軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

騎士合宿は厳しい?

マッドクラブを討伐して、一旦はハープシャーに戻る事になった。

えっ、実戦時間が短い? ギルドで解体してもらったマッドクラブの鮮度が落ちるのをゲイツ様が心配したからね。

それに、アルーシュ王子やザッシュは、朝早くから王都を出発したから、疲れているだろう。ゲイツ様は元気いっぱいだけどさ。

ハープシャー館に戻ったら、いつも通り読書をしている父親以外は、死屍累々だった。騎士合宿、何をしたのかな?

「パーシー様、大丈夫ですか?」

滅多にグダッとした態度を見せた事がないパーシバルが、サロンのソファーの背に寄りかかっている。

「ああ、ペイシェンス。サリエス卿に厳しく指導されただけです。やはり、文官コースになってから、少し気が抜けていたのかもしれません」

パーシバルでこれだけ疲れたのだから、ジェニーやリンダもクタクタだ。ソファーに沈んでいる。

「ナシウス、ヘンリー、大丈夫ですか?」

「ええ、私たちはかなり手加減をして頂きましたから」

「とても、楽しかったです!」

まぁ、子ども相手に無茶はしないよね? でも、サミュエルは、中等科から騎士コースを選択すると伝えたからか、従兄弟のサリエス卿にかなり厳しく鍛えられたみたいで、ソファーに沈んでいる。

「ジェニー、リンダ、もう少し体力を付けないと駄目だぞ! 明日からは走り込みだ!」

ユージーヌ卿、凄く厳しい。

「お茶にしましょう! 今日は少し変えてみたのですよ」

昨日は、半分の人に不評だったタピオカミルクティー! リベンジできるかな? メロンパフェに入れたのよりは大きいけど、昨日のよりは小さいサイズ。

それと、黒糖を混ぜたから、ベージュのミルクティに半透明な白よりは、黒いタピオカの方が美味しそうに見えるんじゃないかな? 私的な感想だけどね。

「何ですか? これは、気持ち悪い黒い点々! まさか、これを飲むのですか?」

やはり、ゲイツ様とは食の好みが一致しないかも? そうだよね! ふふふん!

「でも、ペイシェンス様がお勧めする物が美味しくないわけがありません!」

そんな、信頼しなくて良いよ。

「普通のお茶も用意しておりますわ」

むしろ、好みが一致して欲しくない。

タイミング良く? いや、悪くなのか、ラドリー様が戻って来た。

「あっ、タピオカミルクティーですね!」

一緒に出かけたクラリッサは気に入ったグループだったんだよね。

「ほぅ、新しい飲み物ですか? 頂きましょう」

ラドリー様がタピオカミルクティーを太いストローで飲む。

「これは、甘くて冷たくて美味しいですね! とても気に入りました」

ゲイツ様の方がタピオカの黒い点々が気になるみたい。ああ、もしかしたら毒蛙の卵とかを想像したのかも?

私は脳内に浮かんだイメージを消去して、キャッサバから粉を作り、タピオカピーズを作るまでの工程を思い浮かべる。

「ラドリー様がそう言うのなら、美味しいのでしょう」

一口飲んで、口に入ったタピオカを噛む。

「うん? 変わった食感ですが、悪くない! いや、美味しいかも?」

アルーシュ王子は、キャッサバは食べた事があるけど、このタピオカミルクティーは初めてみたい。

「これは美味しい。それにキャッサバは、我が国の何処でも栽培できるのだが、主食として、焼いたり、蒸したり、揚げて食べるだけだ。芋によってはエグ味が残り、あまり人気が無いのだ」

それは、困るよね。

「皮を剥いて、一晩水に浸けたらエグ味が取れますわ。エバに、キャッサバのフライとガレットを作らせましょう」

お腹が空いている騎士合宿組、太めのキャッサバフライをパクパクと食べる。フレンチフライに似ているけど、もっともちもちしている感じ。

「特に揚げるとエグ味が増す気がしたのだが、全くエグ味を感じない。ペイシェンス、どうやったのだ?」

「皮を剥いて一晩水に浸け、中の黄色い芯を切り取るのがコツですわ。それと、揚げる前に茹でてから揚げると中はふっくら、外はカリッとなるそうです」

ゲイツ様は、キャッサバフライも食べたけど、キャッサバのガレットが気に入ったみたい。

「キャッサバを細く切って、それにチーズをまぶして焼いたガレットですわ」

こちらも人気だね。

「でも、民達はここまで手を掛けないと思います」

ザッシュが悲しそうな顔をする。油も高価だからね。

「キャッサバを粉にすれば、輸出品にもなると思いますわ」

輸出品と聞いて、アルーシュ王子とザッシュの目が光る。

「滞在されている間に、タピオカビーズだけでなく、タピオカ粉を使ったスイーツをお出ししますわ」

後で、レシピをエバに渡そう。エバなら、試作を重ねて美味しく作ってくれそう。

ジェニーとリンダ、昨日はタピオカミルクティーを気に入らなかったのに、疲れて、喉も渇いていたからか、グビグビ飲んでいる。

「これ、小腹が空いているのも解消しますし、便利かも?」

まだ、好きにはなっていないよね。でも、飲んでいるうちに癖になっちゃうんだ。

タピオカミルクティーは、少しずつ受け入れて貰えそう。

「ペイシェンス、あの盾をゲイツ様に見せようと思います」

パーシバルは、真面目だね。それに、ゲイツ様にいちいちお伺いを立てなくても良いんじゃないの? だって、盾は使わないんだから。

「使わない盾ですから、問題無いのでは?」

部屋に置いていても邪魔なだけだとは思う。格好良い彫刻とかも施していないから、インテリア性も無いよね。

「あの盾を使わないなんて、凄い損失です。夏休み中に片手で使える様にしたいと考えているのです。今日も、兵士の盾を借りて練習しました」

えっ、それであんなに疲れていたんだね。もう、パーシバルにあげた物だし、使いたいから練習すると言うなら、任せるしかない。

「ゲイツ様、お茶の後で見て貰いたい物があるのです」

タピオカミルクティーを機嫌良く飲んでいたゲイツ様が、片眉を上げた。

「何だか嫌な予感がします。見たく無い様な、見なくてはいけない様な。仕事が増える気がして……仕方ありませんね。どうせ、ペイシェンス様が非常識極まりない物をプレゼントしたのでしょう。弟子の不始末を処理するのは師匠の仕事ですから」

いや、弟子では無いと思うよ!