軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

羽毛の色合い

「おや? お義父さんですぞ。おはようございますですぞ」

「燃え尽きたぜ……真っ白にな……」

お義父さんの前まで近付き、俺は何度か手を振ります。

何か独り言を言っていますが反応がありません。

以前エクレアにも同じ事を言っていましたが、自分でもやるようですな。

さすがお義父さん、ある意味徹底していて凄いですぞ。

それにしても大丈夫ですかな?

そうですぞ。水か何かを持ってきてあげましょう。

と、俺が少し離れようとした所。

「ああ……うう……」

うめき声をパンダが漏らしております。

すると我に返ったのかお義父さんがハッとなってパンダの方を見ました。

「と、とんでもない経験をしちまった……」

「ご、ごめんね……」

お義父さんがパンダにヘコヘコと頭を下げております。

どういう状況ですかな?

「その……」

するとパンダは気にするなとばかりに謝罪するお義父さんの肩を掴んで首を振りました。

「ラーサさんの初めてを、その……」

「気にすんなっての。そりゃあ少しはショックくらい受けちゃいるが逃げる余裕は十分にあった訳だし、結局流されちまったあたいが悪い訳だしな」

ふう……っとパンダが深く溜息を漏らしていますぞ。

そんな姿を見ながら、お義父さんは言いました。

「せ、責任は絶対に持つから」

「持たなくて良い。気にすんな、忘れろ!」

まったく……とパンダが腕を組んで愚痴っておりますな。

あの後、お義父さん達に何かあったようですな。

「肉欲の宴……か」

「サディナさん、まさか本当にやるなんて思わなかったよ……」

「上手く手綱を掴まなきゃこりゃあずるずると流されちまう。今夜は上手く逃げる様にするよ!」

「そうだね。まだ序の口とかサディナさんが不吉な事を言ってたのを覚えてるし、なんかその手の本を読みふけってたよ」

何やらお義父さんはパンダとの友情を育んでいる様ですな。

仲が良いのは良い事ですぞ。

「なんか、亜人だけじゃなくて獣人の楽しさを教えてあ・げ・る、とかも言ってたよ……。そりゃあやってる最中に変身とか実践してくれてたけど……」

お義父さんが肘を抱えて震えると今度はパンダがお義父さんを宥めますぞ。

「まあ、盾の勇者であるあんたは獣人を嗜む程度は覚えた方が良いかもな」

「ラーサさん?」

「あ……いや、まあ気にすんな!」

若干赤面した様にパンダはお義父さんを慰めたようですぞ。

ですがお義父さんの方は首を傾げておりますな。

「そうだ。あの……ラーサさん、とても可愛らしかったよ」

「こ、ここでそれを言うのか!? 忘れろ! 忘れなきゃ殺す!」

パンダをからかうのはお義父さんの趣味ですな。

何やら先ほどの重苦しい雰囲気が軽くなりましたぞ。

それから少しお義父さんとパンダのコントっぽい会話が続いていました。

パンダも調子が戻ったとばかりに表情が明るいですな。

そういう関係性なのでしょうな。

やがて、困った様にお義父さんは髪を掻いて言いました。

「サディナさんの事、好きなんだけど……これからどうなるんだろう……」

「あのウワバミもお前が本気で嫌がれば辞めたんじゃないかい?」

「そう、なのかな?」

「だが、逃げ口をちゃんと用意しつつ逃がさねえのがあのウワバミの方が上手なのかもしれないねぇ」

パンダとお義父さんが同時に溜息を漏らしました。

シンクロとは、随分と仲が良いですな。

「結局、あたい達が最後まで本気で嫌がらなかったのが原因だねぇ」

「……そうだね。もっと理性的になって行こう。快楽に溺れてる自覚があるし……」

ポンとお義父さんがパンダの肩を叩きましたのが印象的ですな。

「せめてラーサさんだけでも逃げられるようがんばるよ」

「……あたいが逃げる素振りした時、あのウワバミが言った奴を覚えてるかい?」

「え? 確かエルメロさんって人?」

「仮にあのウワバミが招き入れたらアンタが壊されかねないよ? まあ……ウワバミもある程度考えちゃいるとは思うけど」

ゴクリとお義父さんが唾を飲んでいた様ですぞ。

「おはようですぞ、お義父さん」

その後、俺がそれとなく水を差し入れました。

「あ、元康くん、おはようって聞いてた!?」

「ばっちり聞いてましたぞ!」

俺が元気にそう答えるとお義父さんはがっくりと項垂れました。

で、その日、お姉さんのお姉さんは朝から元気全快で肌にうるおいがあると言うか光沢があってニコニコと笑みを絶やさずに下りてきました。

「さあ! 今日からもっとがんばるわよー! ささ、ナオフミちゃん、栄養のある物をちゃんと食べて!」

「う、うん」

「ササちゃんも!」

「そうだな」

「今日はそうねー。サクラちゃんかガエリオンちゃん辺りも誘いましょうか?」

「んー? 何々ー?」

「そ、それだけはダメだよ! サクラちゃんもガエリオンちゃんも子供じゃないか!」

「あらー」

お義父さんがガンとして強く言いました。

珍しく強い口調ですぞ。

「みんな元気にどんな困難にも負けない様に行きましょー! お姉さんが力になるわよ!」

ノースフェラト大森林へと行く馬車での出来事でしたな。

錬も樹もその様子を遠目で見ていました。

翌日も、その翌日も朝にはお義父さんとパンダが白く、日に日にげっそりとなり、お姉さんのお姉さんは肌がテカって来ていました。

逃げきれなかったのですかな?

確か……元気そうなお姉さんのお姉さんに招かれたサクラちゃんが、お義父さんに追い返されて寝かしつけられていたのを覚えております。

「ナオフミちゃんまだー?」

「う……今夜は休もうよ。サディナさんも疲れたでしょ?」

「私は大丈夫よーほらーササちゃんも待ってるわ」

「ち、ちが――あたいも」

「いやーん。ササちゃんたら素直じゃないのー」

お姉さんのお姉さんに後ろからハグされたパンダが恨みがましそうにお義父さんの手を取ります。

「ラ、ラーサさん……?」

「逃がさないよ」

「放して! 俺は、俺はもっと健全な――」

「さー! 夜はこれからよー」

「「うわああああああああ!」」

ずざざとお姉さんのお姉さんに引き摺られてお義父さんとパンダは部屋へと入って行きました。

翌朝。

更にお姉さんのお姉さんの肌に光沢が出た様に見えましたぞ。

「……尚文さんとラーサズサさんの精気を奪ってますよ。アレは」

「そうだな。間違いない」

「ガエリオン、ループしたいなの……」

錬と樹はサキュバスだとか騒ぎ始めました。

大丈夫なのかとお義父さんに聞きましたが、問題は無いそうですな。

昼頃にはお義父さんとパンダは元気になっていました。

お義父さん達は割とそんな感じで過ごしている様ですぞ。

ノースフェラト大森林での出来事は経過だけ語って行きますぞ。

何せカルミラ島と余り差の無いイベントですからな。

山奥の森林ですな。行くまでに変わった崖……橋の様に一ヶ所だけ通れる道がある場所を通りましたぞ。

大きな円状の穴のような崖があり、盆地の上に迷いの森がある場所なのですぞ。

真ん中の大きな盆地がベースキャンプで、複数の盆地と繋がっておりますな。

カルミラ島と同じく盆地が一つの島の様に形成しているとイメージするのが一番でしょう。

ルール等の説明でほぼ同じだと俺達は分析しました。

ここで鳳凰の封印が解かれるまで俺達は戦力の増強を図るのですな。

まずルナちゃんの育成結果ですが、ルナちゃんだと思ったフィロリアル様は色合いが違いましたぞ。

「おかしいですな。この子はルナちゃんのはずですぞ」

「……んあ?」

割と無口な性格や可愛い物好きな所は同じだったのですが羽毛の色合いが違いました。

天使の姿の時も同様ですな。

一色に統一してしまっていますぞ。

「イミアちゃん、ぎゅー!」

「わ! え、えっと」

キールがいない今、ルナちゃんは可愛いの対象をモグラにシフトさせている様ですぞ。

フィロリアル姿で抱き締めております。

小柄でちょうど良いからですかな?

いや、可愛いもの好きとは少しずれている様な気がしてきました。

しかも趣味が土いじり。

可愛い物への欲求は俺の知るルナちゃんよりも劣りますな。

お義父さんがルナちゃんの成長報告を聞いてやはり首を傾げていました。

「何か、前回のループ時の時に違いがあったんじゃないかな? 多分、間違いないと思うよ」

「ですが俺の知るルナちゃんと性格が若干異なりますぞ。匂いも似てるに留まりますな」

「産まれてからの環境とかで性格が変わる事はあるはずだよ。サクラちゃんの例もあるしね。それに前回のループにいたキールって子がいないのが痛いね」

キールを例に挙げられるとつらいですな。

調査が暗礁に乗り上げた様な気がしますぞ。

「やっぱサクラちゃんと関係があるんじゃないかな。環境でフィーロって子になるんじゃないのかと思うんだけど……」

いやいや、そんな訳ないですぞ。

何せ匂いが少し違いますぞ。

現にルナちゃん(仮)も前回のルナちゃんと違う匂いですからな。