軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

休憩

猫。

宝石猫のジュエル。

二匹の間の子、ミエル、ラエル、ウエル、ガエル。

現在、屋敷には六匹の猫がいる。

六匹の活動範囲は、猫とは思えないほど広い。

屋敷の中や庭だけでなく、北は果樹エリア、南は居住エリアの宿周辺、東は牧場エリア、西は居住エリアの風呂場ぐらいまで移動する。

ただ、ジュエルは基本的には屋敷からめったに出ない。

出るのは子猫たちを迎えに行く時ぐらい。

猫は……行動パターンが大体決まっているので、時間や気温で居場所を特定できる。

問題は四匹の子猫。

子猫と言っているが、生まれてからもう一年経っているので身体は大人の猫とほぼ同じだ。

その身体を使って、神出鬼没というのだろうか。

なぜ、そこにという場所にいたりする。

お風呂場の湯船の 縁(へり) の上や、宿の屋根の上、牧場エリアの牛の上に乗っていた時もあった。

牛に潰されないか、心配になる。

さて、この子猫四匹。

普段は大人しい。

暴れるにしても、屋敷の中では暴れない。

俺がいるからではなく、たぶんアンの存在が重要なのだろう。

俺の言う事は聞かなくても、アンの言う事は聞く。

俺が呼んでも無視する事があるが、アンが呼べば返事をする。

たぶん、普段エサを与えている者が誰か理解しているのだろう。

子猫たちの中では、俺よりアンの方が上なのかもしれない。

そこに文句はない。

四匹は絶対にアンの部屋で暴れたりはしない。

うん、賢い。

四匹が暴れたのは、祭りで不在にしていた俺の部屋。

幸いにして、ザブトンの子供が数匹、警備に残っていたので被害が小さかった。

敷物がボロボロになったぐらいだ。

俺が部屋に戻った時、四匹の子猫は糸に絡められて身動きが制限され、情けない声で鳴きながら助けを求めていた。

どうしたものか。

……

とりあえず、防いでくれたザブトンの子供たちを褒めよう。

四匹を解放すると、ミエルは俺に対し、なぜもっと早く助けないのだと怒った。

ラエルはしょんぼりと反省した後、俺に甘えてくる。

ウエルは何事もなかったように俺のベッドの真ん中で横になった。

ガエルはボロボロになった敷物を、さらに攻撃。

攻撃したりなかったのかな?

だが、止めような。

祭りで相手してやらなかった俺も悪いが、もう少し大人しくしてくれてもいいんじゃないかな?

ちなみにこの子猫たち。

子供たちの部屋には一切、近付かない。

甘えにもいかない。

子供たちが怖いのではなく、母親たちが怖いのだろう。

確かに、本気で怒らせると怖いからな。

ガエル、敷物を取り上げたからと俺を攻撃するのは止めないかな?

ミエル、怒っているのはわかるが、俺の頭の上で爪を立てるのは勘弁してくれ。

あー……俺ももう少し、怒った方がいいのかな?

そう考えると、ガエルは俺を攻撃するのを止め、ミエルは爪を立てない。

猫の察する力、恐るべし。

甘いのかもしれないが、猫のストレス解消に努める。

まず、爪を砥ぐ板を新しくしよう。

程よく柔らかい木じゃないと駄目らしく、子猫たちは屋敷の柱などでは爪砥ぎをしない。

子猫たちのお気に入りは、 五村(ごのむら) で仕入れた木材片。

適当なサイズに切って決まった場所に固定しているのだが、面影が無いぐらいにボロボロだ。

それを新しい物に交換。

すぐには使ってくれないが、数日もすれば傷だらけになるだろう。

次に子猫たちのトイレの清掃。

子猫たちのトイレは、スライムを使ったトイレではなく、普通に砂を敷いたトイレ。

トイレの清掃はその砂を排泄物と一緒に捨て、新しい砂を補充すること。

あと、トイレ周辺は砂が散っていて汚れているのでそれも片付ける。

いつもなら鬼人族メイドがやってくれるのだが、祭りの後で疲れているだろうからな。

今日は俺がやっておこう。

猫のトイレは三箇所。

全て、宝石猫ジュエルと子猫たちの共用。

やっておく。

余談だが、猫は俺が使っているトイレで器用にする。

用足し後、ちゃんと手も洗う。

賢い。

さて、次は……風呂。

四匹とも拒絶サイン。

猫は素直にお風呂に入るのに。

じゃあ、 毛繕(けづくろ) いで。

猫の毛を 梳(と) く鉄ブラシをガットに作ってもらったんだ。

初めてみるから警戒しているな?

大丈夫だ。

ちゃんとブラシの先は丸くなっている。

よーし、誰からいく?

……

並んでいた四匹のうち、三匹が下がった。

残っているのはウエル。

よし、ウエルから。

ははは。

安心しろ。

全員やるから。

子猫たちと戯れた一日だった。

祭りの後のテンションもあって、ちょっとやりすぎたかな?

四匹の子猫は疲れた顔で眠っている。

今は子猫たちを迎えに来た宝石猫のジュエルを毛繕い。

この鉄ブラシは成功だな。

ガットに頼んで、もう数本作ってもらおう。

そして、クロたち用の鉄ブラシも。

さっきから俺の手元で気持ち良さそうにしている宝石猫のジュエルを、クロの子供たちが羨ましそうに見ている。

ジュエルが終わったら、お前達を撫でるから。

そう思っていると、スルスルと天井からザブトンの子供たちが降りてきた。

いや、お前たちを撫でるのは無理がないか?

……ショックを受けたジェスチャーが上手いなぁ。

泣き崩れんでも。

悪かった。

イタズラばっかりの子猫たちを甘やかしているよな。

撫でるのはあれだが、後でちゃんと遊ぶから。

おっと、俺の遊ぶの言葉にクロの子供たちが反応した。

そして、期待した目。

……

わかった、遊ぶのは明日な。

今日は撫でるだけで。

ああ、ジュエル、怒るな。

手を休めてすまなかった。

今はお前が一番だ。

ん?

ひょっとして、扉のところで俺を見ているのはアルフレートかな?

ティゼルもいる。

そして、何か言いたそうな目。

……

もちろん、一番はお前たちだぞ。

祭りの前に、畑を耕しておいてよかった。

時間はある。

頑張ろう、俺。