軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

茶釜

あまりにも今の俺にピンポイントの内容で絶句しますぞ。

今ここで報告してはお義父さん達が不幸になるぞ? と言う脅しまで入っていますぞ。

敢えて言いますぞ。恐ろしい程の精度に気色悪く感じていますぞ。

一体この予言の碑文を残した者は俺に何を伝えたいのでしょうかな!?

しかも世間話の合間にこっちに視線を向けるお義父さんやアーク達のタイミングに合わせて光が消えるのですぞ。

遠隔操作でもしているのですかな?

しょうがないのでお義父さんとアーク達に気付かれない様に目で追いますぞ。

真の神狩りとはどんな者か……かの者は永劫を悪性と憎悪し、限りある生を賛美する。

永遠や不滅を蔑んでおり、不老不死を無価値と嘲笑う。

終わりがあるからこそ始まりがある。

限りある事を憧憬し白昼夢を見て渇きを潤し、永遠を持つ者に終焉を齎す。

全てを吐きだした虚無にして反存在。

世界創造、破壊、概念、時間……どれだけの全能を駆使して屠ろうとしても反存在は同等以上の力を増す。

不滅の者にとって抗えぬ天災。

何故強靭な竜が不老なだけで不死で無いかは分からないはずはないであろう? 死ぬ神が居るのも同様だ。

死なない者はこの災害を前に、存在しないはずの逃れられない死が刻まれる。

神狩りとは……有限にとっては救世主であり無限にとっては死神。

二日後の神狩りである虚無にして混沌の猫が旅立ちを告げた夜、天からの使いが混沌の猫に相談している最中に介入し、汝が思う全てを打ち明けよ。

私と同じ、怒りを浄化した少女の為……避けようのない悲しみを一日でも遅くさせ、汝に待ち受ける絶望を取り除き、天からの使いの幸せを願うなら進め。その道は光となろう。

思い出させてはならない。目覚めさせてはいけない。

魂は滅しても流転する。けれど、かの者にそれはなく……残された者は再度出会う事すら叶わない。

願うなら……私と同じ悲しみが来る日が一日でも遅くなりますように。

果てなく夢が続きますように。

「……」

つまりアーク達が二日後に旅立つ話をするのでその夜にフィーロたんがアークと話をするのですかな?

その際にアークに俺の思った事を話せと……そういうことですな。

どうにも良く分からないのですぞ。

思い出してはいけない? 目覚めてはいけない?

続きますようにとは……まるで叶わないのだけど続いて欲しいと言う願いのようですぞ。

……ぼんやりと夜中にアークに近づこうとしてホー君に呼び止められた時の事を思い出しますぞ。

ですがアークは眠らないとの話でしたが……。

なんて思いつつ、お義父さん達の雑談を聞きながら修復作業が進んでいったのですぞ。

そうして二日後の事ですぞ。

「ちょっとアークさん!」

「ラフー」

お姉さんがラフちゃんを抱えてアークへと怒り気味にやってきましたぞ。

「どうしたの?」

「変な物をラフちゃんに着せないで下さい! ナオフミ様が凝視してましたよ!」

「ラフー」

と、お姉さんはアークへ、茶釜を装着したラフちゃんを見せておりますな。

「え? 似合うと思ったから作ったんだけどダメだった?」

「ダメというかナオフミ様が気に入った顔をしていました! これを見逃すと私に飛び火するんですからね」

「ラフタリアちゃんに茶釜の鎧を着せるの? 尚文くんも中々やるねー結構上級者かな?」

「ホーさんも話を逸らさないで下さい! 前にもやってるんですよ。アークさんが着せたって事で解禁しかねないですから!」

「似合いそうだから着て貰ったんだけどなー」

「ラフー」

どう? って様子でラフちゃんは胸を張っておりますな。

非常に乗りが良いのがラフちゃんでしたな。

お義父さんが時々いろんな衣装を着せて楽しんでおりますぞ。

「はあ……あなたはどうしてそこまで乗りが良くなってしまったのか……アトラさんと似た感じでしょうか」

お姉さんも嘆き気味ですぞ。

「うーん……そうは言っても傘に徳利に通い帳を持たせなかったよ? 魔王獣の彼にプレゼントしたら怒られたから」

「それって信楽焼ですよね! ナオフミ様が既にやってます!」

「あ、そうなんだ?」

「前に『商売繁盛だったのはラフタリアのお陰だったな。縁起担ぎは良いな』と複雑な気持ちになるような事を言ったんですよナオフミ様は! 絶対に私をそれに重ねてました!」

「尚文くんならやりそうだねー」

ホー君が笑っておりますぞ。

しかしアークは、お姉さんかラフ種に似たような方にそのようなプレゼントをしたのですな。

確かに似合うと俺も思いますぞ。

お義父さんのセンスも中々良いのですぞ。

そう言えばお義父さんが前にフィーロたんを初めとしたフィロリアル様達に土佐犬のような回しを付けさせてもおりました。

フィーロたんは元よりフィロリアル様達はみんな楽しげでしたぞ。

何せフィロリアルレースで重賞を取ったときに着せて貰える服に似ていらっしゃいましたからな。

「笑い事じゃないです!」

「それくらい許してあげなよ。尚文くんの趣味なんだしー」

「ですが……」

「まあ、どうしても気になるなら君は幻覚魔法が得意なんだし化ければ良いよ」

「あんまりガミガミ注意すると秘密裏に研究して精霊が宿るくらいの茶釜を作っちゃうかもね」

「カテゴリーは鎧になるのかな?」

「どうだろ。精霊の好みってのもあるし、だけど本当似合うね」

「ラフー」

亀のようにラフちゃんは茶釜の中に入りますぞ。

顔だけ出してドヤって表情でおりますぞ。

「はあ……わかりました」

言うだけ無駄なのだろうとばかりにお姉さんはラフちゃんを持ったまま行ってしまいました。

少ししてお義父さんが夕食の準備を始めに厨房の方へとやって来たのでしたな。

「さてと、楽しくて長居しちゃったけど明日、お暇させて貰おうかな」

「そうだね。僕も本格的に休暇を取るついでに寄り道したんだし、本当にゆっくりしなくちゃなー」

アークが夕食を終えた所で仰いました。

「そうか。やっと静かになるな。主に鳥が五月蠅い方向だったが」

「厄介になっちゃったね。鳥が」

「えー? 猫は酷いなー」

「ホー君は悪く無いですぞ! お義父さん!」

「まあ、元康のお陰で面倒は無かったのか」

「間違い無いね。妙な巣を作る事は無かったしフィロリアル達も打ち解けてはいたみたいだから」

これで静かになるとお義父さんが遠回しに仰っているのは分かりましたぞ。

「中々のどかな所だったね。主犯の残した爪痕は酷かったけど」

「そうだね。事後処理も大分出来て良かったよ」

「その部分は色々と助かりました。出来ればナオフミ様や槍の勇者の悪乗りを注意して欲しかったですけど」

お姉さんも拘りますな。

「そっか、アークさんの料理、兄ちゃんと同じで超美味かったぞー」

キールの元気な言葉にアークは微笑みましたぞ。

「どういたしまして、また食べたかったら尚文くんにお願いね」

「また来るのかー?」

「どうだろう? もしかしたらまた来るかも知れないし、来ないかもしれない。いろんな所を僕は巡ってるからね」

「そっかーまた来てくれると嬉しいぞ」

「うん」

と、キールの返事にアークも微笑んでいますな。

「そんなキールくんに僕からの助言。僕にくれたクレープの木の実あるでしょ? 大事に育てればもっと大きくなるよ。僕が太鼓判を押すね」

「そっか! うおー! やるぜー!」

相変わらずキールはやる気ですぞ。

「ピヨ!」

「で、ルナちゃんに助言は、キール君の子供は可愛い子も居るけど逆に見上げる程の屈強なカッコいい子も生まれるから期待しすぎないようにね」

「ピヨ!」

「おい! それってどういうことだよ! アークさん、俺のなにを見たんだ!? おい!?」

フフフ、内緒。っとアークはキールの質問をはぐらかしましたぞ。

「そもそもアークさん! 男になる薬を作ってくれるんじゃねえのかよー!」

「ごめんね。僕の知ってる製法はこの世界じゃ無理っぽいんだ。別の方法もあったんだけどパッと出てこなくてね」

「えー! 思い出してくれよー! くっそー!」

キールが悔しげにしていました。