軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

赤い輪郭

翌日、俺達は揃って女王に尋ねましたぞ。

「過去に城が存在したかもしれない砂漠ですか……」

女王は何やら楽しげな表情をして、お義父さんの提案を聞いておりました。

相変わらず、こういうのが好きみたいですな。

「伝説の探求……面白そうですね。勇者様方でなければ解けない謎もありそうです」

「それで、女王様は何か知っていませんか?」

「そうですね……」

女王も世界地図を広げてしばし考え込みますぞ。

「波とはどういう現象なのか、それをキタムラ様から聞いた時も思い、クズにも話した時に若干判明したのですが、確かに世界中の歴史は四分割出来る事がわかっております。そして活性化が発生する区域を照らし合わせますと……」

と、女王が発生場所に点を書き込んで行くと確かに、場所こそ適当に見えますが、女王が区切った場所内で均等に存在する事が分かりましたぞ。

「ものの見事に……って世界地図で言う所の東の地域に一つありそうだな」

「ええ、ちょうどメルロマルクとシルトヴェルト境界にある様に、活性化地がありそうな砂漠と伝承を紐解くと……」

ライバルが示した場所を女王は指差しましたぞ。

「ここにはとある人間と亜人が和平を結んで作られた、フォーブレイとは異なりますが思想を同じくする国があったそうです。高度に発達した古代文明の一つがここで根付いていたとも言われています」

「前置きは良いですぞ。なんで滅びたのですかな?」

「滅びる前提?」

「古文書によれば古代兵器の暴走により、一夜にして国は消失し、空間が歪み、迷いの砂漠と呼ばれるようになりました」

ほら、結局滅びるのですぞ。

前回エクレアが避ける様に指示したのはそういう意味があったのですな。

確かにそんな場所へ行く位なら迂回した方が良いでしょう。

「名称をドラクル砂漠と言います」

「また吸血鬼か。これは当りかもしれないな」

「うーむ……」

「私も伝説の探求と称して見に行った事がある場所です。遠目ですが空間が歪み、到達できない滅びた赤き都が夜に見える事があります」

そこでお義父さんや錬、樹が手を上げますぞ。

「赤いってどんなですか? もしかして砂漠に薄らと夜、赤く点灯してるとかこう……何か輪郭が見える様な?」

「おや? よくわかりますね。有名な話ですよ」

お義父さんが頭に手を当てて唸りますぞ。

何かわかったのですかな?

どうやら樹や錬もわかっているみたいですな。

「あの……それって活性化中の地域に似てませんか?」

「そうですね。ちょうどそんな感じだと私も記憶しております」

「……間違いないよ。そこが残りの活性化地だ」

「というと伝承に存在する真偽が明らかではないプラドという地ですか?」

「なんで吸血鬼の名前なのかわからないけど、そうなるのかな? 正解ならプラド砂漠って事になるね」

おお、段々と見えてきましたな。

さすがお義父さんですぞ。

他、おまけ達も少しは役に立ちますな。

「常に赤い輪郭が浮かんでいる……活性化が常時作動している場所でしょうか?」

「とんだ謎解きだな。上手く解放させようものなら、長期滞在できる元康にとって夢の場所だぞ」

「おお……そんな場所があるのですな!」

そこでフィロリアル様は永続育成が出来るとは……まさにフィーロたんを発見するのに効率の良い狩り場になりそうですな。

今すぐにでも行きたいですぞ。

「あればの話なんだけどね。だからと言ってある事前提で行ったら危ないから……調査隊を組もうと思うんだ」

「なるほど、では我が国、メルロマルクはどうしたらよいでしょうか?」

「状況次第じゃ俺達が波に参加出来ないかもしれないから、次の波に対して準備を整えておいてほしい。まあ……クズさんががんばってくれると思うから大丈夫だと思う」

「わかりました。しかし……失われた活性化地ですか」

おや? 女王が時々見せる好奇心の目を俺達に向けてきました。

やはり女王は歴史等に関する話に興味を持つ様ですな。

「試しに行く遠征だから……骨折り損で終わるかもしれないけどね」

お義父さんは女王に苦笑いをして答えます。

伝承を調べる、というのはそういうものですからな。

その気持ちもしょうがないですぞ。

「砂漠の渡り方をご存じでしょうか? 彼の地は空からの偵察でも迷うと言われる地、勇者様方の身が心配となります」

「ある程度は大丈夫だよ。昔、砂漠の渡り方とかネットで見た事あるし、現地の知ってる人に十分聞くつもり」

「ガエリオンも協力するなの!」

「フィロリアル様は砂漠にも対応しておりますぞ!」

ライバルの主張に負けずに俺は宣言します。

空を飛ぶだけのトカゲよりも遥かに高度な力を秘めているのですぞ。

「まあ、熱さとかは魔法や武具の力でどうにか出来るだろ」

「そうだと良いけどね。じゃあ、準備を整えて試しに行ってみようか」

「人員はどうするんですか?」

樹が手を上げてお義父さんに尋ねますぞ。

「んー……俺達勇者は鉄板でLvの高い子を少数って考えてるよ。村の子達を大勢連れて行くのは避けたいところだね。来たがる子が多い場合は抽選になるのかな……」

「我が娘はどうしましょうか?」

「街の方の復興に尽力してもらっているし、何があるかわからないから留守番してもらおうかな」

「わかりました」

お義父さんは腕を組みながら考えていますぞ。

そうですな。

砂漠という位ですから、お義父さんの言う通り、あまり大人数で行くと困るかもしれません。

「元康くん、フィロリアルの卵を持って行くのはやめてね。もしも良い結果になった場合、後で持ってくれば良いだけだし」

「わかりましたぞ!」

「まずは村に戻って、人員を決めて行こう」

「では勇者様方、良い報告をお待ちしております」

という訳で俺達は女王との相談を終えて足早に村に戻って参りました。

「あ、ナオフミ様と勇者様方」

「ナオフミちゃんやっほー」

村に帰ってくるとお姉さんとお姉さんのお姉さんが出迎えてくれました。

小動物の様な動きでお姉さんがお義父さんの所へやって来ます。

「ただいま。何かあった?」

「んー……えっと……」

お姉さんが何やら村の広場に向けて視線を向けておりますぞ。

おや? 本当に何かあったのですかな?

「何か問題でもあった?」

「問題は無いわねー。報告かしら?」

「?」

お義父さんが首を傾げてお姉さんが見ていた方角に視線を向けますぞ。

どうやらコウが戦闘体勢をとって稽古をしているようですな。

これはおそらく、お姉さんの友人とじゃれ合っている雰囲気ですぞ。

とりあえずみんなでその様子を見に行きます。

するとコウと戦っている相手が見えてきましたが、俺は元より……錬も樹もお義父さんも首を傾げました。

「とー!」

コウが勢いよく走って攻撃を仕掛けますが、するりと避けられてしまわれました。

「うー! 狙うの難しいー」

すたっと着地するコウに……相手は素早いステップで近寄りますぞ。

「コウは誰と戦っているのですかな?」

コウは何やら小さなイタチのような生き物を相手に戦っております。

お姉さんの友人はイタチの獣人に変身出来る様になっておりましたが、あそこまで完全にイタチではありませんでしたぞ。

「あれ、リファナちゃんなんです」

「え!?」

俺を初め、お義父さんや錬、樹が揃って驚きの声を上げますぞ。

「一体何がどうなってあんな姿に!?」

「わからないんです。サディナお姉さんと海から帰って来て、リファナちゃんがコウと稽古するって話になった後にあんな姿になる様になって……」

「なんかリファナちゃんが言ってたわねー。もう一段階……変化出来そうってー」

お姉さんのお姉さんが気楽な様子で答えますぞ。

どうやら本当にお姉さんの友人みたいですな。

「で、あんな小さく?」

「はい……コウは『リファナの変身、面白そう。勝負しよー』って稽古をそのまま続行する事に……」