軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

失われた歴史

「まあ、助けてもらった訳だし、俺も強くは言えないけどね。錬も樹もそうでしょ?」

「……ゲーム知識で強くなってやると思ってカッコ悪い行動をするよりは遥かにマシだしな」

「そこは同意します。結局は総当りで行くしかないわけですか」

「なの! そうなったら弱ったなおふみにガエリオンが忍び寄って心の隙間に入ってやるなの!」

「ガエリオンちゃん、拗れるからそういうのやめてね」

「なーのーなおふみがガエリオンと楽しい事をしてくれたらやらないなのー」

はぁ……っとお義父さんは溜息を漏らします。

面倒事を増やすのではないですぞ!

「まあいいや。で、カルミラ島が終わると四霊の霊亀が復活してそれを倒すと鳳凰、麒麟と戦う事になるんだね?」

「なの! 応竜は竜帝の中に封印されていて、いつでも封印を解く事が出来るなの。解かずにいる事も出来るなの」

「それはわかったけど」

「ちなみに霊亀ですが最初の世界では俺や錬、樹がゲーム知識を元に封印を解いてしまいますぞ」

俺は今までの経緯で四霊に挑んだ時の状況を説明しましたぞ。

そして無様に負けるのですな。

「俺や樹が封印を解かなくても復活するのか?」

「ですな。前回はそうでしたぞ」

「うーん……事前に防ぐ事とか出来れば良いんだろうけど……時期を見て秘密裏に封印が解ける場所に先回りして仕留めるのが速そうだね」

「既に倒し方は判明していますぞ」

高出力で洞窟内から霊亀の核目掛けてブリューナクを放てば一撃で倒せますからな。

「了解。となると鳳凰も麒麟も楽勝……かな? その後は?」

「大きな事件という物は大分減りますな。ノースフェラト大森林での活性化くらいですぞ」

「……ところで気になったんだけど」

お義父さんがそこで手を上げます。

「なんですかな?」

「活性化イベントって合計三つ?」

「今までの周回で聞いたのは三つですな。とはいえ、ドラウキューア山脈は今回の周回で聞きましたぞ」

「じゃあ未知の活性化現象もあるかもしれない……のかな?」

「元康さんがこの並行時空に滞在していられる時間内ではそうなのかもしれませんよ?」

「なの? そういう説明をしているなの?」

ライバルの言葉にお義父さん達が視線を移します。

「世界移動は無いなの。この世界は巻き戻っているなの」

「と、ライバルは主張していますが、俺は信じておりませんぞ」

きっと俺がいなくなった世界でもお義父さん達は元気にやっていると思いますぞ。

そっちの方が救いがありますからな。

「……しょうがないなの。そういう事にしてやるなの」

ライバルはそこで素直に折れましたぞ。

変ですな。もう少し噛みついて来ると思ったのにですぞ。

「話は戻るけど、それなら霊亀の封印は出来る限り持たせる方が良いなの。魔法に詳しい奴とガエリオンとで霊亀に先回りして封印の強化と強固な結界を施せば良いなの。それである程度は抑えられると思うなの」

「そうなの? じゃあ魔法に詳しいというと、杖の勇者のクズに聞いてみようか。女王様とメルティちゃんにお願いしよう」

「ああ、メルロマルクの女王に杖を託して成仏した奴なの。わかったなの……最悪は……」

「ガエリオンちゃん?」

「何でも無いなの」

ライバルの挙動がおかしいですな。

まだ発情しているのですかな? この年中発情ドラゴンは。

「霊亀や四霊の話は保留をして、話を戻すよ。活性化イベントって三つ? 女王様に聞いたら三つって言うんだけど。元康くん、錬、樹もゲーム知識も入れて教えてくれない?」

お義父さんの問いに俺は思い出しますぞ。

確かエメラルドオンラインの歴史上、活性化イベントと称した初心者救済イベントの発生回数は。

「四回だ」

「四箇所ありますね」

「四回ほどあったそうですぞ」

……一同が沈黙致しました。

「えっと……時系列を整理するよ」

お義父さんは紙に活性化現象が起こる周期を書き記します。

「何でも女王様から聞いた話なんだけど、今年はとても珍しい現象として近い周期で活性化が起こっているらしい。これって俺の推測だと波に備えて、世界が戦力を増強させるための現象だと思って良いと思う」

「そうですね。ここまで偶然が重なると必然にしか思えません」

「だな。勇者が少しでも早く強くなる為の手段として時期を合わせていると考えて良いだろう」

「なの! 竜帝の欠片にも活性化に関しての知識はあるなの」

「じゃあ存在するかもしれない四つ目は?」

「知らないなの……」

「未回収の欠片にあるかもしれませんね」

樹の言葉に錬とお義父さんが同意しますぞ。

「ドラウキューア山脈を始まりとして計算すると、大体二カ月周期になるのかな?」

「ドラウキューア山脈、カルミラ島、ノースフェラト大森林だからな……」

「でも、ノースフェラト大森林の後は……なのー……」

ライバルが言葉に詰まっておりますぞ。

ああ、その後は確かにアレがありますな。

「何かあるの?」

「槍の勇者の理屈で言う所の槍の勇者の滞在期限が近いなの」

「うーん……それはしょうがないかもしれないね。問題としてあるのは四つ目があるか無いのか? だね」

更にお義父さんは各国の地図を広げて世界地図を形作りました。

「で、元康くんから聞いた話を照らし合わせてから地図で確認したんだけどさ、ここがドラウキューア山脈、メルロマルク近海にカルミラ島、フォーブレイの隣国にあるノースフェラト大森林。で、みんな。ゲーム知識である活性化イベントの残りの舞台背景……NPCが開く派出所的な場所は何処だった?」

「砂漠にあるオアシスだな」

「砂漠ですね」

「砂漠でしたな」

……これまた重なりましたな。

まあゲームの知識がどこまで通用するかはわかりませんが。

「で、元康くんから聞いた話と、天才が起こす戦乱による資料の消失や各国の情勢変化が転生者によって引き起こされている、という事を加味して……何処かに四つ目があるんじゃないかな?」

「なんでそんなに四つ目が気になるんだ?」

「まあ、これもゲーマーの性って奴かなー……活性化が起こっていないとしても、得られる情報があるでしょ?」

「活性化が起こっている場所で得られる魔法ですな」

「うん。法則からするとリベレイションって魔法になるのかな? 現在、ガエリオンちゃんから龍脈法を学んでいる最中だけど、確認をしておきたいと錬も樹も思わない?」

お義父さんの言葉に錬と樹は同意する様に頷きました。

「なるほどな。経験値目当てだと行く意味があるか微妙だが、確認の意味も含めるなら確かにありだ」

「ええ……しかし砂漠ですか……」

世界地図を見ながら俺達は確認をしますぞ。

大きな砂漠が世界中に何個かありますな。

「ゲームだとどの辺りで発生したとかある?」

「設定だと確かここだな」

「こっちですね」

「ここですぞ」

と、俺達はそれぞれ別の砂漠を指差しました。

おや? 偶然なのかシルトヴェルトとメルロマルクの両方からフォーブレイに向かう途中に存在する砂漠が抜けていますぞ。

まあ、多少ずれていますがな。

どちらかと言うとシルトヴェルト沿いにある砂漠ですぞ。

前回はこの砂漠を迂回してフォーブレイに向かったのでしたな。

「……なんか不自然に割れましたね」

「ああ、作為的な物を感じるぞ」

「途端にハードルがあがったね。じゃあ活性化地にある城とかその辺り……過去に城があったかもしれない砂漠……違うな、砂漠になってしまった場所を絞って調べてみようか」

「んー……確かここに国があった様な記憶が竜帝の欠片にあるなの」

ライバルが事もあろうに俺達が指差さなかった砂漠を指定しました。

「そうなの?」

「なの。凄く薄い記憶だけど似た様な遺跡にドラゴンの聖域と言うのがあって、これは何かが原因で壊されたみたいなの。現存するのはフィロリアルの聖域のはずなの」

「ぼんやりと最初の世界で行った覚えがありますな」

ああ、あそこは楽園でしたな。

思い出してきました。

お義父さんと一緒に掃除に行ったのでしたな。

「じゃあ明日、改めて調べてみよう。女王様が歴史に詳しいみたいだし、色々と用事もあるから参考に聞いてみよう」

「失われた歴史の調査か」

「少しロマンがありますね。これで消失していた活性化地が見つかったら大発見になるんじゃないですか?」

「わかりましたぞ!」

活性化地が発見されればそれだけフィロリアル様を手早く育てられる環境と言う事になりますからな。

探して悪い話ではありませんぞ!