軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

運命の選択

「そうか、もう行くのか」

で、錬がアークの旅立ちを残念そうにしておりましたな。

割と毎朝ハードな剣戟を楽しんでいましたからな、錬は。

「うん」

「……ここでは直接聞けないが後で少し話をしても良いか?」

「良いよ? 内緒話かな?」

「似たようなものだ」

何やら錬はみんなに聞かれない様にアークに聞きたい話があるようですぞ。

そうして明日旅立つと言う事でみんな各々アークやホー君へと話をしていましたぞ。

やがて日が沈みみんなが寝静まる時間になった頃、フィロリアル様達を寝かしつけてからアーク達の元へと向かうと夜空を見上げるお姉さんのお姉さんとアークとホー君は一緒に居ましたな。

錬も話を終えたのかすれ違いましたぞ。

「――その質問の答えを君はいずれ知る事になるよ。今知っても面白い答えでも無いね」

「あらーはぐらかされちゃったのかしら?」

お酒を飲むのに付き合っていらっしゃるようですぞ。

「さてね。君は今この平和な一生を過ごすのが良いと僕は思うな。尚文くんとラフタリアちゃんの過保護な保護者をしすぎないようにね。君が倒れて悲しむのは二人だから」

「あらー」

クピクピとお姉さんは酒を飲み続けておりましたぞ。

「明日には旅立っちゃうのね」

「うん」

「これで君との酒飲みも終わりだと思うと少しばかり名残惜しいね」

と、ホー君がお姉さんのお姉さんが勧める度の高いお酒を飲んでおりましたぞ。

「それじゃお姉さんはナオフミちゃん達の所にでも行ってくるわー」

「うん。いってらっしゃーい」

やがてお姉さんのお姉さんは立ち上がってお義父さん達の家へと歩いて行きましたぞ。

「……一時の眠りを」

アークはお姉さんのお姉さんを見送って小さく呟いていらっしゃったのですぞ。

そうして……どうしますかな? 声を掛けるか悩んで居る所で……なんとフィーロたんがやってきましたぞ。

フィーロたんですぞ! 最近、全然お会いできずに居たのですから飛び出して声を掛けますかな?

と言う所で脳裏に一昨日読んだ碑文が過ぎりますぞ。

落ち着くのですぞ元康、もう少しだけ我慢しろと言う啓示なのですぞ。

ここで飛び出してはいけないのですぞ。

フィーロたんが相談しているタイミングで介入しろと書かれていました。

そうでないとフィーロたんやフィロリアル様、お義父さんに訪れる不幸が防げないのですぞ。

避けようのない悲しみとは一体何なのでしょうか。

予言でその回避の術があるのでしたら少しくらい乗ってやりますぞ。

「こんばんはーフィーロの名前はフィーロ」

「ああ、フィーロちゃん。こんな夜にどうしたの?」

「えっとー猫の人と偉い鳥の人って明日にはお出かけしちゃうんだよね? だからフィーロちょっと聞きたい事があって来たの」

「いやーなんて言うかみんな熱烈歓迎で色々と聞いてくるよねー居心地良くて困っちゃうなー」

ホー君がここで小粋なジョークをしますぞ。

「フィーロ聞いちゃダメだったー?」

「いいや。大丈夫だよ。それでフィーロちゃん。君は何を僕たちに聞きたいんだい?」

サァ……っと夜風がフィーロたんと俺、そしてホー君に吹きますぞ。

ですがアークは不思議と風を受けている様子が無く、静かにフィーロたんの質問を待っていらっしゃる様でした。

「えっとねー変とか思わないで欲しいんだけどねー」

「うん」

とても優しい目でアークはフィーロたんが何を伝えたいのかゆっくりと聞き届けようとして居ますぞ。

「なんかねー猫の人、ごしゅじんさまと同じ目をしてる時があるの」

「そうかい?」

「うん。ごしゅじんさま以外だとね。なんか違うけど猫の人はなんか同じなんだよ」

「そうなんだ?」

「うん……えっと、でね……」

フィーロたんは言葉を選ぶように、若干の迷いを見せつつお願いするように聞きますぞ。

「猫の人と偉い鳥の人、すごいんだよね」

「そんな凄くはないと思うけど……」

「僕は凄いかな」

アークがホー君に空気を読めって顔で睨みますぞ。

「あのね。ごしゅじんさまやラフタリアお姉ちゃんにお願いしても気にしなくて良いとか全然仲間に入れてくれないの。だから猫の人、教えて欲しいの」

「何を知りたいんだい?」

フィーロたんの言葉に俺も薄々感じているお義父さん達の何かだと理解しましたぞ。

まだ……まだ介入してはいけないのですぞ。

そう、俺の脳内にある何かがタイミングを練れと囁いていますぞ。

脳内の……選択肢と言うべきですかな。

「フィーロね。時々遠くを見つめるごしゅじんさまとラフタリアお姉ちゃん達と同じところを見たい。ねえどうしたらフィーロは同じところに行けるー?」

その質問に俺も想うところがあったのですぞ。

そうですぞ。お義父さんとお姉さんは赤豚の本体を倒した後からですが遠くを見つめたりしていらっしゃいました。

まるで赤豚本体を倒す為に多大な代価を支払う約束をし、その為に何かをしているような……。

「うーん……それはなかなか難しいねー。君は覚悟を持って、振り返らない決意……どれだけの別れがあっても後悔しないでいられるかい?」

「えー? うん! フィーロ頑張るもん」

「その覚悟は君が大好きな友達と別れる事になっても?」

「え? メルちゃん? メルちゃんともう会えないの?」

「今すぐじゃないよ。だけどいずれそうなるとしても、君は尚文くんとラフタリアちゃんを待てる?」

「うう……フィーロわかんない!」

フィーロたんの相談に介入する。←

このまま何も聞かなかった事にして帰る。

チチチ……と俺の脳内で選択肢が表示されたのですぞ。

選べと、俺の運命が語りかけているように。

「だけどフィーロ頑張る!」

元康、選択の制限時間が迫って居るぞ。早く選ばないといけないですぞ。

脳内でチリチリと選択肢が俺を焦らせますぞ。

ええい! やってやりますぞ!

「フィーロたーん!」

「ぎゃー! 槍の人の声ー!? やー!?」

声を上げてフィーロたんやアークとホー君がいる場に飛び出すとフィーロたんが背を向けて走って行ってしまいますぞ。

「わ、元康くん!?」

「おっと、これはびっくりだね」

「鳥はフィーロちゃんを連れ戻してきて」

「はいはい」

ホー君が走って行ってしまうフィーロたんを飛んで追いかけて行きましたぞ。

すぐに追いついて何やらフィーロたんと話をしております。

「それで元康くん。どうしたんだい? もしかして早めの別れの挨拶?」

アークに尋ねる。←

フィーロたんを追いかける。

微笑むアークの笑顔を見ている所で更に脳内での選択肢ですぞ。

俺としてはフィーロたんともっと遊びたいのですが、聞かねばいけない事なのですぞ。

「違いますぞ。フィーロたんと遊ぶよりも今、聞きたい事があるのですぞ」

「なんだい?」

ドクン……と、小首を傾げるアークのその姿に、俺は……お義父さんを重ねてしまうのですぞ。

「どうして……」

「ん?」

俺は、今この時だけはフィーロたんを忘れ、もう二度と会えない……お義父さん。ループをしたときに出会ったお義父さん達が脳裏を通り過ぎて行きました。

「あなたはどうして、お義父さんとそんなにも重なるのですか?」

まるでアークがそのお義父さん達が世界を越えて会いに来ていて気付くのを待っているような、そんな気さえするのですぞ。

「……」

俺の質問にアークは大きく瞳を見開いてから微笑を浮かべましたぞ。

「中々面白い話をするね。僕がそんなに尚文くんに似てるのかい?」

反証とばかりにアークは両手を広げて聞いて来ました。