軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

染料と花火

染料。

主に糸や布などに色を付ける物。

現在、村の衣類の大半は、ザブトンの子供たちが森から集めた草や実で染められている。

なので、染料に対して俺はそれほど関心がなかった。

食べられないしね。

その染料がマイケルさんの所から持ち込まれた。

赤、青、黄、緑、黒、茶、白、桃、 橙(オレンジ) 。

どれも綺麗な色だが、それぐらいの感想。

代金は俺が払っているが、染料はそのままザブトンの所に行くしな。

だが、そんな俺に染料に興味を持たせたきっかけは、一匹のザブトンの子供。

ザブトンの子供たちは、色々な形や模様がある。

ただ、基本カラーは黒。

なのに、身体の半分を不自然に赤くしているザブトンの子供がいたのだ。

返り血かと思ったら違った。

マイケルさんの持ってきた染料の壷に誤って落下、体の一部を染めてしまったのだ。

体調に問題はなし。

目に掛かっている部分も……コンタクトレンズみたいに目のカバーが外れた。

身体も十日もすれば外皮を剥がせるので気にしないでほしいそうだが……

俺の目の前にはまだザブトンに渡していない染料があった。

染料をペンキのようにし、中途半端に染まったザブトンの子供を真っ赤に塗ってやった。

塗りムラもなく、なかなかの出来。

本人も気に入ったようで、良かった。

うん、動く動く。

速いぞ。

問題は……他のザブトンの子供たちがジッと俺をみていることだな。

赤、青、黄、緑、黒、茶、白、桃、 橙(オレンジ) 、水玉、ストライプ、チェック、トリコロール、迷彩……

しばらく、村ではカラフルなザブトンの子供たちがウロウロすることになった。

ちなみに、俺が施したジャングル迷彩にザブトンが刺激を受け、迷彩パターンの服が作り出された。

ハイエルフたちが気に入って、時々、着てたりする。

ハクレンのお腹が目立つようになってきた。

ライメイレンたちが、ドラゴンの妊娠中は気が荒くなるみたいなことを言っていたが、そんな兆候はない。

穏やかなものだ。

以前に注意したから、昼寝はするものの夜もしっかり寝ているので健康そうだ。

適度な運動もしている。

順調。

その一言に集約される。

「ハクレン、何か欲しい物はあるか?」

「じゃあ、甘いお菓子」

「甘い?

妊婦は酸っぱいものが欲しくなるんじゃなかったか?」

「そんなことはなかったかなー。

お肉は食べたくなったけど」

「で、今はお菓子ね」

「“甘い”お菓子」

「はいはい」

俺は台所でお菓子を作る。

甘やかし過ぎだろうか?

ルーやティアたちの時も作ったぞ。

クロたちの角を使った攻撃を花火のように扱う実験が、村の南側で行われた。

と言っても、クーデルがやっていた急降下からの投下を天使族全員でやっているのだが……

「命中率、高いな?」

今のところ、一メートル四方の目標に対して九割以上の命中率。

正確にはティア、クーデルが十割。

グランマリア、コローネは何本か外している。

外していても、僅かにズレるぐらいで大外しはない。

現在までは命中率を確認するため、普通の槍を投げてもらっていた。

だからだろうか……

「あの、村長。

練習用の槍ではイマイチ感覚がつかめないのですが……」

クーデルに本物を投げさせてほしいと希望された。

「最後に一本ずつ、本物を渡す。

外すなよ」

「はい」

思えば、一回目は非常に危なかった。

申し訳ない。

本物を使うので、先に村に連絡。

アンに怒られるのはゴメンだ。

子供たちは寝ていないことを確認。

当然、実験現場である村の南側へは近づかないように指示。

指示したのに……見学者がチラホラいる。

酒を片手にしているのもいるな。

本番で怪我しないための実験なんだが……

クロたちやザブトンたちも来たようだ。

はぁ。

こちらの決めた安全距離はしっかりと取るように。

旗を振って、上空のティアたちに連絡。

一人ずつ……と思ったら四人で編隊を組んで飛び出した。

え?

まさか……

四人は綺麗な編隊飛行をした後、急降下……

地上には四箇所の的がある。

それがほぼ同時に吹っ飛んだ。

見学者たちの歓声が上がる。

ただ、的の設置間隔が狭かったからか、爆炎は互いに干渉しあってあまり綺麗じゃなかった。

「十メートルずつ、間隔を広げた方が良いですね」

クーデルがいそいそと的を再設置している。

再設置はいいが……え、今のが最後って言ったよな。

「万全を期すため、再度の投下実験を行いたいと思います」

もう持ってるよな。

飛んでるよな。

笑顔が怖いんだが?

……

天使族四人による投下実験……というか花火は結構な時間、続けられた。

どれぐらい続けられたかというと、アンが俺を怒りに来るぐらいに。

俺は悪くない。

はい、すみません。

監督責任ですね。

怒っているのは煩かったからではなく、楽しむなら私たちも誘えというもの。

申し訳ない。

用意していた二十本の槍は、全て消費されてしまった。

まあ、ストレス発散にはなったのだろう。

天使族の四人や、見学者たちは笑顔だ。

ウルザも笑顔だ。

目をキラキラさせてる。

……

一時は疑ったが、さすがのウルザも勝手に持ち出したりはしないと思う。

だけど、それには関係なく角の取り扱いは、厳重にしよう。

後日。

しばらくの間、クーデルのクロたちを見る目が少し怖かった。

角ばかり見ないでやってほしい。

トリュフ。

前に皆が喜んだので育てているが、俺はあまり好きじゃない。

マツタケの方が良いと思う。

そう思ったので、マツタケを育てた。

赤松から育てたので、かなり時間が掛かった。

しかし、目論見通りにマツタケが育ったのは嬉しい。

しかも豊作だ。

ありがとう【万能農具】。

しかし、浮かれて収穫したりはしない。

今までの反応から、マツタケの人気はイマイチだろう。

同じ味を喜びたいが、強要はしない。

彼らのために、トリュフもしっかり育てている。

マツタケ一に対し、トリュフ五十。

これだけあれば、揉めないだろう。

収穫に同行したクロの子供たちが、尻尾をかなり激しく振っている。

前は全員には食べさせられなかったからな。

これだけあれば……

一欠片ぐらいは食べられると思うぞ。

俺は屋敷に帰り、調理を手伝った。

トリュフは予想通り人気。

マツタケは……予想以上に人気だった。

「こんなに美味しいのに、どうしてもっと育てなかったのですか?」

決め付けはよくないな。

そう思いながら、自室に持ち込んだマツタケを出すかで少し悩む俺だった。