軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

タイムリミット

「邪魔だ、どけ! お前達は自分が何をしようとしているのか、わかっているのか!」

「ああ、知っているぜ。夢で俺達、異世界から転生した者全員に号令が掛ったんだ。女神様からな」

「神を僭称する奴なんて信じてどうするって言うんだ!」

「尚文、コイツ等は転生者だ! 今までの例を思い出せ」

「ええ、話なんて最初から聞くつもりはないんですよ!」

「波を早く解放しないと世界が滅ぶ、どうか力を貸して下さいってな! お前は世界を滅ぼそうとしているんじゃねえか!」

「ふざけないで! そんな力のある奴が何故お前等なんかに頼るんだ? 残念だけど君達は利用されているんだ!」

00:20

く……どんどん減って行ってますぞ。

もはややるしかありませんぞ!

「錬、樹、やりますぞ!」

「おう!」

「わかっています!」

「お義父さんは後方に援護魔法の要請ですぞ。女王が先頭で一番強い魔法を放つのですぞ!」

「もちろん!」

俺達は一瞬の溜めをしてから各々スキルを放ちました。

「ブリューナクⅩ!」

「流星剣Ⅹ!」

「フルバスターⅩ!」

俺のブリューナクで再生した結界が破壊され、錬と樹の攻撃で敵が消し炭になりました。

トドメとばかりに女王が上空に雨雲を呼びだして、雷を降り注がせますぞ。

「裁きⅩ!」

「「「ブブー!?」」」

残った連中もこれで一掃ですな!

「後は亀裂を攻撃するだけですぞ!」

俺が思い切り槍を構え、流星槍を放ちます。

「流星槍Ⅹ!」

ですが、ガキンとまたも阻まれました。

「結界異能力の所持者が多すぎませんか! しかも今度は警戒して亀裂の中から出てきませんよ!?」

「しょうがありませんな! 持てるだけのスキルで破壊して行くのですぞ! クールタイムなんて待って居られませんぞ!」

「そうだな! エアストバッシュⅩ! セカンドバッシュⅩ! トリッドバッシュⅩ!」

「乱れ突きⅩ! エアストジャベリンⅩ! セカンドジャベリンⅩ! トリッドジャベリンⅩですぞ!」

「エアストアローⅩ! セカンドアローⅩ! トリッドアローⅩ! く……後少しです!」

立て続けに俺達は攻撃スキルを放ち続けます。

その度に結界は破壊されますが、今度は波の亀裂自体が赤く輝き始めました。

「な、なんだ!?」

「ふ……残り時間だけを削るもんだと思ってたのか? 亀裂自体に強化を施していたのさ!」

すごくウザい台詞が聞こえてきます。

さっきから鬱陶しい連中ですな!

「もう勝利は確定だな。どんだけ強力な攻撃を放っても30秒は亀裂は閉まらないぜ!」

もはや結界は展開されていませんぞ。

なので俺達は各々亀裂に向かって攻撃しているのですが、一向に亀裂が閉じる気配がありません。

「術者を仕留めましょう!」

「ああ!」

「わかりましたぞ!」

亀裂の中に入ろうとしたら武器に弾かれました。

――四聖勇者の異界渡航は禁じられています。

と、俺の視界に文字が浮かびあがりました。

「く! ここから攻撃するしかないのか!」

「亀裂に阻まれて攻撃が届きませんよ!?」

「どうにもならないの!? 元康くん、錬、樹!」

お義父さんは守るだけで何も出来ない事を歯がゆく思っています。

「お姉さんやみんなが行くわ!」

「そうだねぇ! 少しくらいやらせてもらわないとねぇ!」

「サディナさん! ラーサさん!」

「行きますわ!」

「「「行くー」」」

ユキちゃんやフィロリアル様達が突撃して行きますぞ!

もちろん、サクラちゃんやコウも一緒です。

「私も行くぞ!」

エクレアを筆頭にして兵士たちが掛け声を上げました。

「じゃあ俺はみんなに援護魔法を掛ける! アル・リベレイション・オーラⅩ!」

お義父さんがみんなに援護魔法を掛けますぞ。

「くそ! コイツ等諦めが悪い!」

亀裂の先の連中が苦々しく呻きますぞ。

「イミアちゃん。私達も行こう! ほら、ガエリオンも!」

「ガエリオンループしたいなのーぉおおお!」

何処までも同じ事ばかり言うドラゴンですな!

ですがやる気は見せていますぞ!

今まで見た事も無い威力の攻撃をしています。

モグラも負けじと突撃し、持っている小剣で転生者の隙を突いて串刺しにして行きます。

勇者ではない者達が一丸となって敵の居る亀裂へと突撃して行きますぞ。

ですが残り時間が近づいております。

00:15……00:14

く……。

俺には何も出来ないのですかな!?

あの時と一緒になってしまうのですか?

絶対に阻止して見せますぞ!

「お義父さん! 全ての力を出し切ってぶち抜いて見せます! みんなに下がる様に命令するのですぞ!」

「うん! サディナさん! みんな! 早く戻って!」

お義父さんが開かれる亀裂に向かって叫びました。

弾かれつつも負けじと手を伸ばしております。

俺もユキちゃん達を守らねばなりませんぞ!

「了解ー!」

お姉さんのお姉さんが亀裂の先に居るみんなに指示してこちらに戻ってきます。

俺はその間にエネルギーブーストを貯められるだけ貯めました。

槍が俺のエネルギーブーストを受けてまばゆく輝き始めました。

「元康くん、がんばって!」

お義父さんからの援護魔法が俺に掛けられます。

「僕も負けては居られませんね」

樹が能力低下の援護魔法を亀裂とその先に居る連中に向かって放ちます。

「ブリューナクⅩ!」

今までの中で最も強力な出力で俺はブリューナクを放ちました。

それはもう……放つだけで槍が発熱し、俺自身がやけどするほどの出力です。

俺の放ったブリューナクは波の亀裂に命中、奴等の理屈では強化された亀裂が破壊される事は無いとの事でしたが、ガリガリと削り取る様な音を立て続けます。

「無駄な事を」

へらへらと不快な笑みを浮かべている声が亀裂の先から聞こえてきますな。

ここで俺は諦める訳にはいかないのですぞ!

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! フィーロたーん!」

掛け声と共に強く一歩踏み出したその時、バスンと良い音と感触を俺は覚えました。

遮られて届かなかった攻撃が……亀裂を貫通した様でしたぞ。

「うわ――」

亀裂の先でニヤニヤと笑みを浮かべていた連中の断末魔とも異なる声が途中で途絶えました。

そして亀裂が残滓と共に光となって消えていきましたぞ!

当初こそ、ゴゴゴと音を立てて光を放とうとしていましたが、俺の一撃に拠って近づいて来る何かを押し返せた感覚があります。

そう、まるでぶつかろうとしている巨大な隕石をブリューナクで押し返して宇宙に返した様な達成感ですな。

「勝った……のかな?」

視界に浮かぶタイムカウンターは消えておりますぞ。

次の波の到来予測が出ております。

本当にギリギリでしたが、どうにか間に合いましたな。

さすがはフィーロたんですぞ。

掛け声にしただけで力が湧き出てきました。

「なんだったんだ? さっきの連中は」

「見た感じだと転生者みたいだったね」

「そうですね。波の先にもああ言う方々がいると言う事でしょう」

「だが、元康の高出力のブリューナクで消し飛んだ様に見えたな」

「ええ」

「厄介な攻撃をしてくる連中だったけど、倒したのなら大丈夫そうだね」

「やりましたぞ!」

俺は勝利の雄たけびを上げます。

するとフィロリアル様達からのエールが聞こえました。

「そういえば……最初の世界で似た様な状況を思い出しましたぞ」

「そうなの?」

「なんで言わない」

「思い出せなかったのですぞ。この辺りの記憶は殆ど忘れておりましたからな」

「聞かれなかったから言わない、ではないんですね」

樹の言葉に頷きます。

「最初の世界じゃどうなっていたの?」

「確か抑え込む事が出来なかった覚えがありますぞ。その後は……思い出せませんな」

「じゃあその時に元康くんは死んじゃった……のかな? 世界が滅んじゃって」

「かもしれませんな」

ですが何故ですかな? 違う様な気がしますぞ。

俺の胸を貫いたあの一撃は世界が滅んだ所為……なのでしょうかな?

「確かにあのレベルの連中だと負けたかもしれないな」

「実際、あと少しで負ける所でしたからね」

「そうだね。楽観視し過ぎていたかもしれない。これまで以上に訓練していかないといけないね」

「ですね」

「とにかく、今日は色々と大変だったけど、戦勝会をしてから次の波に備えよう」

「わっかりましたぞー!」

と、俺は最初の世界の時間を乗り越えたと勝利に酔いしれながら撤収作業を始めていたその途中の事でしたぞ。

「おや?」

――俺の視界が灰色に染まり世界が停まりました。

そしてループする時に浮かび上がるアイコンが出現しました。

今度は剣、槍、弓、盾のどれも光っておりません。

ですが、そのアイコンのある項目が光っておりました。

「ど、どういう事ですかな?」

やがて槍がカタカタと震え始め、視界にアナログの時計が出現して長針が逆方向に巻き戻り始めました。

おかしいですぞ。お義父さんも錬も樹も生存しております。

何が原因なのですかな?

特定できませんぞ!

いや……なんでしょう。

胸の、最初にループした時に感じた痛みを思い出します。

まさかこれは俺が死んだ時の時間とでも言うのですかな?

つまりタイムリミットの様な物があるという事でしょうか?

「な、何が起こっているなの!?」

「なんですと!?」

そんな灰色の世界で俺は、声を聞いてその方角に目を向けました。

するとそこにはライバルが半透明で静かに立っていましたぞ。

「何故お前が動けるのですかな!」

するとライバルは珍しく暗い表情で答えました。

「ガエリオンは槍の勇者の槍に記憶容量を作ったなの、だから動けるなの」

「く……」

以前話していた内容は事実だった様ですな。

まさか俺の槍が本当に呪われていただなんて……クソッ! ですぞ。

「なんでループするなの!」

「おや? お前はループしたかったのではないのですかな?」

「ガエリオンはループしたかったなの……でも、こんな終わり想像してなかったなの……」

何やらライバルはしょぼくれた表情をしていますな。

ループループうるさかった奴とは思えませんぞ。

「ガエリオンは……ガエリオンはループしたかったけど、こんなの違うなの!」

「おかしな奴ですな。ループとはこういうモノですぞ」

俺は何度も経験してきたのでわかりますぞ。

前回のお義父さんが言っていました。

例え今回の世界が終わってしまったとしても次の世界に繋がっていると。

そして、今回のループで俺は沢山の約束をしました。

お義父さんだけではありません。

錬や樹、その他沢山の者との約束を俺は次に繋げるのですぞ。

「そんなのわかってるなの! でもガエリオンはこんな終わり方、嫌なの!」

「よくわからない奴ですな。何が不満なのですかな?」

「ガエリオンはループしてなおふみの初めてをもらいたいなの。それは今も変わらないなの。でもガエリオンはなおふみ達に幸せになってほしいなの! 見届けたかったなの!」

「並行世界と言う奴に飛ぶのではないですかな?」

「違うなの! これは飛ぶ気配がしないなの! ガエリオンも竜帝だから槍が発動した時に感じられるなの!」

ふむ……そうですな。

少々癪ですが、お義父さん達を幸せな未来へ導くのがループしている俺の使命ですぞ。

そういう意味ではこやつの言っている言葉も多少は理解出来ますな。

しかし……これは前回のお義父さんが言っていた無かった事になると言う事の裏付けなのかもしれませんな。

まあ、ライバルの言う事なので信じるに値しませんがな。

「槍の勇者はずっとこんな事を繰り返して来たなの?」

「そうですぞ」

ライバルが何故か同情をしている様な目で俺を見ます。

なんですかな? いい加減にしないと刺しますぞ。

「槍の勇者はこのループを抜け出したいと思わないなの?」

「フィーロたんに出会うまで俺は進み続けるだけですぞ」

「馬鹿なの! 完全な馬鹿がここにいるなの!」

うるさいですな。

俺の愛はこの程度で終わらないのですぞ。

そして何度ループしようとも俺はお義父さんを助けて見せるのですぞ。

「ガエリオンは槍の勇者みたいに体まではループに持っていけないなの」

「そんな事を言っていましたな」

「ガエリオンならもっと上手に説明できるなの。だから出来るだけ早く実体化させるなの」

「嫌ですぞ」

「なの! なの! なんでなの!」

「嫌だからですぞ」

「ガエリオンはこんな終わり方、嫌なの! ループを終わらせるなの! 槍の勇者は嫌いだけど、なおふみや皆の為に手伝うからお願いな――」

そんな声と共に俺は……召喚された時へと巻き戻って行く様ですぞ。

どうやらライバルとの罵り合いもここまでの様ですな。

こいつの野望は絶対に阻んで見せますぞ。

さて……今を諦める気はありませんでしたが、今度こそ俺はお義父さん達の願いを叶え、フィーロたんに出会うのですぞ。