軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

プールサイド

プールサイド。

昨日、ドライムとドマイムが使っていたビーチチェアに、存分に泳いだヨウコと泳ぎ疲れたヒトエが並んで横になっている。

うん、二人とも 色つき眼鏡(サングラス) が似合っているぞ。

ヒトエにはちょっと大きいサイズかもしれないけど。

とりあえず、アイスティーでも取ってくるから水分補給をするように。

食事?

今日もバイキングビュッフェみたいだから、食事は自分で取りに行ったほうが楽しいぞ。

いろいろと並んでいるから、好きなものばかり取れる。

ああ、うどんもあった。

温かいのも、 冷(ひや) もだ。

トッピングも自由だから、ヨウコが好きな 揚(あ) げをたくさん乗せられるぞ。

「では、参るか。

ヒトエ」

ヨウコに呼ばれたヒトエは子狐の姿になり、ヨウコの頭の上に乗った。

「村長も参ろうぞ」

そうだな。

俺はヨウコたちと食事を楽しんだ。

開放されたプールで、ルーとティア、そして山エルフたちの姿はまだ見ていない。

村の作業場で、追尾荷車の部品を作っているからだ。

作業場に様子を見に行くと、ルーたちは作業を続けていた。

なかなか疲れた顔を……あれ?

疲れた顔はしているが、少し前よりも元気があるように見えた。

理由を聞くと、ドマイムが持ってきてくれた魔合鉄を部品の一部に使うことで生産効率が格段に上がり、ノルマ達成の希望どころか作業期間の大幅短縮が見えたかららしい。

前にベルが作業中のルーたちを呼んだほうがいいと言ってたのは、それがわかっていたからだろう。

ベルに改めて礼を言っておかないとな。

しかし、大きな魔石に加え、貴重な魔合鉄を使うと販売価格がすごいことになるんじゃないか?

「そこは考えないわ」

え?

「魔石は仕方がないけど、魔合鉄は黙っていればわからないから、値段に反映させない」

……

それでいいのか?

「いいのよ」

言い切られた。

ま、まあ、今回のぶんは無料でもらったものだしな。

よしとしよう。

そして、追尾荷車の生産も大事だけど、のんびりすることも大事。

スケジュールに余裕ができたならなおさら。

適当に休むように。

世界樹の葉を頼りにするのは駄目だぞ。

「わかってるわよ」

「ですが、いまは無理すべきところです」

「明日、楽するために今日の地獄を進むのです」

ルーたちが作業に集中する。

プールに誘えたらと思っていたけど、そんな感じじゃないようだ。

うーん。

適当なところで、無理やりにでも休んでもらうか。

別の日。

プールで、競争でもしているかのように激しく泳ぐベルとヨルがいた。

その二人の横で、関係ありませんという感じでまったりと泳いでいるクリム。

楽しんでいるようでなにより。

そのベルたちがプールから上がったタイミングで、タオルを渡しながら声をかける。

まずは三人の水着姿を褒める。

下心があるわけじゃないぞ。

三人が着用している水着が、ザブトンの新作だからだ。

いいものはいいと褒めておかないと、ザブトンが頑張ってしまう。

実際、スポーティーなワンピース水着はベルとヨル、クリムに似合っていた。

「色分けでシンプルに見せないのがすごいですね。

丈夫なのに伸縮性もありますし、すぐ乾きます」

「濡れても透けませんし、機能は完璧です」

「ベルさん。

男性の前で水着をひっぱるのはどうかと。

ヨル、男性の前で透けるとか言わないほうがいいと思うよ」

うん、そうだな。

クリムの言うとおりだ。

慎みを忘れないように。

「そうだ、村長!」

ヨルが思い出したように俺の前に来た。

近い近い近い。

水着姿なのを忘れないように。

「そんなことより!」

パイロットスーツの件?

大丈夫だ。

ちゃんと覚えている。

忘れてない。

ただ、ザブトンがパイロットスーツの複製をやってくれただろ?

あとはパイロットスーツに必要な機能が再現できれば、新たに取りに行く必要はないから焦っていないんだ。

あー、いや、その再現を頼んでいたルーが追尾荷車で忙しくて進んでいないけど。

まあまあ。

もう少ししたら、ラナさんから譲ってもらった 多目的人型機動重機(アーティ・ホース) や関連品が届くから。

そこにパイロットスーツがあるかもしれないし。

最悪、いまあるパイロットスーツの機能を、ザブトンが複製したパイロットスーツに移植すればヨルも着れるだろ。

慌てない慌てない。

俺はそうヨルをなだめ、ベルに顔を向ける。

ベル、ありがとう。

俺は魔合鉄で、ルーたちの作業が効率的になったと礼を伝えた。

「……え?」

ん?

「えーっと、魔合鉄とは、あのゴーレムの素材のことですよね」

そうだけど……

ああ、そういえばティアがいろいろな呼び方があると言ってたな。

ベルには聞きなれない呼び方だったか?

「いえ、その、呼び方は魔合鉄で大丈夫です。

ただ、えっと、こちらの想定していた使い方ではなかったので」

そうなのか?

「ええ。

ティアさんがやっていたように、あれはゴーレムの素材に最適です」

そうみたいだな。

「作りこむことができるので、細かい作業ができるゴーレムを作れます」

あー、外側だけといえど、あれだけ多目的人型機動重機そっくりに作れるんだから、ちゃんと考えれば細かい作業ができるゴーレムを作ることができるか。

「はい。

ですから、あの素材で部品を作るのではなく、あの素材を使って 部品を作るゴーレム(・・・・・・・・・) を作れば楽になるのではと思ったのですが」

………………………………………………っ!

思いつかなかった!

ベルは天才か!

「いえ、私たちが生まれた時代は、それが一般的だったので」

いやいや、教えてくれて助かった。

ルーたちに伝えて……

……

うーん、頑張っているルーたちに、もっと楽な方法があったぞと伝えるのはためらわれるな。

いやいや、迷っている暇はない。

少しでも早く教えよう。

うん。

それがいい。

ルーたちが悲鳴をあげるかもしれないけど。

よ、喜びの悲鳴の可能性もある。

少しあと。

村中に響くような悲鳴が聞こえた。

正しく、悲しみの悲鳴だった。

五日後。

ルーとティア、そして山エルフたちがプールサイドに姿を現した。

疲労感は隠せないが、やることをやり終えた顔だ。

えーっと、深いところで泳ぐのはやめておこうな。

泳ぎながら疲れて寝てしまうかもしれないから。

安全第一。

ほら、こっちのビーチチェアが空いているから。

のんびりと寝転んで、子供たちの様子でも見ててくれ。

飲み物はなにがいい?

持ってくるぞ。

ああ、遠慮なく言ってくれ。

おっと、ルーはセパレートタイプの水着、似合ってるぞ。

パレオがいいね。

ティアはワンピースタイプか。

似合っているぞ。

背中が大きく開いているのは翼を出せるようにだな。

山エルフたちは機能重視。

セパレートタイプだけど、首元まである競泳用みたいな水着は、泳ぎに適していそうだ。

でも、山エルフたちはあまり速く泳がない。

大樹の村に来る前は、山暮らしだったからな。

ここも山みたいなものだけど。

まあ、無理せず、個々に楽しんでほしい。

ああ、もちろん山エルフたちの水着姿は似合っている。

……つけ足したようなって言うんじゃない。

ちなみにだが、リザードマン以外で泳ぎが得意といえる種族は獣人族。

もちろん、個人差はあるが総じて泳ぎが上手い。

大樹の村にいる獣人族はハウリン村出身で、山暮らしなんだけどな。

山エルフとの差はなんだろう?

体力かな?

山エルフも体力はあるんだけどな。

……

あー、山エルフたちよ。

水着に変な装置を取りつけるのはいいけど、動かすのは誰もいないタイミングでな。

推進機(プロペラ) っぽいし。

あと、安全確認と対策はしっかりと。

溺れるんじゃないぞ。