軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

獣人族の男の子たちの学園生活 探索

ダンジョンと呼ばれる場所には大きく三つの種類がある。

ただの洞窟。

魔物や魔獣が作った巣。

そして遺跡。

ただの洞窟や魔物や魔獣が作った巣は、そこを寝床にしている魔物や魔獣に収集癖があるなら別だが、金目の物は基本的にない。

遺跡は、昔の武具や道具に期待できるし、現金がそのままあったりする。

冒険者がダンジョンに行くと言う時は、基本的に遺跡のことだ。

今回、北の森で見つかったのはただの洞窟だったのだが、その奥で遺跡にぶつかった。

これまで発見されていない遺跡だったので、王都の冒険者チームが二十組ほどアタック。

遺跡に入った直後に多数の罠に遭遇し、まだ死者は出ていないが怪我人が続出、奥には進めていない。

そういった話を聞きながら、北の森のダンジョンの中を進むと広場にぶつかる。

そこには三十ほどのテントが建てられており、活気があった。

「他の冒険者たち?」

「半分はな。

もう半分は商人。

色々と売ってるぞ。

値段は高いけど」

「高いのに買うやつがいるのか?」

「売れないなら商人はさっさと帰ってるよ」

なるほど。

「さて、思ったより時間が掛かってしまったな」

王都を出発したのは昼過ぎだったが、ダンジョンに潜り始めた頃は日暮れが近かった。

「ダンジョン探索に太陽の位置は関係ないんだけどな。

まあ、体調面の心配もあるし、今日はここで一泊だ」

コークスはそう言って、テントの一つにお邪魔する。

他のメンバーは別の場所に向かうようだ。

僕はコークスの後を追った。

「冒険者ギルドにようこそ」

テントの中では、立派な机と受付のお姉さんが出迎えてくれた。

「ここはギルドの出張所だ」

「ダンジョンに潜る登録か?

王都でやっただろ?」

「情報収集だよ。

“ミアガルドの斧”のコークスだ。

何か新しい情報はあるか?」

「二日前、“ 若草色(ブライトグリーン) ”が北側から魔道具を持ち帰ってきたので、今はそちらが人気のようです」

「“若草色”……リーバーのところか。

上手くやりやがったな。

南側は?」

「十日前から変化はありません。

やはり、例の場所を突破できないようで」

「わかった。

明日、俺たちはその南側に向かう。

なにかあったら頼む」

「承知しましたが……南側に行くのは、ブロン様がいるからですか?」

受付のお姉さんが僕をみる。

「ああ」

「学園には?」

「ちゃんと連絡しているよ。

他になにか?」

「いえ、ありません。

無事な冒険を。

トラブルの際は、できるだけ冒険者ギルドを巻き込まないようにお願いします」

「ははは」

コークスは笑っているが、冒険者ギルドは今の応対でいいのだろうか?

冒険者ギルドの出張所テントを出たあと、コークスは少し離れた大きなテントに向かう。

「待ってたぜ」

そこには“ミアガルドの斧”のメンバーがいた。

だから宿屋かと思ったが違った。

“ミアガルドの斧”のメンバーが管理している宿泊用のテントだそうだ。

「良い場所は奪い合いになるからな。

メンバーが交代でここで寝泊りしている」

「なるほど。

しかし、ここにメンバーがいるなら、出張所で情報収集する必要はないんじゃないのか?」

「ここで寝泊りしているメンバーが、情報に耳を向けているなら必要ないんだけどな」

なるほど。

情報に耳を向けていないのね。

「じゃあ、ここで何をやっているんだ?」

「他のチームに入って手伝いとかだな」

「へー」

「とりあえず、初顔合わせもいるだろうから自己紹介だ。

おーい、この小さいのが学者ブロンだ。

よろしくなー」

「え?

なんだ、その学者ってのは?」

「知らないのか?

料理長ゴール、女たらしシール、学者ブロンで有名だぞ。

お前ら」

「…………え?」

衝撃過ぎて、初顔合わせの数人から挨拶されたけど頭に入らなかった。

翌朝。

もう一回メンバーを確認。

“ミアガルドの斧”は、コークスを含めて十人が参加。

ただ、四人はこのテントに残ってサポートに回る。

なので探索するのは僕と“ミアガルドの斧”の六人。

「コークス。

南側って言ってたけど、なにかあるのか?」

「ああ、開かずの扉にちょっとした謎かけがあってな。

何人も挑戦したが、誰も進めない」

「謎かけ?

それだと、僕が行ってもどうにもならないんじゃないか?」

昨日、南側に行く根拠が僕だとか言っていたが?

「学園の教師だろ?」

「……教師にも色々あるから」

教師って言葉に理想を持たれすぎても困る。

まあ、どんなものか見てからだな。

謎かけは解けなかった。

謎かけじゃなかったから。

あったのは、扉の開閉に関する説明。

しかも、普通の手順で開かないときの緊急開閉方法まで丁寧に書いてある。

「さすがだ!」

「やるな!」

「南側、一番乗りだぜ!」

いや、ちょっと待ってくれ。

「どうした?」

「これが読めなかったのか?」

「読めなかったのかって、読めないよ。

丸や三角、四角で構成された図だろ?

意味がわからん」

「いやいや、普通の 古代(ハイ) エルフ語でしょ?」

「古代エルフ語は、普通とは言わない。

普通ってのは 共通語(コモン) のことだ」

村だとリアお姉ちゃんたちが使っていたのだけど?

でも考えてみれば、確かにリアお姉ちゃんたちも他の種族がいるところでは共通語で喋っていた。

普通じゃないからか。

そうか。

普通じゃなかったのか。

僕はショックを受けつつ、誰も踏み込んだことのない場所に……進まなかった。

“ミアガルドの斧”のメンバーの一人が、ストップを掛けたからだ。

「罠がある。

解除するから少し待て」

……

気合を入れなおそう。