軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

合流

半壊した宿から脱出して俺は考え込みますぞ。

俺に襲撃をしているという事はお義父さん達の方でも何かしらのアクションがある可能性があります。

油断はしていないつもりではありましたが、これは急いで追い掛けた方が良さそうですな。

宿の用心棒をしていた亜人に言付けを頼むとしましょう。

「俺はこれからお義父さん……盾の勇者を追いかけますぞ。もしも行き違いになってしまったら、次の町で合流しようとお義父さん達にお伝え願えますかな?」

「は、はい!」

こうして俺はお義父さんを追い掛けて、町を出てフィロリアル様達の足跡を追い掛け始めたのですぞ。

ただ……途中でフィロリアル様達の足取りは怪しくなり、山道に入った所で見逃してしまいました。

無意味に魔物と戯れる必要は今の所無いですな。

この辺りの魔物は既にお義父さん達が素材を確保しているでしょう。

日が沈むまでフィロリアル様達の匂いを頼りに追跡をしましたが、追いつけそうもありませんでした。

しょうがなく俺はポータルで町に帰還しましたぞ。

その頃には騒ぎもある程度沈静化しつつあるようでした。

ただ、亜人の方々が若干殺気だっている様な……気もしますな。

半壊した宿屋の前に行くと用心棒が宿屋の店主と共に片付けをしております。

「状況はどうですかな?」

「あ! 槍の勇者様! 随分前に盾の勇者様達が立ち寄りました!」

「ふむ……それはいつ頃ですかな?」

「槍の勇者様が出発して……ちょうど夕日になった頃でしょうか?」

「そうでしたか」

これは壮大な行き違いになってしまった様ですな。

すぐに追いかけなければいけません。

「ここに戻ってきた盾の勇者様一行に、三勇教徒と思わしき者達が襲撃をしてきたのですが、同行していた魔物達が即座に撃破し……私達の言葉を聞いて盾の勇者様達は旅立ちました」

「わかりましたぞ」

どうやらお義父さん達は無事に出発したご様子。

ともすれば俺がする事は次の町へ夜通しで移動する他ありませんな。

「あの、槍の勇者様?」

「なんですかな?」

「最初、盾の勇者様方を追い掛けるのなら、待ち合わせの町で待っていた方が良かったのでは?」

それは……すっかり忘れていましたな。

ですがこの元康、ただ待っているなど出来ようはずもありません。

一見すると無駄足になってしまったのかもしれませんが、待っているよりは良いのです!

「現在、三勇教徒の刺客を撹乱するために、盾の勇者様の影武者を配置している最中です。もう少しで、刺客は減ると思います。ご安心を」

「わかりましたぞ」

なるほど、お義父さんの偽者をシルトヴェルトが道中で配置するようですな。

これで少しは旅が楽になるかもしれませんぞ。

こうして俺は……次の町へ夜通しで行く事になったのですぞ。

街道を全速力で駆ける事、数時間。

やっと町の明かりが見えてきましたな。

途中、山に差しかかり、若干温度が低くなってきた感覚があります。

町の門に差し掛かります。どうやらこの町は温泉街の様ですな。湯けむりが見えますぞ。

「待て! 何者だ」

「愛の狩人ですぞ!」

「はぁ!? 何を言っているんだ!」

町の門番が警戒したように武器を俺に向けましたぞ。

愚かな、即座に後悔させてやるのも手ですぞ。

今の俺にはお義父さんの元へ馳せ参ず使命がありますからな。

「お待ちください!」

そこに誰かが門番の合間から顔を出して声を出しましたぞ。

見た所、動物に似た耳と尻尾がありますから亜人の方でしょう。

「この方は私共の知り合いの方です。どうか入場を許可させてください」

「は、はぁ……」

「それなら良いのだが、とても怪しげな人物だぞ」

「確かに言動は怪しい……そうですが、腕は確かだと聞いております」

誰ですかな?

シルトヴェルトの使者とは別人ですぞ。

「ささ、盾の勇者様がお待ちです」

「お義父さんを知っておられるのですかな?」

「ええ、盾の勇者様をお義父さんと呼ぶ方を連れて来るようにと仰せつかっております」

こうして俺は温泉街の門を通る事が出来たのですぞ。

そのまま亜人がお義父さんの泊っている宿へ案内してくださいました。

気配を察したのか、宿の扉を開けてユキちゃんとコウが駆けてきます。

「元康様ー」

「キタムラー!」

「ユキちゃんにコウ! やっと会えましたぞー」

「狩りから帰還したら宿があのようになっていて、私、本当に心配しましたわ!」

「お帰りーキタムラ。お土産は?」

「お土産は無いですが、服はとっくに完成していますぞ」

二人に作った服を見せる。

すると、その後ろからお義父さん達とサクラちゃんがやって来ます。

「元康くん! 心配したよ。みんなと出かけて帰ってきたら宿があんな事になっていたから」

「私に怪我はありませんぞ。それよりもお義父さん達は大丈夫でしたかな?」

「うん。サクラちゃん達が襲ってきた人達を撃退してくれたよ」

「この子達は物凄く強いんだな。もはや私の出る幕では無いかもしれん」

エクレアがそっと告げましたぞ。

ふふふ、そうでしょうそうでしょう。

フィロリアルは至高にして究極であらせられる最強の種族。

人間風情が敵うはずもないのです。

ですが、それに気付いたエクレアも中々の洞察力ですな。

「イワタニ殿がとても心配していたのだ。まだ宿に着いてから碌に休んでいない。さ、キタムラ殿もさっそく休んでほしい」

「わかりましたぞ」

「幸いここは温泉地のようでな、旅の疲れを癒すには絶好の場所ではないか?」

エクレアがそわそわとした様子で言っておりますな。

うーむ……。

「キタムラー服ー」

「ちゃんとお風呂に入ったら着させてあげますぞ」

「はーい! じゃあみんなお風呂ー」

「そうだね。今日も疲れたし、汗を流して休もうか」

こうして俺達は合流して温泉に入る事になりましたぞ。

今回、俺達が入浴する風呂は、岩風呂の様ですな。

カルミラ島の温泉の様な和風とはちょっと異なる、野生的なお風呂ですぞ。

もっとローマっぽい風呂かと思いましたが、この辺りは交易が盛んな地域。

しかも戦争で支配領域が変わる性質もあって中々文明が根付かないのですな。

それでも男湯と女湯が別れております。

これはこれは……。

「コウは良いですわね。元康様と一緒に入れて」

「えへへー、キタムラ! 後で背中流しっこしようよ」

楽しげにユキちゃん達は会話をしておりますな。

ですが、過去にお義父さんが言いつけた通り、女の子はちゃんと女湯に入るべきなのですぞ。

「エクレア、ユキちゃん達を頼みますぞ」

「はあ……もうなんとでも呼んでくれ……」

「元康くんは……覗きとかしないよね?」

「ははは、当然しますぞ。ユキちゃん達は楽しみにしているのですぞ」

「堂々と何を言っているのだ、キタムラ殿!」

まあ、フィーロたんをここで見つける事は出来ないでしょうが、温泉と言えば覗くことこそが男の役割なのですぞ。

女性も見られることで魅力が上がる。

ユキちゃん達も覗かれる男に自らの裸体を隠すという恥じらいを味わうことで女性としての魅力が上がるのです。

親として、それは教えねばならぬ信念というものですぞ。

けっしてこの元康、疚しい所はありません。

「常々思うけど、元康くんの理念が全然理解できない……」

「ナオフミーサクラがいなくて大丈夫? 一緒に入る?」

「え? うーん。元康くんやコウもいるし、大丈夫だからサクラちゃんも女湯で入っておいで」

「わかったーじゃあ後でナオフミの所へ行くね?」

「ちゃんと話を聞いてた? エクレールさん、みんなの事をお願いね」

「うむ、承知した。イワタニ殿もキタムラ殿を抑止するように頼む」

「うん、わかった。可能な限りがんばってみるよ」

などと話し合っているお義父さんとエクレアが何やら深いため息を吐きましたぞ。

「一体いつから私は子供の面倒をみる羽目になってしまったのだ……」

「元康くんもとても頼りになるけど、時々暴走するから説得するのが大変だよ」

「ハハハハ! 御冗談を。この元康、誠実にお義父さん達の為に尽力してますぞ!」

「「はぁ……」」

何故かお義父さん達は深いため息をしてからそれぞれの風呂の方へと向かったのですぞ。