軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ラフーの抜け毛

「もうここにはイミアお姉ちゃんを傷つける奴は居ないなの。存分に何か困ったらガエリオンとなおふみに相談するなの」

「勝手に相談役にするんじゃねえよ。とはいえ……」

お義父さんがモグラの様子を確認しますぞ。

「怪我は大分良くなって来てるな。戦いとかはしなくても良いが何か作業をしろよ」

「は、はい……」

若干照れくさそうにお義父さんへモグラは答えましたぞ。

ライバル情報で既にモグラ達も連れて来る手はずになっているとかですな。

後はキール達ですぞ。

「キールはどこに行ったんだ? アイツ、今日は朝から見てないんだが……」

お義父さんが食堂でお姉さんに尋ねますぞ。

「あの……先ほどから食堂の隅で剣の勇者とブラックサンダーさんと一緒に料理が出来るのを待っているのか、待機してます」

「元康とフィロリアル共じゃないんだから……」

なんてお義父さんがため息をすると、居場所を特定されたからか、錬とブラックサンダー、そしてキールがシュバッと隠蔽状態を解いて姿を現し、ポーズを取りますぞ。

「前世の因果が、再び俺達を巡り合わせたようだな……」

相変わらず錬はブラックサンダーと楽しげな遊びをしている様ですぞ。

右目を左手で隠し肘を妙な角度にして覆い、俺達を流し眼で見ております。

「フィロリアルマスク4号見参だぜ!」

キールも謎のポーズをとっておりますぞ。

俺の着けているマスクに似た物を着けておりますぞ。

「フハハハ! 漆黒の双牙参上!」

ブラックサンダーも錬の後ろで左目を隠して決めポーズをとっておりますぞ。

「闇の剣士<シャドウセイント>!」

「「「我ら! 闇聖勇者<ダークブレイブ>隊」」」

ボーンと背後に少しばかり爆発が起こりましたな。

「……はぁ。コイツ等は……飯が食いたいなら素直に言えば良いだろ……勝手に住み着きやがって。本気でヤバいな、コイツ等……」

「キールくんまで混ざり始めましたね……」

「完全にマスコット枠だな。つーか、出待ちするとか、暇なのか……?」

ここで俺も参加すべきですな!

ジュワ!

「フィロリアルマスク参上ですぞ! クエーーー! ですぞ!」

「元康も便乗して悪ふざけしやがって……ったく、謎の正義戦隊連中は疲れる……」

「ハッハッハ! フィロリアルレンジャーですぞ!」

「フ……違うな。俺達は闇聖勇者<ダークブレイブ>隊だ」

「4号が混じっているのにな」

お義父さんのツッコミですぞ。

「フィロリアルマスク2号と3号がいないのがまだマシか……リーシアには2号と3号の動向を聞かねばならんな」

「お義父さんも参加しませんかな? お姉さんもどうですぞ?」

「そのノリは嫌です」

「誰かー……フィーロ呼んで来い。せめて元康だけでも黙らせろ」

ヒィ!? フィーロたんが来るのですかな!?

「んー? ごしゅじんさま呼んだー?」

「元康の所に行ってこい。静かにするように命令してこい」

「わかったー」

フィーロたんが俺の所に近づいてきましたぞ!?

「槍の人ーごしゅじんさまが静かにしてだって」

「わ、わかりました」

「これで良いのー? ごしゅじんさまー」

「ああ」

「でも槍の人の何がダメなの?」

フィーロたんがお義父さんに尋ねますぞ。

「サディナと同じく元康が悪ノリしてるからだ」

「へー。そうなの?」

「ち、違いますぞ。騒ぐのは楽しいからなのですぞ」

「違うって槍の人言ってるよ? フィーロよくわかんないけどお歌歌うの楽しいよね」

おお、フィーロたんが俺の提案を理解してくれていますぞ。

感謝ですぞ!

「まあ……害は余りないから良いんだが……キール! お前も行商するように指示してただろ! そいつ等と付き合って遊ぶのは程々にして行って来い。んじゃフィーロ、ルナを呼んで来い」

「わかったー!」

フィーロたんがお義父さんの命令でルナちゃんを呼びに走って行ってしまいますぞ。

「ゲ! ルナちゃんが来るのかよ! やべぇ!」

キールがワタワタとしているとルナちゃんがノシノシとやってきますぞ。

「またその遊びしてる。ルナもまーぜーてー」

そう言いながらルナちゃんは高らかに跳躍してキールに飛びかかって行きますぞ。

「フ」

「ハァ!」

錬とブラックサンダーが大きく飛びずさってポーズを取り直しましたぞ。

「キールくんとポーズ」

ルナちゃんがキールを片方の翼に乗せてポーズをとりました。

「無理やり腕に立たせるなよ! うお! 落ちる落ちる! つーか俺は手乗りじゃねえ!」

「手乗りキールくん」

「手乗りキールだな」

お義父さんが便乗して含み笑いをしましたぞ。

「しまらないぞキール。もっと勉強するんだな」

錬がここでキールに注意しましたぞ。

「ルナちゃんが居たらしまらないだろ!」

「甘いな。漆黒の爪牙と左右対称に立ってポーズを取るんだ。こういう風に」

「キールくんのポーズはこう!」

ルナちゃんがキールの両脇を抱えて高い高いのポーズですぞ。

「ぜってー違う! ルナちゃんはーなーせー! 俺は、もっとカッコよくなるんだ!」

「わかったーこう?」

やっとの事ルナちゃんは錬の指示通りのポーズをとりましたぞ。

一応ブラックサンダーとは対に成る形のポーズをしておりますが……。

「黒いのが何体もいるとキャラ被りが酷いな」

ポツリとお義父さんが錬とブラックサンダー、そしてルナちゃんを見て言いました。

「キールも白黒系だから集まり過ぎると地味……と言うか錬と黒アニマル動物園だ」

「……」

錬はポーズを取るのをやめてしまいましたな。

やがて何を思ったのか言いました。

「新たな闇を探索に行くぞ!」

「おう! ここに闇の気配は無い」

「出発だぜ!」

「出発ー」

そう言って錬はブラックサンダーとキール、ルナちゃんを連れて行ってしまいましたぞ。

「兄ちゃーん、飯時には帰るからなー」

キールの台詞がなんともしまりませんな。

「まったく……面倒くさい奴らだ。あそこにサディナが混ざると……本当、白黒縛りになりそうだが、戦隊としてどうなんだろうな」

「サディナ姉さんを混ぜるのは勘弁してほしいですけどね」

錬とブラックサンダーは復興をしているお義父さんの所に顔出しをし、食事をしてから村に居着くようになりましたぞ。

樹も似た感じでここを拠点と決めてフレオンちゃんとリースカと共に各地を飛び回っているとの話ですな。

村の復興作業は順調なのですぞ。

後はそうですな。変幻無双流の老婆も戦闘顧問として派遣されて来ました。

お姉さんとリースカに色々と伝授するとの話でしたな。

そうしてお姉さんが修行の旅へと出る数日前の事ですぞ。

「槍の勇者ー」

ライバルが俺の下へやってきますぞ。

「……なんですかな? 俺はフィロリアル様のお世話で忙しいのですぞ」

「そう言うななの。槍の勇者、ちょっと手伝ってほしいなの」

「嫌ですぞ」

「槍の勇者、この周回のなおふみと今より親しくなる良い案だから聞けなの」

ライバルの奴め、何を企んでいるのですかな?

場合によってはお義父さんに報告ですぞ。

「何を企んでいるのですかな?」

「ふふふ、なの」

思わせぶりな様子でライバルが取り出したのは茶色い毛……お姉さんの毛髪ですかな?

「これはラフーの抜け毛なの」

「それがどうしたのですかな?」

「槍の勇者、これさえあればなおふみに今より優しくしてもらえるのがわからないなの?」

「わかりませんな」

どこをどうしたらお姉さんの毛髪でお義父さんに優しくして貰えるようになるのですかな?

まあ確かにこの周回のお義父さんはフィロリアル様に対して警戒心が強く、俺に関しても風当たりが強いですな。

邪険な扱いはしないですが優しいお義父さんの様な親しさは無いのですぞ。

これもお義父さんですから受け入れておりますが出来ればもっと仲良くなりたいのは確かですな。

顎をクイっとしてから避けられている様な気がしますぞ。

「ふふふ……槍の勇者、ガエリオンの言う通りにするなの。騙されたと思ってやってみるなの!」

「なにやってるのー?」

こ、この声は!

ヒィイイ! フィーロたんがいつの間にか俺の背後にいました。

「槍の人に変な事しちゃダメだよー?」

「おやフィーロなの。お前にしては珍しい反応なの。槍の勇者がどうなろうと興味ないんじゃないなの?」

「んー? うるわしゅーだから心配してるだけー」

「ほー……なの。槍の勇者、ガエリオンの忠告をしっかりと聞いている様なの。なのなの」

「だ、黙れですぞ! ライバル!」

ど、どうしたらフィーロたんの意識を逸らせますかな!?

「ねー槍の人ーこの前の約束どうなった?」

「約束ですかな?」

「そう。フィーロも飛べるようになりたーい。フレオンはともかくガエリオンも居るから早く飛びたい」

ライバルが何故か不敵な笑みで俺を見ましたぞ。

「なーんだ。その程度の事なの? 槍の勇者、どうせついでなの。叶えてやれば良いはずなの」

「フィーロたんに何をする気ですかな! 事と次第じゃ許しませんぞ」

「許すも何もやるのはお前なの。そもそもフレオンの羽さえあれば出来る事なの。ほら、さっさと準備するなの」

そう言ってライバルは俺に助言を始めましたぞ。

であると同時に俺はとある槍を武器欄から見つけ出して使う事になったのでしたぞ。

「じゃあ早速始めるなのー」

「お空を飛びたーい」

と言う訳で俺はライバルの指示通りに試しと言う事でやってみましたぞ。

翌日の朝ですな。

お姉さんは村の者たちと就寝しておりいらっしゃいませんぞ。

「お義父さん! おはようございますですぞ」

お義父さんは日課とばかりに朝の掃除を初めとした主治医が連れてきた魔物たちの餌やりをしておりましたぞ。

懐かしい光景ですな。

「なんだ元康、早いな。お前も起きているなら遊んでないでフィロリアル共の家の掃除でもしておけ」

手厳しいですが俺もここで引くわけにはいかないのですぞ。

「実はお義父さんにプレゼントを用意したので受け取ってほしいのですぞ」

「なのーん。ガエリオン達の合作で作った代物なのー」

お義父さんがライバルの方を見た後眉を寄せました。

「プレゼント? 気色悪いな。攻略本と解読機が何を企んでやがる」

お義父さんの妙なニックネームでライバルは解読機と言う扱いを受けているのですぞ。

今は随分と機嫌が悪いですな。

徹夜でアクセサリー作りでもしていたのですかな?

「正直いらんから大人しく掃除を――」

お義父さんが言い切る前に俺は背中に隠して見えない様にしていた代物をお義父さんにサッと差し出しますぞ。

「ラーフー」

それはお姉さんを模した魔物、ラフ種ですな。

槍の中にあるバイオプラント繋がりでの発展形で出た技能とバイオプラントと主治医の研究所の機材を使って再現したのですぞ。

ライバルはこの辺りの事に関して妙に詳しく、俺は言われた通りに作ったのですがな。

お姉さんの毛さえあれば再現はある程度出来るのですぞ。

ただ、それでも完全再現には及びませんでしたが、ライバルの持つ知識や魔法を駆使して出来る限り近づけたとか何とかですな。

「後はこのラフーとなおふみの近くを漂っていた魂の残滓、リファ……じゃなくて守護霊を結晶化させた物を入れてーなの」

培養槽に浮かんでいるお姉さんを模した完成直前のラフ種にライバルはサッと仕上げとばかりに水晶の様な物を出してスッと入れておりましたな。

「これに自律進化機能を施して……完成なの!」

そうして完成したのがこの再現ラフ種ですぞ。

「……なんだこれ?」

「ラフ種なの。別世界のなおふみがラフーの毛髪を元に作った魔物なの。それを手段は違えど出来る限り近づけたなの!」

「ラーフー」

「ほう……」

きょとん としたお義父さんがラフ種を抱え上げて軽く撫でますぞ。

ラフ種はされるがまま撫でられておりますぞ。

いえ、自ら撫でられに来ております。

「ラフー」

「ふむ……」

お腹や尻尾を撫でていたお義父さんは無心でラフ種を撫で続けましたな。

やがて。

「悪くない」

そう言ってラフ種を抱えて行ってしまいました。

「ラーフー」

ラフ種はお義父さんに抱えられた体勢でこちらに手を振っておりました。

相変わらず謙虚な魔物ですな。

「ごしゅじんさまー見てみてー! フィーロ飛べるようになったんだよー!」

ここでフィーロたんが空からお義父さんに追走するように舞い降りて言っておりますぞ。

「どうやって?」

「槍の人がね。約束通り飛べるようにしてくれたのー」

「フレオンの因子さえあればフィロリアル共が飛べるようになるなんて造作も無いなの」

「勝手にやった事を注意すべきだと思うが今は良い。じゃお前等勝手にやってろ」

そう告げてお義父さんは特に注意する事無くフィーロたんとラフ種、魔物達を連れて行ってしまいました。

その日の朝食からなのですが、俺のおかずが一品増えました。

お義父さんからの印象が良かったと言う事ですな!

フィーロたんもご機嫌で飛び回っておりました!

なお、お姉さんから妙な殺気を感じる視線が常時俺に向けられるようになった様な気がしますぞ。

『大成功なの!』

と言ったライバルの印象的な出来事でしたな。