軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第050話 ルリは綺麗好き

「ダリルさん、他の陳情とか意見は?」

次の話に移ろうと思い、ダリルさんに聞く。

「えーっと、魔道具が欲しいというのが多いですね」

「やはりそこですか……そこを優先した方がいいですかね?」

「だと思います。もうすぐ冬になりますし」

今は10月だから日本ももうすぐで冬だ。

この世界にも四季があるんだろうか?

「わかりました。そこを優先しましょう」

「はい。他にはリンゴの他に木材を売ってはどうかという意見が出ました」

「木材を?」

「はい。タツヤ殿が伐採して加工した木材が余っております。のこぎりややすりが大変使いやすく、皆が色んなものを作っておりますが、余りに余っております。この森の木は丈夫で伐採が大変だったのですが、逆を言えば質の良い木材なんですよ」

なるほど。

確かに木材は売れるだろう。

「重くない?」

「はい。なので、それに関連して馬車が欲しいとか道を整備するべきとかもあります」

それらはリンゴ農園としてやっていくためにも必須な気がする。

「馬車か……それは買えばいいけど、道の整備って?」

「タツヤ様、これから町に向かわれるので見てもらいますが、ボコボコしており、道が非常に悪いのです。馬車の足を取られやすく、非常に進みにくいのです」

モニカが説明してくれる。

「あー……それはきついね。どうしようかな?」

道を整備って大変だろ。

「タツヤさん、道の整備なんて土魔法でちょちょいのちょいです」

「どうせ町に行くんだから頑張るにゃ。修行にゃ」

あ、俺がやるんだ……

いや、まあ、そうか。

「わかった……モニカ、町まで歩いて半日だっけ?」

「そうなりますね」

人が歩くスピードは時速4キロくらいと聞いたことがある。

半日が何時間を指すのかはわからないが、地味に遠いな……

「整備しながら進むとなると、泊まりになっちゃうね 野宿? やったことないよ?」

子供の頃にキャンプをしたくらいだ。

「転移で帰るにゃ」

「転移って?」

まさか一瞬で帰れるわけじゃないよね?

「転移魔法っていうのがあるにゃ。一瞬で目的地に飛べるにゃ」

やっぱり……

「そんなことができるの?」

「できるにゃ。お前でも使えると思うから教えてやるにゃ」

「魔法って、すごいね。でも、それでモニカを王都まで送っていけばよかったじゃん」

往復で20日以上も旅させてしまった。

「行ったことないところには飛べないにゃ。だから王都にもハリアーの町にも行けないにゃ」

そういう制限があるのか。

つまりここに帰ってくることはできるんだ。

「なるほど」

「タツヤ様。今さらタツヤ様の魔法の腕に驚きは致しません。ですが、転移魔法は伝説級の魔法であることをご理解ください。ですので、人前で使ったり、人に話すことはご自重くださいませ」

モニカが忠告してくる。

「そりゃそうか。普通に使える魔法だったらここだって、もっと発展しているだろうし……わかった。人前では使わないようにするよ」

「お願いします」

魔法自体が神秘すぎて、どれがダメなのかがわからないな。

「ダリルさん、そういうわけで道を整備しながらハリアーの町に向かいます」

「わかりました。そちらの方はお願いします」

「リンゴを売ったお金で買うべきは魔道具と馬車ですね?」

「そうなりますな。ただ人頭税の方を最優先でお願いします」

そっちが先か。

「それと先程、コーディーさんに小麦のことを聞いたんですが、そちらの方は?」

「それらも仕入れないといけませんが、貯えがありますので急ぎではありません」

当面は大丈夫か。

まあ、小麦は最悪、安いからスーパーで買ってくればいいしな。

「わかりました。では、ハリアーの町に行って参ります」

「お願いします」

俺達はダリルさんが頭を下げたところで家を出た。

「モニカ、ちょっと準備をしてくるよ。さすがにこの格好で歩くのは厳しい」

土仕事っぽいし。

「私も準備がいりますので村の入口で待ち合わせをしましょう」

村の北には一応、木製の門がある。

「わかった。基本は転移で帰るからそんなに荷物はいらないからね」

「ありがとうございます。では、そのように致します」

俺達はそのままモニカと別れると、一度、家に戻った。

そして、買っておいたツナギに着替えると、長靴を持って、研究室に行く。

「山田、そこの青い本を取るにゃ」

ミリアムが尻尾で本棚を指す。

「これ?」

本棚にある青い本を取ると、ミリアムに見せた。

「それにゃ。それに転移魔法が書いてあるから覚えるにゃ」

「伝説の魔法が普通に本棚にあるんだね」

「そんなものにゃ」

俺は本を読み、転移魔法のやり方を学んでいく。

これまでいくつかの本や魔力のコントロールを学んでいるからかそこまで難しい魔法ではないように思えた。

「これ、伝説なの?」

「伝説にゃ。やり方自体はそこまで難しくないにゃ。問題はものすごい魔力を使うことにゃ。モニカがいないから言うけど、モニカが10人いても使えないにゃ」

モニカ、魔力が低いからなー……

ユウセイ君やキョウカの半分もない。

「よし、これならできそうだ。試してみよう」

俺は本に書いてある通りに飛ぶ場所をイメージし、魔法を使う。

すると、研究室の外にあるリンゴの木の前に飛んだ。

「成功か。いや……」

失敗だ。

「ルリー、長靴を持ってきてー」

靴下のまま外に出てしまった。

ルリはすぐに外に出ると、俺の前に長靴を置いてくれる。

「ありがとうね」

「いえ。この辺りは気を付けないといけませんね。家の中が汚れます」

気を付けよう。

部屋の中を泥だらけにしたらルリが怒りそうだ。

「そこを注意するのをすっかり忘れたにゃ」

まあ、猫さんは靴を履かないからな。