軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

治水工事も進めなきゃね!

木曜にノースコートについて、金曜に葡萄畑の管理人とモンテスの家を改修、建築し、ハープシャー館の外壁とトイレとお風呂を改修した。

土曜は、皆が総がかりでハープシャー館の改修工事をしたけど、治水工事はどうなっているのかな?

「パーシー様、治水工事って、やはり春の植え付け前に済ませた方が良いと思うのですが?」

土曜の朝、朝食の席で質問する。

「そうですが、ラドリー様がいらっしゃる間は、そちらに集中してしまうかもしれませんね」

ライトマン教授や助手も、ラドリー様の建築の見学とお手伝いに殺到しているからね。

「ラドリーに任せておけば、一月も掛からずに館の改修は終わるでしょう。治水工事は、その後でライトマン教授や助手に任せたら良いのですよ。四月の中旬までに終えれば、十分でしょう」

ふぅ、ゲイツ様はそう言うけど、日本で治水工事は年単位だったから心配しちゃうんだ。

「グレンジャー館も改修したいのですが、夏までに間に合うかしら?」

夏休み、弟達もだけど、父親にも一緒に来て欲しいんだ。

使用人は不足しているけど、王都の屋敷を留守にするなら、こちらにかなりの人数を連れて来れる。

それは、まだ先の話だけど、きっと歴史研究会のメンバーがお泊まりしそうなんだもん。

ノースコート伯爵夫妻に尋ねたら、やはり夏休みは館も建設中のホテルも予約で一杯だそうだ。

もっと価格の安い宿屋も建設するべきか、ノースコート伯爵は悩み中みたい。

だから、ナシウスが属している歴史研究会がカザリア帝国の遺跡調査を夏休みにするなら、グレンジャー館に宿泊しても良いと思うんだよね。

「ペイシェンス、夏休みの計画ですか? まだ、春になっていないのに?」

パーシバルに笑われたけど、早目に準備しておかなきゃね。

「お父様が来てくれたら、パーシー様も一緒にハープシャー館かグレンジャー館に泊まれるのでしょうか?」

それは良いと、リリアナ伯母様も許可してくれた。

「ウィリアムはペイシェンスの保護者なのだから大丈夫ですが、書斎から出てくるのでしょうか?」

それは、私も半分疑問だよ。本当に大学に行く以外はずっと書斎に籠っているからね。

「でも、カザリア帝国の遺跡には興味があるかも? あの子は、歴史も大好きだから」

ははは、大人になっても、弟は弟なんだね。リリアナ伯母様にとって、父親は書斎に籠ってばかりの困った弟みたい。

「ペイシェンス様が治水工事が遅れるのを心配されているなら、今日はそちらを優先しても良いですね。私とペイシェンス様がいれば工事も捗るでしょうから」

確かにゲイツ様がいれば工事は凄い勢いで進みそう。

私が馬車でハープシャーに行くまでに、パーシバルとゲイツ様は馬で先行して、今日の工事予定を話し合ってくれていた。

本当は、 馬の王(メアラス) で行く予定だったけど、少しお疲れモードだったし、今日は魔力をいっぱい使いそうな予感がするから体力の温存を優先したんだ。

「治水工事の計画は立てているのです」

ライトマン教授に領地の地図に描かれた溜池や用水路の予定を見せて貰う。

「溜池は、三箇所で良いのですか?」

少なくないの? と素人には思える。

「溜池を多くしても、そこに溜まる水が無ければ意味はありません。この地方の降水量を考え、夏の雨の降らない時期の農水を蓄えるだけです。それに、この地方は夏に嵐も来ますから、その時に水を溜める機能も持たせています」

ここは、専門家の意見に従おう。

ゲイツ様と私で溜池を掘る事になった。用水路は、助手達が頑張るそうだ。

「ここが溜池1号の予定地ですね。見本を見せますから、溜池2号はペイシェンス様が作って下さい」

これって重機がいるレベルだと思う。

予め、ライトマン教授の助手が溜池予定地には、ロープで縄張りをしていた。

「深さは、溜池1号は谷にあるから深くて11メートルですね」

ふうん、それが深いのかどうかも私には判断できないけど、ライトマン教授の設計図通りにゲイツ様は作るみたい。

「ダムみたいですね!」

ドォン! と土が掘られて、大きな溜池ができた。ハープシャーのかなり上部にあり、溜池というよりダムに思える。

「そういえば、ダムで何か作るとか言われていたような?」

そうだ! ダムで発電できたら良いと思ったんだよね。社会見学でダムと発電所は行ったけど、それをロマノ大学の誰かに言ったら、作って貰えるのだろうか? 作って良いものなのか? これはパーシバルに要相談だ。

「この土はどうするのかしら?」

ゲイツ様が魔法で掘った溜池の土が横に小山になっている。

「埋め立てに使っても良いのですが、遠浅にはマッドクラブが生息していますし、いなくなったら困ります!」

それ、開発と環境破壊は、前世でも問題だったよ。

「ロマノ大学の生物学の教授に調査して貰った方が良さそうですね」

パーシバルに同意だ。

「ええ、植物学のリンネル教授にも相談に乗ってもらいたい事があるのです」

稲の栽培も進めたいからね。ライナ川の三角州あたりが条件的に良さそうだと素人目には思えるけど、これも相談してからだよね。

溜池2号は深さは2メートルになっている。

「このくらいなら、ペイシェンス様でもできるでしょう」

簡単に言うけど、前世だったら重機で半月は掛かるよね。

「溜池ができるように!」

うん、これでは水溜まりだよ。

「ペイシェンス様、先ほどの見本を見ていなかったのですか!」

ゲイツ様に叱られたけど、やはり前世の常識が邪魔しているのかも。

「溜池なんて、土の魔法使いが何人もで作るのでは?」

パーシバルが庇ってくれるけど、これでは駄目なんだよね。いつか、パーシバルと一緒に外国に行くには、もっと強くならなくては!

魔法はイメージが大切。そして、私の場合は、願望というか、欲望が大切なんだ。

「四角くて、水門で管理ができて、夏の渇水期には農地に水を与える為の溜池ができますように!」

ドバン! 私は都会育ちだけど、祖母の実家に一度行った事がある。その時に見た溜池、それを思い浮かべたまんまの穴が目の前にあった。

「やはり、できるではありませんか! ペイシェンス様にしては詠唱が長かったですが、それが良かったのでしょう」

ゲイツ様は、詠唱の大切さを延々と述べていたけど、イメージを固めるのが大事だと思うよ。

溜池3を作って、今日は休む事にした。魔力をかなり使ったし、少し考えたい事があったんだ。

そう、ダムと発電所だよ。