軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第128話 永遠に続く推し活。二つの世界を股にかけた、最高のハッピーエンド

世界からの『祝福の音』というものは、こんなにもあたたかく、鼓膜を優しく震わせるものなのだと、私はその日、二度目の人生であらためて知った。

澄み切った青空に響く、チャペルの鐘の音。

波のように押し寄せる拍手。

弾けるような笑い声。

誰かの、感極まったすすり泣き。

頭上から降り注ぐ、甘い花の香り。

そして、割れんばかりの歓声。

それら全部が溶け合って、まるで世界そのものが私たちに「おめでとう」と歌ってくれているみたいだった。

私は、大神殿――ではない、今世の壮麗なチャペルの大階段の最上段で、そっと息を呑んだ。

純白のウェディングドレスの長い裾が、風にふわりと揺れる。

組んだ腕には、クライス様――いいえ、今世では九条柊介さんでもあり、前世からずっと私の最愛の推し(夫)でもある、この方の頼もしくてたしかな体温。

大階段の下には、私たちを待つ大勢の参列者たちがいた。

共に働く社員たち。

私たちをあたたかく見守る、九条家と私の両親。

友人たち。

そして、名前も立場も違うのに、どうしようもなく魂の底から懐かしい気配を宿した人たち。

皆が、手いっぱいの花びらを持っていた。

そして次の瞬間。

パァァッ、と。

純白と淡いブルーの花びらが、抜けるような青空へと一斉に舞い上がった。

フラワーシャワー。

現代日本の結婚式らしい、華やかでやわらかな祝福の雨。

なのにその光景は、前世で大神殿の大階段を下りたあの日の、あのまばゆい記憶とも、完全にピタリと重なって見えた。

「おめでとうございます!!」

「社長! 藤咲さん! おめでとう!」

「いや、今日からはもう九条さんと瑠衣さんだろ!?」

「最高です! お似合いすぎます!」

「瑠衣さん、超きれいー!」

「副……じゃない、社長ー!!」

「ルシア様ーッ!! 万歳!!」

「ですから! 会社関係者の前でその呼び方はおやめくださいまし!!」

私は、感動で涙ぐみながらも思わずツッコミを叫んだ。

すると、すぐ隣でクライス様が、低く、本当に楽しそうに喉を鳴らして笑った。

私の組んだ腕越しに、彼の肩が震えているのが伝わってくる。

ああもう。

この人、こういう大勢の場でも、ちゃんと素直に笑うようになりましたのね。

前世の婚礼の日も、もちろん死ぬほど幸せだった。

でも、あの頃のクライス様は、今よりもう少しだけ、溢れる歓喜を不器用に氷の仮面で隠していた気がする。

今世のこの人は違う。

相変わらず不器用で言葉足らずなくせに。でも、ちゃんと皆からの祝福を受け取って、私へも極上の愛として返してくれる。

それが嬉しくて、誇らしくて、胸がいっぱいになる。

◇ ◇ ◇

「……ルシア」

低く、やわらかく、喧騒の中でも私だけの鼓膜へ届く甘い声が落ちた。

「はい」

「足元ばかり見ていないで、前を見ろ」

「無理ですわ」

「なぜだ」

「だって」

私は半ば泣き笑いのまま、彼を見上げて言った。

「世界一格好いいあなたが隣にいらっしゃるのに、景色(前)だけを見ろという方が、オタクには無理な相談でしょう?」

「なら」

クライス様は、涼しい顔で腕を組んだまま、グッと私の腰を引き寄せる。

「俺から目を離すな。ずっと俺だけを見てろ」

ああ。

はい。

そういうところですわよ。

万雷のフラワーシャワーの中。

大勢の参列者に全方位から囲まれ。

神前で誓い、正式に夫婦となったその直後の瞬間に。

あまりにも自然な顔で、ナチュラルに息をするように“俺だけを見ろ”などと。

そんな致死量の公式供給、限界オタクの情緒が無事でいられるはずがない。

「ルシア様!!」

前方から、露木部長――もとい、ローデン隊長の転生体が、やたらと野太い声を張って叫んだ。

「はい!」

「いやあ、ついにこの日が来ましたねえ! 感無量ですわ!」

「ええ、ありがとうございます!」

「社長! 俺らのルシア様を、ちゃんと世界一幸せにしてくださいよ!!」

「言われるまでもない。俺の命に代えてもな」

クライス様の返答は、短く、そして静かだった。

短いのに。

そのたった一言へ、一切の揺るぎない誇りと、決意と、底知れぬ深い愛情の全部が乗っていた。

私は、また心臓が限界を迎えて胸元を押さえた。

何ですの、その即答の返し。

どうしてこう、いちいち放つ言葉の火力が高いのです? これでは私が幸せの過積載で倒れてしまいますわ。

すると、九条家のお母様――前世の義母上の面影を確かに宿したあの方が、涙ぐみながら優しく笑う。

「もう、本当に素敵ねえ」

「ありがとうございます……!」

私は思わず、そちらへも深く、感謝を込めて頭を下げる。

「瑠衣さん」

お母様は、舞い散る花びらの向こうから、ひどくやさしい、娘を慈しむような目で私を見た。

「絶対に、幸せになってね」

「はい……!」

「いえ」

私は、泣きそうな顔のまま、世界一幸せな笑顔を咲かせた。

「私、もう、すでに限界まで幸せですわ」

その言葉は、1ミクロンの嘘もない本心だった。

だって私は今、宇宙一幸せな花嫁だから。

前世でも今世でも、魂の底から一番愛した人の。

しかも、その人が、今。私の腕を力強く引いて、誰にも渡さないとばかりに隣にいてくれている。

これ以上の幸福がこの世にあるのなら、ちょっと神様の配分を疑ってしまうくらいだ。

◇ ◇ ◇

大階段を、二人でゆっくりと下りていく。

前世では、婚礼の儀式が終わった直後。私は「一生、私の推しを特等席で愛で続けますわ!」などと、大神殿のど真ん中で高らかに宣言した。

今シラフで思い返しても、だいぶ正気を失った勇気のある(狂った)発言だったと思う。

いや、あれはもう、勇気というより、突然の供給過多による幸福と興奮で、オタクの理性が完全に吹き飛んでバグっていたと言うべきかもしれない。

だが。

私は、その時の言葉を、一度も撤回したことはないし、後悔もしていない。

前世でも、ずっと本気だった。

今世でも、もちろん、命懸けで本気だ。

大階段の中ほどで、私はふと、ドレスの裾を握りしめて立ち止まった。

「ルシア?」

クライス様が、少しだけ怪訝そうにこちらを見る。

「はい」

「どうした。足を挫いたのか?」

「いいえ。少々」

私は、彼のその瞳を真っ直ぐに見上げた。

「ここで、言っておかなければならないことが」

私たちが立ち止まったことで、参列者たちが何事かとこちらを見上げる。

賑やかだったざわめきが、波が引くように少しだけ静まる。

ああ。

分かっていますわよ。

今このタイミングで、新婦がまた何かトンデモないことを言うつもりですのね、と皆様思っておられるのでしょう。

その通りです。

私は、今、これを言わずにはいられなかった。

だって、これが私だ。

前世でも、今世でも、結局私は、この人への巨大な愛を完全に隠し通せるほど、器用で大人しい人間ではないのである。

私は、クライス様の腕へ、自分の手をギュッと強く絡め直した。

そのまま、泣きそうなくせに、でも、胸を張って世界に向けて言う。

「クライス様!」

彼の目が、少し驚いたように、でも逃げずにまっすぐ私を捉える。

「今世も!」

「……」

「そして、来世も、これからもずっと!」

私は、ひどく幸せな、満面の笑みで、堂々と宣言した。

「――あなたは永遠に、私の宇宙一の『最推し』ですわ!!」

一瞬の静寂。

そして次の瞬間、会場がドッ! と沸き返った。

笑い声。

割れんばかりの拍手。

指笛と歓声。

「やっぱりそれか!」「ブレないな!」という納得の空気。

そして、「知ってた」「当然だよね」「最高かよ」という、妙にあたたかい視線。

ああ。

はい。

そうでしょうとも。

私が、この魂の叫びを表現せず、結婚式を大人しく済ませるはずがありませんでしょう?

◇ ◇ ◇

クライス様は、すぐには答えなかった。

ただ、私をジッと見ていた。

ひどく静かに。

ひどくやわらかく。

そして、前世でも今世でも変わらない、火傷しそうなほど深い熱をその瞳へ乗せて。

その言葉のない沈黙が、もう既に致死量に甘かった。

少しだけ「やれやれ」と困ったようで。

でも、どうしようもなく愛おしくて嬉しそうで。

どこか、俺の妻は最高だろうと、誇らしげですらある。

やがて、彼は、ほんの少しだけ目を細める。

そして、周囲のざわめきも、舞う花びらも、全部を受け止めた上で。

それでも私だけへ、何より深く魂へ届く声で言った。

「ああ。知っている」

たった一言なのに、鼓膜が痺れて胸が震える。

そして、その続きは。前世でも今世でも、私が彼から一番欲しかった、絶対的な約束だった。

「……俺も」

彼の大きな指先が、私の手をそっと、けれど逃がさない強さで包み込む。

その触れ方はやさしいのに、誓いの重さを少しも隠していない。

「永遠に」

一音一音、俺はお前のものだと言わんばかりに噛みしめるみたいに。

「――君だけを、愛し抜くと誓おう」

「――ッ!!」

私は、その場で完全に息を呑んで硬直した。

ああ。

もう。

本当に。

この人は、どうしてこう、最後の最後まで火力を青天井に上げてくるのでしょうね!?

永遠。

君だけを。

愛し抜く。

その最強の三コンボを、このタイミングで、この顔面で、この極上の声で、真正面から浴びせてくるだなんて。

もはや、私の情緒を原形のまま残す気が、最初からないのではありませんこと!?

「ク、クライス様……」

ようやく出た私の声は、情けないほど震えて上ずっていた。

「何だ」

「今のカウンターは」

「……」

「だいぶ、反則ですわ……!」

彼は、少しだけ不敵に、唇の端を上げた。

「愛してるぞ、俺のルシア」

「ッ……!!(尊死)」

何ですのそれ!!

追撃のダメ押しまで完璧なのですか!?

私はとうとう、キャパオーバーで片手で真っ赤になった顔を覆った。

すると、参列者の中から、どっとあたたかい笑いが起きる。

「瑠衣さん、顔真っ赤!! 可愛い!」

「社長、もうちょっと奥さんを手加減してあげてくださいよ!」

「いや無理だろ、あの顔であんなこと言われたら!」

「うわあ、完全に二人の世界できてるじゃん!」

「尊い……」

広報の若手社員など、もう最後の方はハンカチで顔を覆って普通に泣いていた。

泣くのが早い。

でも、その気持ちは痛いほど分かる。

だって私だって、尊すぎてすでにほぼ泣いているのだから。

◇ ◇ ◇

大階段を下りきると、参列者たちがわっと近くへ集まってきた。

皆、髪に花びらを乗せたまま、最高にいい顔で笑っている。

その顔ぶれを見ているだけで、私はまた胸がいっぱいになった。

露木部長が、やたらと晴れやかで誇らしそうな顔で言う。

「いやあ、やっぱりいいっすねえ。最高だわ」

「何がですの、露木部長」

「お二人が並んでる姿がさ」

「……」

「前世とか今世とか関係なく、ずっと昔から夫婦みたいに見えて……」

「……」

「見てて、なんかしっくり来るんだよな」

「……」

私は、少しだけ目を見開いた。

その言葉の温度は、前世を知らないただの現代の会社員のものにも聞こえるし。長い昔から、背中を預けて私たちを見てきた『騎士団隊長』のものにも聞こえた。

「……露木部長」

「はいよ」

「ありがとうございます。最高の賛辞ですわ」

「おう」

彼は、いつになく真剣で静かな顔で頷いた。

「絶対に幸せになれよ」

「はい!」

私はクライス様を見上げる。

クライス様が、低く短く、絶対の自信を込めて言った。

「当然だ。俺が必ず幸せにする」

ああ。

その“当然だ”の使い方、本当にスパダリすぎて大好きですわ。

九条家のお父様も、珍しく厳格な口元を崩して緩めていた。

私の両親も、涙ぐみながら感慨深そうにこちらを見ている。

役員陣――元騎士団の転生体たちは、皆どこか「俺たちの隊長が一番だ」と誇らしげだ。

あの頃の王都には、王都の神聖な祝福があった。

今世の東京には、東京のあたたかい祝福がある。

でも、根底にあるあたたかさは、全く同じだ。

時代が違っても。

世界が違っても。

誰かの幸せを、皆で本気になって喜ぶ空気の尊さは、何一つ変わらない。

◇ ◇ ◇

チャペル前の広場では、さらに和やかな写真撮影が続いた。

親族で。

会社関係者で。

友人たちで。

役員陣で。

騎士団……ではなく、社員余興チームで。

「社長、もう少し笑ってください! 硬いです!」

「……笑っているつもりだが」

「目元だけですよ! 怖い! 怖い!」

「これで十分だ」

「藤咲さん、こっち目線くださいー!」

「はい! スマイルですわ!」

「お二人、もっとギュッと寄れます!? 肩抱いちゃって!」

「ッ……」

ああもう。

写真のシャッターを一枚撮られるたびに、心臓が忙しくて倒れそうですわ。

クライス様は、こういう人目のある場でも、決して大げさに破顔して笑うタイプではない。

でも、今日の彼は、ずっと目元がやさしくやわらかかった。

私を見る時だけ、少しだけ、でも確実に、愛おしさがダダ漏れになっていた。

それが分かるたび、私はひっそり限界を迎えて胸元を押さえる羽目になる。

「ルシア」

「はい」

「また顔が赤いぞ。熱でもあるのか」

「全部、あなたのせいですわ」

「なら」

クライス様は、ごく自然な顔で、私の腰へグッと手を添えて引き寄せた。

「早く慣れろ」

「今世でも、来世でも無理ですわ!」

カメラマンさんが、やたら興奮した顔でシャッターを切りながら言う。

「素敵です! 最高!! そのままもう一枚!」

「お二人の、その甘すぎる距離感がイイです!!」

「ッ……」

だめですわね。

やはり、プロの第三者視点で肯定されると、破壊力が倍増しますわね。

◇ ◇ ◇

写真撮影がひと段落した後。

少しだけ人の輪がほどけて落ち着いたタイミングで、クライス様が私を静かな中庭の方へ連れ出した。

「……クライス様?」

「少しだけ、二人になる」

「はい」

緑の美しい中庭には、やわらかな風が吹いていた。

甘い花の香り。

遠くで続く、あたたかい祝福のざわめき。

でも、ここだけは時が止まったように少し静かだ。

私は、隣に立つクライス様を見上げた。

「どうされましたの?」

「いや」

彼は、少しだけ目を伏せる。

「……確認したかったんだ」

「何をです?」

「お前が、今、俺の隣で本当に笑っているか」

私は、ぱちりと瞬いた。

ああ。

そういうところ。

この人は、いつも私の心が置いてけぼりになっていないかを確認してくるのだ。

前世から、ずっと。変わらずに。

「笑っておりますわ」

私は、心からの笑顔で、ゆっくりと言った。

「本当に?」

クライスが不安そうに聞き返す。

「はい、とても」

「今、私は宇宙一幸せです。心の中で何度も……」

「神様とあなたに、ありがとう、と申し上げておりますわ」

クライス様の表情が、深く深くやわらぐ。

その顔が、たまらなく愛しくて、泣きそうになる。

「ルシア」

「はい」

「こちらこそ」

「……」

「俺を見つけてくれて、ありがとう」

「ッ……」

私は、少しだけ息を止めた。

ありがとう。

たったそれだけ。

でも、この人がそう言う時には、いつだってその言葉に重みがある。

前世で共に過ごした時間への感謝。

今世で、また出会えたことへの感謝。

ここまで、逃げずに隣へ来てくれたことへの感謝。

きっと、その全部だ。

「……クライス様」

「何だ」

「私、前世で一度、あなたの妻になれて」

「……」

「それだけでも、私の人生が満たされるくらい、幸せでしたのよ」

「……」

「なのに、今世で、もう一度だなんて」

「お前は」

彼の手が、私の頬へそっと触れる。

「何度生まれ変わっても、絶対に、俺の隣にいる運命だからだ」

(ああ……ずるい人)

ああ。

もう。

本当に。

そんな完璧すぎるスパダリの台詞を置いてこられたら、私の脆弱な涙腺が持つはずないではありませんか。

「……はい」

私は、泣きそうな顔で、世界一幸せに笑った。

「今後も、しつこく、何度でも、あなたの隣の特等席を確保いたしますわ」

「そうしろ」

クライス様は、私をまっすぐ見つめた。

「一生、あなたを愛で(推し)続けます」

「知っている」

「逃げられませんわよ」

「逃げる気などない。むしろ……」

彼は、ほんの少しだけ口元を上げ、極上の笑みを浮かべた。

「お前の方こそ、永遠に逃がさない」

胸の奥で、小さく火花が爆ぜた。

(幸せすぎて、本当に……。心臓が、いくつあっても足りませんわ)

何ですのその。

最後の最後に、静かで激重な独占欲で締めてくる感じは。

大好きですけれども!!

◇ ◇ ◇

再び広場へ戻ると、参列者たちが割れんばかりの拍手で迎えてくれた。

あたたかい。

まぶしい。

幸せだ。

私は思った。

私は、この人をずっと好きでいたい。

愛していたい。

最高の推しとして。

最愛の夫として。

私の人生そのものとして。

二つの世界を股にかけた私の推し活は、ここで終わりではない。

むしろ、ここからが本番なのだ。

これから先は。

もっと近くで、もっと深く、もっと幸せに、この人を愛でていける。

何というSSR確定のボーナスステージでしょうね?

人生、本当に捨てたものではありませんわ。

私は、そっとそのあたたかい腕へ、自分の手をしっかりと絡めた。

あたたかい。

頼もしい。

そして、ひどく落ち着く。

前世でも、今世でも。

結局、私はこの人の隣で、同じように安心して、恋に落ちてしまうのだ。

「クライス様」

「何だ」

「今世も」

「……」

「そして、これからもずっと」

「……」

「私の『最推し』でいてくださいませ」

彼は、少しだけ驚いたように目を瞬いた。

けれどすぐ、やわらかく、眩しいほどに笑う。

「ああ」

その返事は、前世よりも、今世の彼らしいあたたかい温度を持っていた。

「君がそう望むなら」

「望みますわ」

「なら」

彼は、私の手をギュッと握り直す。

「永遠に、そうしていよう」

私は、幸せで、もう言葉にならないくらいだった。

時を越えて。

世界を越えて。

人生を重ねて。

それでも、また出会えた。

また好きになれた。

また、好きだと言ってもらえた。

また、こうして夫婦になれた。

そんな奇跡みたいな御伽話の最後に、私が言えることは、きっと一つだけだ。

――クライス様。

今世も、前世も、その先の『過去』も『未来』も。

あなたは永遠に、私の宇宙一の『最推し』ですわ!