軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ワイバーン戦の後

朝一番のワイバーン戦が終わり、私達は基地キャンプに戻った。

まぁ、ゲイツ様が一番傷が多いワイバーンを凧のように後ろに掲げていたから、勝利したのは明らかだったけどね。

「わぁ! ワイバーンだ!」

飛行隊に未参加の王宮魔法使い達は、ビッグバードの討伐からまだ帰っていなかったが、朝一の討伐を終えた騎士達や、これから討伐に向かう学生達から歓声が上がった。

「今夜は、ワイバーンステーキです! 後、ワイバーンの回収をお願いします」

ワイバーンを積み上げた場所をサリンジャーさんが回収部隊に告げているけど、他の人達はゲイツ様が言ったワイバーンステーキに心が飛んでいる。

「ワイバーンの肉って美味しいのかな?」

「食べた事ないからわからないよ!」

そんな学生達の単純な喜びのコメントとは、少し違うのが騎士達だ。

勿論、ワイバーンの肉など食べたことがないので、喜んではいるのだけど、飛行隊のメンバーに選ばれなかった悔しさが前面に出ている。

「飛べるようにはなったのだが、まだ攻撃まではできないのだ! 来年までには精進して、飛行隊に選ばれるようになりたい!」

それは、リチャード王子も同じみたい。

「ワイバーン討伐、ご苦労であった!」と労いの言葉を掛けているけど、目がギラギラと燃えている。

「ああ、でもワイバーンの後は銀ちゃんがこちらに移動していますから、気を抜かないで下さい。今日の午後から、魔物の群れが到着しそうです」

ゲイツ様の報告を受けて、お偉い様のテントで作戦会議になるみたい。

えっ、私はトイレに急がなきゃ! それと、神経が過敏になっている 馬の王(メアラス) の世話もしないとね。

でも、その前にお茶を飲んで休憩するつもり。だって、早朝からのワイバーン戦で身体は冷え切っているし、疲れたんだもの。

ゲイツ様やリチャード王子も私の体力の無さは知っているので、コソッと女子テントに向かったのを許してくれた。

馬の王(メアラス) には「綺麗になれ!」と掛けておいたから、後はパーシバルに任せるよ。

メアリーに温かいお茶を貰い、ナッツケーキを食べて、少し休憩するつもりが昼まで寝ていたみたい。

今回も「ワイバーンだぁ!」と言う大声で目が覚めた。

ゲイツ様が運んだワイバーンを見ていなかった討伐のメンバーが歓声をあげている。

「お嬢様、お昼を運んできましょうか?」

メアリーが、ワイバーン戦で疲れた私を気遣ってくれている。食事のテントまでも寒いし、女子テントみたいな暖房はないからね。

「いえ、パーシー様と一緒にお昼を食べたいわ。それに、 馬の王(メアラス) の様子も気になるから」

少し眠って体力は回復したし、外で深呼吸して魔素も取り込んだ。

ただ、本当に寒い! 今年は、例年並だというけど、ローレンス王国って前世の北海道並みの寒さなんじゃないの? いや、そこまで王都や私の領地は雪は降らないけどさぁ。

北部はもっと寒いから、カエサルやベンジャミンは平気なのかしら?

そんな事を考えながらも、恋する乙女はパーシバルを探している。

「いらっしゃらないわ」

多分、銀ちゃんがこちらにスレイプニルを追い込んでいるので、魔物達が慌てて暴走しているのだろう。それを、騎士達と一緒に討伐しているのかしら?

「おおい! ペイシェンス!」

お昼を一緒に食べようと思ってはいたけど、今は魔物討伐の途中! 会わない時は仕方ない。

「ああ、カエサル様達もお昼ですか?」

錬金術クラブのメンバーがいるから、一緒に食べよう! やはり一人で食べるのって味気ないからね。

「ああ、ワイバーンを討伐したと聞いた! 凄いなぁ!」

カエサルに褒めてもらえたよ。なんとなく嬉しい。今は、ベンジャミンが錬金術クラブの部長だけど、私にとってはカエサルが部長って感じなんだよね。

「そうだ! ワイバーンの肉を今夜は食べられるって噂だけど……」

ベンジャミンは、基地キャンプの噂を聞いて気になっているみたい。

「ええ、ゲイツ様が一頭魔物討伐に参加した皆にとワイバーンを提供されるみたいですわ」

他のメンバーも「やったぁ!」と喜んでいる。

「ワイバーンの肉って、どんな味なのだろう?」

ベンジャミンみたいな上級貴族も食べた事がないんだね。

「飛竜の塩漬けをバラク王国の大使から頂きましたが、とても美味しかったですわ。ただ、塩漬けなので、生のワイバーンの肉とは違うかもしれませんが……」

あああ、皆の目が怖い!

「ペイシェンス! 何故、アルーシュ王子とザッシュは、夏合宿に呼んだんだ? 私も夏合宿で飛べるようになりたかった」

ああ、カエサルは私が領地の管理で忙しいのを思い遣って、口にしなかったけど、ベンジャミンったら。

「それは、ゲイツ様が呼ばれたからですわ。南の大陸の様子をとても気にされていますから……」

竜の谷に金属を置いてミスリルにしようと画策しているのは、内緒にしたほうが良さそう。

「ベンジャミン、飛ぶ訓練は自分でもできるのではないか?」

カエサルが諌めてくれたけど、これって皆も同じ考えなのかもね。

「王宮魔法使いや第一騎士団は、飛行訓練をしていますわ」

それに参加できるかどうかは分からないけど、パーシバルは参加しているから、なんとかなるのかもね。

昼食の席についた時、パーシバルやゲイツ様達も食事テントにやってきた。

「ペイシェンス様、ワイバーンのステーキにはどのソースが合うと思いますか?」

ゲイツ様は、夜のワイバーンステーキに気持ちが飛んでいるみたい。

「私は、柚風味のあっさりソースにしますわ。ワイバーンは、私には少し脂が多い気がしますから」

ふむ、ふむ、と頷いているゲイツ様だけど、私より肉が大好きみたいだから、脂が乗っているワイバーンの肉でもいっぱい食べそうだね。