軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

転移魔法ができたら

魔法合宿、次の日から本格的になった。とは言え、朝のオルゴール体操と、朝食後のモンテス氏との打ち合わせは欠かさないよ。

これは、ゲイツ様に言って、了承済みだ。

「ナシウス君、今日の午前中は魔法訓練に参加して下さい」

朝食の席で、ゲイツ様のご指名だ。ナシウスは、午前中の勉強は、はっきり言って必要ないから良いんだけど? 何故?

「パーシー様は、どうされますか?」

騎士クラブの二人も午前中は、勉強だ。私なら嫌だけど、ユージーヌ卿のしごきの方が良いみたい。深い溜息で抗議しているけど、勉強も必要だと思うよ!

「私は、サリエス卿に盾の使い方を教えて頂きます」

残念! 今日も別メニューだ。

ユージーヌ卿は、午前中はマリーとモリーに採寸をして貰う予定。こちらも渋い顔だけど、蕁麻疹が出ないドレスの必要性も理解しているみたい。

モンテス氏との打ち合わせ、騎士の家と貸家の補修、そしてボロな宿屋の改修をラドリー様に依頼する件を話した。

「アダムとメーガンから、グレンジャー館の改修についても報告を受けています」

ああ、それは早めにして欲しい。

「ノースコート伯爵からも頼まれていますの。ホテルとしての機能は、後回しでも宜しいけど、ランチとお茶、そして買い物ができるようにはして欲しいですわ」

それは、ラドリー様に任せよう! ライトマン教授と助手達も張り切って手伝ってくれそう。本当は、私もそちらに興味があるけど、今は魔法合宿中だからね。

「あと、ベッカム教授からエビの養殖を始めたいと、報告が上がりました」

あっ、嬉しい! それと、真珠の養殖については秘密だけど、貝のどの部分に異物が入ると真珠になるか教えて欲しい。その手紙を、渡してもらう。

アクセサリー、半貴石と金メッキ、銀メッキのパーツで作るより、淡水真珠を混ぜた方が可愛いよね? モラン伯爵領の湖で作れないかな? これも調査したいな。

それか、前世でもあったガラスパール! あれ、ブランド品のアクセサリーでも使われていたのだ。

なんて、別の事を考えていたら、パーシバルに呆れられた。

「ペイシェンス、また新しい物を考えているのですか?」

ああ、もういっぱいいっぱいだから、やめなきゃ!

「ペイシェンス様、そろそろ魔法訓練を始めますよ! 今日はナシウス君が助手を勤めてくれますから、頑張って下さい」

騎士の訓練をするパーシバルと別れて、訓練所に向かう。今日もベリンダも一緒だよ。

「アルーシュ様、ザッシュ様、お待たせしました」

先に訓練所に来ていた二人に謝るけど、構わないと笑う。

「お二人は、魔素を身体に取り込む練習をして頂きます。ペイシェンス様、あの体操に二人も参加させて下さい」

まぁ、全く別の魔法の使い方をしている二人だから、基礎の基礎から練習だね。

「ナシウス君、二人にオルゴール体操と、生活魔法を教えてあげて下さい」

えっ、折角、ナシウスと一緒なのに別なの?

「魔素を取り込むには、太陽の下の方がやり易いですからね」

つまり、ゲイツ様と二人! ベリンダとメアリーはいるけどさぁ。

「お姉様、では、お二人にもオルゴール体操の台紙を渡した方が良いですね。今日の分のハンコも押しましょうか?」

ナシウス、親切で良い子だね! 抱きしめてキスしたいけど我慢しよう。

「ええ、アルーシュ様、ザッシュ様、台帳のハンコを集めたら、ご褒美が貰えるのですよ」

メアリーに台紙を取ってきて貰って渡す。

「ふうん、面白いな! 朝早く起きるのも、良いかもしれない」

今回のは、メイド見習いとか毎回参加できない子の為に、五回でアイスクリームとかマスに書いてあるんだ。

「それは、何でしょう!」

横で大騒ぎしているゲイツ様にも渡しておく。

「ファイルや紙は要りませんから、アイスクリームとチョコレートに変更して下さい!」

その上、ご褒美に文句をつける。

「いえ、これはヘンリーが考えて決めてくれたのですから、変更は認めません!」

ゲイツ様も私の弟愛は熟知しているから、それ以上の抗議はしなかった。

「ふふふ、ラドリーはまだ知らないのですね」

やれやれ、友だちがいないのは、その性格のせいじゃないかな?

「ラドリー様にも教えてあげましょう」

ナシウスは、素直に育っているね!

兎も角、三人が外に出たので、ゲイツ様との訓練が始まった。

「ペイシェンス様が転移魔法をなかなか発動できないのは、危機感が足りない、真剣さが無いからだと考えたのです」

うっ、もしかしてナシウスに何かする気だったの? アルーシュ王子とザッシュを忘れていたんじゃない?

「ナシウスを使ったりしたら、ゲイツ様とは絶交ですからね!」

うっという顔になった。やっぱり!

「私は、どうもペイシェンス様に甘いから、攻撃し難いのです」

確かに、ベリンダの方が厳しかったかも?

「危機感を持つと転移魔法を発動できる物なのでしょうか? それより必要性を考えた方が良いのかも?」

王都で、少しだけ練習した時は、石を移動させたのだ。あまり上手くいかなかったけどね。

「ペイシェンス様、普通の魔法は、そうやって練習するのですよ」

そうなの? 私は、教会で生活魔法が使えると判定を受けた時から、色々な物を綺麗にしていたけど? 無茶なやり方だったのかも?

「ふぅ、まぁ、ペイシェンス様は天才ですから。だから、やる気になれば、やれる筈なのです」

確かに、一理あるかも? あの時、ナシウスが消えて、それを引き寄せようと必死になったからできたのだ。

「私が転移したい理由? 王都に居て、領地に何かあったら……でも、遠くて無理だわ」

ゲイツ様が「諦めないで下さい!」と励ます。

「一気に、そんな遠くに行けなくても、ちょっと転移できるだけでも命が助かる場合もあります。例えば、ナシウス君にビッグボアが突進して来たら……」

それ、この前のスライム狩りの時だよ! バッサァと髪の毛が逆立つ気持ちがした。

「ナシウス!」

目の前のナシウスがびっくりしている。

「お姉様?」

驚いているナシウスを抱きしめた。

「ゲイツ様が脅すから! ビッグボアに襲われそうなナシウスを考えたら、呼び寄せてしまったの」

興奮している私を振り解く事をしないで、ゲイツ様に質問している。

「これは、何が起こったのでしょう?」

ゲイツ様が苦笑しながら説明する。

「ペイシェンス様がなかなか転移魔法を発動できないので、ナシウス君がビッグボアに襲われたとしたらと、例を挙げたのです」

ああって顔のナシウス。

「この前、私に向かってビッグボアが突進したのを思い出されたのですね。あの時は、お姉様が討伐して下さったでしょう」

ナシウスに宥められて、抱きしめていた手を緩める。

「私は、アルーシュ王子とザッシュ様が驚いておられるでしょうから、外に行きますね!」

ああ、それもあったね! 反省!

「まぁ、あの二人には口止めしたら大丈夫でしょう。すみません、ナシウス君が本当にビッグボアに襲われただなんて思ってもいませんでした」

珍しくゲイツ様に謝って貰った。

「でも、ナシウス君限定の転移魔法では困ります。引き寄せるのではなく、ペイシェンス様が飛んで行くイメージは持てませんか?」

私が弟達の所に飛んで行く? 有りなのか? 無しなのか? 微妙だよね。

「できるのは確かなのに、歯痒いですね」

そうなんだよね。ラノベでも、鑑定、アイテムボックス、転移は三大チートだったよ。

パーシバルが外国に行って、会いたくなったら、飛んで行きたいかも?

「そうですね! 転移魔法、頑張って使えるようになりたいです!」

急な私のやる気に、怪訝な顔をするゲイツ様だった。