軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

村長の夏休み

魔王が姉猫たちに追いかけられている。

なにをやったのやら。

そう思いながら朝食。

うん、おいしい。

ビーゼルもどうだ?

コーヒーに紅茶、どっちでも……紅茶ね。

で、魔王は何をやったんだ?

なにもしていない?

今朝、魔王と転移魔法で帰る時にサマエルが乱入して、一緒に魔王城に行ってしまったと。

すぐに戻ってきたけど、その様子を見ていた姉猫たちはパニック。

サマエルを怒らず、魔王を怒っているのね。

なるほど。

あ、いや、すぐに戻してくれたし、怒らないよ。

次から注意してくれたらいいから。

昨日、ビーゼルが来てくれたのは獣人族の男の子たちに関しての話を聞くためというか、ハクレンの指示を受けたガルフを王都に送るためだ。

心配なら自分で行けばと思うが、それを言うとハクレンは怒るし、ビーゼルもハクレンよりはガルフのほうがありがたいと暗に訴えているので、俺は何も言わない。

そうしてガルフを送るために来てくれたのだが、その時に魔王がついてきた。

そして魔王はそのまま子猫たちと戯れ。

屋敷に一泊して朝に帰る予定だった。

魔王が屋敷で一泊するのは、魔王のベッドにサマエルが潜り込むからだ。

羨ましい。

……そう言えば、魔王に奥さんはいないのか?

いる?

仲もいい。

そうなんだ。

でも、それだと魔王がこっちに泊まるのに怒らないのか?

仕事の都合で別居中?

へー。

獣人族の男の子たちが通っている学園の学園長?

じゃあ、どこかで一度、挨拶がしたいな。

今年のお祭りは、村全体を使った大かくれんぼ。

全員参加と言いたいけど、希望者のみで。

建物の上は構わないけど、建物の中に隠れるのは禁止。

魔法や空を飛ぶことも禁止。

鬼役の死神は一人で、残りは全員が逃げる。

ただ、それだと逃げる方が有利すぎるので特別ルールを追加。

それが鐘。

鐘が鳴ると、隠れている者は絶対に移動しなければいけないというルール。

そして逆に、鐘が鳴っていないのに移動するのは禁止。

鐘は屋敷の正面に設置され、鐘を鳴らすのは鬼役の死神だけ。

何回鳴らしても自由だけど、鐘を鳴らしてから百を数えるまで、鬼役の死神は動けない。

これでバランスを取ったつもりだったのだが……

開始から二時間。

俺は一人も捕まえられていない。

いや、捕まえたことは捕まえた。

お義理で出てきてくれたザブトンの子供を一匹だけ。

……

みんな、本気で隠れすぎじゃないかな?

泣きそうだ。

鐘を鳴らせば、どこかしらに気配を感じるのに……くっ。

クロだけでも味方に引き入れるべきだった。

不参加者エリアからの楽しげな声が、心に刺さる。

だが、負けない。

負けるもんか!

緊急、ルール追加!

鬼役の死神に捕まった者は、死神となる!

もちろん、これだけじゃあ駄目だ。

わかっている。

この一言が必要だ!

「さあ、俺と一緒に敵を追い詰めようじゃないか!」

ふっ、各地で尻尾がパタパタしているぞ。

楽しい祭りだった。

妻たちに、猫の相手ばかりしてと言われたので反省。

ちゃんとクロの子供たちやザブトンの子供たちと遊ぶことにする。

怒られた。

冗談なのに。

あ、いや、お前たちとも遊ぶぞ。

そんなにショックを受けないでくれ。

よーし、子供たち集合。

ウルザ、先頭で子供たちの引率を頼む。

目的地は村の南だ。

いつもお祭りとか武闘会とかやっているところ。

ティゼル、リリウス、リグル、ラテ、トライン、ナート、グラルはちゃんと後ろを付いていくんだぞ。

アルフレートは子供たちの最後尾。

遅れそうな子供が出たら、声を出してウルザに知らせるように。

俺と鬼人族メイド数人、そしてザブトンの子供たちを背に乗せたクロの子供たちが、さらにその後ろを付いていく。

ん?

クロの子供たちの上に、酒スライムとフェニックスの雛のアイギスの姿もみえるな。

ああ、一緒に来て構わないぞ。

俺と鬼人族メイドの腕には、フライングディスクやボール、バット、縄跳び用の縄なんかが入った箱が抱えられている。

「たくさんありますが、今日は何をされるので?」

鬼人族メイドの言葉に、俺は答える。

「特に考えていない。

のんびりとみんなで遊ぼう」

コミュニケーションをとるのが第一。

予定は……お昼には屋敷に残っている鬼人族メイドが昼食を持って来てくれることだけ。

たまには、いきあたりばったりに遊ぶ日があってもいいだろう。

え?

いつもそうじゃないかって?

うーん。

そうかもしれない。

おっと、ウルザ、ちょっと速度を落とした方が……俺が言う前に、ナートが注意したみたいだ。

余計な心配だったな。

のんびりした日だった。