軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

謝罪映像

そうしてお姉さん達が変幻無双流の修行に出かけて行きました。

お義父さんがフレオンちゃんと話をして樹もその一行に加わって修業兼世直しの旅をするのだとかですな。

老婆の方針で村には戻れないので丁度良いとの話でしたぞ。

「友情、勝利、努力! なんて素晴らしい事でしょう! いつきさん! リースカさん! やり遂げますよー! 特にリースカさんが覚醒するのに必要な事ですから、しっかりやっていきましょう!」

「ふえぇええええ……」

「ええ……僕達がより強くなるのに必要な事の様ですから頑張りましょう」

フレオンちゃんは修業と聞いて闘志を燃やしておりました。

「お義父さん達への伝授は任せてほしいのですぞー」

「あの……槍の勇者が教える事が出来るなら私は一緒に行かなくても良いのでは……」

「何を言っているのじゃラフタリア門下生! 聖人様達には聖人様に合った方法がある。勇者同士の教鞭が効率が良いじゃろうて! では行くのじゃ!」

「ラーフー」

お義父さんがライバルに名前を聞いたラフ種がお姉さんを見送る様にお義父さんの肩に乗って手を振っておりますぞ。

「な、ナオフミ様!」

「これも必要な事らしいから念のためにやっておけ。俺は俺で攻略本共に教わる……」

とは言いつつお義父さんはラフ種に夢中の様で撫でまわし続けております。

一見すると浮気の様ですがお義父さんなりのリラックスの方法でしょう。

最初の世界のお義父さんもよくラフ種を撫でておりましたぞ。

ちなみにお義父さんにラフ種を増やせないかとか増やし方等を俺とライバルは聞かれていますぞ。

気に入ってくれた様でなによりですな。

「後は任せるなのー」

「お姉さん達が帰って来た時には驚かせる位凄くしておきますぞ」

「心の底から心配なので辞退したいです!」

おや? お姉さんが必死の形相でこちらに来たがっておりますな。

ですがお義父さんが宥める事で渋々出かけて行きましたぞ。

「うう……後を任せて大丈夫なのか本気で心配です」

「フ……」

で、錬も輪に混じりたいのか見送る場から少し離れた家の屋根の上でブラックサンダー達とその光景を見届けていたのですぞ。

こうしてお姉さん達が出かけて行った後ですぞ。

ライバルの弟分が届いたのはどうでも良いとしてですな。

「今日は大満足でしたわー!」

仙人を含めてユキちゃん達と一緒に隣国まで朝の鍛錬として走り込みをして昼に帰って来た頃ですぞ。

「おや? 盾の勇者様、一体どうしたのですじゃ?」

村の広場に集まるお義父さん達と村の奴隷達を見て仙人が声を掛けました。

「ああ……やっと来たか。元康、お前を指名した刺客が襲来してきやがったぞ」

「刺客ですかな?」

一体どんな愚か者が俺に刺客を寄越してきたのでしょうか?

首を傾げているとお義父さんが捕えた刺客とやらへの道を空けて広場の真ん中を見せますぞ。

「お前が槍の勇者か! アトラをどこへやった! 返せ!」

そこには虎男が縄で縛られてお姉さんのお姉さんに抑え込まれる形で怒鳴っておりました。

あれから音沙汰が無かった虎男ですぞ。

よくここがわかりましたな。

槍の勇者という立場だけで探り当てたという事ですかな?

「フォウルちゃん、落ち着きなさいな」

「これが落ち付いていられるか! アトラに何かしたら絶対に許さないぞ!」

これまでに無い剣幕で野生児の気性そのままに虎男が牙をむき出しにして俺を眼光で射殺すかのように睨んでおりますぞ。

「ラーフー」

お義父さんが不愉快な気持ちを抑える様にラフ種を撫でておりますぞ。

ちなみにライバルは助手とモグラ、主治医を連れて出かけているというタイミングだったのですぞ。

相変わらず役に立たないドラゴンですな。

「で、元康。コイツに覚えは無いのか?」

「ありますな。生憎このループで会おうと思ったら脱走してしまったのですがな」

「脱走?」

「そうですぞ。コイツも引き取りに行こうとしたら脱走して行方知れずになり、魔物商が追って捕縛しておく手はずだったのですぞ」

「お前が俺の留守中にアトラを攫って行ったんだろうが!」

虎男は虎娘を返せと騒いでおりますぞ。

安心しろですぞ。

虎娘は城の方で王族の豪勢な暮らしを満喫して満足しているはずですぞ。

「迎えに行くと魔物商には言付けさせたのですぞ。まともに話を聞かずに出て行ったとの話ですな」

「まともに聞かない奴が揃っていたら纏まる話も纏まらないだろうな……しかも元康は誤解を解こうとする様子が無い……はぁ」

「ラフラフ」

お義父さんはため息をすると肩に乗ったラフ種が元気を出せとばかりに額にポンポンと手を当てております。

「で、元康、コイツの言うアトラって奴は無事なのか?」

「無事ですぞ? 虎男を捕縛したら案内する手はずでしたからな」

「そうか。じゃあコイツはお前に預けて良いんだな?」

「当然ですぞ」

「と言う訳だ。フォウルと言ったか、お前の妹の下へ案内する。俺も付いて行った方が良いか?」

「お義父さんにお手を煩わせる必要は無いですぞ」

「本当か? いまいち不安が拭いきれないが……」

「ラーフー」

なんとなくですがお義父さんのラフ種を撫でる様子が今までよりも日常的に成っている気がしますな。

お姉さんがいらっしゃらないからですかな?

「じゃあ……仙人だったか。お前とサディナが見届けて置いてくれ」

「わ、わしがですじゃ?」

「念のためな。じゃあ任せたぞ」

「わかったわー。じゃあどこへ行くのかしら?」

お姉さんのお姉さんが虎男を担ぎあげて歩き始めますぞ。

「うわ!」

「では早速行きますかな。出発ですぞ」

「ユキも一緒に行きますわ!」

村に帰って来たその足で俺は虎男を連れて一路虎娘の所へと連れて行ったのですぞ。

俺は早速メルロマルクの城にあるクズの幽閉先の塔へと向かいました。

見張りの兵士は助言を聞いた女王曰く、念入りに亜人へ友好的な兵士を選ばせたとか何とかですな。

階段を上っていくとフォウルがお姉さんのお姉さんに担がれたまま不満そうに聞きますぞ。

「ここにアトラがいるんだな!」

「そうですぞ」

「城のこの様な所に何故ですじゃ?」

「コイツの妹はクズにとって所縁があるのも然る事ながら、裕福な城での暮らしをさせるためですぞ。俺の言付けで城内はある程度自由に動けるはずですからな」

女王も虎娘の顔を見て色々と察した様な顔ぶりでした。

ちなみに三勇教の過激派等は既に駆逐済みなので大きく動く事など出来ませんな。

「真実かどうかはアトラに会ってからだ!」

「もうすぐに会えますぞ」

コンコンとクズが幽閉されている部屋の見張りに挨拶をしてから扉を叩きますぞ。

「はい」

虎娘の声がしましたな。

それからガチャリと扉が開かれましたぞ。

「えっと……」

「これはキタムラ殿、よくぞ参られた」

虎娘が扉の前で出迎え、クズの方は優しげな表情で俺達を歓迎しますぞ。

俺が来ると分かっている様な態度ですな。

「よく俺が来ると分かりましたな」

「それはこの子が登って来ると言っておってのう……」

「元康様が来る瞬間ならユキだって負けないですわよ!」

ユキちゃんが可愛らしく張り合っていらっしゃいますぞ。

微笑ましいですな。

「あ、アトラの声がする! 降ろせ!」

「槍の勇者様の大きな力でよく確認できませんでしたがそこにいるのはお兄様ですか?」

お姉さんのお姉さんは虎男を降ろして虎娘と顔合わせをさせますぞ。

「あ、アトラ……なのか?」

虎男は包帯が取れて立って歩いている虎娘を見て疑う様に尋ねますぞ。

「そうですわお兄様……槍の勇者様が私に薬を服用させた所、体の重さも全て無くなり歩けるようにして下さったのです」

「そ、そうだったのか! アトラ!」

ギュッと虎男は虎娘を抱きしめますぞ。

「お兄様……」

虎娘も抱き返しておりますな。

「ふむ……兄と再会出来て何よりじゃ」

クズの方は穏やかな様子で虎兄妹の再会を喜んでいる様子ですぞ。

フ……完全にハートブレイクをした様ですな!

もはや別人ですぞ!

HAHAHA、完全に隠居したボケ老人のそれですな。

「そうでしたわ、お兄様……」

抱擁を終えた虎娘が紹介するとばかりにクズの隣に行きますぞ。

「この方の気配が不思議な位、お兄様に似ていらっしゃるんです。とても優しく私に接して下さって……色々な話をしてくれるんですよ」

「そうか……アトラが世話になった」

「気にせんで良い。好きでやっているだけじゃ……」

クズはバツが悪そうに虎男に答えますぞ。

「フォウル君と言ったか。いいか? 何があろうと妹を大切にし、妹の気持ちを尊重するのじゃぞ。でなければワシの様になってしまうのじゃからな……」

「よくわからんが、当然だ。アトラは俺の命よりも大切な妹だ!」

「ほっほっほ……」

クズは虎男の返答を大層気に入っている様子ですぞ。

「槍の勇者様、お兄様に会わせて下さったのは何より、不自由のない暮らしをありがとうございます。私はこの恩をどうやって返せばいいのでしょうか……」

虎娘が俺に尋ねてきますが……特に何か見返りなど必要ないですな。

最初の世界でフィロリアル様達を守ってもらっただけでも十分の恩ですぞ。

「ここでクズの話相手をしているだけで十分ですぞ」

それだけでクズを痛めつける事が出来るのですからな!

「あらー」

「ほっほっほ……さすがは槍の勇者様ですじゃ」

「よくわかりませんが元康様がとても良い出会いを斡旋したのですわね」

「トドメを刺しただけですぞ」

クズの反骨心を根絶やしにしてやりました。

二度と逆らえぬ廃人となっているからこそ大人しいのですぞ。

そうして話を終えたとばかりに虎男は俺たちの方を振り向いて頭を下げましたぞ。

「俺の早とちりだった様だ。すまない」

「わかれば良いのですぞ」

「俺はお前に買われたのだったな。何をすればいいんだ?」

「うーん……虎娘と同じくクズの世話を任せるのが良いとは思いますな」

「そんな事で良いのか? それでは俺の気が済まないんだが……道中で暴れ過ぎたのもある。きっと迷惑を掛けるぞ」

「モトヤスちゃんモトヤスちゃん。フォウルちゃんは戦闘奴隷だったんだからナオフミちゃんの所で働いて貰ったら良いんじゃないの?」

お姉さんのお姉さんが提案しますぞ。

ふむ、一理ありますな。

「そうですな。確かにコイツは将来、小手に選ばれる可能性がありますからな。しっかりと力を付けさせるのは良いかもしれませんぞ」

問題はお姉さん達が修業の旅に出て行ってしまっている所でしょうかな?

パンダの祖父を誘うのも良いかもしれませんぞ。

マンツーマンの修業も良い手ですぞ。

どちらにしてもLvはある程度上げておきましょうかな。

「あの村で働くんだな。わかった。アトラにはいつでも会いに来て良いんだよな?」

「当然じゃ。いつでも来てほしい」

クズが後押しをしていますぞ。

虎男も素直に応じてくれる様ですな。

交渉は問題なく終わりました。

「キタムラ殿」

にこやかに笑っていたクズがここで俺をまっすぐに真面目な顔で睨んできますぞ。

なんですかな?

まだ逆らうつもりですかな?

身の程を叩きつけてやりますぞ。

「イワタニ殿に会う機会を設けて貰えないかの?」

「難しいですな。お義父さんはお前の事を嫌っていますぞ」

「……そうじゃろうな。顔すら見たくも無いのは当然の事じゃろう。であるからこそ、頼みごとがあるのじゃ」

「なんですかな?」

俺が聞くとクズは見張りに顔を向けて命じますぞ。

「映像水晶を手配してほしいのじゃ」

「元康達か。経過はどうなんだ?」

村に戻るとお義父さんがラフ種を撫でながら出迎えてくれました。

「問題ないわよ。涙の再会にお姉さんもラフタリアちゃんとまた出会えた時を思い出したわ」

「ほっほっほ、誤解はしっかりと解けた様じゃった」

「そうか。そっちの二人がそういうなら問題無さそうだな」

俺の返答を聞く前に頷かれてしまいました。

「フォウルだ。迷惑を掛けた償いと恩を返す為にここで働く事になるそうだが、お前が代表で良いんだな?」

「ああ。で……元康、コイツはどうしたらいいんだ?」

「戦いが得意だから育てれば良いだけですぞ」

俺はハクコ種について、簡潔に説明しました。

「わかった。その辺りはいつも通りだな」

「後はこれですぞ」

「なんだ?」

俺はクズから託された映像水晶をお義父さんに見せますぞ。

映像水晶に記録された映像をここで再生させてほしいとクズが言っていたので見せましょう。

お義父さんの見たかった姿でしょうからな。

パッとクズが映し出されていますぞ。

キリッとした表情をしておりますな。

「……このメッセージを盾の勇者であるイワタニ殿に見て頂けないかも知れんが、何もせずに居られなかったので、こうして撮影している」

との台詞から始まり、クズは正座をして両手を地に着けて深く頭を下げました。

土下座ですな!

HAHAHA、お義父さんに頭を垂れる程、精神をハートブレイクできたという事ですぞ。

「誠に申し訳ない事をした……これで許してほしいとも償ったとも言わんし思わん……ワシが個人的な感情でイワタニ殿を深く傷つけ、民や国に混乱を招いたのは事実じゃ。この場を借りて謝罪する……全てはワシと娘が招いた事じゃ」

全く以てその通りですな。

ここに来てクズも反省したのでしょう。

「口だけで謝罪しても償いきれる物ではないのもわかっている……どうかイワタニ殿が勇者としての使命を達成し、望むままに進む事を切に願う」

などという若干見苦しくもある映像を撮影したのですぞ。

珍しいですな。

クズが自ら土下座をしてお義父さんに謝っているのですぞ。

まさに完全勝利と言った様子ですぞ、お義父さん。