの?

「脱いだ衣服は、一旦この中へ入れて頂きます。勿論お帰りの際には返却しますので、ご安心を」

「な、なんかガチ過ぎない、美由っち?」

「いずれ耕太さんにやるので」

「なるほど把握」

「待って?」

いや本当に待って?

もしかしなくとも、美由さん未だに僕の女装コスプレ諦めていないらしい。

当然ながら自分は男だし、体だってごついのだが。見ても全く嬉しくないと思う。

「今回は我々が耕太さんの指定した衣装を着ます。申し訳ありませんが、耕太さんは少しの間廊下でお待ちください」

「あ、うん。分かった」

「しゃーねー。オタク君の趣味に付き合ってあげるとしよう」

「貴女の衣装、僕のチョイスじゃありませんけどね?ドジョウ掬いはどこへ行ったのですか……?」

「やっこさんは死んだよ。良い奴だった」

「ドジョウ掬いの衣装って人格あったんだ……」

「の、覗くでないぞ、若き鬼よ!絶対だぞ!」

「ロッソん。ふりっぽくなってるよ」

「ふりではないぞ!?」

「はいはい」

素直に廊下へ出て、扉から少し離れた位置で暇つぶしにスマホを弄る。

特に意味もなくネットニュースを眺めていると、『ヴァルハラ』の代表が会見を開いた事が話題になっていた。

ズメウの霊的災害に関して、『カラミティ』のせいで銃を魔物が使った事を問題視する発言や、異能者の犯罪に対しては異能者しか対応できないと発言をしたらしい。

『異能者に人権を。平等な社会の為に義務と権利を』

それが彼らのスローガンだそうな。

言っている事は、正しいと思う。だが、代表の発言を細かく見ていくと、どうにも引っかかるものがあった。

異能者主体の組織だから仕方ないとは言え、どうにも異能者に偏った思想が出ている。逆に、非異能者を遠回しに見下している様でもあった。

権利を主張する事は大事だと思うが、折角異能者と非異能者の溝が埋まりそうな空気が出ているのに、そういう事は大声で言わないでほしい。

案の定というか、一部の異能者は『ヴァルハラ』を支持する声を上げ、逆に一部の非異能者からは彼らを危険視する声が上がっている。

魔物の問題があるんだし、今ぐらい仲良く出来ないのか。この人達。

「耕太さん。お待たせしました」

「あ、うん。今行く」

そんな事を考えていると、リビングの扉が僅かに開く。

スマホをしまい部屋に近づくと、璃子先輩達の声が聞こえて来た。

「ちょ、ちょっと待って。マジで?マジでこの格好をオタク君に見せるの?やばくない?その、乙女として」

「いい加減腹をくくれ、璃子。吾輩だって顔から火が出そうだが、あそこまで美由に頼まれては断れん……!」

「うー……!うぬー……!」

……え、マジでどんな格好しているの?

自分がリクエストしたのは、『巫女服』『学生服』『ドジョウ掬い』である。これぐらいの役得は、と思って告げた事だが、そこまで過激な物ではないはずだ。

期待と不安を胸に、そっと扉を開ける。

「し、失礼しまー……」

言葉が、途切れる。

扉を開けた先。そこは、 天界(ヴァルハラ) だった。

「こ、これなら素直に割箸鼻に突っ込むべきだった……!」

璃子先輩が、長い耳の先まで真っ赤になりながら必死にスカートの端を押さえている。

その装いは、チアガールであった。しかし、明らかに丈がおかしい。

褐色の肩や太腿が露出しているのは当たり前。胸元にはハート型の穴が開き、谷間が見えている。その上、下乳がチラリと裾から覗いていた。

見事なくびれに、綺麗なおへそ。そしてその下には、少し動いただけで下着が見えてしまいそうな超ミニなスカート。

通常チアガールはアンスコを履くと聞くが、璃子先輩のリアクションからして、恐らく……。

「美由の野望を聞いた段階で、分かっていた事だろう。璃子、それは貴様の選択だ」

ロッソさんが決め顔でそんな事を言っているが、普段の白過ぎる肌はどこへやら。ビックリする程顔を真っ赤にしていた。

彼女が纏っているのは、確かに女子高生っぽい制服である。

白いカッターシャツに、緩く結んだピンク色のリボンタイ。もうすぐ衣替えの時期だというのに、薄茶色のカーディガンを着ていた。

厚着なのだが、柔らかな生地が彼女の巨乳の曲線を強調している様にも思える。

そして、下半身は逆に薄着……というか、こちらのスカートもやたら短い。

紺色に白い格子模様のスカートからは、惜しげもなく真っ白な太腿が露出していた。ふくらはぎの半ばからは、何故かルーズソックスを履いている。

アレだ。凄く申し訳ないが、叡智な本で見るギャルとしか言いようがない。

「お二人とも、ご協力ありがとうございます」

そう、淡々と告げる小鳥遊さん。彼女の格好が、ある意味1番やばい。

もしも彼女が着ている服を『巫女服』などとのたまったら、全国の神社が助走をつけて殴り掛かってくるのは間違いないだろう。

ふわりと広がった、手首まで覆う白い袖。膝丈に改造された、赤い袴。

そしてどう見ても白いスリングショット水着な胴体。

うん。白くて華奢な肩や二の腕が見えている事も。袴の左右にある穴から太腿の付け根が見えている事も一旦置いておこう。普段なら無理だが、今は無視だ。

おっっっぱいが、でっっっかい……!

どたぷん、と。擬音が付きそうな大質量。他2人も十分に大きいというのに、なお圧倒する存在感。

『魔装』の時の様に長い黒髪はポニーテールに纏められ、彼女の美貌は厳かさすら感じる無表情だ。

だからこそ、その首から下の破壊力が増す。

彼女の白い肌に負けない、清純な白い布地。しかし、その面積は極めて少ない。柔らかそうな爆乳に食い込んだそれは、ほんの少し横へズレたら頂きが覗いてしまうだろう。

深く長い谷間が、上から下まで丸見えであった。それでいて、横乳の丸みまで当然の様に露出している。

綺麗なくびれや、薄っすら浮かんだ腹筋の線。汚れ1つない、小さく縦型のおへそ。えぐい角度で水着の下部は袴に向かっており、あの下がとんでもない事になっていると告げていた。

これで神職を名乗ろうものなら、いかがわしい儀式の直前としか思えない。

3人の艶姿に思考が停止する自分に、小鳥遊さんが無表情のままサムズアップしてくる。それだけの動作で、彼女の爆乳が『たゆん』と揺れた。その拍子に、霊峰の頂上が見えそうになる。

「我々が着た衣装は、全て未来の……並行世界の貴方が着ていたものです。後日、耕太さんには再び対戦を」

「小鳥遊さん」

「はい?」

そっと、右手を突き出しながら。

前傾姿勢になりつつ、足首だけを使って後退する。

「なぜ名字呼びを?」

「一旦……一旦、僕は退室するので、その間に全員元の格好に着替えてください」

「もうですか?私は耕太さんに勝った場合、最低でも2時間はこういった格好をしてもらうつもりですが」

「あの、もう何でも良いんで。時間を、時間をください」

目を下に向けるか、瞼を閉じるべきなのだろう。しかし、それが出来ない。

羞恥でプルプルとしながら、スカートの裾を引っ張った結果谷間を強調している璃子先輩。

開き直っている様に見えて、こちらも顔が真っ赤な巨乳の曲線と太腿が眩しいロッソさん。

そして、もはや説明不要なスケベの無敵艦隊であらせられる、美由さん。

彼女らの間でしか、視線が動かなくなっている。完全に眼球が自分の制御下を離れていた。

このままそれ以外の機能まで暴走する前に撤退すべきと、理性が全力で訴えている。

「はあ。それより、なぜ前屈みに?どこか具合が……?」

「美由よ。その……それに関しては、触れないでやってくれ……」

「美由っち。オタク君を行かせてやって。というかあーしに着替えさせて……!」

他2人の援護……援護?恐らく援護を受け、後退しながら扉を閉めようとする。

「分かりました。理由は分かりませんが、着替えましょう。耕太さんは、また廊下でお待ちください」

「うん……あの、瞑想しているから。ゆっくり着替えてね……?」

「なぜこのタイミングで瞑想を?」

「もしくは外で叫んでくるから」

「本当になぜ……?幾ら付近に民家は少ないと言っても、近所迷惑では?」

「分かった。じゃあ、瞑想に専念する。だから……だから、そっとしておいてください」

そう告げて、なけなしの理性を振り絞って扉を閉めた。

くるりとリビングに背を向け、数メートル移動し、廊下へ胡坐で座り込んだ。

イメージするのは、ウールヴへジンとスコルピア。奴らとの死闘。もしも次戦うのなら、どの様に立ち回るのか。

瞑想というより、イメトレに近い。だが、思考を強引にでも戦闘時のそれへ持っていく。

そうしなければならない理由は……他人には絶対に言えない。たとえ、璃子先輩やロッソさんからはバレバレだったとしても……!

強敵達よ……僕に力を貸してくれ……!

これは────社会的な命を守る為の、戦いである。

* * *

その後、微妙な空気になりつつも元の格好に戻った彼女らとパーティーを楽しんだ。

罰ゲームなしのゲームでわいわいと騒いでいる内に、普段の雰囲気に戻れたのは僥倖であろう。

1時間ぐらい遊んだ後、解散となった。璃子先輩はロッソさんがバイクで送るらしい。

そんなわけで、自分は家へと帰った。

自室に辿り着き、盛大なため息をついた瞬間。美由さんからメールがくる。

『私が勝利した暁には、写真撮影をさせてください』

そんな文章が送られてきた。

例の破廉恥巫女服を着た彼女の写真と、ともに。

……え、もしかしてだけど。僕って負けた場合あんな服着せられるの?

即座に写真を保存しオフラインの媒体に移す準備をしながら、誓う。

美由さんとは、今後絶対に罰ゲーム有りの勝負をしてはならない……と。

アレ、何でだろう。悪寒が止まらねぇや。