軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

鉄壁の守護

王宮の屋上庭園。

そこに連れてこられたアンジェは、クラリスを見るのだった。

「何の用だ?」

「アンジェリカ、あんたリオン君の体調をどう思っているの?」

「――しばらく休ませたい」

「無理よ。このまま次は国内で争うことになるわ。休んでいる暇なんて、私たちにはないのよ」

外の問題が片付けば、次は内側の問題だ。

「リオンは王国の盾になる。逆らう勢力に睨みを利かせる」

「それで済むと思っているの?」

アンジェは俯くのだった。

それで終わるとは思えなかった。

必ず馬鹿も出てくるだろうし、場合によっては王国を裏切り外国に寝返る勢力も出てくるだろう。

そうした敵と戦い続ければ、リオンの精神が保たない。

「アンジェ、本当は黙っておくつもりだったけど、取って置きの方法を教えてあげるわ。もしかしたら、リオン君のメンタルを一気に強く出来るわよ」

その情報にアンジェが飛び付く。

「――何が望みだ? 叶えられる望みなら、私は何だってするぞ」

「あまりがっつくと、足下を見られるわよ。――簡単な話よ」

クラリスの話を聞いて、アンジェは「そ、それでいいのか!?」と驚くのだった。

学生寮に戻ってきた俺は、机の引き出しを開けて首をかしげていた。

「あれ? おかしいな。ここにしまっていたのに」

『どうしました?』

「いや、薬がないんだ。見つからないから補充してくれ」

『嫌です。そもそも、私とクレアーレで全て回収しました』

「――おい、あれがないと寝付きが悪いんだから、さっさと出せよ」

普段から薬の使用に口うるさいルクシオンだが、俺が疲れている時は黙って薬を用意してくれていた。

だが、今日に限っては強く抵抗する。

『薬の使用は控えるべきです。一度、本格的に医療カプセルで治療を受けてください』

「今度の連休でいいだろ。というか、今度の連休もバタバタしそうだから無理かな?」

クーデターは随分と呆気なく片付いたのだが、問題は事後処理だ。

アンジェたちが手伝ってくれているが、俺も手を貸すべきなのだろう。

ルクシオンが赤い一つ目で俺を見ている。

「何だよ?」

『――薬の代わりが到着しました。マスター、時に人肌が心を癒やしてくれるのをご存じでしょうか?』

「聞いたことはあるな」

人肌が恋しくなることはあるよ。

誰かに甘えられたら、どんなに幸せなことだろう。

いっそアンジェやリビアにママって言って抱きつき――いや、ないな。

自分で考えて、ちょっと引いた。

やはり疲れているようだ。

『今夜はお楽しみですね!』

「おい、どうした?」

急に声を大きくしたルクシオンは、ドアを開けると外に出ていく。

代わりに部屋に入るのは、寝間着姿のアンジェとリビアだった。

「あれ? 二人とも、今日は一緒にお喋りでもしたいの?」

以前にもこんなことがあった。

どうせ寝られないなら、二人とゆっくり話をするのも悪くないだろう。

お風呂上がりなのか、二人とも頬が少し赤かった。

髪も少し湿っている。

アンジェが俺を真っ直ぐに見ている。

「リオン、私たちはどうやら考えが甘かったようだ」

「え? 何か問題でもあったの? すぐにルクシオンとクレアーレに相談を――」

ドアを閉めて鍵を閉めるリビアは、耳まで赤くしている。

「リオンさんの覚悟が出来るのを待っていましたけど、それだといつになるか分かりません。だから、私とアンジェで決めたんです」

――覚悟?

いったい何のことだろうか?

もしかして、王位云々のやつだろうか?

「王様になるように説得しに来たのか? なら遠慮する。今ですら辛いのに、これ以上の立場とかいらない。今だって、本気で逃げ出したいくらいで――え?」

二人がゆっくりと俺に近付き、優しくベッドに押し倒すのだった。

「――え? えっ!?」

リビアが寝間着のボタンを外した。

「アーレちゃんから色々と聞いてきました。お、男の人は、女性の胸が大好きだって」

それは人による!

いや、大好きだけど。大好きだけども!

クレアーレの奴、リビアに何てことを教えているんだ! ――ありがとう。

アンジェが俺の服を脱がせてくる。

「まったく、こっちはいつでも受け入れたというのに」

「――うぃ!?」

変な声が出てしまった。

え? もしかして、これってついに来たのか? 来ちゃったのか?

「ふ、二人とも落ち着くんだ!」

だ、だが、俺は詳しいんだ。

こういう展開になると、きっと邪魔が入るに決まっている。

マリエとか、あの馬鹿五人とか! きっとこのタイミングで――。

アンジェとリビアが、俺に顔を近付けてきた。

「もう何も考えるな」

「私たちに全部任せてください」

――嘘だろ。

え、本当に誰も来ないの?