軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第四十六話 ロッソさんの普段について

第四十六話 ロッソさんの普段について

「そう言えばさー」

2戦目が始まった所で、璃子先輩がそう切り出す。

「なんだ。今、吾輩もこの遊戯に集中しているのだが」

「いや。だってあーしは罰ゲーム確定だし」

「ん~、貴様ぁ……」

呆れが多分に混じった、ロッソさんの声が聞こえてくる。

気持ちは分かるが、止めない。何となく、璃子先輩の意図が読めた。

わざと彼女らへの攻撃をやめ、適当にNPCへの妨害でお茶を濁す。

「なんでロッソんってオタク君だけ名前呼びじゃないん?いや、あーしらに対するフルネームもおかしいけども」

「……貴殿も若き鬼を名前で呼んでおらんだろう」

「オタク君はオタク君だぞ☆たっぷり優しくしてやるからなぁ……!」

あ、なんか寒気が。

そうか……これが欲求のサンドバッグにされる感覚かぁ……ちょっと恐い。

「しかしなぁ。ダンピールとヴァンピーラの違いも分からん小僧だしなぁ」

「まあまあ。人間、一生学び続けるもんだよ。大目に見てやろうや」

「やかましいですね……!」

まだそのネタ引きずるんかい。オタクにだってジャンルがあるんだよ専門の……!

……いやそもそも僕はまだ、自分がオタクとは認めていませんが!?

出会って早々に、非常に簡単な質問に答えただけでオタク認定されただけである。

「で、実際の所理由とかあるん?」

「……いや、その」

少しだけ振り返ると、ロッソさんが少し頬を赤くしながら視線を彷徨わせていた。

「……い、異性の名前を呼ぶのとか、恥ずかしいし……」

……気持ちは、本当に痛い程分かる……。

「乙女か!?」

「う、うるさい!乙女で悪いか!?魔界貴族だって、その、あれだ!貴族だからこそ貞操は大事なのである!」

その辺は触れないであげて、璃子先輩。いやマジで。

「つうかあーしらがフルネームな理由は!?」

「だって……友達をどういう風に呼んで良いか、分からないし」

分かる……最初に名字+君づけで呼んでいたら、それ以降変えるタイミング見失うよね。

「え、いや別に友達相手だしその場のノリで呼び方変えればよくね?」

この似非ギャル、本物のギャルみたいな事を……!?

あ、やばい。動揺でコーナリングミスった。コースアウトし、川に突っ込んだ後安倍晴明の式神に元のコースへ戻される。

「でぇい!吾輩の勝手だろうが!細かい事を気にするでない!」

「へーへー。てか、わりとロッソんってなんちゃって貴族だよな……家とかどうなん?和風?洋風?」

「どうでもよかろう……元々はまあ、普通の和風建築だったが、吾輩が小学生の頃にリフォームしたな」

「はへー。やっぱあれ、畳とかは残してるん?」

「少しだがな。あとはまあ、障子もカーテン代わりに使っている」

「……やっぱ貴族っぽくねぇな!普通!せめて平安貴族っぽくあれや!」

「和洋折衷と言え!和洋折衷と!」

璃子先輩の狙いは明白だ。ロッソさんの情報収集である。

彼女の事を未だ疑っているのではなく、完全な白確したいがゆえの質問だ。

何だかんだ、頼りになる先輩冒険者である。……数日違いだが。

「てか、お袋さんと2人暮らしだっけ?これ聞いて良いか分からんけど、その服装とか何も言われんの?洗濯めっちゃ大変そうだけど」

確かに。ゴスロリ衣装とか、むしろどうやって洗濯するのだろう。

まああの人も常にゴスロリというわけではなく、ライダースーツでバイクに乗り、目的地についた後わざわざゴテゴテしたのに着替えている様だが。

「家では洗っておらん。クリーニング屋に頼んでいる」

「マ?けっこうお金もち~」

「『回帰の日』前までは、変動せし黄金の大河を眺めておったからな。それが出来る程度の蓄えはある。デイウォーカーである身でも、わざわざ日の下に出ずとも良いのは、現代文明の利点だな」

「なんて?」

「恐らく、株取引の事かと」

「ああ、なるほど。流石だぜオタク君!」

「いえ」

「まるで中二病博士だな!」

「黙れ」

いや本当に。僕らの年頃の異能者なら絶対になるんですよ、1回は。かなり重めの厨二期に。

てか、ロッソさんの厨二言語とか初級だろう。厨二未経験者でもたぶん分かるぞ。

「もっとも、『回帰の日』以降はそれも止めたがな。変動が激し過ぎる。早々に切り上げたわ」

「あー……」

『回帰の日』に、世界の常識は変わった。その数カ月後には霊的災害やら、不老長寿の霊薬やら色々と出て来たのである。

当然の様に、株価は乱高下した。……らしい。テレビでそう言っていただけで、株の事とか良く分からんけど。

「吾輩の貯蔵する財貨も、無限ではない。何より王者たる者、この力を民草の為に振るってやるのも使命と言えよう。それゆえ、迷宮に潜り未知を探る者……冒険者になったのだ」

「なるへそ~。そう言えば、なんでうちのクランに?あーし達はロッソんが来てくれて嬉しかったけど、ちょいロッソんの家からは遠いんじゃね?オタク君達が、ロッソんがライカンスロープの霊的災害で避難所守っていたーって言っていたし」

「別に、現代の機器を使えばそう遠くはない。それに……」

「それに?」

「……普通のクランでは、吾輩はちと馴染めぬ気がしてな。まあ、うん……ネット上で、『色物集団』『性癖の押し付け』『不審者の巣窟』『法律の敗北』と呼ばれるクランなら、大丈夫かと……」

「えっ……えっ?」

「マジかぁ……」

思わず背後を二度見する。ロッソさんは非常に気まずそうな顔で目を逸らしており、璃子先輩は遠い目をしていた。

小鳥遊さんだけゲームに集中している。おい未来人。あの厨二ダンピールを一番警戒していた貴女はどこへ行ってしまったのですか。

「……今度、お祖母ちゃんに何かプレゼントするわ。ストレス発散できそうなの」

「そうですね。僕も、何か考えておきます……」

「うむ……優しくしてやると良い……」

よもや、マスターも自分の店が拠点のクランがそんな風に呼ばれているとは思うまい。

というか、よくその評判でロッソさん『アルフ』へ来る気になったな。

「しかし、吾輩の予想を超える色物クランであるのも事実である。なんだ、奉仕暴走性転換メイドに、変態画家、着ぐるみの自称ゆるキャラって」

「安心しなロッソん。中途半端に和風な家に住んでいる自称魔界貴族も大概だから」

自称オタクに優しいギャルがなんか言っておる。

「やかましい!良いだろう、カーテンの代わりに障子を使っていても!」

「えー。というか障子って、影とか見えちゃうイメージなんだけど。破れるし」

「道路からは見えん位置にあるから問題ないわ。それに、破れてもカーテン変わりだ。向こう側に窓があるので、防犯上大して問題ない」

障子か……小さい頃に行った祖父母の家には、たしかあったな。

祖父母が亡くなって、そこは今親戚が住んでいるし、ここ数年は行った事ないからうろ覚えだが。

小さい頃、夜中に障子の向こうにお化けが見えるかもと、恐がっていたっけ。

……んん?

今、何か浮かびかけた気がする。思い出とか、ロッソさんの事とか関係ない。

ずっと悩んでいる、『未来』に関する事だ。

……魔物は、普通の人の目には見えない。そもそも魔力を帯びた物品でなければ干渉が……いや。

逆に、魔力さえ帯びた物を使えば非異能者でも干渉出来るのだから────。

「あっ」

考え事をしている間に、レースが終わったらしい。自分の操作するキャラの牛車が、ゴールする。

全体順位は3位。上にはNPCが2体いる。

そして。

「ん?あ、ぬあああああ!?」

ロッソさんの絶叫が聞こえて来た。

「いつの間にか吾輩最下位ではないかぁ!?い、井上璃子!貴様、なぜそんな先に!」

「ごっめん。さっき無敵アイテム出て強引にショトカしたんだわ」

「おのれ!まさか、ああも質問攻めしてきたのは……」

「違うぞ☆ただ大切なお友達の事を知りたかっただけだぞ☆」

「嘘をつけぇえええ!」

どうやら、璃子先輩はそういう方向で誤魔化す事にしたらしい。

少なくとも、ロッソさんは完全に自身を最下位にさせる罠だったと考えた様だ。半泣きになりながら、最下位でゴールする。

「お、おにょ……おにょれぇ~……!」

「まあまあ、ロッソん」

ポン、と。璃子先輩が無駄に爽やかな笑みを浮かべ、ロッソさんの肩を叩く。

「同じ苦しみを味わうのも、友情だぜ☆」

「友に同じ辱めを受けさせんという、心はないのか!?」

「魔が差しちまったぜ☆」

「貴様ぁああ!」

まあ、ロッソさんには特に恨みがないので、自分にとってもこれは予想外なのだけれど。

しかし、やはり彼女は普通の人に思える。厨二な事以外は。

であれば、どう考えても白確だろう。きっと、あの避難所の防衛で彼女が魔性に堕ちるのは回避できたのだ。

安心出来た事だし、今はレースに集中しよう。絶対に最下位にはなれない。自分の、尊厳が懸かっているのだから……!

「2人とも」

凛とした声が、聞こえてくる。

視線をそちらに向ければ、全身スケベのテーマパーク……もとい、小鳥遊さんが真剣な面持ちでコントローラーを握っていた。

3人の瞳が向けられる中、彼女は一瞬だけ目をつぶった後。

「最後のレース。どうか、私に力を貸してください」

そう、願いを告げた。

「どうしても、私は矢広さんに勝ちたい。勝って、『夢』を叶えたい。ですからどうか……力を貸してください」

そう告げて、小鳥遊さんはコントローラーを机に置くと、璃子先輩達に向き直って深々と頭を下げた。

長く綺麗な彼女の黒髪が、はらりと重力に引かれて流れる。黒曜石の滝とでも言うべき長髪で、小鳥遊さんの表情は見えない。

だが、その瞳が……きっとこの世の誰よりも真剣な光を放っている事は、明らかだった。

「……しゃーねーなー」

ぽきぽきと、璃子先輩が指を伸ばす。

「可愛い後輩ちゃんの頼みだ。元々全力だったけど……限界のその先ってやつを、見せてやんよ」

そして、パチンと可憐なウインクをする。

「先輩として、ね」

「ふん」

その隣で、ロッソさんが豊かな胸の下で腕を組む。

「王者であるこの身に、大願の成就を願うか。実に、ありきたりな事だ。民草のあるべき姿の1つとも言えよう。それゆえに、吾輩の心は動かない。……だが」

一度閉じられたその瞳が開かれ、彼女の口元が楽しそうに弧を描く。

「友の頼みであれば、仕方があるまい。吾輩も……全力以上で、駆け抜けるとしよう」

「2人とも……!」

顔を上げる、小鳥遊さん。彼女の瞳が、いつもより煌めいている気がした。

「ありがとう、ございます……!」

いや、これ人に無理矢理女装コスプレさせようとしているだけだよね?

そんな、3人だけが何やら熱く友情を燃やし、1人こと自分だけ『スン……』となりながら第3レースが始まった。

「うおおおおおお!」

「そこだぁあああ!」

「おっと」

開幕から、璃子先輩とロッソさんがこちらに牛車をぶつけようとしてくる。

「分かっているな、井上璃子!」

「おうよ!美由っちの援護をしつつ、あーしらも最下位は回避する!じゃなきゃ、完全勝利とは言えねぇ!」

「ああ!目指すは……完膚なきまでのハッピーエンドだ!」

ホビーアニメかな?

どんどんNPCが操作する牛車に抜かれていく。だが、ルール上重要なのは自分達の順位だけ。

そしてこのゲームは、順位が低い者ほど強力なアイテムが籠から出てき易い。全員が下位を走っているという事は、強いアイテムの殴り合いとなる。

え?やっぱどう考えてもマリ●カート?違うし知らねぇって言ってんだろ。勘弁してくださいお願いします。

ああ、窓に!窓に!なんか京都に本社がありそうな企業が!

そんなこんなで、レースは進む。

自分達は下位集団で固まっているが、やはり初心者だけあって小鳥遊さんが最後尾を走っている様だ。

画面端に映るミニマップを見るに、既にNPC達とはかなりの差が出来ている。だが、だからこそ一発逆転のアイテムがコース上の籠から出てくるはずだ。

あとは、誰がどのタイミングでそれを出すか……。

「前へは行かせないぜ、オタク君!」

「貴殿はここで沈むのだ!永久に!」

牛糞を乱れ撃ちしてくる2人。だが、当たってやる義理はない。画面内にいる一般通過牛車達を盾にして、彼女らの妨害を捌く。

そして、わざとブレーキ。璃子先輩達が、自分の前に出た。

「よし!このまま牽制するぞ!」

「っ……!待ったロッソん!これは罠だ!」

何度でも言おう。順位が下の方が、強いアイテムが良く出るのだ。

……いや、実際には言っていないんだけどね?別に。ホビーアニメじゃあるまいし、毎回解説とか口に出さねぇのよ。

そんなわけで、一時的に無敵となれる『頼光の星兜』を入手。タイミングを見計らって使用する。

「くっ、しまった!」

「あーしらの妨害でオタク君は止められねぇ!美由っちが……!」

「問題ありません。お二人は先に」

小鳥遊さんの冷静な声が聞こえてくる。

「でも!」

「大丈夫です。私は……ここから、矢広さんを抜けます」

最終直線が見えて来た。『星兜』を使用し、無敵状態となって妨害を防ぐ。効果時間が切れる前に、ゴール出来るはずだ。

「……そうか!美由っち、あのアイテムをゲットしたんだね!」

「はい」

チラリとソファーの方を振り返れば、彼女の瞳には気高き闘志が宿っていた。

アレは、最後の賭けに挑む……戦士の瞳!

……今するもんじゃねぇな!

「牛鬼か……!ここでそれを手にするとは、大した女よ!」

『牛鬼』。それは、このゲームで最強のアイテム。

一時的に無敵と尋常ならざる加速を与えると共に、牛車を巨大化させた状態で道のど真ん中を走って行く。

無敵中の自分でも、車体重量差で弾かれかねない。

「いっけぇえええええ!」

「進め……小鳥遊美由!」

「『牛鬼』……起動!」

……え、これ僕もなんか叫んだ方が良いやつ?

未来視の魔眼は何も答えてくれない。コミュ力は、授けてくれんと言うのか……。

「……あの、美由っち?」

最終直線に入りながら、璃子先輩が気まずそうに尋ねる。

「あーしの見えているミニマップで、美由っちの牛車が進んでいないんだけど。ラグ?」

「奇遇だな。吾輩のミニマップでも動いておらん」

「僕のもですね」

そっと、3人で小鳥遊さんの方を見る。

彼女は、凛とした面持ちで正面を向いていた。

「────民家に引っかかりました」

『牛鬼』。それは強力なアイテムだが、偶に大きさと過度な加速が仇となるアイテムである。

「あ、それはそれとして。当て逃げしますね」

「う、うおおおお!?」

「なんとぉおおお!?」

無敵状態で残していた加速アイテムを使い、璃子先輩とロッソさんの牛車にぶつかっていく。

レース全体では上にNPCが複数いるが、4人の中では1位でゴールした。

最下位は盛大に事故った、小鳥遊さんである。まさかの、同盟組んだ3人がそれぞれ1回ずつビリになった。

ゆっくりと、ソファーに座る3人こと3バカに振り返った。

「3対1で負けて恥ずかしくないんですか!?」

ちょっとぐらい煽っても、許されると思うの。

そう、この胸に溢れる、孤独感を癒す為にも……ボッチじゃねぇし。『†孤高†』の体験会に来ただけだし。

……『†孤高†』の体験会って何だよ。もう分けわかんねぇよ。

「ちくしょう……ちくしょう……」

「これが、敗北か……」

「申し訳ありません、2人とも」

「いいさ、美由っち……次は勝とうぜ!」

「ああ……全ての敗北は、次の勝利への布石なのだ。小鳥遊美由よ」

何か、あっちだけ絆が強まっている気がする。

リアルで牛糞投げつけてやろうか。調達のアテはないけども。

「それはそうと、矢広さん」

「うっす。なんすか。あっしみたいな日陰者に、なんか御用っすか」

「オタク君がめっちゃ卑屈になってる……」

「正直すまんかった」

「いいんすよ。別に。へへ、慣れてやすから……」

泣いてなんかねぇし?別に寂しくなんかねぇし?

必死に目から溢れ出す汗を堪えていると、小鳥遊さんがコテン、と首を傾げた。

「私達はどの様な格好をすれば?決定権は矢広さんにありますので」

「あー……」

そう言えばそうだっけ。

尊厳の危機に必死で、すっかり忘れていた。

しかし、あまり過激なコスプレを要求する気もない。ここで欲望のままに『ぐへへへ!バニー!生き恥ウェディング!ビキニアーマー!』とか言ったら、今後の人間関係に支障が出る。

ここは、当たり障りのない物にしておくか。

「そもそも、小鳥遊さんの家にどんなのがあるか、僕もよく知らないんだけど」

「恐らく、大抵のものはあるかと」

「じゃあ、小鳥遊さんは巫女服とか?」

「分かりました」

勝ちは勝ちである。露出は低いが、眼福ではありそうなのをチョイスした。

「んで、ロッソさんは……学校の制服?」

「なぁ!?わ、吾輩に若者の服を着ろと!?年齢的にまずくないか!?」

いや、罰ゲームだし。何よりロッソさんの見た目は大学生で通じる。そう、『うわ、キツ』な事にはならないだろう。

それこそ、アラサーの人が女子高生のふりとかしていたら、キツイ通り越して哀れみすらあるが。

まあ、そんな可哀そうな人に、普通に生きていたら遭遇しないだろうけど。

「そんで……」

「くっ……!まずい。あーしの魅力にやられたオタク君が暴走してしまう!エッチなのは、駄目だぞ、オタク君!」

「……ドジョウすくいのオッサンのコスプレとか?」

「急に路線違くない!?そこはせめて可愛いの選ぼう!?他2人みたいに!」

「いや、似合うかなって」

「ぶん殴るぞてめぇ!?」

もうそういうポジションかなって。この似非ギャル。

眼福じゃないけど、ネタにはなると思う。

「じゃあ何なら良いんですか。もう1つの候補は 肉襦袢(にくじゅばん) 着て、お相撲さんのコスプレですけど」

「なぜギャグ方面に走る!?あーし美少女ぞ!?しかもスタイル抜群ぞ!?」

「人格」

「ひでぇ!?」

「肉襦袢ですか……流石になかったかと」

「あー、じゃあやっぱ割箸とザル、あと手ぬぐいあればいけるドジョウすくいで」

「待って!?それは別の意味で乙女の尊厳が!」

「……あるんですか?」

「あるわ!?君マジで失礼だぞこんちくしょう!?」

────ぎぃぃ……。

そこで、リビングの扉がゆっくりと開かれた。

現れたのは、我らがクランマスター。その左手にはお菓子とジュースの入ったコップが載った、お盆が。

そして、右手にはよく使いこまれたフライパンが握られている。

「皆……私、言ったよね?静かに遊んでね、て」

ニッコリと、いつもの様に笑みを浮かべるマスター。

だというのに、気づけば全員その場で正座していた。

「少し……お話しを、しようか」

この後、滅茶苦茶お説教された。