軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第014話 イッキ

お祝いですき焼きを食べた翌日の日曜日。

この日は朝からあっちの世界に行くということになっていたので日曜だというのにいつもの平日と同じ時間に起きた。

だが、辛いとは一切、思わない。

気持ちは非常に楽になっているからだ。

俺は朝ごはん食べると、スーツに着替え、リビングに向かう。

すると、部屋着から白ローブに着替えたルリとミリアムが待っていた。

「じゃあ、行こうか」

「はい」

「先週行ったばかりなのに久しぶりの気がするにゃ」

確かに……

俺達は例の扉を抜けると、異世界の家に来る。

そして、家を出ると、村にやってきた。

村では相変わらず、皆が頑張って働いている。

この人達の人生を預かるのはプレッシャーな気もするが、そこまで深く考えなくてもいいと自分に言い聞かせ、村長さんの家に向かった。

村長さんの家に入ると、先週と変わらず、村長さんがモニカさんと話をしていた。

「おはようございます」

「おー、タツヤ殿にルリ、それにミリアム」

「おはようございます」

挨拶をすると、村長さんとモニカさんも挨拶を返してくる。

「村長さん、腰はどうですか?」

「いや、非常に良くなった。ありがたい限りです」

スイッチを押しただけの薬だったから心配だったが、効いているようだ。

「次はいつ持ってくればいいですか?」

「1錠でひと月は持ちますから当分先で構いません」

「わかりました。なくなったら言ってください。またお持ちします」

「ありがとうございます。それで今日はいかがなされたのかな?」

村長さんが聞いてくる。

「先週の件です。若輩者ではありますが、村長の件をお受けしようかと思いまして」

「おー! 真ですか!」

村長さんが少しオーバーに喜ぶ。

「はい。ですが、私は経験がありません。村長さんとモニカさんにも協力してもらうかと思います」

「それはもちろんですとも!」

「私もお力添えをします」

2人は笑顔で頷いてくれた。

「ありがとうございます。早速ですが、まずは何をすれば?」

「まずは村を見て回って、皆に顔を覚えてもらってください。時期を見て、私が皆に伝えます」

いきなり村長が代わるよりそれがいいか。

「わかりました。私も村を見て回ろうと思っていましたので」

「では、お願いします」

村長に頭を下げられたので俺も下げ返すと、家を出た。

そして、村を巡っていく。

村を見渡しながら歩いていくと、ほとんどの人に声をかけられた。

おそらく、極端に娯楽が少ないため、知らない俺が珍しいのだろう。

俺は自己紹介をしつつも、村の問題点を確認していく。

村の人々は皆、明るく元気があり、色々な話を聞くことができたし、顔を売ることもできた。

そうやって村を見て回っていき、問題点や人々の名前や仕事をスマホにメモしていく。

そして、あらかた見て回ったので最後に森と村の境界線を見ることにした。

「この木々を切って畑にするわけか……」

そう言いながら太い木の幹に触れる。

「そうなります。やはりそれが一番の重労働ですね」

確かに木を切るのは難しい。

それに切ったとしても根を掘りださないといけない。

「なるほどな……」

俺は最後に伐根が大変とメモすると、スマホをポケットにしまった。

「だいたいわかった。今日は帰ろうか」

「わかりました。では、戻りましょう」

俺達は家に帰ると、一息つく。

そして、今日見聞きしたことをまとめると、魔法の修行をした。

翌日、この日は月曜のため、出社しないといけない。

だが、俺の目は先週のように死んだ目はしていないと思う。

俺は会社に着くと、すぐに部長のところに行き、退職する旨を伝えた。

すると、すぐに別室に連れていかれ、引き止められたが、既に別の職が決まっていることを伝えると、渋々、了承してくれた。

とはいえ、引継ぎ等もあるからすぐに辞めることはできない。

この週は引継ぎ、さらには新しい職場であるタイマー協会で仕事の説明を受けつつ、異世界の村のことを考えるという非常に忙しい日々を過ごした。

土日は村に顔を出し、村民と話をしたりしながら親睦を深めていく。

その翌週も先週と同じように引継ぎ等をしていると、ついに金曜日になった。

この日が俺の退職の日であり、同僚達が送別会を開いてくれたため、ルリに夕食はいらないと伝え、飲みに行く。

飲みの場では次の職場のことなどを根掘り葉掘り聞かれたが、すべて曖昧に返事をし、誤魔化した。

そして、飲みを1次会で終えると、家に帰り、風呂に入った。

風呂から上がり、リビングに戻ると、ルリがお茶を淹れてくれる。

「悪いね」

「いえ、長い間、お疲れさまでした。明日からは違う人生が始まりますが、このルリがタツヤさんをお支えしましょう」

ルリがそう言って、背中にそっと触れた。

この少女は人間が出来過ぎている気がする。

「ありがとう」

ルリの頭を撫でると、ルリが嬉しそうな顔になる。

すると、段ボールの中からミリアムが飛び出し、俺の膝の上に乗った。

「ミリアムもよろしくな」

ミリアムの背中を撫でる。

相変わらず、素晴らしい毛なみだ。

「任せるにゃ。そうだ! お疲れ様会をするにゃ」

「そうですね。ストゼロを持ってきます」

ルリがそう言って、ストゼロを持ってきてくれる。

「ストゼロかー……」

飲んで帰ってきたんだけど……

「山田のちょっと良いとこ見てみたい」

おい……

「なーんで持ってるの?」

ルリ……

「ストゼロではやめてよ……」

君ら、普段、昼間に何してんの?