軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

85話 ネズミネズミ&ネズミを回収

「おお~っ! 風呂じゃ風呂じゃ!」

「王女殿下、あまりお湯を飛ばさないでください!」

目の前にある小屋から、王女と女騎士のキャッキャウフフが聞こえてくる。

ツリーハウスの上に載っていた小屋をアイテムBOXからだして、バスルームに転用しているのだ。

森の中で用水路の普請をした時と同じだが、そのバスルームには王女と女騎士と共に、お世話するメイドさん達も一緒。

メイドが一緒といっても、裸になって風呂に浸かっているわけではない。

それは、シャンプーやリンスの使い方を教えているプリムラも同様だ。

子爵夫人は一緒に入れとか言っていたが、相手が未成年の王族ではさすがに 拙(まず) いだろう。純潔に疑いがかかるからな。

さすがに、そんな事になれば、国王からも狙われる事になってしまう。

俺は、王都にある王宮に滞在中だが、やることがないので、軽い気持ちでお城の地下に巣食っているネズミ退治を引き受けた。

だが、とんでもない数の個体が生息している事が判明して、

王女に一杯食わされた格好だ。

ニャメナも愚痴をこぼしていたが、ちょっと大仕事になってしまった。

だが仕事を引き受けたからには、王女が納得する結果を出さないとな。

それに色々と仕事をこなせば、王家から何か価値のある物をもらえるかもしれない。

外でニャメナの晩酌に付き合っていると、バスローブを羽織った王女と女騎士がバスルームから出てきた。

その後ろにはメイドさん達とプリムラがいる。

風呂からあがった彼女達のために、既にテーブルとジェットヒーターが準備万端整っている。

「リリス様、この魔道具にて御髪を乾かしてください」

「何? 魔道具?」

俺がジェットヒーターのスイッチを入れると、カチカチという音と共に、熱風が吹き出し始めた。

「おおっ! これは凄い!」

「これは、ちょっと欲しいかも……髪が長いと中々乾かないから」

「私どもは、獣人達の毛皮を乾かすのに重宝しております」

「なるほどのう……」

王女がジェットヒーターの前に立ったまま――その周りにいるメイド達が、銀色の筒から出る熱風に御髪をかき上げて晒している。

「姫様、御髪が……」

「おおっ! 髪がさらさらのふわふわじゃ! 髪を洗った時に使った、あの薬品のせいか」

「その通りでございます」

「これもマロウ商会で手に入るのか?」

「いえこれは、合成出来るのが私しかおりませんので、市販化されておりません」

「むう……しかし、 女子(おなご) ならこれは飛びつくぞ」

女騎士も、リンスの威力に驚いているようだ。やはり長い髪の毛には効き目があるだろうし見た目にも解りやすい。

王女と女騎士がメイドさん達と家に入ると、プリムラが1人でお風呂に入るという。

そのプリムラがアネモネを呼んでいる。お湯が、ぬるくなってしまったので、再び温めてもらうようだ。

王女は女騎士と一緒に、俺の家に泊まるようで、すっかりと別荘にされてしまった。

「なぁ旦那。なんでこんな事になったんだ?」

「さぁ俺にも解らん。王女様のいい玩具にされてしまったな」

「そうだにゃ~」

「言う事をそれなりに聞いて、国王陛下との謁見が終われば帰れるんだ。それまでの辛抱だな」

「退屈はしないからいいけどさぁ」「狩りが出来ないのは寂しいにゃ」

ミャレーにはそれが一番応えるようだ。ニャメナはアストランティアで色々と仕事をしていたので、狩り専門ってわけでもないらしい。

プリムラの風呂を沸かし終えると、アネモネが風呂場から出てきた。

「アネモネは入らないのか?」

「水浴びしたから要らない」

薪の前で、胡座をかいていると、その上にアネモネが座ってくるので、2人で毛布にくるまる。

「ウチも入るにゃー!」

その毛布の中にミャレーも入ってきた。獣人が入るともふもふですぐにあたたまる。

そのまま3人でウトウトしていると、ジェットヒーターの音が聞こえる。

プリムラが風呂から上がったようだ。道具を片付けないとな。

テーブルやらジェットヒーターをアイテムBOXへ収納していると、家の玄関が開いた。

「ケンイチ! ここへ来て、其方の話を聞かせるがよい!」

やれやれ――と言いたいところだが、この国の情報を得るための貴重な機会だ。商人レベルでは知らないような事も聞ける。

無下にするべきではないだろう。

「むう!」

俺との時間を王女に取られてしまって、アネモネは不機嫌だ。だが、お相手せざるを得ない。

しかし、この狭い家の中に王女と女騎士、そしてメイドさん。俺とアネモネとプリムラ――ぎゅうぎゅう詰めだ。

「むふ! 面白い! 全くもって、其方の話は面白い!」

色々と王女と話をするのだが、どういう話題がいいのか悩むところだ。

宗教的な話はちょっと危なさそうだし、禁忌に触れるような話題もあるだろう。

例えば、天動説と地動説とかな。世界は丸いってのも危ないかもしれない。

だが、王女から他の国の情勢についても聞けた。

隣の帝国は皇帝が代わり、勢力の地盤固めをしている最中なので、しばらく危険はなさそう。

逆に危ないというのが、帝国と反対側にあるマグロイア共和国だ。

こんな世界にも共和国があるのかよ――って思うのだが、あるらしい。

村は共同体という単位で管理され、農業、工業、医療、教育等々、全てを賄える自給自足ユニットとして、作られているという。

当然、それらを全てこなすためには、ある程度の人数がいないと不可能なので、強制的に人が集められて移住させられている。

例えば、共同体に医者がいなければ、医者や治療魔法が使える者が強制的に集められて派遣されてくるらしい。

共同体の生産物、売り上げ等は全て共有財産として管理運営されて、国への税金が引かれたあと、全ての共同体構成員に再分配される。

一見、素晴らしいシステムのように思えるが、共同体を構成する優れた人材がそうそういるわけでもない。

例えば、水準に達していない医者や教育者、職人等が派遣されてくる場合が多々あり、現場の混乱に拍車をかけている。

そして、予め決められた年次計画によって開発が進められているので、それに従った税金が徴収される。

だが、飢饉や事故等で生産が大幅に滞る事になれば、共同体構成員の分前が減る。

年次計画が達成出来なければ、政治犯として奴隷落ちするので、村の財産を切り売りするしかなくなり、そうなれば一時的にはしのげても結局は破綻する。

だが破綻しても逃げ出す事も出来ずに、餓死者を大量に出しているらしい。

まるで絵に描いたようなディストピアだが、それを人民の目から逸らすために、帝国やこの王国への侵攻の噂が絶えない。

「それ、絶対にヤバい国じゃん」

「その通りじゃ、我が国としても頭の痛いところよ。それでも奴らは『地上の楽園』を称しているのだから、笑える」

全く、どこの世界でも似たような感じになるんだなぁ……。

「マグロイアには、他の少数民族はいないのですか? 例えば、エルフとか?」

「おる。マグロイアは、そのエルフやらドワーフ達でさえ、共同体というのに加えようとしておってな」

「そんな無茶な」

従わない民族には軍隊を投入しているというが、森の奥深くで暮らしているエルフやドワーフ達は、逃げまわっているようだ。

こんな話はさすがに商人からは聞けないな。さすが王族だ。彼女は14歳ぐらいらしいが、かなり高度な教育を受けている。

「そういう妾と対等に対話出来る其方も異常じゃぞ? それで、タダの商人だと言うのだから、馬が笑う」

「そうでしょうか?」

「大臣や政務官同等――という事でなければ、おかしいと申しておる」

「ケンイチは賢者なんだから!」

一緒についてきたアネモネがそんな事を言う。

「何? 賢者とな?」

アネモネが神様って言い出さなくてよかった。

「皆が冗談らしく、そのように言うのですよ」

「むう……」

王女が腕を組んで考えているのだが、あまり喋るとボロが出そうなので、途中で切り上げて外に出た。

だが、一緒にアネモネも出てきた。

「ベッドで寝ないのか?」

「ケンイチと一緒にいるの」

焚き火の前でアネモネと一緒に横になるが、ゴツゴツして具合が悪い。

一緒に入れる寝袋があればいいんだが……そうだ、車内泊をやっていた連中がエアマットを使っていたな。

早速シャングリ・ラで検索する。収納する時はくるくると丸めてあって、使う時には空気を入れるやつが売っている。1個4000円ぐらいだ。

それに、アイテムBOXに入れるなら、一々空気を抜かなくても大丈夫だ。

「ポチッとな」

丸まったエアマットが2つ落ちてきたので、そいつを開いて口を付けて空気を入れる。

女の子でも、なんとか空気を入れられる。空気を入れ終わったら、マットを2つ並べて、アネモネと一緒に寝転んだ。

「こいつは結構良いかも」

コンパネを敷くよりはいいかもな。柔らかいし。

「旦那ぁ、そんな良い物があるなら、俺達にも貸してくれよ」「にゃー」

「おお、そうだな」

追加で、エアマットを2つ購入。獣人達の肺活量なら、あっという間にマットが膨らんだ。

そいつを地面へ敷くと、獣人達も寝転んだ。

「へへっ、こいつはいいぜぇ!」「だにゃ~」

それを見ていた俺の所へ、マットを持ったミャレーがやってきて、俺とアネモネの隣につなげた。

「これで一緒に寝られるにゃー」

「ああっ! てめぇ、クロ助! 抜け駆けかよ」

「早い者勝ちにゃ」

「そうはいくか」

ニャメナも負けじと俺達の隣にマットを並べた。

そして、皆で横になったのだが――いつの間にかやって来たベルが俺の腹の上に乗っかった。

「おお~い、ベルよ。重いんだけど……」

「にゃー」

彼女は尻尾をペシペシと振っている。

「にゃーじゃねぇ」

何かいい物は……閃いた。

俺はシャングリ・ラから50cm程のダンボールを10枚購入――セットで2000円だ。

いつもスーパーとかでもらっていたけど、買うと結構高い物なんだな。

腹の上からベルをどかすと、落ちてきたダンボールを組み立て、2つをガムテープでつなげた。

「どうだベル。お前も猫ならそそらないか?」

ベルがダンボールをクンカクンカした後、伸び上がって中を確認――ぴょんと飛び上がって中へ着地した。

そして、中で丸くなった。

「ケンイチ! なんにゃ、それは?」

「ええ? 紙の箱だよ」

なんだか、ミャレーも興味津々なので、ベルが入ったのと同じダンボールを組み立ててやった。

すると、ミャレーもダンボールの中へ飛び込んだ。

「おおっ、これは暖かいにゃー!」

そう言った彼女がダンボールの中で丸くなった。なんだ、獣人もダンボール好きか……。

「ニャメナにも作ってやるか?」

「え~、あ~う~」

何だか、否定したいようなのだが、本能的な物に逆らえないような感じだな。

とりあえず、同じ物を組み立ててやると――ニャメナも、ダンボールの中にエアマットを敷いて丸くなった。

「こりゃ、マジで温けぇ」

巨大なダンボールが3つ並ぶ……なんというシュールな光景。

だが、ベルはすっかりとダンボールが気に入ったようなので、これで俺の上に乗られずに済む。

「アネモネも、あの中で寝てみるか?」

「要らない」

彼女はそう言って、俺に抱きついた。

------◇◇◇------

――次の日。

朝起きると食事の用意をする。王女がいるけど、グラノーラでいいだろう。

口に合わないようだったら、インスタントスープでも飲ませよう。アネモネに魔法でお湯を沸かしてもらい、またゆでたまごを作る。

お城の方からメイドさん達が集まってきて、俺の家へ入っていく。王女の着替えだろう。

食事の準備が終わると、王女が家から出てきた。待ちきれない獣人達は、とっくに地面に座って朝食を食べている。

家から王女が出てきた。

「リリス様おはようございます」

「うむ!」

「今日の朝は、簡単な朝食で失礼いたします。そうそう豪華な朝食は食べられないものですから」

「これは?」

王女に、グラノーラの説明をする。他の者と違うところは、見た目等で食わず嫌いがないところだな。

王族なので、津津浦浦の珍味を食い尽くしているせいかもしれない。

俺の説明もそこそこに、王女が毒味もなしにスプーンに載せたグラノーラを口へ運んだ。

「ふむ! これはパリパリしてて香ばしく中々美味じゃな。食欲のない朝でも食べられる」

「リリス様でも食欲のない朝がおありになるので?」

「それはある。いつもならスープ4杯のところ、2杯しか入らぬ――とかな」

それは食欲がないというのか。

「これは美味しい……」

王女の隣の席についた女騎士もグラノーラを食べて、呟いた。街の人間にも食わせて好評だったからな。

この世界の人間の口にも合うはずだ。王女の後ろにいるメイドさん達も食べたそうな顔をしているのだが、やはり興味があるのだろうか?

結局、王女はグラノーラ4杯とゆでたまごを4つ食べた。

「其方、今日も地下に潜るのか?」

「はい、今日からが本番でございます。数が多いようであれば、明日も潜らなければならないでしょう」

「頼りにしておるぞ?」

「はは~有難き幸せ」

だが、王女の顔が少々訝しげだ。

「そなた、本当に元貴族ではないのだろうな? 他の国から流れてきたとか……」

「いえいえ、片田舎出身のただの平民でございます」

「タダの平民が、妾と会話が成り立つ事自体が怪しいのじゃが」

「実は、在所の森の中に変わった爺さんが住んでおりまして、子供の頃から色々と教わったのでございますよ」

「ほう――では、その老人が都落ちした賢者の可能性があるの、そして其方は賢者の弟子という事になる。それならば、辻褄は合う」

王女はなんとか、その設定で納得してくれたようだ。

我ながら少々口からでまかせ出放題だが、中々良い設定ではないだろうか。今度からは、この設定を使おう。

ふと、後ろを見ると、獣人達とベルが、またあらぬ方向を見たまま固まっている。皆が同じ方向を見ているのだ。

「どうした? また、何かの気配がするのか?」

「ああ、旦那。ここって絶対に何かいるぜ?」「なんだかにゃ、怪しい気配がするにゃー」

「にゃー」

ベルも同じ意見のようだ。

「なんだ? もしかして、ゴーストとかレイスか?」

「旦那、レイスなら夜か、ダンジョンみたいな暗い所じゃないと出てこないはずだけど……」

咄嗟(とっさ) に魔物の名前を出してしまったが、話は通じているようだ。

「ネズミがいた地下じゃそんな気配はしてなかったんだろ?」

「そうだにゃ」

とりあえず、王女に確認してみる。

「リリス様。お城でゴーストやレイスの目撃情報は?」

王女は、しばらく言うかどうか迷っていたような表情を見せたのだが、重そうな口を開いた。

「……実はある」

「後ろにいるメイドさん達はどうですか? おかしな気配がするとか、なんだか誰かに見られているような感じがするとか?」

「あの――実は、そういう事が結構あって……」

「ふん――この王家を維持するために死んだ人間は山のようにおるし、恨んで死んだ者も数えきれぬじゃろう。別に城がゴーストだらけになってもおかしゅうない」

「やれやれ……」

やっぱり、某カ○オストロの城みたいに、謀略等で死にまくっているんだろうなぁ。こちらも気をつけないとな。

そんなのに巻き込まれたくねぇし、いざとなったら全力でバックレよう。車で逃げりゃ絶対に追いつけっこねぇ。

森の中に逃げ込めば、軍だって手出しは出来ないだろう。

朝食も終わったので、王女と別れて再び俺達は地下へ潜る事にした。

プリムラとベルは、また家でお留守番だ。プリムラの活躍の場が少ないが致し方ない。適材適所ってやつだしな。

それに彼女だってこんな所に潜って、ネズミの相手はしたくないだろう。

再び、白い防護服に身を包んで、地下へ潜る。

そして頭に装着されたLEDライトが、地下の通路を照らす。

「なんじゃこりゃぁぁぁ!」「ぎゃー!」

通路に、ニャメナとミャレーの絶叫がこだまする。

「あ~、お前等煩い。見たら解る、ネズミの死骸だろうが」

通路を埋める無数の黒い屍。その上を生き残ったネズミ達は、ぴょんぴょんと飛び跳ねている。

まだ、生き残っている奴らがいるのか……。

シャングリ・ラからデカイ麻袋を買う。縦が1mぐらいある大型の袋だ。日本で使っていたようなゴミ袋では破れてしまうだろう。

1枚400円なので20枚程買ってみるか……1000匹いるなら、1袋100匹で10枚、50匹で20枚――まぁ、足りるだろう。

そして、ネズミを拾い上げるために、火バサミを買う。手で触るのは危険だ。

普通の火バサミではなくて、先っぽに幅が広いグリップがついている物を買う。1400円と普通の物より少々高いが、こちらの方がいいだろう。

「ほら、袋だ。そして、こいつで摘んで袋に入れろ。手で触るなよ。毒が残っているかもしれないし、ネズミは病気だらけだからな」

「はいよ~」「解ったにゃ」「うん!」

「アネモネ、重いから無理するな。床に置いて周りにいるネズミだけ入れとけ」

「わかった」

彼女の力では、ネズミの入った麻袋を担ぐのは無理だろう。

そして、次々とネズミの死骸を火バサミで摘んで、袋に突っ込んでいく。

1袋には50匹程度しか入らないようだ。ちょっとサイズがデカイからな。まぁ袋が足りなかったら、シャングリ・ラからまた買えばいい。

ネズミでいっぱいになった麻袋が、3つ4つとドンドンアイテムBOXの中に増えていく。

「まったく毒で全滅させるとか、普通は考えつかないよ。俺は旦那が怖くてしかたねぇぜ」

「それじゃ、トラ公はケンイチの下から抜けるにゃ?」

「そうは言ってねぇだろ!」

ニャメナの言葉を聞いて、ちょっと焦ったが、抜けるつもりではないようだ。

ブツブツと言っていたニャメナであったが、細い路地に入って叫び声を上げた。

「うわぁぁぁ!」

「ニャメナどうした?!」

彼女の下へ駆けつけると、そこにあったのは巨大なネズミの死骸が2つ。

「やっぱり、まだいたのか……」

「ケンイチ! こっちにもデカいのが転がっているにゃ!」

まじかよ。いったい何匹いるんだ。

巨大ネズミの屍を次々とアイテムBOXへ入れていく。全部で5匹だ。

洗面器に入れたエチレングリコールは全部なくなっていたので、こいつが効いたのかもしれない。

そして、ネズミの死骸を入れた麻袋は全部で14になった。

だが、まだネズミがちょろちょろと走り回っているのだ。

「この分だと、まだデカいのもいるかもしれない。再度、毒をバラ撒こう」

「よっしゃ! やるなら徹底的にやろうぜ」「そうだにゃ」「うん」

再度シャングリ・ラで殺鼠剤とエチレングリコールを購入すると、皆で通路にバラ撒きはじめた。

死骸の回収には3時間程掛かったが、ネズミはかなり少なくなったので、毒のバラ撒きは順調に進み、1時間半ほどで終了。

「ははっ、こんな簡単な仕事でいいのかね」

「ケンイチがいるから、簡単なんにゃ、トラ公はそんな事も解らないのにゃ?」

「俺だって、そのぐらい解っているよ!」

「こらこら、喧嘩するな――よし! 残りは明日だ」

「うにゃー!」「ふうう……」

ニャメナが溜息をついている。

「凄い、ネズミの量だね」

アネモネがネズミの死骸が入った麻袋を覗きこんでいる。

「本当だな。多すぎだろう。そりゃ、お城の中もネズミだらけになるわけだ」

「くそ、あのお姫様め。旦那じゃなかったら、人死が出てるところだぜ」

ニャメナがネズミを見つめながら愚痴を漏らす。

「俺もそう思う。ギルドが断るのも無理もない」

「そうだにゃ~」

残りは明日だ。俺達は外に出て昼飯を食うことにした。